The Timesは「30日に発表される国防投資計画から83型駆逐艦と32型フリゲート艦の予算が削られる」と、BBCは「83型駆逐艦の代わりに共通戦闘艦=CCVを導入する」と報じ、Sky NewsもCCVについて「45型駆逐艦と同じ防空任務を半分のコストで遂行できる」と報じた。
参考:UK to replace fleet of destroyers with ‘budget warships’
何も諦めない代わりにジャムをトーストに薄く伸ばすような対応=調達計画のタイムラインを引き伸ばす手法で国防投資計画を彩ってくるだろう
The Timesは27日「スターマー首相は英軍の未来を形作ることで自身の政治的遺産を確固たるものにしようとしており、最大8隻の83型駆逐艦と5隻の32型フリゲート艦向け予算が含まれない国防投資計画を早ければ30日に発表すると見られる」「近い将来、何らかの新型有人艦艇が就役すると見られているものの、ロシアを含む敵対国家からの脅威の高まりに直面する中、軍の近代化に向けた方針転換においては自律型無人システムが優先されることになる」「後任のジャービス国防相は最大15億ポンドの追加予算を確保し、計画全体の資金供給は最大150億ポンドに達する見込みだが、軍近代化に必要とされる推定280億ポンドは遠く及ばない」と報じた。

出典:Royal Navy
“スターマー首相の後任になる可能性が高いアンディ・バーナム(次期労働党党首候補)は自身のチームが国防省との協議に参加した後、この計画を承認したと見られている。増大する海中脅威の対処において老朽化した有人艦隊よりも自律型のドローンや無人潜水艦の方がより適していると考えている。45型駆逐艦は2030年代後半に退役する予定で、これを83型駆逐艦に置き換える予定だった。これらはスコットランドのBAEシステムズで建造され、初期構想ではレーザーを使用してドローンを撃墜する指向性エネルギー兵器の搭載が示唆されていた”
“2020年に初めて発表された32型フリゲート艦は自律型の機雷掃海および対潜水艦ドローンの母艦として機能する予定だったが、構想段階から進展することはなく後継艦が利用可能になる前に旧式艦が退役していくというフリゲート・ギャップに直面している。このギャップに対処するため国防省は無人システム・タスクフォース創設を計画している。来月トルコで開催される重要なNATO首脳会議に向けて、いくつか注目を集めるコミットメントの発表も計画されている”

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Jennifer Nesbitt
“国防関係筋は次世代戦闘機のテンペスト開発計画(GCAPのこと)を推進する意向を認めた。また戦術核兵器の搭載が可能な12機のF-35A購入へのコミットメントも予定されている。特殊部隊にもドローンや高速艇への資金を含む5億ポンドの拠出が約束される見込みだ。同時に国防省は予算配分の不足分を補うため経費削減策を講じざるを得ない状況にある。2030年までに4万人の士官候補生を新たに採用するための資金=7000万ポンドも削減され、軍事施設の改修も次期総選挙後まで延期する予定だ”
BBCは29日「国防投資計画では45型駆逐艦の後継艦=83型駆逐艦構想が白紙撤回され、代わりにドローン運用能力を備えた6隻の共通戦闘艦=Common Combat Vesselsを導入する見通しだ。このCCVについて国防省は『空中、水上、海中の無人システムを連携させ、より強靭な防空能力を提供することが可能になる』『このアプローチの変更により乗員数やコストを大幅に増やすことなく海軍の展開能力、強靭性、そして火力を拡張できる』と説明している」「ただし、CCV開発のため国防投資計画の中でどれだけの資金を割り当てているのかは明かさなかった」と報じ、Sky NewsもCCVについて以下のように報じている。

出典:Royal Navy
“英国は軍が要求している額よりも遥かに少ない予算で再軍備を進める国防投資計画に基づき、大型で高価な駆逐艦戦力をより小型で安価な戦力に置き換える予定だ。この措置について情報筋は「資金的制約に対する現実的な解決策」と表現し、火曜日に発表される国防投資計画の一部として組み込まれることになる。この決定によって英海軍は弾道ミサイルを迎撃できる唯一のシステム=45型駆逐艦と同等クラスとなる後継艦を失うことになる”
“45型駆逐艦を置き換える小型で安価な戦力は共通戦闘艦=Common Combat Vesselsと呼ばれているが、この艦艇の契約はまだ締結されておらず正式な名称すら決まっていない。おそらくCCVは駆逐艦より小型の有人フリゲート艦となり、建造が進められている31型フリゲート艦の派生型になる可能性が高く、フリゲート艦の主要任務である対潜戦よりも、駆逐艦の主要任務であるミサイル迎撃やドローン迎撃など防空に重点を置くことになるだろう。さらにCCVは多層的な防空網を提供するためのミサイル搭載バージョンが含まれ、空中、水上、水中ドローン群と連携して運用されることが想定されている”

出典:Royal Navy
“情報筋は「理論上、CCVのハイブリッド能力は45型駆逐艦と同じ防空任務を半分のコストで遂行できるはずだ」という。安価な艦艇を配備することはコストを抑えるのに有効であるだけでなく、実戦においてより消耗可能なものとなるという利点がある。現在の海軍はリスクの高い海域に展開させるには高価過ぎる駆逐艦や空母しか保有していないというリスクを抱えている。ジャービス国防相も「英海軍は強力な戦力であり、大西洋をはじめとする海域で我が国と同盟国を守るため活動している」「共通戦闘艦は我々が直面しなければならない増大する脅威に向けて設計・建造されるハイブリッド艦として献身的な水兵たちに提供される」と述べた”
“この発表は45型駆逐艦の後継艦として83型駆逐艦を導入するという海軍の野望の終わりを意味している。英海軍のトム・シャープ元中佐は本決定について「やや敗北主義的な感は否めない」「維持できない戦力を補うため実証されていない技術に賭けることはリスクがある」と警告した。英海軍は新型フリゲート艦への早期投資を怠った結果、残存する23型フリゲート艦は満身創痍の状態で稼働しているか、退役を余儀なくされるなど苦境に立たされている。45型駆逐艦は比較的新しい艦だがエンジントラブルに悩まされており、常に戦力の半数あるいはそれ以上が整備のため港で停泊しているのが実情だ”

出典:Ian Dick/CC BY 2.0
“今回の国防投資計画に基づき、海軍は最終的に26型と31型を組み合わせた計13隻の対潜フリゲート艦の調達を目指している。計画されていた32型フリゲート艦については計画が立ち消えになったと考えられている。トニー・ラダキン元国防参謀総長はThe Timesへの寄稿の中で「英国は欧州をリードしているとは到底言えない」「NATO第一というよりNATOで31位で見苦しい限りだ」と歴代政権下で軍が弱体化するのを放置してきたことについて痛烈に批判した”
“本来なら国防投資計画は昨年末までに発表されるべきものだったのに適正な資金源が確保できず、英国は他の欧州諸国が急速に軍事力を増強しているタイミングで(軍事力増強に必要な)予算の大幅削減を強いられることになった。この不均衡が数ヶ月にわたる論争を引き起こし、国防投資計画の発表を遅らせる結果となった”

出典:UK Prime Minister
ラダキン氏が言及した「NATO第一」という言葉は、スターマー政権が2025年6月に発表した国防戦略の見直し結果の中で「英国がNATOの主要メンバーであることにどれほど重きを置いているか」を強調するためのスローガンであり、NATOで31位というのは「NATOの義務を履行しているNATO加盟国の順位」を示唆し「軍隊を保有していないアイスランドのお陰で最下位を免れている」という非常にキツい皮肉だ。
CCVの説明を額面通りに受け取れば「45型駆逐艦と同じ防空任務を半額のコストで実行できるなんて素晴らしい」となるが、実際のところ妥協の産物に過ぎず、シャープ元中佐が「維持できない戦力を補うため実証されていない技術に賭けることはリスクがある」と警告したのも「自律型無人システムは中核戦力=有人システムの能力を拡張したり補完する存在であり、決して有人システムにとって代わる魔法の杖でもなく、まだ能力と効果が未検証にも関わらず、自律型無人システムに依存したCCVで45型駆逐艦の任務を代行できると考えるのはリスクが高い」という意味だ。

出典:Defence Nuclear Enterprise
要するに、必要とされている能力や規模を満たす資金がないので「作戦効率が向上する自律型無人システムの積極的な採用」を前面に押し出したインフォメーション・キャンペーンを展開し、国防投資計画の本質的な問題=資金不足の解決を「技術革新でカバーできる」とすり替えているに過ぎず、このリスクの高い試みが成功すれば「英国は賢かった」となるものの、この決定は「それが可能だから」ではなく「それ以外に選択がないから」であり、そもそも今後10年間の資金供給は核抑止、GCAP、AUKUS級原潜、象徴的な少数のハイエンドプラットフォームに偏ることがほぼ確定的なので即応性の問題が足を引っ張るだろう。
明日、国防投資計画が発表されれば陸軍、海軍、空軍が何を諦めざるをえなかったのかが判明すると思うが、恐らくは「何も諦めない代わりにジャムをトーストに薄く伸ばすような対応=調達計画のタイムラインを引き伸ばす手法」で国防投資計画を彩ってくるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Babcock International





















お金ないと、結局どうにもならないですよ。
(キャンペーンなのでしょうが)新技術は、初期不良がつきものなわけですから、安全保障でそんなものだけに依存するのもリスキーだなあと。
オーストラリアに習って、新型FFMを買ってくれ。
お客様(イギリスさん)、是非買いましょう!
技術革新に縁がない奴ほど技術革新に頼ろうとするの何なんだろ
たぶん困難や苦労が見えないんだろうな
イギリスの場合、寧ろ技術革新で世界を取れた歴史があるから、それに縋りたいのかも
全ての都市で健康と幸福が+1されます
ガチキク‼️🗿
レールガン売り込むチャンスかな? (たぶん違う)
未検証の技術頼りで船作ろうとするのどっかでみたなぁ
やっぱ兄弟なんすねぇ
現状NATOにおいて(アメリカ以外で)核・第6世代戦闘機・原子力潜水艦の全てを開発、建造、配備できるのはイギリスとフランスしかないですからね。NATO全体の戦力の強化や欧州におけるプレゼンスの強化と考えればイギリス政府がここに注力するのは至極当然じゃないでしょうか。
当然イギリス軍としては不満でしょうけど、ない袖は振れないですから。後欧州の艦艇の価格考えたら数揃えようと思うなら妥協するしかないですよね。
何をもって開発、建造、配備出来ると言っているのか謎だなあ
過去の栄光だけで言っているようにしか見えない
なんでフランスはできているのかが謎。
ちなみに空母保有も含めていいと思います。
どうもフランス海軍は、稼働率で全般的に英国海軍に勝っているようですね
予算も規模も同じぐらいなのに
英海軍は、予算の増額は必要でしょうが、予算を増やせば解決と言えるほど簡単な状況ではないということでしょうか
素人ながらの疑問です。
F-35の核爆撃って有効なんですかね?
ステルス機とはいえ、敵地奥深くに侵入する任務で、パイロットは生還できるのか?
既存の機体に空中発射の巡航ミサイル搭載の方が、安価ですみそうですけど。
そもそもF-35の核爆撃は敵地奥深くまで侵入しないのがポイント
これは核抑止におけるエスカレーションを勉強すると分かりやすいです(まあB61は米国じゃなくNATO自体が核抑止に参加してますよ~ってことを示す政治的な意味合いが強いけど)
ALCMやICBMは基本的にお互い共倒れ覚悟の最終兵器なので、相手からの戦略核攻撃を防ぐことには役に立ちますが、一方で通常兵器による攻撃や、前線での戦術核の使用は防げません
なぜかと言うと「まだ全然引き返せる段階なのに最終兵器使うの?」となるから。相手もその考えを読み取って攻めてくる
ここでF-35(B61)みたいな戦術核兵器があると敵国側が「ウチが戦術核使っても、同じ戦術核使ってくる可能性があるから使いにくいな…」と抑止力になるわけです
自国領内に大挙侵入して来た敵軍を吹き飛ばすのに、有効です。
既存の機体に搭載できる核搭載型の巡航ミサイルが無いですよね
他の方も書いていますが、
>敵地奥深くに侵入する任務
ではありません。
高空投下かレイダウン(パラシュートで減速)で放出して、マッハで逃げるお仕事。
そのジャム、パッケージから見える部分しか塗ってないんだろうな
普通に同盟国から戦力化済みの艦艇の設計図買えば良いのに。
建造中の31型フリゲートの原型はデンマークのフリゲートだよ。
時代の流れとはいえ、これが歴史ある大英帝国とは。寂しいものだ….
一番単純な回答は「現在イギリスは核弾頭を搭載可能な巡航ミサイルを保有していない」事が挙げられます。
そもそも巡航ミサイルに搭載出来る程小型の核爆弾を保有していません。
この背景として「核爆弾は小型化が技術的に難しい上に、小型化すればするほど維持費が高額になる」事があるのです。
防空艦の替わりに無人機母艦っていうのは予算削減になるんでしょうか?
防空任務を担当する以上は、83型以上の高性能艦にしないと機能しないと思うのですが。
それとも対潜フリゲートを無人艇で置き換えるから、将来的にはコスト削減につながるってことですかね?
だとしてもそれはかなり先の話になるので、83型配備予定だった時期までで言うと、むしろ予算増額が必要なのではないでしょうか。
対艦番長の後継機が、イギリスの未来艦隊を壊滅させた
お金無くても他国が絡むAUKUSとGCAPは守り、国内で完結する次世代艦はバッサリ切る、切ねぇ…
共通戦闘艦ってどんな船なんだろ?
正直83型なんて作らなくてもガタイのいい26型のレーダー強化ではだめなのか?とは思っていたけど…
>26型のレーダー強化
26型の船体に、イージスをねじ込んだハンター級やリバー級ってのがいるけど、ハンター級は電力不足を解決するのに建造が遅延
オーストラリアが新型FFMを導入した理由の一つになってしまった…
離れた島国の日本国もGCAPさえ守ってくれればよいとは言えません。
人員不足、予算不足、
まるで日本の未来の防衛事情のようですね。