トルコのエルドアン大統領はアルメニアに対して「ナゴルノ・カラバフ地域から出ていかない限り平和は訪れない」と発言して注目を集めている。
参考:Turkey’s Erdogan says Armenia must withdraw from Azeri lands
参考:‘Armenia moving S-300 missile systems to border areas’
露骨なアルメニア非難で注目を集めるトルコのエルドアン大統領、アルメニアはS-300を前線に移動
アゼルバイジャンとアルメニアが領有権を巡って争っているナゴルノ・カラバフ地域はアルメニア系住民が多い土地で、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国のボリシェヴィキ裁定によってアゼルバイジャンに帰属(高度な自治権が与えられている)することが確定したが、アルメニアは諦めることなくソ連の政局が変わる度にナゴルノ・カラバフ地域編入を要請しつづけてきた。

出典:public domain
これに危機感を感じたアゼルバイジャンは1989年ナゴルノ・カラバフ自治州を廃止して直接統治に切り替えたのだが、この決定に反発したナゴルノ・カラバフ地域のアルメニア系住民が独立を宣言してアゼルバイジャンとの全面戦争に突入したのが、ナゴルノ・カラバフ地域の独立を支援するアルメニアが参戦したため戦いは泥沼化、1994年にロシアの仲介で停戦するまで数千人の死者と数十万人の難民を生み出す結果となる。
ただナゴルノ・カラバフは独立状態を保つことに成功、ナゴルノ・カラバフ共和国(もしくはアルツァフ共和国)成立を宣言したが国際社会からの承認は得られずアルメニアの支配地域として認識されているのが一般的だ。
要するに今回の紛争はアゼルバイジャン側にとって正統な権利の行使=不法に自国領の約20%に相当するナゴルノ・カラバフ地域に居座るアルメニア軍を追い出して直接支配を回復させているという認識で、トルコはナゴルノ・カラバフ地域に住んでいたアゼルバイジャン系トルコ人が追い出されたことを口実(あくまで名目であり実際はエネルギー問題)にアゼルバイジャンを支援している。
このような背景を理由にトルコのエルドアン大統領は「アルメニアによるナゴルノ・カラバフ地域占領によって始まった問題を終わらせる時がきた、アゼルバイジャン領からアルメニアが直ちに撤退すれば平和が訪れる」と言及、さらにロシア、フランス、米国はこの問題を30年間かけても解決することが出来なかったと批判して「結局アゼルバイジャンは自らの手で問題を解決しなければならずトルコはあらゆる支援を行う」と語り注目を集めている。
さらにトルコのイスマイル・デミル国防衛産業庁長官も「アゼルバイジャンはあらゆるトルコ防衛産業のリソースを自由に使うことができる」と発言しており間接的に今回の紛争に関与してることを公言していると言えるが、アルメニア側言及しているトルコ軍の派遣=直接的な関与に関しては一切行っていないという立場を崩していない。

出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 短距離弾道ミサイル「イスカンデル」
ただアルメニア側はトルコがナゴルノ・カラバフ地域への攻撃にトルコ空軍のF-16を派遣していると主張しており、アルメニア国防省は公式に「トルコがアゼルバイジャン支援のためF-16C/Dを派遣した場合、短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を使用する」と警告、首都エレバン防衛に配備されていたロシア製防空システム「S-300PS/V」をアゼルバイジャンとの国境沿いへ移動させている。
果たしてトルコが本当にF-16を派遣しているのかは不明だが、間接的なトルコの支援を考えればアルメニアはアゼルバイジャンとトルコの2ヶ国を相手に戦っていると言えるだろう。
※アイキャッチ画像の出典:Jerry Gunner / CC BY 2.0 トルコ空軍F-16C
領土を外国に不法占拠されている日本人としてはアゼルバイジャンの気持ちも分からなくはないが、やはり武力による一方的な現状変更は絶対に認めてはいけない。
そしてエルドアンは習近平小熊維尼並みのトラブルメーカー。
ナゴルノ・カラバフにおいては正直ソ連による帰属の裁定に問題があったように思います。
ソ連時代の住民の強制移住はとても悪名高く、このように「お上の都合」で決定された裁定がとても多いです。
ウクライナ問題然り、ソ連に加入していた国家及び国民はソ連、とりわけロシアに対して反発が多かったのです。
アゼルバイジャンにもアルメニアにも同じくらいのレベルの言い分があると私は考えています。
ソ連崩壊をきっかけに押さえつけられていた諸問題が噴き出すことは確定路線であり、今まさに我々はそれを目にしているということですね。
私はむしろこれを利用するトルコに大きな問題を感じます。
トルコの後押しがなければアゼルバイジャンもこんなに拙速で軽薄な侵攻はしなかった野では…と考えてしまいますね。
また、トルコが住民同士に悪感情を与えるためにどのような情報戦を仕掛けたのかも気になります。
そこでクリミア半島で同じ事をやってるロシアがどの口でアゼルバイジャンに言えるのかよってツッコミだな、ソ連という過去の清算っての辛いもんだね
マルクス、レーニン、スターリン(赤いヒトラー)はきっと地獄の最下層に堕ちているだろう。
微妙に違うな。コーカサス南部でソ連による民族の強制移住はほとんど起きていない。ナゴルノ・カラバフにアルメニア人が住み始めたのは紀元前200年くらいからだ(アゼルバイジャンは、アルメニア人は1700年代からの入植にすぎないので、自分たちの方が古いと出張している)
むしろソ連が表向き民族自決を掲げていたせいで、アゼルバイジャンに帰属させるはずだったナゴルノ・カラバフにアルメニア人による自治を認める羽目になった
ソ連による裁定が妥協の産物で甘かったので、ずっとくすぶっていたんだよ
ナゴルノ・カラバフの件と住民の強制移住の件は紐付けて書いていませんね。
ソ連の域内における国家群の不満について書いたつもりです。
分かり難かったかもしれませんね。
アゼルバイジャンからしてみれば、30年前に武力によって一方的に現状変更させられたって認識でしょうよ。国家間の領土紛争で30年は時効じゃあない。
ロシアがイランを動かせればアゼルバイジャン押さえに一定の効果があるはずだが、イランが出てくると欧米が怒るという、ややこしさ倍増
EC、アメリカが直接トルコに強く出ないとエルドリアンは勘違いして今後もヒトラー路線を進むよ
アゼルバイジャンの人口は900万人だけど、イランにはアゼルバイジャン人が1000万人以上住んでるからな・・
アゼルバイジャンに圧力をかければ自国内で混乱が起きることは必至だし、アルメニアはキリスト教国でたいした資源も工業力もないから正直イランが動く可能性は低いんだよね
一部に米・仏・露が、各々土・アゼルと接触しているとのBBCなどの報道もあるが、土とアゼルの落とし処が見えず、諸外国は探りを入れている模様。アゼルでは限定動員令が出され、一部予備役が招集されているようだ。エルドアンの目的は、紛争の長期化か、あるいは主要国への攪乱か。
エルドアン野望を隠しきれなくて草。ロシアさん何とかして、どうぞ。
アルメニアのSu–25をトルコのF-16が撃墜したようだとの情報が流れてますね。
プロパガンダ合戦も始まっているので確定と言い切れないのが…。
プーチンが「領土問題を武力で解決してはならない」って言っても・・・ねぇ?
でもこのままだとロシアが介入するのも時間の問題なのでは?
S-300を国境沿いに移動したらドローンの行動範囲に入って飽和攻撃の餌食になるのでは
トルコは支援国ではなく共同参戦国だからねえ
トルコのアルメニアへの直接攻撃が始まれば(まあもう始まってるだろうけど
ロシアは軍事同盟の関係上トルコに宣戦布告しなければならなくなるが
はたしてどこまで規模が拡大するか
アゼルバイジャンとアルメニアの戦闘に、トルコが停戦より先に現状の変更を求めて口出しするのが変
やはりエルドアンの謀略とみていい、真の目的はトルコの利権確保のための外交的冒険にアゼルバイジャンが乗っかって動いたのでしょう
しかしトルコにF35売って無くて本当によかったな。
あっても流石にアルメニア相手にF−35出さないだろ、出さないよね?
撃墜された機体がアルメニア経由でロシアへ。
デューク東郷の連絡先は?
話を聞こう。
「用件を聞こう」だった。
ごめ。