欧州関連

西側提供の中で最も強力なPzH2000がウクライナに到着、最前線へ即投入

ウクライナのレズニコフ国防相は21日、西側諸国が提供した自走砲の中で最も強力なPzH2000が最前線に到着したと明かした。

参考:Немецкие самоходные гаубицы уже на фронте – Резников

西側諸国が提供を約束した榴弾砲や自走砲の大部分がウクライナに到着(追加提供分や販売分を除く)

ドイツとオランダがウクライナに提供するPzH2000(ドイツ7輌+オランダ5輌)は、ウクライナ軍、オランダ軍、ドイツ軍のIT技術者、ウクライナ人翻訳家、自走砲を製造したKMWの技術者が集結してPzH2000のソフトウェアをウクライナ語に対応させただけでなく「GISArta」と呼ばれるウクライナ軍の砲兵管理システムも統合したため引き渡しまでに時間が懸かっていたが、レズニコフ国防相は「PzH2000が最前線に到着した」と21日に明かした。

出典:Резніков Олексій

これで西側諸国が提供を約束した大部分の榴弾砲や自走砲(M777、FH70、M109、KRAB、Caesar、PzH2000、Goździk、DANA、Zuzana2、追加提供分や販売分を除く)がウクライナに到着したことになり、その殆どが反攻用に温存するのではなく前線に投入された格好だ。

因みにGISArta統合はウクライナ軍の利便性を高める意味合いの他に「オリジナルのシステムがロシアの手に渡るのを防ぐ」という側面があるが、フランスはオリジナルのシステムのままCaesarをウクライナに提供しているらしい。

提供国 種類 数量(追加提供分を含む)
米国 M777 126門
カナダ M777 4門
英国 M109 20輌以上
フランス Caesar 18輌
ドイツ PzH2000 7輌
イタリア FH70 不明
オランダ PzH2000 5輌
ノルウェー M109A3GN 22輌
エストニア D-30 9門
FH70 不明
ポーランド Goździk 20輌
KRAB 18輌
KRAB(販売分) 60輌
チェコ Goździk 不明
DANA 20輌
スロバキア Zuzana2(販売分) 8輌
オーストラリア M777 6門
343門/輌以上

関連記事:米軍のものより優れたウクライナ軍の砲兵システム、PzH2000への統合が完了

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministerie van Defensie

ウクライナ軍が蛇島のロシア軍を再び攻撃、奪還を試みている可能性も前のページ

ロシア軍がほぼリシチャンシクに到達、ゾロテを守るウクライナ軍も包囲寸前次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    フランス陸軍、米国や英国に続き徘徊型弾薬「Switchblade」を調達

    ユーロサトリ2022で取材に応じた仏陸軍のグジョン大佐は米国や英国に続…

  2. 欧州関連

    ぬかるみ始めたウクライナの大地、孤立するロシア軍の大軍

    首都キエフを攻略するため集結したロシア軍部隊について米英は「特に目立っ…

  3. 欧州関連

    ドイツのランブレヒト国防相が来週中にも辞任か、ウクライナ支援で功績

    残念な新年の挨拶動画で批判にされていたランブレヒト国防相について「来週…

  4. 欧州関連

    NATO事務総長、現行の4万人から30万人以上に即応部隊を拡張すると発表

    NATOのストルテンベルグ事務総長は27日、NATO即応部隊を現行の4…

  5. 欧州関連

    戦闘機「タイフーン」の極超音速化?英国、極超音速兵器+推進システム開発に着手

    7月17日、英国のロンドンで始まった「航空宇宙航空会議2019」で英空…

  6. 欧州関連

    ロシア軍がMLRSでムィコラーイウを攻撃、当局者は避難を呼びかける

    ロシア軍は各管区からかき集めた大量のMLRSを使用してムィコラーイウの…

コメント

    • バクー油田
    • 2022年 6月 22日

    >その殆どが反攻用に温存するのではなく前線に投入された格好だ。

    これが気になるな
    反抗とか言ってられない状況なんかな

    29
    • ido
    • 2022年 6月 22日

    最前線というと、やっぱりゼベロドネツクなんですかね。これらの武器でどうにかロシア軍を追い返せたらいいが。やっぱり南部も大事なんだよなぁ。ヘルソン国際空港の奪還を早くしないと。

    6
      • ミリオタの猫(やっぱり、アンツィオ…いや、ロシア軍は強い?)
      • 2022年 6月 22日

      それで気になるのが現在ウクライナ軍が反攻に出ているとされる南部の戦況なんですが、ウクライナ軍は南部に関しては情報統制を敷いており、東部とは対照的に情報が少ないんです。
      となると、PzH2000は南部の支援に回された可能性も出て来ます。
      聞くところによると、セベロドネツクとリシチャンシク周辺は丘陵地帯で起伏も激しく複雑な地形の為、自走砲には向いていない戦場だと思うのです。

      7
        • ナイトアウル
        • 2022年 6月 23日

         南部にはカエサルが展開済み、ただ具体的にどこかは不明。展開能力は高いが積載弾薬を考えると何処まで寄与できるか

    • kitty
    • 2022年 6月 22日

    砲兵みたいな”インテリ”層が英語が出来ないってことがあるんでしょうか?

      • バーナーキング
      • 2022年 6月 22日

      仮に英語ペラペラだったとしても分秒どころかコンマ数秒を争う様な状況で、
      母国語とそうでないのとでは大きな差があるかと。
      特にキリル文字圏の人間にとってはアルファベットは咄嗟の読み間違いが怖い言語だと思う。
      日本人にとってのElectroharmonixみたいなもんだからね。

      7
        • トーリスガーリン
        • 2022年 6月 22日

        去年出てきた自衛隊のFCCSっぽい画面も日本語多用してましたね

        2
      • hiroさん
      • 2022年 6月 22日

      砲兵としての専門教育はされるだろうが、語学力も求められる兵種なのだろうか?
      徴兵制時代の米陸軍は、新兵検査で成績の悪い兵隊を砲兵にしていたと何かで読んだ記憶がある。
      照準等専門職は別として、肉体労働を求められる兵種でもあるし。

      3
      • 暇人28万号
      • 2022年 6月 23日

      日本人が言えたもんじゃなくて恐縮ですが、ウクライナの方はロシア圏よりの言語は得意で英語が話せる書ける人は貴重みたいですね。

    • 折口
    • 2022年 6月 22日

    PzH2000は確かに高性能ですが、射程に関しては精密誘導砲弾を使わなければ他の52口径長の火砲と大差ないです。速射力にしても人力装填の野砲2,3門ぶんという事ですから(PzH2000で優れているのは短期間の速射力で、速射がオートローダーの弾倉容量に制約される自走榴弾砲は長時間の持続射撃は野砲と変わらない)、これで劇的に何かが助かる訳では無いという感じなのでしょうね。もちろん居てくれて嬉しいのは間違いないのでしょうが、シュート&スクートの能力をウクライナ軍が求めているかというと、最近の戦線の膠着を考えれば多分それより火力そのものが欲しいという感じなのではないかという気もします…。その火力や生存性の面でもPzH2000は優れた車両なので効果は大きいと思いますが。

    15
    • 2022年 6月 22日

    問題は砲そのものではなく備蓄弾薬数の方では?
    まあ西側絶対に言えることだが精密射撃にこだわりすぎて火砲が本来持つ面制圧という役割を忘れかけてるしなぁ…
    今後数年は砲弾製造企業の株を買っておくと伸びるかも?

    15
      • ananta
      • 2022年 6月 23日

      なんだか百発百中の砲一門vs百発一中の砲百門みたいな感がありますね…やはり数が多いのは強い…(ロシアのやり方だと特に)

      1
    • 暇人28万号
    • 2022年 6月 22日

    ほんと砲より砲弾が気になる。あと南部なのか東部なのか。東部どうなるんやろか、、

    3
    • NATTO
    • 2022年 6月 22日

    本来なら数を揃えて計画的に投入なんだろうけど、火消し的な投入になっちゃうんだろう。

    6
    • もり
    • 2022年 6月 22日

    南だと住人のいる市街地を砲撃する事になるので東に持ってくでしょう

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  2. 日本関連

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
  3. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
  4. 日本関連

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  5. 日本関連

    海外メディアも注目、横浜で護衛艦「いずも」の空母化工事が始まる
PAGE TOP