欧州関連

トルコ空軍、国内で開発中の第5世代戦闘機 KAAN Block10を正式発注

トルコ航空宇宙産業は開発を進めているKAAN Block10に対して空軍から正式発注(20機)を獲得、さらにスペイン空軍のF-5BM後継機としてHürjetを売り込むことにも成功し、初めて開発した第5世代戦闘機と高等訓練機でビジネス上の成功に近づきつつある。

参考:Türkiye signs procurement contract for homegrown KAAN fighter jet
参考:Turkish air force contracts its first batch of indigenous KAAN jets
参考:Airbus leads national industry launch of Spain’s new combat training system

インドネシアに続きトルコもKAANを正式発注、国産エンジン=TF35000を採用するBlock20も2032年完成が目標

トルコ航空宇宙産業(TAI)は2025年5月、AviationWeekの取材に「トルコの安全保障に対する脅威評価に基づき、空軍はF-35であろうとタイフーンであろうと一定レベルの能力と即応性を維持しなければならないが、50年~100年後まで独立を維持するには自前の防衛装備品をもつ必要がある」「国産エンジンを開発することで米国の国際武器取引規制=ITARからKAANを出来るだけ除外することが重要だ」「同時にトルコはITAR Freeによってプラットフォーム輸出における自由裁量権を獲得できる」と力説。

トルコにとって本格的な戦闘機開発は初めて、しかも第5世代機とエンジンを同時並行で開発するため潜在的な開発リスクは非常に高く、競合するF-35Aと同等もしくは匹敵する能力を実現できるかは現段階では不透明であるが、トルコは地域大国から大国になることを目指しているため「KAANの能力が仮にF-35Aの80%に留まったとしても武器システムの主権確保の方が重要」と主張しており、初期型は米国際武器取引規制(ITAR)の縛りがあるF110搭載バージョン、後期型は国産エンジン=TF35000を含む米国製技術を完全に排除したITAR フリーバージョンになる予定だ。

KAANのプロトタイプはF110を搭載して2024年2月に初飛行したものの、この機体=P0は元々「格納庫でのロールアウト用に製造されたデモンストレーションプラットフォーム」を飛行可能なように改造したもので、飛行テストを行う本物のプロトタイプ=P1、P2、P3を製造中、これよりも高度な能力を備えたプロトタイプ=P4、P5、P6の製造も計画されており、KAANのプロトタイプ=P1は2026年6月まで初飛行を行うらしい。

トルコ国営通信は6日「国防産業事務局は防衛見本市=SAHA 2026でTAIとKAAN調達契約を締結した」と、Breaking Defenseの取材に応じたTAIのメフメト・デミログル最高経営責任者も「最初の契約はKAAN Block10に対する20機の発注だった」「今後、発注数は増えていくと予想している」と明かし、インドネシアに続きトルコもKAANを正式発注した。

ちなみに、Airbusとスペイン企業15社で構成されたコンソーシアムとトルコ航空宇宙産業は2025年5月「航空機設計、製造、訓練に関するノウハウをHürjetに統合する協定を締結した」と発表、スペインのロブレス国防相も「F-5BMの後継機はトルコとHürjetベースで共同開発する」「このプログラムに13.7億ユーロ=約2,320億円を投資して2028年までに最初の6機を受け取る」「共同開発を通じて設計権限を取得する」と発表。

Airbusは4月28日「エアバスを中心とするスペイン企業グループは本日、スペイン空軍の新型統合戦闘訓練システム(ITS-C)の産業プログラムを発表した」「2025年12月に契約が締結された本プログラムは現在運用されているF-5を置き換えるもので、プログラムの請負比率でスペイン産業が60%を占める予定だ」「2028年に開始する第一段階では最初の21機納入に重点が置かれる」「第二段階では発注済みの残り9機を含む計30機がスペイン規格に改修され、シミュレーターも最新バージョンに更新される予定だ」「スペイン規格(SAETA II)の納入は2031年から開始される」と発表。

要するに最初の21機はオリジナルのHürjetに近い構成で導入され、残り9機はAirbus製ミッションシステムを搭載してスペイン空軍の訓練ニーズを満たす統合訓練システムになり、最初の21機も改修されてスペイン規格(SAETA II)に統一されるという意味だ。

出典:Airbus

Airbusはスペイン規格(SAETA II)について「Hürjetをベースにした複座型の超音速機で、タイフーンや将来戦闘システムへのスムーズな移行を可能にする」「訓練だけでなく軽戦闘機としても運用可能でデジタルコックピットと多用途性により、軽攻撃や偵察任務のための費用対効果の高いプラットフォームだ」と述べており、トルコ航空宇宙産業は初めて開発したKAANとHürjetでビジネス上の成功に近づきつつある。

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※アイキャッチ画像の出典:Turkish Aerospace Industries

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コメント

  • コメント (6)

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    • YF
    • 2026年 5月 10日

    武器輸出絶好調のトルコと韓国、KAANとKF-21はアメリカ製エンジン導入から自国製エンジン開発と立ち位置的にも似てると思いますので、今後の両機のセールスがどうなっていくのか楽しみですね。

    13
      • 月虹
      • 2026年 5月 11日

      韓国の戦略としては先ず老朽化が進むF-5を運用しているアフリカや中南米諸国向けに後継機としてFA-50を提案する。FA-50は基本、複座機だが開発元のKAI(韓国航空宇宙産業)はFA-50の後部座席を燃料タンクに置き換えて航続距離を伸ばした単座型のF-50を開発中で2026年のシンガポール航空ショーでもモデルが展示された(2028年に開発完了見込み)。F-50が登場すればF-5の代替機を求めている中小国からは魅力的に映るだろう。

      そしてFA-50を導入し、さらに本格的な戦闘機が欲しいという国にはKF-21を提案する。インドネシアの他に潜在的な顧客として現在はフィリピン、マレーシア、ペルー、ポーランド、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の7か国に提案され、特にポーランドは韓国に視察に訪れた空軍准将が自ら試作機の操縦桿を握りデモ飛行を実施、UAEも国防次官が韓国を訪問し、試作機に搭乗するなど強い関心を示している国もある。

      今後は量産化第1陣となるKF-21ブロックⅠの韓国空軍への納入(発注は40機)が2026年6月より開始されるので、韓国軍での運用実績の積み重ねによりKF-21の採用国を増やせるかが焦点だろう。

      8
        • 匿名希望係
        • 2026年 5月 11日

        英国製座席使っている限り無理では?>T-50の輸出(輸出不可実績あり)
        最低でもアメリカ、ロシア製に置き換えないと

        今度はそっちで振り回されることになるけど

        2
    • 匿名希望係
    • 2026年 5月 11日

    実質ラファール路線になるんじゃあないですかねー>トルコ

    2
    • せい
    • 2026年 5月 11日

    ヒュルジェットがどれ程の訓練能力を持ってるのか分からないが、KAANで予定されている無人機の統制も出来るんなら、単に訓練機を導入した以上の意味を持ちそうだな

    5
    • SB
    • 2026年 5月 11日

    搭載予定のF110は制裁のせいで10基で納入停止してるけど、2028年の納品はできるんだろうか…(TAIのCEOは2029年と言ってたけど)

    3

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