Politico Europeは24日「カナダの国防支出不足はNATOにとって頭痛の種だったが、これ以上の新たな敵が現れた。同盟の新たな国防支出の基準から逃れようとするスペインの試みは他の加盟国を怒らせている」「今年はスペインが最大の頭痛の種でスロバキアが僅差で2位だ」と報じた。
参考:Move over, Canada. NATO has a new villain.
スペインの言っていることも正論で見方を変えれば「我々は賢く立ち回った」と見えるかもしれないが、きっと手痛いしっぺ返しを食らうだろう
これまで慢性的なカナダの国防支出不足はNATOにとって頭痛の種で、昨年のNATO首脳会談でカナダのトルドー首相は「2%基準を満たす追加の国防支出」を拒否して加盟国からの怒りを買ったが、今年のNATO首脳会談に出席するカーニー首相は「90億ドルを追加支出することで2%基準を7年前倒し=年内達成する」と発表し、NATOにおける「のけ者の地位」から脱却することに成功したが、今年のNATO首脳会談ではスペインが最大の頭痛の種で、同盟国の怒りを買うスロバキアが僅差で2位だ。
España ha logrado un acuerdo histórico con la OTAN que le permitirá seguir siendo un miembro clave de la Alianza y contribuir de forma proporcional a sus capacidades, sin tener que aumentar su gasto en defensa, ni alcanzar el 5% del PIB.
Tenemos que proteger Europa. Pero también… pic.twitter.com/jYc2Ilneaw
— Pedro Sánchez (@sanchezcastejon) June 22, 2025
スペインは土壇場で「我々は5%という目標にコミットしない」と主張、他の加盟国が国防支出基準の合意を守る中で「5%免除」を獲得することに成功し、サンチェス首相は23日「5%を達成したい国とそうでない国の権利を調和させることができる合意に達した」「NATO加盟国は目標を達成するかどうかを決定する権利を持っている」「我々は主権国家として総額5%達成を約束しないと明言してきた」「我々は5%未満の支出でより良いバランスを選択する」と述べ、NATOが各加盟国に課す能力要件についても「国防支出を2.1%まで引き上げれば達成できる」と述べている。
加盟国32ヶ国は「各加盟国に課す能力要件の大幅引き上げ(この内容は機密指定なので一般には公開されていない)」を承認しているが、スペイン以外の加盟国は「旧基準=2%に近い国防支出額で新基準=5%に基づく新能力要件を達成するのは不可能だ」と考えており、スウェーデンのクリステション首相は「例外を認める余地が何処にも見たらない」と、デンマークのフレデリクセン首相は「ロシアから最も遠い国が5%免除を求めるのは公平ではないし、これは加盟国32ヶ国の団結に関する問題、欧州を自ら防衛するための問題で、ポーランドやチェコといった特定国を守る問題ではない。特定の加盟国が5%を免除されるという考えには反対だ」と批判。

出典:NATO
さらにポーランドのコシニャク・カミシュ国防相も「スペインの5%免除は非常に悪い前例を作っただけ。我々は純粋な国防支出に4.7%もの資金を割り当てているが、スペインは国防支出の定義を拡大解釈しているだけで、純粋な軍事力に結びつかないものまで国防支出に含めて2%を達成したと言っているの過ぎず、スペインはNATOの模範的な同盟国ではない」と、ある英国の議員も「スペイン人は基本的に社会主義者で、ウクライナ問題におけるスペインの立場を見ても、他の加盟国が共有する欧州の安全保障に連帯したり、これを支持する姿勢が全く見られない」と辛辣に批判した。
スロバキアは5%を支持していたものの、スペインの行動を見たフィツォ首相は23日「今後数年間は軍備よりも優先すべきことがある」「我々も国防支出を5%まで増額しなくてもNATOの能力要件を満たすことができる」「そのためスロバキアはスペインと同様に国防支出をどのようなペースで増額するか決定する主権を保持している」「2026年の予算において2025年を超えるレベルの防衛装備調達は行わない」「2026年に増額する国防支出は総額5%の軍事インフラとしても活用できる分野にのみ使用できる」と発表。
S T A T E M E N T
of the Prime Minister of the Slovak Republic Robert Fico
23 June 2025The Prime Minister of the Slovak Republic points out that all international political, security, and legal mechanisms intended for decision-making and mandates on the use of military force in… pic.twitter.com/GFvnGaiuXs
— Robert Fico 🇸🇰 (@RobertFicoSVK) June 23, 2025
スペインはルッテ事務総長の書簡で「能力要件の達成に向けたステップとGDPに占める国防支出の割合を独自に決定し、年間計画に対する柔軟性を得ることをここに確認する」と5%免除のお墨付きを得ているが、スロバキアも同様の権利を主張し「総額5%達成」を否定しないものの「いつまでに5%を達成するかは加盟国の合意ではなく独自に決定する」「2027年までに旧基準=2%を達成するため2026年に国防支出を増額するが新基準=国防支出3.5%と軍事インフラとしても活用できる分野への投資1.5%の後者にしか資金を分配しない」という意味で、純粋な国防支出は2025年レベルに据え置くという意味だ。
スペインもスロバキアも「政治的に苦しい国内情勢」を背景にした決定なのだが、それでも他の同盟国からは殆ど同情を得られておらず、リトアニアの元外交官は「もし複数の国が5%免除を獲得すれば、他の首脳らは自国に帰国して5%の必要性をどのように説明すればいいのか」と指摘したが、一度崩れた団結はさらなる綻びを見せ始めており、ベルギーも「5%達成に最大限の柔軟性を求める」と表明し、マキシム・プレヴォ外相も「スペインのように表立って声明を出すことはしなかったが、我々の外交官も予算措置における柔軟性獲得のため尽力してきたことを保証できる」と明かしている。

出典:The White House
それでもスペインとスロバキアを除く欧州の同盟国は「5%達成」を支持し「もし5%達成への取り組みを否定すればトランプ大統領の怒りを買うだけだ」「火曜日の夕食会でフィツォ首相がトランプ大統領に『5%まで増額しなくてもNATOの能力要件を満たすことができる』と直接伝えることに期待している」と述べたが、一部の欧州当局者は「スペインとスロバキアの造反の根本的な原因はトランプ大統領の発言に原因がある」と考えているらしい。
トランプ大統領は20日「長年に渡って米国はNATOを支援し、多くの費用を負担してきたためこれ以上の国防費増額には反対だ。しかし米国以外のNATO加盟国は絶対に国防費を増額すべきだ」と発言し、欧州当局者は「米国が5%達成を受け入れないことで『彼らは良い仲間が出来た』とでも思っているのだろう」と指摘している。

出典:NATO
米国の国防支出はGDP比3.19%、NATO加盟国全体の国防支出に占める割合も66%、基準が曖昧な「軍事インフラとしても活用できる分野への投資1.5%」を除くと「国防支出3.5%部分に近い額」を既に支払っている格好で、決定的な違いは「自らが所属する欧州大陸の防衛に金を出せない」「他国が5%を達成するのは自由でも『新基準で他国が達成する軍事力』の恩恵に旧基準で相乗りする」「集団防衛の基本とも言える脅威の共有を否定している」「欧州再軍備計画には関与して他国が増額する国防支出を自国の防衛産業に取り込んでいく」という点だろう。
勿論、独立国にとって予算編成や支出割合を決定するのは主権の一部であり、スペインの言っていることも正論で、見方を変えれば「我々は賢く立ち回った」「最小の投資で大きな防衛力を手に入れた」「EU加盟国としての権利はしっかり主張して他国の国防支出を自国の防衛基盤強化と雇用に結びつけられる」と称賛できるかもしれないが、この構図は「米国の軍事力にただ乗りしてきた」という問題を何も解消しておらず、きっと手痛いしっぺ返しに直面するだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:NATO





















そりゃあ自分達は出してるのに、出せないという奴がいたら悪目立ちするよなぁ
それなら金は出せないが、欧州内の移民を受け入れるとか、原発を建てて安く電気を売りますよとか、相手にそれならと思わせるような対案がいる
日本の場合は、どうあがいても防衛費増額は避けようもない
どうしても自衛隊の増強をしたくないんなら、在日米軍へ兆単位で払うしか納得させられないだろう
どっちにしろ金は飛ぶな
防衛費増額への要請は避けられないが政権が保つかは別の問題
誤解を恐れずに言うと自民党以外で増額は無理
ちなみに自民党シンパではない
欧州でも東欧と北欧はロシアの脅威が目の前であり国土が最悪は戦火に見舞われる危険がわかりやすいけど、南欧と西欧はまた違うのでそういった国出て来るのも当然だと思うけど欧州は纏まったままで今後も継続出来るのでしょうか。
スペインの軍需産業としてはエアバスの持ち分、サフラン(仏)に取り込まれた旧イスパノ、ウロベサ、ナバンティアを思い浮かべますが、防衛費増加で高価な大物装備品を売れる国はそんなにありません。
軍需産業弱い国は大きな防衛費を義務付けられると他国に冨を流出させることになるんです。外国との取引では通貨水準によって中期的には平準化されるのが基本なわけですけど、通貨ユーロに統合しているのでそれもない。そしてEUでは域内調達の原則があるのでEU内で製造国へGDPの無視できない割合を集めることになってしまう。
オフセット取引で軽減図るのでしょうけどオフセットの仕方でも持つ国と持たざる国で明暗が割れる事は想像できます。
このように冨の流れを政治的に取り決めるのはEU内での火種になると思っています。軍需産業が強い国と弱い国で立場が割れるでしょう。強い国同士では互いに有利になるよう交渉できるでしょうが、弱い国は有利な条件を取り付けにくい。
そして戦争の危険をどれだけ身近に感じているかでも温度差がある。
彼らがこれを調整できるのでしょうか。
いやいっそ域内軍事侵攻で言うこときかせるのでしょうか。
NATO加盟国は当初12ヶ国が現在32ヶ国に増えて、いくつかのグループに分かれ出しているような
①東部ヨーロッパ 旧ワルシャワ条約機構加盟国 ソ連軍の実力を肌感覚で理解
②北部ヨーロッパ NATO新規加盟国 フィンランド、スウェーデン
③中央ヨーロッパ フランス、ドイツ、イタリア など
④西西ヨーロッパ ピレネー山脈の西 スペイン
⑤イギリス NATO加盟、EU離脱
⑥トルコ NATO加盟、EU未加盟
⑦カナダ
そもそもスペインがNATOに入ってる意味はあんまり無いので、これを理由に爪弾きにされるなら、抜けてしまってもいい気はしちゃいますがね。
2度の大戦にも、スペインは加わらなかったわけですし。
ただ、スロバキアはちょっとなに考えてるのか分からないですけど…。
君、プラハの春でソ連に侵略されてるよね…。
日本も3.5%払うってなったら防衛費に年間20兆円以上さくはめになって財政が死ぬので、ここは思いやり予算を現行の3000億円水準から、1兆3000億くらいにしてやり過ごそう。そっちのほうが断然予算が少なくて済む。
防衛費は2%ちょいで年間12~14兆円もあれば差し当たって何とかなるでしょ
???「思いやり予算を1兆3000億にして、さらに防衛費も3.5パーセントにすると日本は言ってきた。日本は偉大な国だ。」
具体的な金額にされるとドン引きしますね
スペインやスロバキアが嫌がるのも分かります
いよいよ時代が文谷数重に追い付いてきたか
やはり日本は中華圏に戻るしか生きる道はなさそう
流石にネタだよな?
しょうもないからやめなさい
防衛費5%を受け入れるなら中国に屈する道を選ぶ国民はかなり多いと思いますがね
フランスですら脱退してた時代がありますしスペイン別に居なくても良いのでは?と思う。スロバキアはただの平和ボケですが
GDP比5%なんて政権が持つわけがない
財源確保のための社会保障費大幅削減の動きが見えてきた時点で大反対が起きて撤回に追い込まれるのがオチ