ポーランド、フィランド、バルト諸国は地雷の有効性を再確認し「オタワ条約から脱退する」と表明、英国でも元国防相のベン・ウォレス卿が条約脱退を主張し、上院議員のロバサン卿も「この条約は英軍や平和にとって何の役にも立たない」「我が軍の防衛手段を1つ奪うだけだ」と訴えた。
参考:Growing calls for UK to withdraw from treaty banning landmines
今のところスターマー政権はポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、フィランドに続くつもりはなさそうだ
ポーランドのトゥスク首相は先月7日「我々はウクライナの安全保障に米国関与を期待しているが、希望は決して戦略の代わりにはならない」と述べて「ポーランド軍を50万人に拡張する可能性」や「オタワ条約=対人地雷禁止条約からの離脱も含む防衛力強化の検討」に言及し、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの国防相は18日「国家を守るためオタワ条約の破棄で一致した」と発表した。

出典:Kancelaria Prezesa Rady Ministrów
ポーランド政府は「オタワ条約批准以降、我々の安全保障環境は著しく悪化し、ロシアやベラルーシと国境を接するNATO加盟国への軍事的脅威が大幅に増大している。これに対応するにはポーランド軍に柔軟性と選択肢を与えることが重要で、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの国防相は全員一致でオタワ条約の破棄を勧告する。我々の決定は『領土と自由を守るため必要な如何なる手段も用いることができる』という明確なメッセージだ」と説明。
NATO加盟国の中でロシアと接する国境が最も長いフィランドもオタワ条約脱退を示唆してきたが、ストゥブ大統領は1日「我々は安全保障環境の変化に対応するため2つの重要な決定を下した。フィンランドは2029年までに国防費をGDP比3.0%に引き上げ、オタワ条約からの脱退に備える。この決定は関係省庁と国防軍による徹底的な評価に基づいている」と、オルポ首相も「オタワ条約から脱退することで安全保障環境の変化により柔軟な対応が可能になる」と述べ、Defense Newsも「地雷は長期に渡って民間人を危険にさらすかもしれないが、ウクライナは地雷のお陰で領土を効果的に防衛することが出来ている」と指摘した。

出典:Number 10/OGL 3
英政府はオタワ条約脱退の流れが加速する中でも「引き続き条約に留まる」と表明しているものの、国内ではオタワ条約からの脱退を求める声があり、元国防相のベン・ウォレス卿も条約脱退を主張し、上院での議論でもロバサン卿は「オタワ条約は見せかけに過ぎない」「アフガニスタンやイラクで英国人兵士が地雷で負傷するのを目撃した」「この条約は英軍にとっても平和にとっても何の役にも立たない」「我が軍の防衛手段を1つ奪うだけだ」と言及。
さらにウェリントン公爵も「条約成立から25年が経過して軍事的状況は想像を絶するほど変化した」「政府は条約の原則を維持しながら軍事情勢の変化も考慮し、条約の内容を修正することを提案する」と訴えたが、上院議員の中には「オタワ条約の維持」を主張する勢力も存在し、今のところスターマー政権はポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、フィランドに続くつもりはなさそうだ。
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※アイキャッチ画像の出典:UK Ministry of Defence
フィンランド・ポーランドは、トランプ政権との関係も上手に構築しているように見えます。
対ロシア=ベラルーシ最前線の危機感が大きいでしょうから、左翼志向に流されることなく、アメリカと上手にやっているのは賢明判断と思います。
ウクライナ戦争初期・南部防衛の失敗は、ウクライナ南部~クリミアの要衝に地雷設置が遅れたことがあるうえに、戦訓として地雷の有効性が改めて証明されています。
地雷は安くコストパフォーマンスに優れた武器ですから、防衛費増額をするだけでなく、オタワ条約脱退を決断したのは陸上国境の安全性を高める上で不可欠でしょうね。
別件だけど日本もオスロ条約だけは批准すべきじゃなかった
そもそも防衛省はクラスター爆弾禁止に反対していたのに、その主張を無視してまで加盟しだしたのは政治家の特典稼ぎでしかない
日本の政治家が短慮だったのはその通りだけど
EUは金融面で日本のクラスター弾関連企業に嫌がらせしてたから
やっぱヨーロッパ人が異次元のksだと思う
自分たちが危機に陥った途端にコレですよ
何か深い信念が有った訳ではなく単に安全圏だから善人ぶってただけ
巻き込まれたアジア人は堪ったモンじゃないよ
欧州しぐさですわな
自分達に都合の良い時は、これは素晴らしいものだ!と主張
自分達に都合が悪い時は、じつに酷いものだとこき下ろす(かつ、責任には触れない)
国家の利害としては正しいですが、もうちょっとオブラートに包むなり、控えめにやれよ、あと他国に押し付けるなという気持ちになります
石炭燃やしまくりだしたのもそうですが、まさに欧州という感じですね。
まぁ各国が欧州政治に苛つく理由、特に米国が欧州外しを画策したくなるのもよく分かる理由が詰まった素晴らしい主張だが、
対ロシア戦の為に国土の一部を無人地帯にする覚悟が決まってるポーランド、フィンランド、バルト三国と比べて、結局は自国は蹂躙されないと高くくってるし、他方対外派兵も米国抜きでは出来ない英国の決断なんて何の役にも立たないと思う。
結局危機感については日本はポーランドやフィンランドとはある程度価値観を共有出来ても、所詮他人事な英独仏の政局に期待するだけ無駄だと思う。
ウクライナは当初の予定通り緩衝地帯扱いとして、ロシア·ベラルーシと各国の長い国境線について、NATOとしてどう防衛するか何も決まってない時点で、あの組織の無意味さを発揮していると言うか…
ポーランドや或いは近年参加したフィンランドが個別に防衛線を構築しても兵員予算の限界はあるんだし、一体何の為の集団的自衛権なのか?結局外交でフィンランド、スウェーデンを参加させて、ロシアに強がってもそこから先を何も考えてない。
絶対にウクライナ派兵より先に議論されるべきだろうが、ゼレンスキーと同じで地に足つかない議論が大好きだからそういう防衛線構築みたいな現実的な話は何も進む気配がない。宇露の戦いを見て防衛線の有意義さを素直に受け入れるのは結局ロシアと対峙している数カ国だけ。
実際先進国でこの手の規制はいらなかったのではないだろうか‥
日本も次の政権で脱退しよう
わが国は地雷除去装置製造企業に補助金を出して、生産能力を増強しよう