防衛市場の動向を報じるShephardは13日「アラブ首長国連邦がCheongung-IIを実戦に投入し、韓国製防空システムの輸出見通しを押し上げている」「パトリオットとCheongung-IIの有効性は同等で、迎撃ミサイルのコストはPAC-3 MSEの1/3だ」と報じた。
参考:UAE’s first combat use of M-SAM II could raise export prospects for South Korean air defence
Lockheed Martinが消耗分の補充に時間がかかればかかるほど「弾薬供給先の分散化」が重視され、韓国は大きな機会を掴むかもしれない
韓国製のCheongung-II(天弓2、KM-SAM-II、MSAM-IIとも表記される)は能力的にパトリオットシステム、SAMP/T、S-400と競合する中・長距離防空システムで、使用される迎撃弾もPAC-3弾と同じ直撃方式(hit-to-kill)を採用し、航空機や巡航ミサイルだけでなく弾道弾の迎撃にも対応している。
وزير الدفاع يزور قاعدة الظفرة الجوية
زار سموّ الشيخ حمدان بن محمد بن راشد آل مكتوم، ولي عهددبي، نائب رئيس مجلس الوزراء، وزير الدفاع، قاعدة الظفرة الجوية في أبوظبي، في إطار حرص سموّه على تفقُّد مختلف وحدات القوات المسلحة، والوقوف على مدى جاهزيتها، والاطلاع على الجهود الرامية إلى… pic.twitter.com/SM8dhWvOxe
— وزارة الدفاع |MOD UAE (@modgovae) May 11, 2025
さらにCheongung-IIは競合との競争にも勝利し、2022年1月にアラブ首長国連邦、2023年11月にサウジアラビア、2024年9月にイラクから受注を獲得、韓国国防部は2023年2月に「アブダビを訪問した李鐘燮長官がCheongung-IIを運用する部隊を訪問した」「Cheongung-IIは現地でのテストを終えて砂漠環境における性能を確認した」と発表、UAE国防省も「ムハンマド皇太子がCheongung-II、Pantsir-S1、THAAD、パトリオット、ミラージュ2000-9、F-16E、GlobalEye、A330MRTT、C-17などを視察する様子」を昨年5月に公開し、Janesも「韓国製防空システム=MSAM-IIの引き渡しが確認された」と報じていた。
LIG Nex1が3ヶ国と交わした契約額の総額は95億ドル=1.4兆円(現在のレート換算)以上にもなり、管理人は当時「この地域特有の不安定な事情を鑑みると実戦を経験するのも時間の問題で、その評価次第で新たなチャンスを掴むかもしれない」と予想していたが、米国とイスラエルが2月28日にイランへの大規模な共同攻撃を開始し、韓国の国防委員会に所属する柳勇元(ユ・ヨンウォン)議員は「最近の交戦でUAEに配備された2個中隊のCheongung-IIは約60発の迎撃ミサイルを発射し、96%という驚異的な命中率を記録したと確認された」と言及。

出典:Ministry of Defence of the United Arab Emirates
韓国メディアも「UAEがイランの攻撃を90%以上も阻止するのにCheongung-IIは決定的な役割を果たした」「軍事アナリストらも今回の成果は単なる幸運ではなく技術的優位性の結果だと主張している」「特に多数の無人機と変則軌道の弾道ミサイルが混在する状況で90%以上の迎撃率を達成した事例は世界的にも稀で、信頼性を実戦データで立証できた点が最大の収穫」「韓国軍も同じもの導入中なので北朝鮮のミサイル脅威に対しても十分な抑止力を発揮できると期待できる」「今回の結果は中東市場だけでなく国際市場で輸出に繋がるかもしれない」と報じていたが、その兆候が既に登場している。
防衛市場の動向を報じるShephardも13日「イランがエピック・フューリー作戦の報復としてアラブ首長国連邦に発射したミサイルの迎撃に韓国製防空システムが使用された」と指摘し、Shephardの取材に応じた米シンクタンク=Atlantic Councilのマーカス・ガルラウスカス氏は以下のように述べた。
“イランの攻撃阻止で大成功を収めたCheongung-IIへの関心が高まっている。韓国メディアはCheongung-IIが目標の約96%に命中したと主張し、Lockheed MartinはPAC-3 MSEの有効性について92%と報告しているため両システムの有効性は同等だ。これは米国のシステムをライセンス生産するだけでなく、同盟国がミサイル防衛の最前線で実際に貢献できる能力を示した。しかもCheongung-IIが使用する迎撃ミサイルのコストはPAC-3 MSEの1/3だ”
PAC-3 MSEの価格は1発あたり推定381万ドル(米陸軍が提出した2026年度予算案の数字)なので、Cheongung-IIの迎撃ミサイルは約127万ドルとなり、ガルラウスカス氏は「ミサイル防衛において弾薬備蓄量の問題、つまり迎撃ミサイルが枯渇する可能性について幅広い認識がある」「複数の国が迎撃ミサイルの備蓄を維持する上で問題に直面しており、韓国の供給能力は問題に対処する上で新たな選択肢になり得る」と指摘、Shephardも「カタールがCheongung-IIを含む韓国製防空プラットフォームの購入に向けて交渉中だという噂がある」と報じている。

出典:Lockheed Martin
米国とイランの戦争がどこまで続くのか、最終的にPAC-3 MSEの消耗がどこまで深刻化するのは不明だが、Lockheed Martinが消耗分の補充に時間がかかればかかるほど「弾薬供給先の分散化」が重視されるようになるため、韓国製のCheongung-IIは価格の安さも相まって大きな機会を掴むかもしれない。
関連記事:韓国製の防空システムが中東で実戦を経験、驚異的な命中率を記録
関連記事:イランの反撃、9日間でミサイルと無人機を3000発以上も中東諸国に発射
関連記事:イランの反撃、6日間でミサイルと無人機を2000発以上も中東諸国に発射
関連記事:イランの攻撃を受ける中東諸国、米国製迎撃ミサイルを3日間で約800発消耗
関連記事:米国とイランの戦争は消耗戦、どちらが先に目的を達成するかを競う戦い
関連記事:米イラン戦争、オリジナルバージョンのShahed-136が米防空網を突破
関連記事:レイセオン、国防総省とトマホーク、AMRAAM、SM-3、SM-6の大増産で合意
関連記事:米国がパトリオットに続きTHAAD迎撃弾も増産、年96発から年400発へ
関連記事:米国がパトリオットシステムの迎撃弾を大増産、年600発から年2,000発へ
関連記事:アラブ首長国連邦、韓国から取得した長距離防空システムを初めて公開
関連記事:イラクが韓国製防空システムを選択、Cheongung-IIの海外導入が3ヶ国に拡大
関連記事:サウジアラビアも韓国製防空システムを導入、天弓2の契約額は約32億ドル
関連記事:UAEを訪問中の文大統領、4,000億円規模の防空システム「天弓」輸出契約を締結
関連記事:UAE国防省、韓国製の防空システム「天弓/M-SAM」を4,000億円で購入予定だと発表
※アイキャッチ画像の出典:وزارة الدفاع |MOD UAE





















このコスパの良さ、つまり安さの理由は何だろうなと…
韓国で作ってるのなら輸出補助金込みのお安さもあるのだろうけど、今のアメリカは何を作っても割高になる高コストな産業構造な上に、ドル高という事もあるから余計に差が大きくなってる?
値段のことはともかく、性能が本当に同等ならそれだけでも選択肢なりえるね
ただ自国製品を過大視する傾向が強い韓国メディア以外の、第三国のメディアからも発表されないとちょっと信じて良いのか判断しがたいのだけど
完全に個人の予想ですが、PAC-3MSEは迎撃弾としてはかなり高性能寄りに設計された弾薬なのでそこで差が出ていること。
韓国がそもそもパトリオットの安価な代替候補として最初からサプライチェーンを組んでるので安く作れること。
パトリオットには量産ライン維持・拡張費用と認証費用が乗っかるので更に価格を押し上げているのでしょう
>コスパの良さ
開発費の大部分をリバースエンジニアリングで対応、つまり開発費が大幅に浮く。
ってのは、穿った見方過ぎますかね。
アメリカのシステムが時間とコストを浪費するシステムだってのは大きいと思いますけれど。
アメリカが提示するFMS価格が米軍納入価格の2倍3倍は当たり前なので、韓国製が安いと言うよりもアメリカがボッタクリしているのだと思います
記事の内容くらい読んだらいかがでしょうか…
日本の場合はイージス艦からの迎撃が対弾道弾への多層化防壁になってるから、市場の拡大は難しそう
将来的にオーストラリアやカナダがイージス艦保有国になれば多少はって所か
今から一から独自の対空ミサイル開発できる余裕は無いだろうから、sm6の共同生産から日本だけでも単独生産できるように持っていけたら御の字なのかな
そこは03式中距離地対空誘導弾(改)で良いのでは。スペックもそこまで変わらないです。
天弓2は弾道ミサイル対応出来るのが強みですが、今開発してる能力向上型なら短距離弾道ミサイル (SRBM) と極超音速滑空体 (HGV) にも対応します。
確かに
であれば無償でいいから現行型をサウジやUAEに送って、実戦経験しておきたい所だけど、紛争地域への兵器供与はまだ無理か
サウジ、UAE、クエートあたりの原油は文字通り日本の生命線なんだから隊員派遣するより大義は通りそうなんだけどなぁ
現中サム改でも早期開発分としてプログラムをアップデートしたものなら短距離弾道ミサイルには対応可能ですね。折角なので装備移転協定を締結しているUAEに送って試して欲しいです。ただ1キャニスター6発と少なめなんですよね。日本の道路事情なら仕方ないのですが海外ならせめて8発は欲しいところ。
素直に羨ましい
利益がどうこうより、実戦データが積み上がっているのが大きいよね。
コスト構造の比較、いくつかポイントがあると思うのですが気になりますね。
アメリカがリーダー企業として割高に、韓国はチャレンジャーという事もあり価格を安くしている可能性もあるかもしれません。
韓国=アメリカは、物価面に非常に大きな差がありますし、韓国の方が製造業の厚み(重厚長大)造船・鉄鋼~素材~半導体(ハイテク)がありますからその辺も影響しているかもしれませんね。
天弓2を導入するにあたって最大の障壁は、ロシアから技術提供して貰って完成してると言う面ですかね。ロシアとアメリカ両方の顔色伺いながら売らないといけない。
性能がほぼ同じで価格が安い
韓国製兵器はジェネリック医薬品のような位置付けか?
だから韓国に見習え続けという単純な話でもなく。
日本の商機は、「長期視点ではコスパ良好」をアピールできるか。
ただ、技術の陳腐化はますます加速する一方。
「売って終わりではないビジネス」が、日本の生き残りの道になるのだと考えます。
そのためには人材を育成・確保し途絶させないことが肝要。
ここに重くのしかかるのが「失われた数十年」になってきますが、過去は過去と前を向けるか否か。
> 多数の無人機と変則軌道の弾道ミサイルが混在する状況で90%以上
96%(59/60)の内訳が気になるところ。
MSEは当然ほぼ弾道ミサイルに投入されて92%だろう。
防空システムは精度もですが、現在では数が求められますから在庫減少状況では「納期と生産数」が重視されますね。
韓国は今「ちょうど良い提案ができる装備」を持っていますが、当面はともかく、今後はオフセット取引や国際サプライチェーン、現地生産といった課題も出てくると思います。
先達として道を切り拓いている状況は大いに学習すべき事項だと思います。
日本は中国から雲霞の如く飛んでくる可能性があるから量産していないと詰むよな
それかいっそ地下施設とかになるか、都市が大損害になるけど