ウクライナ戦況

ウクライナが開発中の自爆型の無人航空機、早ければ年明けにも実戦投入

ウクライナのウクロボロンプロムは4日「最大1,000kmの作動範囲と75kgの弾頭重量をもつ無人航空機のテストを年末まで終える」と明かしており、テストが順調なら2023年初頭に自爆型無人機による攻撃が可能になるなるかもしれない。

参考:Украинский ударный беспилотник прошел ряд испытаний – Укроборонпром

物資の集積拠点などに対しては効果があってもクリミア大橋のようなコンクリートの塊に大きなダメージを与えるのは難しいだろう

ウクライナでは無人機開発が比較的活発で、ロシアとの戦争には間に合わなかったもののTB2とAkinciのギャップを埋めるUCAV「Sokol-300」の開発経験があり、戦術用途の小型UAVも複数実用化することに成功しているが、ウクロボロンプロムは10月に「最大1,000kmの作動範囲と75kgの弾頭重量をもつ無人航空機の開発がほぼ完了した」と明かしていた。

出典:Державний концерн “Укроборонпром” 公開された無人航空機のパーツの一部

詳細は不明だが「75kgの弾頭重量を備えている」と述べているので「自爆型の無人航空機」である可能性が高く、ウクライナ軍の保有する攻撃手段としては破格の到達範囲なので注目を集めていたが、ウクロボロンプロムの広報担当者は「現在EWの影響下で無人機が設計通り作動するかテストしている。これをパスすれば実戦テストに移る予定で『今年中』にと約束したので、これを守るため取り組んでいる」と述べたため、テストが順調なら2023年初頭に自爆型無人機による攻撃が可能になるなるかもしれない。

ただ弾頭重量が75kg(GMLRS弾は90kg)しかなく突入速度も低速だと思われるので、物資の集積拠点などに対しては効果があってもクリミア大橋のようなコンクリートの塊に大きなダメージを与えるのは難しいだろう。

追記:BAYKARが開発を進めているKızılelmaが低空離着陸試験に成功、まもなく初飛行を行うらしい。

関連記事:ウクライナ、1,000kmの作動範囲と75kgの弾頭重量を備えたUAVを開発
関連記事:初飛行に近づくバイラクタルKızılelma、BAYKARが地上滑走シーンを公開

 

※アイキャッチ画像の出典:BAYKAR TB2

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コメント

    • 兵長
    • 2022年 12月 05日

    そう言えば、陸自の時期装輪装甲車はパトリアに決定?らしい。
    知らんけど

    • せい
    • 2022年 12月 05日

    単体の性能より、どれだけ量産できるかが重要でしょうな。
    75kgの爆薬に1000km分の燃料積むんなら結構大きそうだけど。
    他国に委託して作ってもらったりするのかな?

    6
      • ブルーピーコック
      • 2022年 12月 05日

      製造工場の位置は秘密でしょうけど、トルコで建造していたヘーチマン・イヴァン・マゼーパ級コルベットみたいに外国での製造はありえますよね。工場を動かす以上、大量の人・物資・トラック・電力などが必要になってきますし。

      9
    • 航空太郎
    • 2022年 12月 05日

    ウクライナ国産となると、それをどこに撃とうとNATO供給兵器の制約には引っかからないですよね。
    射程1,000kmもあれば、ロシア領内の施設を狙うことも容易でしょう。
    暫くはクリミア半島や、HIMARSの届かない奥地を叩くとしても、いずれはロシア領内にも手を伸ばさないと、一方的にミサイルを撃たれる状況の打破は難しいでしょう。
    ただ、他の方も指摘されてるように、この手の兵器は数が揃わないと戦況には殆ど影響を与えないんですよね。
    数があれば、定期的に撃たれるだけで、脆弱な迎撃システム、警戒網しか持たないロシアは青色吐息間違い無しなのですが。

    10
      • 白魔道士
      • 2022年 12月 05日

      たとえ1機だけでもこんな飛行物体がロシアの都市上空に現れ、それが撮影されれば市民の心理的にも政治的にもショックを与えられます。実際の効果よりも重要。
      ただ、ロシアも狂ったように猛反撃してくるでしょうが。

      16
      • らっしー
      • 2022年 12月 05日

      ウクライナには冷戦時代に作られた核シェルターが沢山あると聞きますし、
      そのどれか、或いは複数がこの手の無人機量産工場になってたりして…。
      有人の航空機と違って、シェルター内の様な空間でも製造ラインとか作れそうですし。
      シェルターの性格上、避難者受け入れルートが沢山用意してあるだろうし、
      街の中心から郊外まであちこちに出入口があって、材料も完成品も日常に紛れてわからない様に
      出入り出来たりするとか妄想すると、ちょっと胸熱。
      ここから市民協力の反撃が始まる…って感じで。

      シェルターって自立した発電設備とか持ってるでしょうし、
      差し迫って避難者受け入れの必要がない時はそんなふうにも便利な気がしてきた。

      そのうち今週のびっくりドッキリメカ的に、
      毎週用途の違うバージョンの無人機が量産されたり…せんかな。

      4
    • チュル
    • 2022年 12月 05日

    アメリカから供与されたスイッチブレードやフェニックスゴーストがまったく戦果上がってないのに国産が通用するのか疑問

    3
      • ホテルラウンジ
      • 2022年 12月 05日

      本当にそれらが成果上がっていないとすれば、この手のサイズのレイヤーの自爆ドローンの使い方の正解はシャヘド136なんでしょうね。
      スイッチブレードとか単機で使うイメージですし、想定ターゲットが前線に居る敵兵ですよね。
      でも実際に前線で有効なドローンの使い方は上から眺めるドローンを飛ばして、グレネードランチャーの弾着観測に使って擲弾を本当に敵に命中させるやり方の方が、スイッチブレードみたいなものをチマチマ使うより手っ取り早い事が実証されましたもんね。
      多数の自爆ドローンを一斉に75キロ程度の爆薬で破壊される防御力が薄い脆弱な部分に向かわせて破壊する。
      ロシアの場合はウクライナの発電所といったライフラインを狙いましたが、後続の記事にもありますが駐機中の軍用機とかも良いですよね。
      陸上の飛行機、物資の集積所、通信インフラ、ライフライン、この辺を執拗に叩き続けるのは相手は相当効きますよね
      ウクライナもロシアのライフラインを叩けるようになれば、ロシアは今後ウクライナのライフラインを報復を恐れて攻撃しにくくなりますし。

      5
    • ぬるぽ
    • 2022年 12月 05日

    ウクライナの技術力を考えれば今まで無かったのが不思議なくらい
    ICBMとか作ってた国だぞ?
    ようやく兵器開発に金が流れるようになったんだろう
    ちゃんと資金が流れればこれからいろんな兵器が開発されてくるはず

    15
    • 名無し2
    • 2022年 12月 05日

    ウクライナ国産と言っても世界中の部品や技術の結晶体であって、禁輸されてるロシアには不可能な芸当

    7
      • 匿名
      • 2022年 12月 05日

      裏口や抜け道はいくらでもあるからロシアにもできるんじゃないかなー

      1
        • 2022年 12月 06日

        開発はできても大量生産できないから定番兵器の量産に資金をながすでしよう

        1
    • ぬるぽ
    • 2022年 12月 05日

    早速ロシアの遥か内陸の航空基地に無人機攻撃があったとされる報道が出てきましたね
    まあ煙草の可能性も有るけどw
    リンク

    3
    • MTHMaker
    • 2022年 12月 05日

    75kgの爆弾がどの程度有効なのかなと思って、帝国海軍で使われてた60kg航空爆弾の威力を調べてみた。wikiによると厚さ20cmの鉄筋コンクリートを貫通出来たみたいだから、戦車以外の陸上兵器であれば有効打を与えられる感じかな。大量生産出来れば有用そう。

    4
      • 2022年 12月 06日

      今ロシアが安価な巡航ミサイル代わりに使ってるように
      後方の兵站拠点やインフラなどへのハラスメントに有効そうだね。
      撃墜されても敵の防空ミサイルの消耗と比較して費用対効果良すぎなんだよな

      2
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