日経新聞は1月「次期戦闘機の共同開発=GCAPを巡って契約締結が遅れている」と、Financial Timesも23日「プロジェクト停滞は率直に言ってひどい状況だ」と報じたが、GCAPの開発契約が締結できない原因=英国の国防投資計画公表は「選挙のパーダ期間」に突入したため5月7日まで公表できなくなった。
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参考:UK defence firms ‘bleeding cash’ as delayed spending plan leaves industry in ‘paralysis’
もうスコットランド選挙前のパーダ期間に突入したため「国防投資計画の公表」は早くても5月8日以降になる
日経新聞は1月「日本、英国、イタリアによる次期戦闘機の共同開発を巡って官民間の契約の締結が遅れている」「トランプ政権が欧州に防衛費の急拡大を迫るなか英国が拠出額を確定できないことが一因だ」「3カ国の政府による国際機関=GIGOと3カ国を代表する防衛企業の合弁会社=Edgewingとの間で2025年末までに最初の契約を結ぶ予定だった」「この契約は2035年の配備に向けた本格開発の起点となるはずだった」「契約締結が遅れれば当初からハードルが高いとみられてきた2035年配備の目標が遠のきかねない」と指摘。

出典:UK Ministry of Defence
GIGOとEdgewingの間で開発契約が締結できない場合、日本、英国、イタリアが自国企業との契約に基づいて開発を進めるしかなく、これでは開発を一元的に管理・運営するために設立したGIGOとEdgewingに権限を移管できず、3カ国の政府間や企業間の調整に時間がかかって開発スケジュールに遅れが出るのだが、英国、イタリア、日本、Edgewingは「GCAPは順調だ」「GCAPは予定通り進んでいる」「参加国間の協力の深さは明らかだ」とポジティブな発言を繰り返しているが状況はどんどん悪化している。
Financial Timesは23日「GCAP関係者がプロジェクト停滞について『率直に言ってひどい状況だ』『ますます日本の不満が高まっているという感覚がある』と証言した」「スターマー首相はGCAPに対するコミットメントを再表明して高市首相を安心させようとしたものの、プロジェクトに供給する資金がないためあまり効果がなかった」「BAE Systems、Leonardo、三菱重工業は自国が供給する国家資金でエンジニアリングと設計作業を継続しているが、英国の資金が数週間以内に尽きることを懸念している」と報じた。
Defending our skies is a lifelong mission. We are combining decades of innovation & expertise from aerospace industry leaders. Our ambitious teams are already laying the technical foundations for one of the most advanced aircraft. Follow our journey🔗https://t.co/Pk85OyKueE pic.twitter.com/eUufcF3nLZ
— Edgewing (@EdgewingLtd) March 12, 2026
ここまで状況が悪化しているのは、今後10年間をカバーする国防投資計画(DIP)の財源確保についてスターマー政権、労働党、国防省、財務省の意見が対立しているためで、POLITICOは17日「ナンバー10(首相官邸)と財務省の間でDIP財源確保に関する議論が再開され、さらなる海外援助予算の削減が浮上したもの、複数の労働党議員は『こうした削減は労働党の価値観に反する』『海外援助を削減する動きは本当に不当だ』と述べた」「財務省は社会保障費の見直しも検討中だ」「DIP関係者は『財務省が新たな財源を見つけてくるまで国防投資計画は事実上保留状態だ』という」と指摘。
英防衛産業界も国防投資計画の発表が6ヶ月以上も遅れているため(今後の投資について)身動きが取れず、中小の防衛企業は将来見通しが不確実な中で資金をどんどん失っており、ヒーリー国防相は今月16日に保守党議員から「スコットランド選挙前のパーダが始まるのは3月26日だ」「ウェールズ議会選挙やイングランド地方選挙もそれに続くことになる」「議会が休会に入る3月26日までに国防投資計画が公表されなければ5月まで見ることが出来なくなる」「国防投資計画は議会休会前に公表されるのか?YesかNoで答えてくれ」と質問され、ポジショントークに終始して明言を避けた。

出典:Edgewing
英国の政治慣習では「政府は選挙結果に影響を与えかねない発表、決定、文書公表を控える」というのが一般的で、選挙公示日から選挙当日まで重要な計画や予算関連文書の発表を凍結する期間を「パーダ」と呼び、スコットランド選挙前のパーダが始まるのは3月26日、議会が休会に入るのも3月26日、議会が4月13日に再開されても3つの選挙の投票が5月7日に予定されているため「政府は5月8日以降まで国防投資計画を公表できない」と言う意味なり、ヒーリー国防相が明言を避けたのは「最低でも5月まで国防投資計画を出せない」と示唆している。
もうスコットランド選挙前のパーダ期間に突入したため「国防投資計画の公表」は早くても5月8日以降になり、それも財務省が新たな財源を見つけて政治的合意が形成されていたらの話で、英防衛産業界は国の方針が定まらない中で投資が遅れ、中小の防衛企業は資金の流入を失い「会社を維持するため資金だけが出ていく」という状況が続くことになる。
“People don’t move countries for PowerPoint slides. They move for purpose. Underneath the technology, acronyms and processes, people remain at the heart of our project” 👏
Our CEO Marco Zoff reflects on the first six month of Edgewing🔗 https://t.co/jj8sTNCLMv pic.twitter.com/0RN8y2Yykp
— Edgewing (@EdgewingLtd) March 25, 2026
そしてGIGOとEdgewing間の開発契約も5月7日まで締結できないとなるため、GCAPの本格開発は最低でも夏以降までずれ込むかもしれない。GCAP関係者がプロジェクト停滞について「率直に言ってひどい状況だ」「ますます日本の不満が高まっている」と証言したのも「国防投資計画の公表が5月8日以降になる」と分かっていたからだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:GlobalCombatAir





















どうせならGCAPを選挙の争点にして明確に民意で決めてくれ
イギリスが抜けるのは大いに痛手だけど、やるのかやらないのか分からない状況で時間だけ過ぎるよりかはマシ
だけど出来れば日英伊のままGCAP が完成することを願ってる
まあもともと春には決まるって言われてたし、不安はあるけど既定路線ではある
イギリスは今、公共サービスが滞るぐらい財政がボロボロの状態で、労働党のスターマー政権としてはGCAPより優先させないといけない財政的国内問題が山積みですからね。
国防投資計画の公表が5月8日以降になるってのは単純なスケジュールの話で実際はもっと遅れるでしょうね。
日本が計画遅延を嫌ってイギリス負担分の一部を出す方法もありますが日本だって財政に余裕あるわけじゃないですし、その分のワークシェアの変更を嫌うでしょうからイギリス自身で解決してくれってなりますね。
事がGCAPプロジェクトの問題じゃなくてイギリスの政治、経済も問題なので待つしかないのが辛いところです。
インドネシアが開発費支払い渋っても、足りない分を自己負担する体力があって、現実的な開発可能な4.5世代機に目標に収めて、やるかどうかはともかく必要なら5~6世代に後日アップデート可能なモジュール設計にした韓国のすごさがわかる。
とは言え、KF計画も2001年に公になってから、
20年以上経ってますからね。
我が国は10年で開発すると言うのは結局建前の
様な気もしてきます。
自己負担する体力があって、って言うのはちょっと語弊があるなぁ
当初予定より期間を延ばしたのが大きいんだよね。
それが許されたのは歴代大統領、というか左派系政権の夢と希望だったのが大きいんだけど
(通常この手のは政権交代時に終わる)
あとインドネシアの件は韓国側にこそ問題があるんだからそれを出すのは韓国側に対する非難にしかならないような…
いや、韓国を下げる気で言ってるのならともかく…
低支持率・基盤の弱い政権は、『外交で相手にされない』理由として、国内で何も決められないことでしょうね。
スターマー政権、とんでもなく低支持率で弱体化していってるわけですから、ここから浮上することも考えられず早く何とかして欲しいものですね。
英労働党には、この計画の推進が国内での職につながるみたいな考えはないのかな。
まだ何も始めてないうちから6ヶ月遅延確定。
5月になっても動き出す保証もなく、1年2年と遅延しつづけるというリスクも…。
もはや、プランBの検討をしないわけにもいかなくなってきたのでは?
・F-35を追加配備する
・さしあたって無人機および連携システムの開発を加速させる
・GCAP向けR&Dの体でF-3向けの開発を進める両睨み作戦
・(アメリカで仕事なくなってきた)ロッキード・マーチンを抱き込んで共同開発案を検討
・最後の選択F-47
なんとかならんすかね
「契約の一本化が遅れてる」だけなのでそのまま開発が遅れる訳ではないでしょう。
もちろん枠組が崩れたり新たにおかしなパートナーが入って来たりすれば6ヶ月どころじゃねえ遅延につながるのも確かですが。
どうなるにせよCCAの開発、調達加速とF-2やP-1やR/EC-2との統合、F-2の延命含めた改修、JSIのフォローくらいは進めて欲しいところですね。
先日合意された「航空機用複合材料の損傷進展解析技術」がF-2の延命につながるといいのですが。
F-2やP-1やR/EC-2との統合とF-35と自衛隊のシステムとのスムーズな連携は早急にやって欲しいですね。
手持ちの戦力の手っ取り早い底上げになりますからね。
JISは最近すっかりニュースないですがどうなってるんですしょうね。F-15の改修なんてどんどん進めて欲しいんですけど…。
少し前に伊の国防相が、英政府がGCAP推進の機密解除に応じないと文句を言ってました。
英国内だけでスッタモンダやっていて、計画が止まってる。英国には「開発資金がない」という結論でいいんじゃないかな。
原潜も、稼働しているのは1隻だけだと言うし。
本命がGCAPなのは変わらないとして、CCAだけでも先に計画進められないだろうか
F-15、F-2で動かせるCCAを導入開発して、この2機種の陳腐化を少しでも遅らせるとか
F-35は、早いとこJSM撃てるようになって
日本のCCAは日米で共同開発じゃなかったっけ
「日米で無人機のAI技術に関する共同研究を行うことに合意」なので、先日のMHIの「無人機に搭載するミッション・オートノミーの開発で飛行実証に成功」辺りがその成果じゃないですかね。
CCAは有人機と違って40年50年使うものでもないし専業的になるので、おそらく有人機より運用機種数が多くなるでしょう。
国産数機種に米、豪、欧からそれぞれ輸入くらいしても驚かないです。
とりあえずMQ-28Aを何機か試験導入できませんかね。
Block3ならJSM×2くらい積めそうだし。
UAVの機体は作れなくてもモジュラーパッケージなら開発できる、やりたい国内企業もあるでしょう。
ワークシェアはそのままでいいから金は日本が出すってやらない限り進まないでしょうね
Great Britain、お前もうGreat外せ。
なんか文中のGCAP関係者って、絶対イタリア人で
「いやーウチらはまだ我慢できるんですよ。アイツらそういう奴だって分かってるから。けどねえ、日本さんはブチ切れたら何するか分かりまへんで」
てヤクザ構文に利用されている感w
2035年までにF-3(元々のNGF構想/第五世代機+α)ほぼ自主開発/就役
2045年以降にF-4(GCAP/第六世代機)共同開発/就役
と云う整備計画にしないと、現在の様にまたまた混乱するのでは?
F-22的なF-3でF-2とF-15、何ならF-35をも交替。巨大なF-4は本格的な第六世代戦闘爆撃機として新採用。
10年で新型機を就役させるとは荒技ですが、モタモタしてると10年後の航空戦力がズタボロになってしまいます。
2つに分けたとしても機体は今の大型機になりますよ。防衛省の当初からの要求通りだし。
よく「爆撃機/F-111並みの大きさ」っていうけどF-22より少し大きい程度で、しかも素材・構造的に重量はF-22より軽くなると予想できるので「鈍重な爆撃機」とは程遠い機体になるでしょう。
カナダのオブザーバー参加の話が報じられましたね。
参加するかしないか、購入するかしないかは別として「オブザーバー国」という枠を作るのは良い流れ。
>「オブザーバー国」は、GCAPへの将来的な参画を検討するために、3カ国側から情報を得られる仕組みとする方針。購入や製造のほか、条件次第では開発段階の参画も拒まない想定
とある様にドイツみたいな開発に参加したがる国も「オブザーバー国」にねじ込むつもりなのが更に良い。
6月末までのつなぎ契約が結ばれた様ですね。
まずは一息つける感じでしょうか。