欧州関連

スペインのサンチェス首相がキーウを訪問、10輌のレオパルト2提供を発表

米国やイタリアに続きスペインのサンチェス首相がキーウを訪問、ゼレンスキー大統領と会談して「今後数週間から数ヶ月以内に10輌のレオパルト2A4を引き渡す」と発表し、欧州に平和が戻るまで支援を続けることを約束した。

参考:Премьер Испании анонсировал передачу Украине до десяти танков Leopard 2
参考:Sánchez anuncia en Kiev que enviará “en las próximas semanas o meses” 10 tanques Leopard a Ucrania, cuatro más de los prometidos
参考:La UE no llega a un acuerdo para un nuevo paquete de sanciones para el aniversario de la guerra

サラゴサ兵站基地で保管中のレオパルト2A4をさらに引き出す可能性も示唆

22日にロブレス国防相が「ウクライナに提供するレオパルト2A4は6輌で3月末~4月上旬までに引き渡される可能性(サラゴサでのウクライナ人に対する訓練完了時期と一致)があり、ゼレンスキー大統領やNATOの要請に応じて追加提供の可能性もある」と述べていたが、キーウを訪問したサンチェス首相は「今後数週間から数ヶ月以内に10輌のレオパルト2A4を引き渡す」と発表した。

出典:President of Ukraine

さらに「必要であれば追加のレオパルト2を送る用意がある」とも付け加えており、サラゴサ兵站基地で保管中のレオパルト2A4をさらに引き出す可能性も示唆した格好だが、ドゥダ大統領はレオパルト2のスペアパーツ入手に「深刻な問題を抱えている」と明かしているので、単純に戦車本体の供給数を増やすだけでなくスペアパーツの入手性(どこに問題があるのかは不明)を改善する何らかの行動が必要のだろう。

因みEUはロシアに対する新たな経済制裁(10番目に制裁パッケージで110億ドル規模/輸出禁止リストに便器が含まれているため注目を集めている)を侵攻1周年までに成立させようとしたが、ポーランドが反対したため新たな経済制裁は成立しなかった。

新たな経済制裁はイタリアが受け入れ可能なよう「ロシア産合成ゴムの輸入禁止」に多くの例外が設けられており、これを問題視したポーランドが「意味がない(ドイツは支持)」と反発しているらしい。

関連記事:米伊に続きスペイン首相がまもなくキーウ入り、新たな武器支援パッケージ発表に期待
関連記事:ポーランド分のレオパルト2A4が3月末までに到着、但しスペアパーツ供給に深刻な問題

 

※アイキャッチ画像の出典:President of Ukraine

ポーランド陸軍が国産のボルスク歩兵戦闘車を1,000輌調達、来週中に契約締結か前のページ

10年間に及ぶ米海軍と議会の戦いが決着、2025年にF/A-18E/Fの生産ラインを閉鎖次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    多連装ロケットシステムに発注殺到、ラトビアもHIMARS売却を打診

    ロシアと国境を接するラトビアは米国にHIMARSの売却を打診したと報じ…

  2. 欧州関連

    ノルウェーが次期戦車の発表を延期、戦車と長距離攻撃能力の調達優先度が逆転か

    ノルウェー国防省は次期戦車の選定結果発表を2023年3月まで遅らせると…

  3. 欧州関連

    1度も使用されなかったウクライナ・レンドリース法、ウクライナ側は延長を要求

    ウクライナのマルカロワ駐米大使は「(もしウクライナ支援の資金確保に遅延…

  4. 欧州関連

    メッキが剥がれてきたF-35Aの運用コスト、スイスに提示した155億フランは空手形か

    スイスのヴィオラ・アムヘルト国防相はF-35Aを選択した理由に調達コス…

  5. 欧州関連

    トルコとギリシャの緊張状態にフランスが介入、戦闘機ラファールを派遣

    トルコとギリシャの排他的経済水域(EEZ)を巡る対立は周辺国を巻き込み…

  6. 欧州関連

    英国、NATO加盟を目指すスウェーデンとフィンランドと安全保障協定を締結

    英国のジョンソン首相は11日、NATO加盟を目指すスウェーデンとフィン…

コメント

    • 無無
    • 2023年 2月 24日

    フィンランドといいスペインといい、提供数が少なって感じるけど、出し惜しみ以前の課題は簡単には解決できなさそうですね、
    ウクライナ戦争の長期化を前提とした整備と生産体制を確立すべきとか、それを語ることは流石にはばかられる

    3
    • すずき
    • 2023年 2月 24日

    岸田さんも早く訪問して、これがヨーロッパだけの問題ではなく、世界全体の問題だというアピールをしてほしい

    9
      • panda
      • 2023年 2月 24日

      国会会期中は国会の了承が必要と言う慣例があるので情報管理上の問題で難しいと言う話がありますね
      アメリカみたいにロシアに通告した上で堂々と訪問すると言う手もありますが

      8
      • 名無し
      • 2023年 2月 24日

      訪問の手土産が戦車になってきて、ハードル上がってきて笑う。
      ここはいっちょ、どーんと90式を(ここでイスカンデルが着弾する)

      3
        • 半分の防衛費の国から
        • 2023年 2月 25日

        90式は練習用という扱いで、90式か10式を魔改造して主砲はT-14の公称装甲、主砲の性能が1000mm付近(脇に152mm砲と思われる試作品のデータもあったような?大体20%増し)なので攻守、各1200mmの戦闘車両が必要で、ウクライナ向け造った後に日本向け造れば成立はすると思いますよ、ウクライナ向けなので重量はM1A2Cエイブラムスの70t位までで、後から造る日本向けはダイエットの努力をするという事で‥キッシンダー(誰?)さんが出て来て「ロシアを石器時代に戻してやる」発言を‥あれ?夢だったか‥

    • J
    • 2023年 2月 24日

    ここのコメントでも、ロシアを非難してるのは一部の欧米だけで世界全体では中立的な国のほうが多いなんてロシア好きの人が騒いでましたが、数時間前に、ロシア軍の即時完全無条件の撤退を要求した決議が、193カ国中141カ国の賛成多数で採択されましたね
    それでもロシア好きの人の中では賛成141より棄権と反対合わせた52のほうが多く見えるんでしょうかね
    去年の同じような決議の結果に対して中国やインドがいるから国の数で負けても人口では勝ってるとかよくわからんこといってたけど今回もロシア好きの人たちはそういう路線でいくのでしょうかね
    その中国やインドも反対ではなく棄権なんですがね

    64
    • kitty
    • 2023年 2月 24日

    なんでポーランドが制裁に反対するんだろうと思ったら「手ぬるいわ!!」ということですか。

    25
      • 7743
      • 2023年 2月 24日

      原油の上限価格規制のときと同じムーヴですねw

      4
    • lang
    • 2023年 2月 24日

    これ戦車を投入してもロシアが止まらなかったらどうするのでしょうかね

    戦闘機プレゼントしても止まらなかったら・・・?

      • samo
      • 2023年 2月 24日

      止めるという表現よりも、反撃するための兵器ですね。
      管理人様含め、勘違いされている方が多いんですが、ウクライナ軍の目的は領土奪還であって敵機甲戦力の撃滅ではないから、戦車大隊を編成する必要性がないんですよ。

      あくまでも領土奪還であり、反抗作戦の主役は戦車じゃないです。
      要地奪還のための歩兵と、歩兵を輸送するために先に提供されたブラッドレーといった輸送車が矛であり主役であって、戦車はそれらを守るための盾でしかない。
      要は機械化大隊がどれだけ編成できるかが肝であって、戦車大隊が組めないと悲観的に見るような記事にばかり目を奪われがちだけれど、
      すでに、機械化大隊4~6個を確実に組めるだけの戦車の提供はもう約束されてます。
      機械化大隊が6個って、巨大戦力ですからね。
      ロシア側はこれほどの巨大戦力と戦った経験など存在せず、
      これに相対しなければいけないとなると、ロシア側も相当な圧力になることは間違いがない
      世界大戦以後、最大の地上戦がおこることになる

      10
        • 戦略眼
        • 2023年 2月 24日

        領土奪還に戦車は必須でしょう。
        機甲部隊で突破した後に、占領で徒歩歩兵が要るわけ。
        兵を損ねず有利に戦いを進めるには、もっと装備が必要でしょう。

        5
          • samo
          • 2023年 2月 24日

          突破と撃破はイコールではない、ということが重要です。
          この最たる例が、ハルキウ反抗でした。
          ハルキウ反抗でも、戦車はさほど活躍しておりません。
          最も活躍したのは装輪装甲車といった歩兵輸送車による機動的な包囲によって、都市に居座るロシア軍を孤立化させ、端から刈り取る形で奪還を行っています。
          もちろんヘルソンの囮が機能して、防御が手薄になっていたという側面もあるけれど、敵の撃破を優先していない、という点では同じことでし、歩兵に囲まれた戦車なんて鴨同然です。
          やや極端かもしれませんが、これに戦車の防御力をプラスしたものである、というところです。

          優先されるべきは、妨害にくる敵戦車の撃破ではなく、味方歩兵を如何に各要地に突入させるかであって、
          つまりは、敵戦車に味方歩兵輸送部隊が捕捉されることを防げば良い、ということです。
          欧米の供与している武器からも、砲兵戦力の次に、歩兵輸送能力を重点的に行ってきたところからも、
          機械化大隊による機動包囲の確立を優先していることが伺えます。

          もちろん、奪還作戦においてロシア戦車部隊の撃滅はできないでしょうから、領土奪還後には戦車の撃破は必要にはなるだろうけれども、
          「それは今やるべきことではない」という一言につきます。

          5
            • hoge
            • 2023年 2月 25日

            >最も活躍したのは装輪装甲車といった歩兵輸送車による機動的な包囲によって

            それはロシア側の戦力がスカスカだったという特殊な要因によるものであって、動員で戦力が増強されている現時点には当てはまらないのでは。
            戦車、戦車煩いのは攻勢の矛兼APC/IFVの盾として重要だからでしょ。

            1
    • (=^・^=)
    • 2023年 2月 24日

    T-14がトイレ付だから便器を兵器の部品とみなして制裁リストにいれたんだろ

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
PAGE TOP