スターマー首相は30日「国防費150億ポンドの増額」と「今後4年間の主な投資先」を発表、英国は2026年~2029年の国防費として計2,980億ポンド=約64兆円を支出し、GDP比に占める2029年の国防費は2.7%に達する見込みで、総額方式ならGDP比に占める国防関連支出は4.2%になる。
参考:£15 billion new funding boost to transform Armed Forces and keep the UK safe
参考:Starmer announces extra £15bn for UK defence, warning some road and energy projects will be scrapped
参考:Politics latest: PM announces £15bn defence plan – but says some road and energy projects will be scrapped
参考:Starmer delays spending on military housing to fund defence plan
「借入なしで2029年までに2.7%」「総額計算で4.2%」という数字はよく頑張っている方で、総額5.0%の達成時期までにあと6年あるため希望も十分残される
スターマー首相は30日「国防費150億ポンドの増額」と「今後4年間の主な投資先」を発表、英国は2026年~2029年の国防費として計2,980億ポンド=約64兆円を支出し、1年あたりの国防費も2029年までに年約800億ポンド=17.1兆円まで引き上げられ、GDP比に占める2029年の国防費は2.7%に達する見込みで、軍事インフラとしても活用できる分野(重要インフラの保護、ネットワークの防衛、民間防衛や回復力の確保、イノベーションの促進、防衛産業基盤など)への投資=1.5%を合わせると国防関連支出は4.2%になる。
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— Keir Starmer (@Keir_Starmer) June 30, 2026
スターマー首相は「私はエネルギー安全保障、重要インフラ、そして防衛といった幅広い安全保障分野にGDP比5.0%(昨年のNATO首脳会議で合意した国防支出=3.5%と軍事インフラとしても活用できる分野への投資=1.5%を組み合わせた総額5.0%基準)を支出することを約束した」「本日発表された国防投資計画により、我々は当初の公約に基づいてGDP比4.2%を国防費に充てることになる。これはいかなる基準から見ても英国にとって歴史的な大きな転換点であり、私が誇りに思う政治的遺産だ」と述べた。
BBC、The Telegraph、Sky Newsは「NATOで合意した総額5%の目標達成に失敗した」「このままでは目標から0.8%下回ることになる」と指摘しているが、総額5.0%の達成時期は2035年なので、2029年時点で「国防支出」と「軍事インフラとしても活用できる分野への投資」を合わせて4.2%ならNATO加盟国の中でも相当優秀な部類となり、そこまで悲観する数字ではない。

出典:BAE Systems
そして今後4年間の主な投資先については「核抑止力強化のためドレッドノート級弾道ミサイル原潜、AUKUS級攻撃型原潜、新型核弾頭、F-35A×12機調達に630億ポンド」「GCAPに80億ポンド以上」「自律型無人システムに50億ポンド以上」「長距離攻撃兵器、低コスト巡航ミサイル、自爆型攻撃兵器、これを調達するための生産能力などに110億ポンド」などを挙げたが、まだ完全な国防投資計画は公表されていないので2,980億ポンドの詳細な投資先や金額は不明だ。
スターマー首相は国防費増額の財源として借入を拒否し「国防債は名前を変えただけの借金に過ぎない」「我々は国家財政を管理下に置くために懸命に取り組んできたため、それを今になって犠牲にすべきではない」「健全な財政は国力の不可欠な要素であり、その制御を失えば国家はより貧しくなり安全保障上の危機を招く」「国防優先で公共サービスへの予算を削減すれば国家として根本的に弱体化する」と述べ、国防費増額の財源を捻出する手段については「差し迫った必要性がない一部の道路建設やエネルギー関連プロジェクトを中止する」と説明した。

出典:GlobalCombatAir
ちなみに、首相官邸はプレスリリースの中では「この大幅な支出増により、今世紀末までに英産業は直接的および間接的に約6万人の雇用が新たに創出され、防衛支出関連の雇用は50万人以上に達すると予測されている」と述べている。
まぁ、NATO基準で計算するとGDP比2.0%にも届いていない日本(2026年の当初予算はGDP比1.5%程度)からすれば「借入なしで2029年までに2.7%」「総額計算で4.2%」という数字はよく頑張っている方で、総額5.0%の達成時期=2035年までにあと6年あるため希望も十分残されるのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Edgewing





















我が国もトランプ政権が猶予する時間はもうそんなに残っていないかもしれませんので、防衛予算3.5%と関連予算1.5%を可能な限り速やかに実現する必要があります。
英国はMI6/MI5の予算まで防衛費に含めていて数字を水ぶくれされていると言われますが、我が国もマネしましょうか?
本来はやるべきではない邪道ですが…短期間での実現には政権の政治的リソースが足りないでしょうからね。
イギリスが諜報機関に全力で資金を投入するのは創設以来の伝統みたいなものですからね。アルマダ海戦を戦った1588-89年度予算は予算総額の15%を、15年ほど前にウォールシンガムがほぼゼロから創り上げた諜報機関に費やしている。日本が真似をするのは少し無謀かもしれないね
各国への防衛費増の要求は、最早トランプのみの思想ではなく、アメリカとしての基本方針になってると思う
トランプが退いたとて日本への高い要求は求められ続けるだろうから、一時凌ぎな策では結局後にしわ寄せが来るだけじゃないかな
イギリス10年債5%くらいの利回りですし、トラスショックもありましたから、国債発行を控えたいのでしょうね。
日本はインフレ税で税収が増えているものの、国債金利も上がっていってるわけですから、どうやってバランスとっていくのか見守りたいと思います。
日銀保有分の国債は、金利収入が国庫に返っていく仕組みですが、弊害もあったりしますからね。
日本は、国防予算増加への国民的支持が高まっていますから、自衛官の待遇改善・インフラ整備・武器配備などが粛々と進んでいく事を期待しています。
ドイツAFDのワイデルとか
ロシア制裁解除してガンガン原油輸入て言ってるし
政権取ったら軍拡キャンセルするだろね
仰る点、政局として可能性あるだろうなと。
英独仏は、政治情勢がほんと見通せないなあと感じますね。
国防費の為に国家財政がおかしくなっては本末転倒ですからね。次の政権に負債を背負わせなかったのはスターマー首相の最後の矜持だったのかもしれません。
投資先の内訳を見るとやはり核抑止はとんでもない金食い虫ですね
そのしわ寄せが有人ヘリも水上艦戦闘艦も全て2030年代には退役させて無人兵器に「置換」するという挑戦的過ぎる方針なんだと納得出来ます
これ一般政府総支出(国の全予算)で見ると実は現状でもイギリスは結構頑張ってる方だからもうちょい評価してあげて欲しい
GDP比でなくNATO定義の支出比だと国防費こんな感じになる
◯別格
台湾(18.4%)、ポーランド(9.1%)、アメリカ(8.5%)
◯約束してない組
オーストラリア(7%前後)、イギリス(5.4%)、日本(4.5%、補正予算込み)、スペイン(4.4%)
◯NATO主要国
カナダ(4.5%)、ドイツ(4.0%)、イタリア(4.0%)、フランス(3.6%)
ごめんミス
NATO定義だと海保予算は全部計上出来ない上に思いやり予算を含められないから日本は4.0%くらいになるね
これだけの潤沢な予算があるのに83型駆逐艦も32型フリゲートも計画から脱落ってどういうこと?どれだけ船の単価が高いんだ