欧州関連

スウェーデン外相、引き続きNATOへの加盟を申請しないと正式に表明

スウェーデンのアン・リンデ外相は16日、引き続きスウェーデンがNATOへの加盟を申請しないと正式に表明して注目を集めている。

参考:Statement of Foreign Policy

一先ず北欧の安全保障環境はロシアの言いがかりで今以上に悪化することはなさそうだ

NATO加盟を巡ってロシアの軍事的圧力を受けているウクライナ問題は非加盟を貫いてきた北欧のスウェーデンでも注目を集めており、特にロシアがNATOの東への拡大を容認しない方針を打ち出してきたためスウェーデンでは「NATO加盟の是非を決定する主権を侵害された」と解釈、政界や世論を巻き込んでNATO加盟の是非を問う議論が再燃していた。

出典:Jorchr / CC BY-SA 3.0 スウェーデン陸軍の主力戦車Strv-122

しかしスウェーデンのアン・リンデ外相は16日に発表した外交政策の中で「自国の安全保障政策を選択する権利は我が国の安全保障の中核を成すもので政府はNATO加盟を申請するつもりはない。我が国の安全保障政策は引き続き堅持され、軍事同盟に参加しないことは我々にとって有益であり北欧の安定と安全保障に貢献する」と明かしたため、スウェーデンは引き続きNATOに加盟しないことを正式に表明した格好だ。

ただEU加盟に伴い(相互防衛条項の条件を満たすため)中立政策を放棄したスウェーデンは自国領をNATO軍が通過(危機発生時や演習時のみ)することを認めるなど近年NATOへの接近を強化しているため、非加盟のままNATOとの協力関係を強化してロシアに付け入る口実を与えない方が「スウェーデンにとって有益であり北欧の安定と安全保障に貢献する」と考えているのだろう。

出典:フィンランド陸軍のパトリアAMV

ロシアと国境を接するフィンランドのマリン首相も「自分の任期中にNATO加盟申請を行う可能性は限りなく小さい」と先月発表しているので、一先ず北欧の安全保障環境はロシアの言いがかりに巻き込まれ今以上に悪化することはなさそうだ。

 

※アイキャッチ画像の出典:Copyright Saab AB

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コメント

    • ブルーピーコック
    • 2022年 2月 17日

    最後の画像のパトリアの砲塔カッコイイな。
    パトリアのAMV XPと三菱とMCV、陸自のトライアルはどっちが勝って96式装輪装甲車の後継に収まるのか。

    1
      • 無無
      • 2022年 2月 17日

      ヘルシンキの軍事博物館にパトリアの実物が展示されてましたが、細部が異なるので初期生産型かな。
      大統領官邸からほど近くにそういう施設があることが面白い

      1
      • 匿名
      • 2022年 2月 17日

      あれの勝ち負けって本来ならコマツの全幅2.5mのへんてこので間に合ってた話だから能力面での評価には絶対ならんからね
      性能で言うとどっちもオーバースペックすぎるし同時に費用面も当初予定の額には到底収まらないという

      1
        • ブルーピーコック
        • 2022年 2月 17日

        装輪装甲車(改)のことですかね? 防弾性能が要求に満たなかったから開発中止になったということですが、要求を満たせないのに能力面で間に合うとはどういった理由ですかね。
        自分としては南スーダン派遣のような任務において用いる車両は、機関銃弾くらいは防げる防弾性能は必要だと思いますし、パトリアAMVはモジュラー装甲や耐地雷能力を備えた「陸自車両に足りない部分」を備えているので、オーバースペックどころか「今すぐにでも購入するか、同レベルの車両を作るべき」代物だと思います。
        費用対効果については、採用が決まってから断じるべきかと。

        2
          • 匿名
          • 2022年 2月 17日

          敵勢力の制圧目的ではない国外任務であれば運転視界が良好で全幅も2.5m以内に抑えられてるボンネットトラック型のMRAP車すなわち輸送防護車が適当かと思いますがね
          仏陸軍がグリフィンMRAPという新型を整備進めていますがLICで乗用となればあれこそ理想形ではないかなと
          HMGや砲迫破片に長時間抗堪するためのペリスコ運転席はカメラ補完なされても完全ではなくハッチ開けると今度は狙撃の的になるって聞きますよ

            • ブルーピーコック
            • 2022年 2月 17日

            確かに低強度紛争(LIC)のパトロール任務ではそのグリフォンとかいうので良いかも知れませんが、緊迫した情勢下の国に派遣された場合、それでは力不足では。一緒に持っていって使い分けるとかならともかく。
            自分はMRAPクラスの車両だけ配備しとけばいいとは思えませんし、ミサイルやチェーンガンなど重火器を載せれるんですか、MRAPとかの装輪装甲車輌って。別々に買って、用途別に使い分ければ良いのでは。

            ハッチ開けて頭出したら狙撃されるのはWW2の頃から変わっていないので、イスラエルの戦車みたく途中でハッチを止められるようにするか、イラクでのエイブラムスみたいにハッチの防弾シールドを付ければどうかと。そう言ったものの、実装されるかは分かりませんが

      • 四凶
      • 2022年 2月 17日

      個人的にはAMVの方がバリエーション豊富でバトルプルーフされているから採用してほしいわ。

      まぁ共通戦術装輪車がMAV1択みたいな状況だと難しいかもしれんが、迫撃砲搭載車がAMV並の性能発揮出来るか疑問だしAMVで共通戦術装輪車分カバーして価格低減して欲しいわ。

      >本来ならコマツの全幅2.5mのへんてこ
       むしろあんなもんで間に合っていたのなら小松撤退なんて無かったんだよなぁ。装甲板のせいなのか車体設計の不味さをカバーする高性能すぎる装甲板作れなかったのかは知らないけど。

      1
        • 匿名
        • 2022年 2月 17日

        予算が予算でも即応機動連隊用で所要数が既存のから倍増するならばあんなもんで納める他ないって誰でも分かる
        クソ真面目に要求に応じたコマツが現実すぎるソリューションを提供すると耐爆で不備としてパージされたの結構闇深いよ
        やり直し選定では当初要求にあった共通シャシーでミッションモジュール構造ってのがどっか行ってるしもはやコスト度外視なの明らかだもん
        いやそもそもボクサーAPCとほぼ同一構造のミッションモジュール構造を必須としなければコマツのあんなんでも要求性能満たしてたの誰も触れないのほんと謎

        1
          • ブルーピーコック
          • 2022年 2月 17日

          価格次第で2021年までに開発できたのなら、コマツは価格交渉すればよかったのでは。と言うか、開発費用と取得費用ごっちゃになってませんか

          • 四凶
          • 2022年 2月 18日

          明確にミッションモジュールの部分で耐爆問題ありの資料は何処に?

          防弾鋼板の問題なら普通は対弾性だと思うし、底面対爆なら爆風の逃し方の問題。側面方向からのIEDで倒れるって話なら幅を拡げないことには改善しようがない。

          コマツが全て悪いとは言わんがメーカーとして制限加えるならこんなものしかできないと早い段階で言うべき。三菱だって16式の幅や89式IFV装甲厚に関しては運用者側に指摘して認めさせているんだし。

          全周12.7AP弾抗堪目指していたフシがあるしスペシャルな鋼板が出来ないことには、重量と幅を緩和しない限りは容積のために側面垂直と高さによる被弾面積増の悪条件はどうしようもなくて無理ゲーで投げとけばよかったのにと思う。

          1
    • そばうどん
    • 2022年 2月 17日

    今更ウクライナのフィンランド化を目指すロシアなら北欧諸国がEU、NATOに接近してること自体を口実に再度ノルディックバランスぐらいは言い出しそうですが

      • 匿名
      • 2022年 2月 17日

      いくらプーチン様といえど今や北欧強すぎで何も言えないというかNATO加盟はしない言うならそれで十分すぎかと
      ウクライナ相手で実働戦力過半数投入でやっとこ優位性誇示できる程度の露軍というのが実態でもありますし

        • HY
        • 2022年 2月 19日

         ウクライナの件を成功させたら、勢いに乗るでしょう。だからこその「NATOに加入しない宣言」で気を使っているわけだし。あと“北欧強すぎ”って根拠あるん?国民皆兵なのは知ってるけど。
         因みにロシアがウクライナに求めているのは“フィンランド化”じゃなくて「香港化」な。ロシアが弱体化した隙を見計らってEUに入ることなんてもう許すはずがない。クリミアでやった時のようにロシア軍の監視下で選挙させて親露派の政治家しか当選できないようにする。

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