スイス政府は国民に「F-35Aは固定価格で調達されるためプログラムコストの上限を越えることはない」と説明していたが、契約条項4.4.1に同意していたため「価格上昇分の負担」を請求され、スイス政府は12日「有権者によって承認された予算額を守るため調達数を削減する」と発表した。
参考:Air2030: Schweiz beschafft maximal mögliche Anzahl Kampfflugzeuge F-35A
現時点で何機のF-35Aを購入するのかは不明だが、将来に削減分を補う追加調達の可能性も否定していない
スイスはF-35Aを次期戦闘機に選定した理由について「技術的優位性が顕著な上、固定価格で調達するため取得費用はプログラムコストの上限(60億フラン)を越えることはない。さらに30年間の運用費用を含めた総コストで見てもF-35Aは他の提案よりも20億フランも安い」と説明していたが、会計検査院は当時から「固定価格という認識は契約条項4.4.1(実際の価格が本契約の記載された見積もり額を越える場合でも支払いに応じることに同意する)を軽視している」と警告。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Zachary Rufus
フィスター国防相も今年6月「米国が固定価格について誤解があると主張し、スイスに6.5億フラン~13億フランの追加費用を要求している」と明かして問題が表面化し、スイス政府は会計検査院の警告にも関わらず「契約書に記載された見積もり価格」を固定価格と認識していたが、実際には「米国がロッキード・マーティンに支払う価格と『同じ価格』でF-35Aを取得できる」という意味で、スイスは米国と交渉したものの契約条項4.4.1に基づく追加費用の請求は覆らなかった。
スイス政府は8月「米国は固定価格に関する交渉の中で自らの立場を変更しないと明らかになった。そのためF-35Aの取得価格は米国とロッキード・マーティンが生産バッチ毎に交渉する結果に左右され、スイスはF-35Aを固定価格で調達すると主張できなくなった」「これはF-35A導入に関するプログラムコストを正確に計算するのが不可能になったことを意味する」「スイスは引き続きF-35Aの調達にコミットするが、同時に他の様々な選択肢を11月末までに検討するよう国防省に指示した」と発表。

出典:Swiss government
Breaking Defenseは国防省への指示内容について「F-35Aの調達を継続する根拠=現在の防空要件にF-35Aが合致していると確認し、今後の対応に対する選択肢を11月末までに提出すること」と報じ、フィスター国防相も会見で「スイスは最終的にF-35Aの調達数を削減するかもしれない」と述べていたが、スイス政府は12日「予想される追加費用のため、有権者によって承認された予算(60億フラン)でF-35Aを36機取得するのは困難だ」「そのため60億フランの範囲内で可能な限り多くのF-35Aを購入する」と発表した。
スイスはF-35A導入を継続するものの「計画通りのF-35Aを取得するにはプログラムコストの引き上げ」が必要になり、これを行うとF-35A導入反対派が国民投票の実施を求めてくるため、これを回避するため「調達数を削減してプログラムコストの上限を維持する」という意味だが、現時点で何機のF-35Aを購入するのかは不明だ。

出典:Lockheed Martin
因みにスイス政府は「安全保障環境の悪化を受けて2032年までに国防費をGDP1.0まで増額する予定で、新たな資金による投資の優先順位が決定され次第(予定していた36機調達を実現するための)F-35A追加調達を検討する予定だ」とも述べており、資金と世論が許せば計画通りの導入を達成してくる可能性もある。
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin スイスで評価テストを受けるF-35A





















スイスはグリペンとかでも良い気がする
永世中立と言いつつも、結局はアメリカの後ろ盾を金で買っているので、グリペンにしてしまったら現実的な脅威が生まれてくると思います。地形や徴兵制はあれども、大国相手に守り切れるかというと、かなり微妙でしょう。
核がない国は傘なしにはもう安心を得られない時代になりました。
その傘が本当に機能するのか怪しいのだけれど
スイスは立地的に現実的な脅威はまず無いでしょう。永世中立国で敵に回す意味がなく、立地的にも攻めにくいスイスをわざわざ狙ってくる大国など無いかと。
分かります。何をどう仮想敵国として置いてるのか、逆に気になるぐらい。
そんなあなたに、4日前に公表されたばかりの
Federal Department of Defence, Civil Protection and Sport
The Security Policy Strategy 2026
をどーぞ。
しかし、なんでスイスは民間防衛とスポーツが同じカテゴリなん?!
当のスイスがほぼ全ての面でラファールにもタイフーンにも劣ってるって判断して、選ぶにもラファール、そうじゃないならタイフーンって結論下してるのになんでこんなにグリペン推しが多い人がいるのか分からん
スイスはラファール、タイフーン、スパホ、F-35の4機種で争う前に一度グリペンを選定しているんですが。
「当のスイスがほぼ全ての面でラファールにもタイフーンにも劣ってるって判断して、選ぶにもラファール、そうじゃないならタイフーンって結論下してる」とはどこの情報ですか?そもそもラファールよりはタイフーンの方が優勢だった記憶が。
スイスは、立地に恵まれてますからね。
調達数、削減してもどうということはないのでしょう。
スイスの中立政策ってもはや意味不明に見えます。
中立と言いつつキルスイッチ付き戦闘機を導入するというのは
中立についてどういう考えがあるのか全く謎です。
最近は中立自体考え直しているという話もありますけど…
欧州に貢献したいなら欧州製戦闘機を何故導入しないんだろう?
中途半端に性能を求めて従来の中立政策にもこれからの協調政策にも
資さない最悪の選択肢を選んでしまったのでは?
この国の防衛政策が地味に終わってるように思えるの私だけですかね。
>>欧州に貢献したいなら欧州製戦闘機を何故導入しないんだろう?
???
何故、そんな理由で戦闘機を選択せねばならないの?
ぎゃくに欧州の戦闘機を入れたくなかったとか
欧州にも戦闘機はあるけどユーロファイターかラファールの二択で、どちらに肩入れするという話になるとアメリカでいいやみたいな
F-5E→FA-18Cとアメリカ製の戦闘機の導入が続いていますし、アメリカ製の運用に慣れておりインチ・ヤード制に対応した運用インフラも引き継げる利点も有ったりして。
政府が当初導入しようとしたグリペンE/Fが国民投票で廃案になってからの採用ですし現在改めてF-35A購入反対の国民運動が起きていないようですのでスイス国民の選択なのでしょう。
今更言っても仕方ないが、あのときグリペンを導入していれば…
第5世代機を求めると現状F-35一択ですからねぇ
予算措置の問題であって導入継続自体には反対はない感じなのかな
本邦の場合防衛費の大幅増もあって単価上昇はさほど話題にならないけど着実に上がってるわけで
改めて確認すると思ったより上がってない?とっくに200億越えてるイメージだったけど思ったよりは…いややっぱたけぇなw
まぁでも10式戦車が1両19億する時代だししょーがないか
令和7年:8機1387億円(1機辺り173億)
令和8年:8機1525億円(1機辺り190億)
>日本のF-35取得コストが高騰、F-35Aは5年間で96億円から190億円に
の記事の通りまんま倍ですからね。円安と戦時価格のダブルパンチとはいえやっぱり高い。
とはいえ値上がり前のTR-3直前/不具合対応中/訓練専用機を前倒し大量購入する訳にもいかなかったでしょうし。
予算増えてるけど結局諸々インフレ&円安が進んでるから増額幅ほど真水予算が増えていないってのは自衛隊自身が言ってますしね
こればかりはF-35だけの問題ではないので難しいなと思いつつ、ご指摘の通り導入決定から今日に至るまで問題点の多いプロジェクトではありますからね(;^ω^)
高市政権の財政改革の中に単年度主義の弊害是正もあるんで、これからは自衛隊装備でもP-1のように一括調達増えてくるのかもしれませんがこういう弊害も考えると難しい問題ですよね
ちゃんと納品してくれれば文句は無いんですが、遅いですね。
スイスにF-35が納入されるのはいつになる事やら。
> 因みにスイス政府は「安全保障環境の悪化を受けて2032年までに国防費をGDP1.0まで増額する予定で、
日本では、スイスといえば重武装中立の国と見なされていますが、実際にはこんな眠い事を言ってるわけですね。
そりゃ冷戦中と同等の国防体制(GDP比2%等)は維持しちゃいませんが、
現代ではNATOと敵対しない限りほぼ安泰なあの立地で相応の国防体制を有し、何より徴兵制という社会的負担を国民の圧倒的支持の元で継続してる時点で「眠い」とは思いませんね。
むしろ海越しとはいえ中露朝と数百kmとかの距離で直接対峙してる島国の防衛費がGDPでスイスの「たった2倍」の方が眠いかと…