トルコのエルドアン大統領は12日、防衛産業企業アセルサンの新しい施設の落成式で講演を行い同社が開発した電子妨害システム「KORAL」の後継バージョンが開発中だと明らかにした。
参考:Turkey Begins Work on Next Gen KORAL Electronic Warfare System
参考:Global Power Turkey’s President Erdogan gave the gospel: We have reached Space 4 more times
シリア政府軍の装甲車輌を一方的に壊滅させることに貢献した電子妨害システム「KORAL」の後継バージョンを開発
防衛産業企業アセルサンの落成式に出席したエルドアン大統領はトルコの防衛産業が如何に発展を遂げてきたかに触れ、1974年に実施したキプロス侵攻作戦(キプロス紛争)が重要な役割を果たしたと強調した。
キプロス紛争を一言で説明するのは難しいが結末だけ述べると、ギリシャがキプロスのギリシャ併合派(ギリシャ系住民)を煽ってクーデターを起こさせ当時のキプロス政権を打倒、これに危機感を感じたトルコがトルコ併合派(トルコ系住民)を保護する目的で軍事介入を行い最終的にキプロス共和国とは別に北キプロス・トルコ共和国が誕生したが、トルコはキプロス紛争に軍事介入したことで国際社会から厳しい経済制裁(禁輸)を受けることになる。
この事件を契機にトルコは輸入に頼った防衛装備品の調達では独自の安全保障政策や外交政策を実行するのが難しく、国内の防衛産業育成がトルコに不可欠だと認識するのに役立ったとエルドアン大統領は強調して「キプロス侵攻作戦の教訓」がトルコ防衛産業の出発点だったと振り返った。
エルドアン大統領の講演内容の要点は以下の通りだ。
故オザル首相によって立ち上げられたトルコ防衛産業も今では国営企業、民間企業、中小企業、下請け企業、大学、研究所などで構成される巨大なエコシステムを形成するようになり、過去5年間で約350ものプロジェクトが実行され約600億ドル(約6.2兆円)を投資、この期間にトルコ防衛産業の売上高は110億ドル(約1.1兆円)に成長して防衛装備品の輸出額は30億ドル(約3,140億円)に増加した。
トルコの防衛産業は自国だけでなく同盟国や友好国のニーズに対応することが可能で国際社会が課す禁輸措置も克服できるようになったため、国内のテロ対策や国外での軍事作戦(安全保障の上で必要不可欠な作戦という意味)を好きなだけ行うことが出来るようになり、トルコは防衛産業の発展のお陰で全てを手に入れることが出来た。
トルコは過去の欠点を克服して現在の脅威に備えるだけでなく将来にも目を向けており、研究開発への投資をさらに増やして高度な技術を必要する装備品の開発に取組中で、無人航空機の群制御、無人装甲車輌、人工知能を活用したシステム、レールガンやレーザー兵器を開発中だ。
キプロス侵攻作戦で浮き彫りなった問題を解決するための設立されたのがアセルサンで、通信、レーダー、電子戦、電気光学、セキュリティ、ミサイル防衛システム、無人自動運転車技術、新世代の人工知能システムなど幅広い分野で多くの成果を挙げ続ける活躍に私は胸を躍らせている。
この様に語ったエルドアン大統領はアセルサンが2009年に開発した電子妨害システム「KORAL」の後継バージョンが開発中だと明らかにした。
この電子妨害システムはシリア内戦やリビア内戦、最近終結したナゴルノ・カラバフ紛争にも使用されたと言われており、2019年にシリア国内のクルド人勢力に対するトルコ軍の軍事作戦「平和の泉作戦(または平和の春作戦)」で決定的な役割を果たしたと評価されており、この後継バージョン開発に海外メディアが注目している。
トルコでは平和の泉作戦中にシリア政府軍の装甲車輌を一方的に壊滅させることに成功した要因に敵が光ファイバーなど電子妨害に対して耐性をもつ通信網をもっていなかったこと、シリア政府軍の通信やセンサーを電子妨害システム「KORAL」で麻痺させることに成功したこと、ロシア製の電子妨害システムの電波特性を研究してバイラクタルTB2やアンカSといった無人航空機(UAV)に対電子妨害対策を施したことを挙げており、今後の地上戦で戦車や装甲車両が効果を発揮するためには電子妨害システムと防空システムの充実が欠かせないとの結論に至ったらしい。
恐らくトルコは実戦でのUAV使用経験が最も豊富な国と言っても過言ではなく、UAVの利点と同時にUAVの弱点も最も知り尽くしていると言えるため、どの様な電子妨害システムを開発するのか世界が注目している。
余談だがトルコ航空宇宙産業(TAI)は12日、航空産業に使用される熱可塑性CFRP部品をトルコで製造するためためにボーイングとパートナーシップ契約を締結したと発表した。この契約に基づきボーイングは熱可塑性CFRPを製造するための施設建設を技術的にサポートすることになるとTAIは話しており、熱可塑性CFRP製造を取り扱う技術者のトレーニングも契約に含まれているらしい。
参考:Turkey’s TAI to cooperate with Boeing in thermoplastic composite production
※アイキャッチ画像の出典:アセルサンが開発した電子妨害システム「KORAL」
>過去5年間で約350ものプロジェクトが実行され約600億ドル(約6.2兆円)を投資
防衛関連の研究に反対するナンチャラ会議が幅を利かせてる某国とはエライ違いだな
トルコの防衛産業の発展羨ましいですね。軍事研究ハンターイとか喚く奴も居なそうだし。日本も、産官学の連携を強めて科学技術をどんどん防衛に応用し発展させて欲しい。
こう言う好戦的な国に熱可塑性CFRPを製造するための施設建設などを持たせるべきでは無いと思うが。
熱可塑性CFRPって、例の積水化学から中国に漏れた技術なのか?
このぐらいなら大丈夫だろうってどんどんカネ目当てで技術移転してたら
とんでもない化け物国家が出現するのは中国で懲りて欲しいとこなんだけど
自分の頭の上にドローンが飛んでくるまで無理だわな…
日本だけはこういう戦争とは無縁であってほしい。そう願うことが真のリアリストの第一歩であることを忠告しておきたい
尖閣、竹島、北方領土に拉致問題
周辺諸国全てから主権侵害受けてるクセに何言ってんだ
願うだけで戦争が遠ざかるんなら誰も苦労しないんだよ
そりゃ仕掛けてるどこかの回し者ですから…。
9条教徒は失われた古代の遺物だと思ってたが、今もいるんだねえ…
真のリアリストは『願う』という不確実な行為はしないんよ。
現実を直視して合理的判断および思考に基づいて行動を起こすんよ。
戦争と無縁であって欲しい点については激しく同意だけど、方法論については多分意見は異なるだろうね。少なくとも非武装=平和なんていう幼稚な絵空事にはお付き合いできませんな。
やっぱりエルドアンは凄いな
日本もUAVに力を入れるべきなのにトンチンカンな規制してばっかり
憲法9条と同じで敵がそんな規制を気にするわけ無いのにアホかと思う
エルドアンはフセインやカダフィみたく派手に散るか、今のプーチンみたく細く長くしぶとく生き延びるかの正念場だわな。
一様、TACOMを開発してるからUAVに関する研究に手を付けてないわけではないし、UUV/USV分野はOZZ-5等の開発・実用化でそれなりに各国と競合出来なくはないと思う。ただ、法整備やかなり昔の覚書の性でがんじがらめになってるのはどうにかしないといけないち思う。総務省の電波法とか
「妨害」の2文字が先に目に入ったからか、装置名を「KOREA」だと思ったわ
トルコはオスマン帝国時代に国力、軍事力弱体化した結果、領土をどんどん切り取られていった記憶があるし、
今も国内にクルド人問題という爆弾を抱えてるから、他国に舐められるわけにはいかないんだよ。
エルドアンは危ない橋を渡りすぎだけど、弱腰姿勢を見せたらトルコという国の存続が危うくなりかねないというのはよくわかってるんだろうね。
追い詰められてるからこそ、経済危機でも外向けに無謀な軍拡・進出計画ぶち上げ続けるしかないとも見れるわな。
末期のソ連や今の中国とも重なって見えなくもない。
トルコの今日があるのは、イスラムから距離をおく世俗化政策と、広大な異民族領土放棄を選ぶことでトルコ本国の保全を確定した両輪の成果です
エルドアンがオスマン帝国の復活を妄想してても、それは世界から全力で否定されるだけですがね
妄想でここまで書けるとか凄い
日本語読めてるか?
ロシア「じゃ、コイツ目掛けて飛んで行く自爆ドローン作ったろwアルメニアには悪いがナゴルノ紛争で威力と運用は大体解ったしw」
※ロシア製の自爆ドローン自体は既にある
ARMとどう違うんや
キプロス紛争か。トルコの行為自体はアルメニアとナゴルノカラバフのそれとそう大差無いよな。
それでも当時は冷戦中で同じ西側陣営だからと欧米からも大目に見てもらってたが、これからどうなるやら。
ナチスとか昔からギリギリのチキンレース仕掛ける国って結構あるけど
歴史を鑑みるに意外と皆さん気が長いと言うか寛容だよね
まだまだあちこちの地雷を踏みながら世に憚っていきそうな気がする
流れで言うと次は弾道ミサイルと核なんだが
チョビヒゲ路線はどこまで進む