エルドアン大統領がマドリードを訪問した際「Hürjet購入」が浮上していたが、スペイン国防省は20日「バルカルセ国防長官と駐スペイン・トルコ大使が戦闘機パイロットの高度な訓練システムを共同開発する覚書に署名した」と発表し、スイペン空軍のHürjet導入が現実味を帯びてきた。
参考:Ministerio Defensa
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スイペン空軍が次期高等訓練機にトルコ製のHürjetを選択するかもしれない
NATOはシリア国内からトルコ領に向けて打ち込まれるミサイルを迎撃するため両国の国境沿いに加盟国(米国、ドイツ、オランダ、スペイン)のパトリオット部隊を2013年に派遣、しかしトルコから分離独立を求め武力蜂起したクルド人勢力=クルド人民会議→クルド労働者党→クルディスタン自由民主会議→クルディスタン労働者党との停戦合意が2015年7月に破られため、米国、ドイツ、オランダは派遣したパトリオット部隊の撤収を発表、トルコはNATOに代わりのミサイル防衛を提供するよう強く要請したが結局聞き入れられなかった。
スペインだけは派遣したパトリオット部隊を2015年8月以降も維持し、シリアとの国境に近いアダナ国際空港やトルコ空軍と米空軍が共同利用しているインジルリク空軍基地などを保護してくれたため、トルコはスペインに感謝しており、エルドアン大統領は2021年にサンチェス首相と会談した際も感謝の言葉を述べ「両国関係を更に深化させるためトルコ海軍向けの空母と潜水艦建造で協力を行い、無人航空機分野で共同プロジェクトを立ち上げる」と発表して注目を集めたことがある。
トルコ海軍向けの空母と潜水艦建造、無人航空機分野の共同プロジェクトがどうなったかは不明だが、今年6月にエルドアン大統領がマドリードを訪問した際「Hürjet購入」が浮上し、両国間では「A400M購入とHürjet購入の交換」について噂が飛び交い、スペイン空軍の参謀総長も12月「F-5BMの後継機としてHürjetが有力候補だ」と言及し、スペイン国防省も20日「バルカルセ国防長官と駐スペイン・トルコ大使が戦闘機パイロットの高度な訓練システムを共同開発する覚書に署名した」と発表。
Janesはスペイン国防省の発表について「本協定はHürjetに関するものだ」と、スペインのディフェンスメディア=Infodefensaも「HürjetがF-5BMの後継機としてラベラ・ラ・レアル空軍基地にやって来る可能性に少し近づいた」「セリビアの企業はトルコ航空宇宙産業との契約を通じてトルコ産航空機の製造に参加している」と報じ、両国間で噂されている交換レートはトルコがA400Mを6機、スペインがHürjetを24機購入するという内容だ。
因みに、この手の話は国際的に珍しいものではなく、スロバキアとブラジルの間でも似たような話が浮上して注目を集めている。
スロバキアはポルトガル、ハンガリー、オランダ、オーストリア、韓国、スウェーデンに続きC-390の採用を決め、現在はEMBRAER側と契約の詳細を詰めている段階だが「スロバキア政府はブラジル国防省にZuzana2導入を提案した」「両国の産業基盤は得意分野の経験を共有できる」「ブラジル側も弾薬生産分野におけるスロバキアのノウハウに関心を示した」「イスラエルによるガザ地区への攻撃が原因でブラジルはATMOS調達を停止している」と報じられており、ATMOSの代わりにZuzana2を調達する可能性も0ではない。
ブラジル陸軍はNexterのCaesar、ElbitのATMOS、KonštruktaのZuzana2、中国兵器工業集団のSH15を比較検討(性能、コスト、運用、オフセットなど)し、Zuzana2は評価ポイントで惜しくも2位だったため、ATMOS調達が政治的に困難になればZuzana2に乗り換えるのは自然な流れで、しかもC-390を購入してくれたとなれば尚更だろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Ministerio Defensa
不勉強で申し訳ないのだけれどこれって値段的にはどちらが多く払ってる?
やはり防空部隊をの礼としてトルコ?
単純比較はできないけど大雑把なユニットコストで
A400M→200m €
練習機→35m USD
そんで最近のユロドルが1.05くらいなんで1250:850といったところ
ヒュルジェットの搭載エンジンはEJ200とF404-GE-102が候補だったらしいですけど、どちらに決まったんですかね
英語版Wikipediaによると、今年2月22日にTAI, GE Aerospace 及び TEI 間で F404-GE-102 を Hürjet に統合する合意文書にサインした、とあります。
無難…と言えるのでしょうか、EJ200はなかなか採用してもらえないですね
トルコとEUの関係は政治的に色々と微妙ですからねえ。
EJ200開発・生産・販売を担うユーロジェット・ターボ国際合弁企業でのMTUの発言権はRRと同等なので、トルコへの技術移転にドイツが同意しなかった可能性が高いかも。