Economistはウクライナ軍関係者への取材に基づき「シルスキー総司令官は過去2回も西側に作戦を台無しにされた」「そのためクルスク侵攻作戦に関する情報を徹底的に隠した」「ロシアはスームィへの部隊移動を国境を守るためと信じていた」と報じた。
参考:Russia’s double-punch back against Ukraine’s shock raid
1回は作戦がロシア側にリークされ、もう1回は作戦中止を命じられた
Economistはクルスク侵攻作戦によって戦争は転換点を迎えていると主張し「ウクライナはクルスク戦線を維持し、前線の輪郭を混乱させ、交渉が唯一の答えだという凍結された戦争についての敗北主義的な物語を変えたいと考えている。逆にロシアはクルスク侵攻を鎮圧し、これによって生じるウクライナ軍のリソース消耗に付け込んでドンバスでの攻勢を強化したいと考えている」と指摘した。
“クルスク侵攻作戦は幸福な状況から生まれたものではない。シルスキー総司令官が前任者から引き継いだ遺産は芳しいものではなく、軍は動員計画で大統領と対立していため深刻な人員不足に陥り、米議会もウクライナ支援の成立を遅らせたためアウディーイウカを失ってしまいドネツク方面の前線が崩壊し、特に物流拠点のポクロフスク周辺の状況悪化は顕著だ。さらに苦しい状況が続く中で「総司令官は解任寸前だ」という噂も広まった”
“この混乱した状況の中でシルスキー総司令官は作戦を練り始めた。ブリャンスク州やクルスク州への攻撃、この2つを組み合わせたもの、あるいはそれ以上の攻撃など「ロシア軍の脆弱な部分に対する攻勢計画」が複数検討された。これは占領地=ドンバスからロシア軍の戦力を引き剥がし、将来の交渉でウクライナの立場を強化する切り札獲得が目的だったが、シルスキー総司令官は作戦に関する情報を徹底的に隠した。計画は少数の将軍と関係者だけで共有し、大統領への報告も1対1で行われ側近の同席さえ許されなかった”
“作戦に必要な情報収集も国防省情報総局に任せず陸軍の情報部が担当(GURも最終的に作戦に参加)した。ある関係者は「西側諸国にもクルスク侵攻作戦やその意図について意図的に通知しなかった」「シルスキー総司令官は過去2回も西側に作戦を台無しにされたことがある」「1回は作戦がロシア側にリークされ、もう1回は作戦中止を命じられた」「今回は通知する情報を制限することでロシアが事態を察知する前に攻撃を開始することが出来た」「ロシア人は何かが進行中だと気づいてものの大胆な作戦は米国の承認が必要だと考えていた」と語った”
“シルスキー総司令官はスームィへの戦力移動も徹底的に隠して敵を混乱させることに成功した。国境近くの森林地帯に「ロシア軍のスームィ侵攻を阻止する」という名目で最も準備の整った旅団を移動させ、ウクライナメディアには「ロシア軍によるスームィ侵攻が迫っている」というニュースが流れた。作戦に参加する兵士らにも8月に入って突然装備(ヘッドフォンと一体化した新しいヘルメットや小銃など)が支給され、後にロシアの集落を模したものと判明した演習地で演習が始まり「何か大きなことが起っているのではないか」と疑い始めた”
“この作戦に参加したウクライナ人兵士は「指揮官から計画を明かされても兵士達は信じなかった」「今日は4月1日じゃないと冗談を言ったが指揮官は微笑んでいた」「ロシア人は我々がただ国境を守っているだけと信じていただろう」と述べたが作戦準備は着々と進んでいた。第80独立空中強襲旅団は第二波攻撃準備を始め、シルスキー総司令官も部隊の大半を第二波攻撃に温存していた。そのためロシアはクルスクでの突破規模を過少評価し「それほど深刻なものではない」と考えた可能性がある”
“侵攻は完全な奇襲の形となり、第80独立空中強襲旅団はマラヤ・ロクニャ方向に、第82独立空中強襲旅団はボリショエ・ソルダツコエ方向に進み、小規模部隊が大規模な装甲部隊の投入前に敵の弱点を探った。第82旅団の兵士は「初期の交戦で深刻な戦闘は1回しかなかった」「我々のドローンは空を独占していたため敵を発見して降伏を勧告したが彼らは拒否した」「そのため静寂が訪れるまで全ての銃弾を発射して前進した」と、ウクライナ軍参謀本部の関係者も「これは機動戦でゲラシモフが使用した戦術に似ている」「最初の5日間は壊滅的な効果があった」と述べた”
“作戦の第一段階は綿密に計画されていたものの現在は場当たり的に展開されている。奇襲の要素が失われたため前進ペースは鈍化しているが、参謀本部の関係者は「依然としてゼレンスキー大統領は最大限の前進を要求している」と言う。シルスキー総司令官は大統領の要求にも関わらず慎重な姿勢を崩しておらず「より深い前進」ではなく「国境沿いに側面を拡大して防御力の高い前線の構築」に集中している。彼の側近も「シルスキーは愚か者ではない」「縦への前進を急ぐと作戦全体が危機(側面が大きくなるというリスク)に晒されることを理解している」と述べている”
“現在のウクライナ軍(1万人~2万人規模)はセイム川南岸=グルシコフスキー地区の制圧に集中しており、ウクライナ軍はセイム川にかかる橋を次々と破壊している。シルスキー総司令官の大きな賭けは暗いニュースが続いたウクライナに希望をもたらし、彼自身の立場を強化するのに役立っているが、この作戦の成否はロシア側の対応に大きく左右される。ロシアはクルスクの事態に対応しながらドンバス攻略を維持するという二重のアプローチを追求しているように見える”
“クレムリンの政治的目標は「クルスク侵攻の重要性を蚊に刺された程度=ドンバス攻略に何の影響も与えなかった」と引き下げることだ。さらにロシア軍によるクルスクでの反撃も激しさを増しており、作戦に参加するウクライナ軍兵士も「敵の抵抗レベルが変わり始めて損失も増えている」と述べている。ロシア軍もクルスクに海軍歩兵や特殊部隊など練度の高い部隊を投入しており、初期対応の不味さを挽回するためウクライナの占領地からも部隊を呼び戻し始めた”
“ウクライナ政府関係者も「ドンバスにおけるロシア軍の活動は8月16日から大幅に減少した」と述べているが「1つだけ例外がある」という。ロシア軍はポクロフスク方向への前進テンポを維持して街に迫ろうとしている。両国の戦争が転換点を迎えているのは確かだ。ウクライナはクルスク戦線を維持し、前線の輪郭を混乱させ、交渉が唯一の答えだという凍結された戦争についての敗北主義的な物語を変えたいと考えている。逆にロシアはクルスク侵攻を鎮圧し、これによって生じるウクライナ軍のリソース消耗に付け込んでドンバスでの攻勢を強化したいと考えている”
因みにUkrainska Pravdaも「縦に深く前進すればするほど側面と兵站に対する脅威が増大するため、この地域での理想的なシナリオは国境から離れすぎない程度の距離で西と東に攻撃を拡大することだ」「現在の側面に沿ってリリスク~コレネヴォ~スジャに前線を設定出来れば、スームィの国境に沿った前線の長さを約100kmほど短縮することができ、この地域は防衛ラインを構築するのに適した河川がある。理論的に同線はスームィ州に対する緩衝地帯として機能し、ここを暫くのあいだ保持することは可能だろう」と指摘したことがある。
恐らくウクライナ軍はスームィ国境に沿って占領地を横に拡大する可能性が高く、コレネヴォ、セイム川の南岸=グルシコフスキー地区、プーセル川に沿ったライン=スジャ~ギリ~ベラヤ辺りを確保するのが目的かもしれないが、これが戦争の行方にどんな影響を与えるのかは今のところ予想がつかない。
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※アイキャッチ画像の出典:СИРСЬКИЙ
良策ならアメリカも同意するけど中長期的に見て、自滅し兼ねない愚策だと判断するから止めるのでは?
後方から指図する連中が慎重を期しすぎて判断が鈍るなんて事はよくあることだね
ミッドウェー海戦でもキング海軍作戦本部長は慎重派であり抑制的な方針を示したが、ニミッツは積極的な作戦を行った
ベトナム戦争では中露を刺激する事を恐れ、北への攻撃は縛りだらけで全くの非効率なものだった
さらに古くは、織田信長は信濃攻略にあたり信忠に慎重方針を示したが、信忠は命に反して信濃を制した
過剰にリスクを見積もって戦機を逃すなんてケースはいくらでもあるし、戦争の空気は前線を指揮するものでないと計り損ねる場合もある
また逆に現場が間違っているケースもあるけどね
今回は予想以上に上手くいっているように見える
まともな補給路を幹線道路1本に依存するしかない地域に進出して道路も鉄道も複数本活用出来るロシア軍を待ち構えなきゃならない形成で終わりそうな状況が予想以上に上手くいってるとはとても思えない
戦史で喩えるなら、「なぜ日本海軍は真珠湾攻撃の後にハワイを占領しなかったのか」ということの答えがここにありますね。
兵站で敵側に圧倒的有利な場所に陣取っても、味方の被害が増えるだけなんですね。生産力で劣る側は兵力も兵器も無駄に出来ないので、取れるところも取らずにスルーしたわけですね。
その逆が今回のクルスク攻撃です。軍事的常識を覆す奇跡がこの後起きるのかどうか。要注目ですね。
>「依然としてゼレンスキー大統領は最大限の前進を要求している」
博打的作戦だけど、軍側はできるだけリスクを減らそうとはしてるけど、政治がもっとリスクを取れと主張する構図ですかね。
ただ現状の国内人気だと今回のクルスク侵攻大成功とされている事から大統領人気が高く、その意に沿わないという対応は難しいと思いますので、結局精鋭部隊は縦の前進を継続しつつ追加の増援で横の前進をする折衷案となりそうです。
シルスキー将軍の作戦は素晴らしいと思いますね。
惜しむらくは、それを実現するにはリソースが少な過ぎたことでしょうか。
後詰めも予備も無しの3個旅団で敵地に乗り込んでも、如何ともし難く。
奇襲攻撃に成功したのは、戦史の一面として残るかもしれませんね。
奇襲攻撃は、作戦の秘匿が大事になりますから、リソースが仰る通り少なくなり戦果拡大が難しくなるのが欠点でしょうか…
>>奇襲攻撃に成功したのは、戦史の一面として残るかもしれませんね。
フォーブスの斧先生まで否定した特攻やろうAチーム的な愚策として戦史に残るだろう。
ロシア軍の初動も良かったと思う。
特に特殊部隊の非対称戦的戦術。
この戦争でロシア側が積極的にやったのはこれが初でしょ。
>作戦の第一段階は綿密に計画されていたものの現在は場当たり的に展開されている
「大軍をもってロシア領土の奥深くへと侵攻する。それだけで、ロシア人の心胆を寒からしめることができましょう」「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処することになろうかと思います」
フォーク准将みたいな発言だね。(褒め言葉)
他国(支援国)が、ウクライナに介入するのは、至って普通の話ですよ。
財政・軍事両面で、外国に大きく依存している国は、程度の差はあれど歴史上どの国もそうなります。
ウクライナは、他国の宗主国ではないですし、ウクライナ支援を善意だけでやっている訳ではないからです。
クルスク侵攻、ウクライナ支援国の梯子を外して行ったと語っているわけですから、外交的に何らかの悪影響が出る可能性があります。
ドイツが、ノルドストリーム爆破テロについて、ウクライナ人工作員に逮捕状を出している件が気になっています(クルスク侵攻後すぐでしたね)。
侵攻の成否次第かもしれませんが、外交面でどういった影響が今後でるのか見守りたいと思います。
ドイツは早速ウクライナ支援を削減するらしい。詳細はわからないけどEconomistなども取り上げてる。他の欧米諸国はクルスク侵攻に構ってる暇がないと思う。イギリスは国内の反移民運動の暴動鎮圧で大忙しで500人近くが逮捕されてる。フランスはマクロンがこないだの選挙で過半数をとった左派連合から首相を任命せず、憲法違反で訴訟が起きるみたい。アメリカはイランとイスラエルとの和解交渉に没頭してる。中東方面に米海軍の三分の一が集結してるみたい。
国際情勢はウクライナに有利に働いている。スポンサーが国内や外交問題で手一杯
追記
裏を返せば、クルスク侵攻にウクライナが失敗して大損害を被っても、助けてくれる国は何処にもいないということだ。これはロシアにとってはウクライナにトドメを刺す好機だ!
国際社会は、イスラエル問題が、トップトピックですからね。
G7を見ても、反応速度が違いますし。
日本も、中東問題の方が、比較にならないくらいに重要です。
各国、政権交代したり内政も大変ですからね…
派手な反攻で支援のムードを盛り上げたい、というウクライナの事情で始めたこの反攻作戦ですが。
ドイツに「冬を越すために必要なんです!」とお願いして譲ってもらったIRIS-Tを、クルスク近辺に持ち込んで破壊されてしまい。
これがドイツ国内で「話が違う!」「侵略に使うとは聞いていない!」という点で政治問題化しかけてるんですね。
少なくとも支援を決めた時に政府が議会に説明した「ウクライナ防衛のために」とはかけ離れた使用方法であるために、今後の支援も「前提条件が変わってしまった」と一度審議のやり直しになるそうです。
藪蛇というか、間が悪いというか。
行き当たりばったりで戦争をやってる、としか思えませんね。
使用使途、資金使途の違反は、信義則違反で大変な事になりますよね。
返還要求が今後出たり、支援見直しが仰るようにあったとしても、文句は言えないですよね…
当たり前の話ですよね。
>作戦の第一段階は綿密に計画されていた
>現在は場当たり的に展開されている
つまり予定していた目標には届かなかった?
スジャやコレネヴォが目標点なら場当たり的では無く攻めにしろ守りにしろ第二計画がある筈
本当は何を欲していたんだろう
クルスクまで行くつもりだったんですかねえ
あの辺は所々林があるものの基本的に畑ばかりで機動戦向きの土地です
電撃戦キメたかったのは分からなくもないが、肝心の航空戦力が弱いとパンチ力に欠ける
真っ直ぐ進むつもりが阻止されたので左右に動いてるように見えちゃう
クルスク州都や原発奪取という大きな政治的交渉カードを得るのを諦めて、国境から10キロ程度の緩衝地帯という現実的な目標に下方修正したのだろう。
ゼレンスキーの過剰な要求にシルスキーが屈しっていれば致命的な結果にもなり得た。ロシア軍の立て直しが早く、ハリコフ攻勢の時のようにはならなかった。仮にロシア領深く突破して州都に近付けたとしてもキエフに迫った時のロシア軍のようになってただろう。
ロシア側の戦略は今のところ奪還よりも防御で様子見でしょう。攻めてくるウクライナ軍を叩くことに分があると考えているかも。ウクライナ軍に損耗を許容した攻勢を維持できる予備兵力が乏しいので。
同意します
やはり十分な交渉カードとするには州都クルスクか、クルスク原発のあるイヴァニノまで到達する必要があったのでしょうけれど、スジャから北東に抜けるルート・コレネヴォから北に抜けるルートのいずれにも到達できなかった時点で初期目標は諦めたのだと思います
急に西側へ進軍したり橋を落とし始めたのが不可解でしたが、国境から近い範囲で薄く広く防御陣地を構築したいというのであれば(納得はしがたいですが)理解はできます
しばらくはスジャ・コレネヴォ・ギリィ周辺でちまちまとした戦闘が続くのでしょうね
中短期的にはマシな盤面になりますが、そもそも侵略開始しなかった方がマシというね。
遅くても東部が行くところに行ったら、多少の川と戦場で組み立てた防御で反攻を受け止める必要が出てくるのですが、支えきれるのか甚だぎもんでしかない。今ですら後方物資を焼かれているというのに。
流石にシルスキーもゼレンスキーも初期戦力の4個旅団程度で州都クルスクや原発まで辿り着けると考えふほどお花畑ではないでしょう。では本当の目的は何だったのかというと皆目分かりませんが。
>>国境から10キロ程度の緩衝地帯
国境付近が緩衝地帯だったのを戦闘地帯に変えているように見えるんだが
緩衝地帯とは一体なんなんだろう?
昔から後退するロシア軍には気をつけろと言われている。ロシアほど懐の深い国だと侵攻軍は侵攻すればするほど補給線も伸びて先細りになるのだけど、どれほど攻め込まれてもロシアは無傷の後方で予備兵力を収集蓄積する空間的時間的な余裕があるから、侵攻軍が攻撃限界に達したところで反撃を開始できる。カール12世やナポレオン、ヒトラーはそれで敗退した。日本は攻撃限界に達して反撃が開始される前のタイミングで停戦に持ち込めたので勝利の形を作ることができた。
してみるとロシアの強さは軍の強さと言うより、この懐の深さに依っているのかもしれない。と考えると、ロシアがウクライナ戦争を侵攻戦ではなく防衛戦と考え、そこから継戦のモチベーションを得ているのが見えてくるような気がする。
近代以来ロシアにとって元寇クラスの国難が三度あった。カール12世、ナポレオン、ヒトラー。いずれも国境からモスクワを目指しロシアの懐の深さによって敗退した。歴史上で同じパターンが三度も繰り返されると、そこから国の安全保障の原則が導かれるに違いない。つまり西側の攻撃発起点を可能な限りモスクワから引き離し、懐の深さを確保すること。ウクライナのNATO加盟を阻止することは、ロシアにとっては国の安全保障上の切実な、妥協のできない問題なのだと思う。
さらに言えばロシアの強弱は、だから、侵攻軍にどれほど押し込まれても動揺しないほど政権が安定しているかどうかによって決まるのだろうな。ピョートルとアレクサンドル、スターリンはそれができた。ニコライはできなかった。プーチンはどうだろう。
あるいはゼレンスキーはロシア国内に侵攻することで、日露戦争の日本と同様プーチン政権の動揺を誘い、(たぶんアメリカに仲介を頼み)主体的に停戦に持ち込むことを考えているのかもしれない。西側メディアにもそのような観測が散見される。でもロシアがこの戦争を、西側が定義するような侵攻戦ではなく防衛戦(あるいはNATOに対する防衛戦の予備戦争)ととらえているのならば、その試みは難しいかもしれない。プーチンは停戦の可能性を早々とシャットアウトしたようだし。
今後のことは分からないけど。
そもそも西側でもリアリズム派はロシアの防衛戦争だと捉えていますからね。
日露戦争に例えるならば、南下政策を採るロシア帝国に相当するのは東進政策を採る米国、戦争を招いたと評された朝鮮の立ち位置がウクライナ、防衛戦争を戦うのが今のロシアならば、和平の仲介を取れるのはどの国になるんでしょうかね。西側は基本敵方ですし、我が国はその立ち位置は投げ捨てましたが。
結局純軍事的な意図はほとんど無くて、政治的な目論見だけで開始された作戦だったのか…悲しいなぁ。ことここに至っては、クルスク方面の守備に割かれるリソースをいかに切り詰めて、東部に増援に行けるかというジェンガゲームの始まりだ。
戦争3年目を迎えた今、軍事的手段だけでロシアを打倒するのはもうウクライナの国力(特に残り人的資源)的に無理と割り切り、戦場で露軍に最大限の出血を与えつつ、自軍の戦力を保全して有利な講和に持ち込むしか手がない。講和のタイミングは露宇の両当事者が決めるだろうから、西側は少しでもウクライナに不利な要因を排除すべく軍事支援をガンガン続けていこう。
今次戦争での西側の勝利は難しいが(ロシアにとっても失った利益に対して得られるものは極わずかだが。得するのは中国ぐらい?)、終戦後もロシアへの制裁やウクライナへの軍事支援は積極的に続けて、ロシアに多大な国防負担を強いるべきだ。奪われた領土は、負担に耐えかねたロシアへの制裁解除や経済支援をチラつかせて、段階的に返還を求めて行くしかないだろう。
>結局純軍事的な意図はほとんど無くて、政治的な目論見だけで開始された作戦だったのか
そりゃ軍事的要衝はガチガチに防御固めてるわけだからね。
>講和のタイミングは露宇の両当事者が決めるだろうから、西側は少しでもウクライナに不利な要因を排除すべく軍事支援をガンガン続けていこう
「軍事支援ずっと欲しいから、あと50年後くらいに講和します。」となる可能性
>負担に耐えかねたロシアへの制裁解除や経済支援をチラつかせて
負担に耐えかねたEUの低所得者層や移民層の犯罪率増加や暴動に繋がった場合、ウクライナはEUに何をしてくれるのか。
そもそも、ウクライナに領土を返してやるために身銭を切る必要性が欧州のどこにあるのか。欧州の国とロシアは、幾度も軍事同盟の離散集合を繰り返すため複雑怪奇な政治情勢と言われる土地柄。
まあ南部の遮断と殲滅という純軍事的な勝利の可能性が潰えて以降のウクライナは自力での勝利の絵図を描けずにいましたからね
あとはNATOを巻き込むか、ロシアの体制転覆に賭けるか、その2つに1つでそうでなければジリジリすり潰されての敗北しかありません
この攻勢もアメリカに制止されたプーチン暗殺と合わせたらより効果的だったと思います
個人的にはウクライナという国の指導層は本当に手段を選ばない危険な連中で絶対に生かしておくべきではないなと改めて思う反面、この詰んだ盤面をひっくり返すためにまあよくも考えたものだと感心しました
とはいえプーチン暗殺という片翼をアメリカにもがれた以上軍事的に何のリターンもないだけの作戦に成り下がってしまった感は否めず、あとはウクライナ支持者の気分をよくして終わりでしょうね
プーチンを殺したとてその後釜はプーチンのすぐ下で甘い汁を吸ってた誰かでしょうから、プーチン体制は踏襲されるでしょうな
違うのはプーチンの復讐でロシア国民が燃え上がるということです
契約兵は大幅に増加し、予備役動員のハードルは更に下がるでしょう
暗殺で敵国を動かしたいなら、暗殺したあとで空席に傀儡を滑り込ませる算段までセットでなければいけません
いよいよ進退窮まり、最後の最後に縋った決死の作戦が2022年2月24日のロシアと全く同じ、というところに因果めいたものを感じてしまいました
・軍事演習の名目で兵を集めて直前まで越境攻撃のことを教えない、・電撃戦で越境攻撃を行って恐慌状態に陥らせた後に首相を暗殺し政権転覆を謀る
なりふり構わず国家元首を暗殺とか一体どんな民主主義の国家なんだか。
それこそ核の報復されるのでは?
去年にバフムトやロボティネの変わりにやっていれば原発まで進めたかもしれないが、今のウクライナでは国境から数十キロで頓挫
いやー、わくわくしますね
どっちにも頑張ってほしい
戦争はショーじゃねぇんだぞ
関係ない我々に取ってはショーと同じでしょう
自分も含めて安全な国から偉そうに評論家気取りでウクライナやロシアの軍事作戦を評価してるんですから。
全くです。
まあ、私もあまり人の事は言えませんが。
ともかく、今日本で手に入る情報だけで、将来は絶対にこうなる、的な予測など出来る訳がないのですよね。
それに過去の戦争に当てはめて考えるのも違う気がしています。
特に第二次世界大戦は、もう80年も前の戦争なので、完全に無意味とは思いませんが、果たしてどれだけ参考になるやら。
しかも,当のウクライナ軍と政府が軽快な音楽に乗せて戦場映像のダイジェストを嬉々として流してるわけですから。
湾岸戦争の時は「ショーのような戦争」でしたが。
いまや「ショーとしての戦争」が繰り広げられている有様ですよ。命がけで旗を立てにいく作戦目標が「SNSでバズらせるため」ですから。スゴい時代になったものだ、とつくづく思います。
銀河鉄道999に興行としての戦争を延々と続けてる惑星がありましたね。
本当にSFが現実化していく。
でも、これでウクライナが成功的なもの納めたら絶対映画化しますよ
そして多くの人々はこれを娯楽として消費するでしょう
軍事的に色々と面白い作戦ではありますね
攻勢2日目くらいに西側流の電撃戦というよりはゲラシモフドクトリンの模倣に見えるとここでコメントしましたが、記事で言及されて自身の分析の正しさに確信が持てました
今回の行動は戦況を覆す事はもう無理と悟ったキエフ政権の
作戦ですか、占領地を維持できなかったら
戦争に反対のウクライナ国民を巻き添えにしなければ
只の特攻で許されるんでしょうが、軟禁に拉致
強制徴兵で前線送りだと、たんなる独裁者の軍事国家です
イラクや北朝鮮に中国ロシアを独裁国家と言って
ウクライナを独裁国家と言えない欧米各国に疑問が
何言ってるんですかウクライナは民主主義を守るために戦う清廉潔白な正義の国ですよ(棒)
政治家や役人が横領したらそこそこの罰金があるしっかりとした法治国家ですからね。
以前から、戦況図を見ながらなぜウクライナ軍はギリやコレネヴォのような左右(東西)方向へ広く展開しようとするのかどうしても理解できなかったのですが、この記事を読んでようやく理解しました。
補給戦の伸長を考慮して、国境線から極力離れないよう薄く広い攻勢を企図していたわけですか。
なるほど確かに、これは「縦深による防御」を最も得意とするロシア軍に対して、極めて有効な戦術です。
ロシア軍が対処に苦慮するのも理解できる、戦利に適った非常によく考えられた作戦と言えますね。
ただし、戦術では戦略上の不利を挽回することはできませんが…
もっと単純ですよ
ギリ・コレネヴォはロシア側から反撃戦力を集結させやすい立地にありウクライナ軍が縦の伸長を図る場合に確保が必須条件になるからです
現在の横への広がりはその2拠点を確保できないまま守勢転換しそうとなった現状でせめて川を防御線としたいというだけです
8月中に落ちるだろ
ウクライナのクルスク侵攻は太平洋戦争で言えば、連合艦隊全軍をかけてアメリカ西海岸に特攻を仕掛け、
沿岸部を制圧したらどうなるかの実験の様に思えます。
ゲームだと非常に面白いプレイングですが、現実の戦争でやってしまうとはゼレンスキ―大統領の発想力には恐れ入ります。
クルスク侵攻の方面では、滑空爆弾の話をあまり聞かないですね。
先日の弾薬庫の破壊が効いているのか、それとも、ウクライナが有力なSAM部隊を連れているのか。
パトリオットやIRIS-Tに似せたデコイの破壊はあったようなので、有力なSAM部隊を連れているのかな。
Su-34の活動も活発ではないのでしょうね。地上では機動戦のようだし、狙いにくいのかな。
今は機動戦のようだから良い?のですが、これで戦線が形成されてきたら、東部戦線と同様のことが起こるのでは。
ATACMSに使用制限があるので、滑空爆弾の運用に対抗する有効な手段も今のところ無いし。
出来たとして、現国境沿いにパトリオットを密かに配置することでしょうか。
ただ、これでは、滑空爆弾の射程とイーブンとなるので、根本的な解決にはならないかな。
他所の記事でロシアのS-70オホートニク無人爆撃機が、実用段階に近付いているとのこと。
米国のRQ-170センチネルをタイプとして爆撃機化したものですね。小型のB-2みたいな外見です。
爆弾の搭載量は2,000kgで、機体にはSU-57の技術も使っているとのこと。
多少のステルス性能も期待できるのでしょう。
こういったものも投入されると厄介ですね。多分、ロシアの勢力圏からは出てこないだろうし。
クルスク地区は、もともとNATOのAWACSのレーダーの届かない部分だし。
ウクライナはサーブ-340を早めに受領して、F16との連携を作っておくべきでは。
そうでないと、東部戦線の轍を踏むのでは。
前線の移動目標にはあまり使われていないだけで、後方のスームィ州には雨あられと降っているそうです。兵站を叩くことを優先しているんですね。
この辺りがもう完全にロシアとウクライナの戦略思想の違いが出て面白いところです。
なるほどです。
NATOと米国はSAMと長射程火器をどうするつもりかな。
気になりますね。
いわゆる滑空爆弾、UMPKには移動目標の追尾機能はなく、それ故に安価です
攻勢における敵陣地の破壊には向いた兵器ですが、守勢における敵機甲戦力の撃破には不向きです
ゆえにFPVドローンと相補的によく使われるわけですね