欧州関連

無人航空機で成功を収めたトルコ、武装した無人水上艇「ULAQ」の海上テストを開始

昨年10月に発表したトルコ初の装甲無人水上艇「ULAQ」のプロタイプが完成して一連の海上テストが開始されたと報じられている。

参考:Turkey’s 1st unmanned marine craft begins trial trips 

開発発表から5ヶ月でトルコ初の無人水上艇「ULAQ」のプロタイプが完成

軍事用用途の無人航空機(UAV)開発で大きな成功を収めたトルコが次に実用化を狙っているのは海上を無人で航行して自律的に所定の任務を行う無人水上艦(Unmanned Surface Vehicle:USV)で、昨年10月に装甲無人水上艇「ULAQ」の開発を発表したばかりだが、今月12日にULAQのプロタイプが完成して一連の海上テストが開始されたと報じられている。

出典:Meteksan Defense

ULAQはAIによる自動制御が可能で目標の捜索・監視に必要なEO/IRセンサーと遠隔操作に必要な暗号通信装置、国産レーザー誘導ロケット弾「Cirit」4発と国産対戦車ミサイル「L-UMTAS」2発を搭載、最高速度35ノットのスピードと約400kmの作戦範囲を備えており水上監視、輸送船の護衛、非対称戦など様々な任務に対応だ。

さらにULAQは顧客の要望に合わせてレーダーや電子妨害システムなどの装備を追加搭載することも可能で電子情報収集タイプ、掃海タイプ、対潜タイプといった派生型の開発も計画されており、トルコはUAV開発で培った技術を応用することでUSVを実用化して自国の海上戦力強化や海外輸出を狙っているものと思われる。

トルコメディアの取材に応じた開発関係者は「ULAQはトルコ軍のみならず同盟国や友好国の双方から大きな注目を集めており、完成したプロタイプを使用して一連の海上テストが完了すると搭載兵器の試射に移行する予定だ」と説明したが具体的な実用化までのスケジュールについては明かされていない。

果たして小型の無人水上艇が海上での戦いにどの程度効果的なのかは今後の開発状況や実用化後の運用状況を確認しないと何とも言えないが、トルコの兵器開発における「スピード感」や「産学官連携」についてはお世辞抜きに羨ましいと感じてしまう。

関連記事:UAVの次はUSV、トルコが武装した無人水上艇「ULAQ」を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Meteksan Defense

米国やサウジがアイアンドーム導入に動く理由、パトリオットではUAVの迎撃が困難か前のページ

UAV技術の拡散、あるアジアの国にイスラエル人が徘徊型ドローンを不正輸出次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ノルウェーが次期戦車の発表を延期、戦車と長距離攻撃能力の調達優先度が逆転か

    ノルウェー国防省は次期戦車の選定結果発表を2023年3月まで遅らせると…

  2. 欧州関連

    トルコとウクライナが軍事協定を締結、バイラクタルTB2とエンジン技術を交換か

    トルコのエルドアン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は16日、トル…

  3. 欧州関連

    ウクライナ各地で動員解除を求めるデモ、国民全員が勝利に責任を負うべき

    ウクライナの総動員は服務期間が定められていないため「手足を失うなど服務…

  4. 欧州関連

    ポーランド農民によるウクライナ国境封鎖、明日から全検問所に拡大予定

    ポーランド人農民によるウクライナ国境の封鎖は3ヶ所から6ヶ所に拡大、こ…

  5. 欧州関連

    フィンランドが6月にNATO加盟申請を提出? スウェーデンもこれに続く?

    英Time紙は11日「フィンランドはNATOへの加盟申請を6月に提出す…

  6. 欧州関連

    NATO事務総長の補佐官、領土放棄とNATO加盟の交換が解決策になると発言

    NATO事務総長の補佐官は15日「(ウクライナとロシアの戦争について個…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    ほんとにすげぇな
    トルコがここまでやれるなら中国は何処まで進んでるんだろうって恐ろしくなるよ

    29
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      中国は無人イージス艦をテスト中ですね。

      【中国の世界最小イージス艦JARI-USV】
      リンク

      1
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    太平洋や大西洋のような波の高い外洋では使い物になりそうもないけど、
    地中海や紅海とかではなにかと役に立ちそうな印象ですな。
    戦場がカルネージハートめいてきて楽しくなりそうです。

    15
      • A
      • 2021年 2月 16日

      あと港湾防御用とかいろいろと使い道がありそうですね。

      18
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    ヤマハのレジャーボートを無人化して、中距離多目的誘導弾載せたら日本も似たような物出来そう
    このサイズの無人艇が有効って分かったら、トルコから買うより自力で建造しちゃう国の方が多いんじゃないだろうか

    11
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      草創期の中国やイスラエルのドローンを見て、「あんなオモチャが戦場で何の役に立つ!我が国にはもっとマトモな飛行機やr船を作る技術がある」と慢心してた国々が現在真っ青になってるんですが

      19
        • 匿名
        • 2021年 2月 16日

        うーん・・・そんな意見初めて聞いたような
        米軍のアフガニスタンへの投入でUAVヤバいが大半だったような

        11
        • 匿名
        • 2021年 2月 16日

        気がついたら取り残されてるのが自衛隊でなければいいんです
        判んない人は判んないで終わるしかないから

        13
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      ジェットスキーで十分

      1
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      中東やアフリカの民兵組織が先に実践しそうな予感……そのうちヤマハ・ウォーとか言われるのかね

      6
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    まだ戦争には使えなさそうでも、平時のパトロールや偽装難民テロリスト相手には有効ですね
    赤紙一枚で国民を損耗した末に敗戦した過去から学んで、現代戦の勝利とはいかに人的損害を回避しつつ敵にダメージを与えるか、我が国こそ真剣に参考にして欲しい

    16
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      >平時のパトロールや偽装難民テロリスト相手
      UAVに対する優位性がない。

      3
        • 匿名
        • 2021年 2月 16日

        トルコですからね、自国の航空優勢下でギリシャとの多島海紛争を想定してるんじゃないかな、逆にトルコ得意のUAVによって無人艇の警戒警護にあたらせるとか

        2
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    UAVよりデカいミサイル使えるけど対艦攻撃は艦砲射撃で安く対処されそう。
    少しでも潜れたらすごい兵器に化けそうだが。

    3
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    万年人員不足の日本こそこの分野は先手打つべきなんだろうがなあ。

    22
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      有人護衛艦に随伴する無人護衛艦(アーセナル艦)とか出てくるんやろうか?

      8
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      無人潜水艦で甲標的復活とか浪漫ですね。
      アレは時代を先取りすぎた平気だったかもしれませんし。

      2
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    どんなことができるんだろ。UAVと違って用途は限定されるような。
    民間船に紛れてのチープキル狙いとか、港に突入させてとかしか思いつかないのは島国だから?

    1
    • 新・にわかミリオタ
    • 2021年 2月 16日

    >トルコの兵器開発における「スピード感」や「産学官連携」についてはお世辞抜きに羨ましいと感じてしまう

    もう本当にこれに限るな。

    30
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      日本はトルコの爪の垢を煎じて飲まねばなりませんが、でもこれはより戦争に近い状況、平時から遠いからこそでもあって、普通の国民からすれば喜ばしい状況ではありませんけどね。北朝鮮が核兵器やミサイル開発に躍起になっている状況に近いです。

      9
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      但し頭のエルドアンがボケたことしだすと
      国が総崩れになる危うさはあるよな

      6
        • 新・にわかミリオタ
        • 2021年 2月 17日

        国を引っ張っていくようなリーダーが、急におかしくなったり自殺したりすると、どこの国も同じところに行き着きますね。たしかに危ういなぁ

        3
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    これをLCSやFFMと組み合わせたら凄い事になりそうだ
    ただトルコ海軍に似たような艦があったっけ?

    2
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      こんなボートに毛の生えた程度のやつじゃ外洋での艦隊随伴なんて無理でしょ
      この手のUSVなら港湾設備や原発の警備に当てて海保や海自の負担軽減して
      浮いた人員を艦艇に回すように出来ればいいなってぐらいの感覚の方がいいと思うぞ

      8
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      FFMはもとからUSVの搭載を前提に作られてるんですが。なんなら、JMUがUSVの試作品作って自律制御の実証試験もやってるから、2,3年もすれば装備化されるんじゃないかな

      1
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    最近ここも特に無人機絡みの記事はコメ欄が異常に荒れるな

    4
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      そんな遠回しに不満を述べなくとも
      あなたが自分から不満を口にすればいいだけなのに

      11
        • 匿名
        • 2021年 2月 16日

        丁度お前みたいな奴が暴れたり粘着するしな(ため息)

        5
          • 匿名
          • 2021年 2月 16日

          時代の現実についていけないか

          8
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      否定したいけど否定する根拠が見つからない?

      5
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    野望のある国はそれだけ兵器に力を入れるって事ですな。それにしてもこの技術と金は何処から来るのか?

    1
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      新兵器計画を次々とぶち上げて即実戦配備しまくっては周辺国や大国(と国内世論)に対する威嚇・示威の手段に用いるのは歴史上あるあるだよな。

      優勢なうちは巧く機能する手段だけど、一度劣勢に転じるとやればやるほど疲弊のドツボにハマる。かつての日本やナチスやソ連(フィクションだとガンダムのジオン)の二の舞にならないかが、ここからのトルコの正念場。

      3
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      2020年10月の失業率が12.9%だったそうで、10%以上が定着しているそうです。化石燃料も豊富な資源国でもあるロシアなどとは状況が違うでしょうね。

      1
        • 匿名
        • 2021年 2月 16日

        でも地政学の将来予測を書いた書籍を読んだら
        欧州は独仏が衰退、ロシアは崩壊してポーランドとトルコが地域大国になるって意見があったな

        1
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    関係ないけどここ韓国の話題を取り上げなくなったよね。なんでだろ?

      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      韓国って最近なにか話題ありましたっけ。

      1
        • 匿名
        • 2021年 2月 16日

        既存の国産超音速対艦ミサイルの開発とは別にKFX用に新しいスクラムジェットを使用した対艦ミサイル開発を発表してたから取り上げて欲しかったんだけどね

        3
      • 匿名
      • 2021年 2月 16日

      そんなに気にしてやらなくても、

      4
    • 匿名
    • 2021年 2月 16日

    最近のトルコを見ていると良くも悪くも今後トルコはアメリカや中国、イスラエルと並ぶ世界屈指のドローン大国と化すんだろうね。

    5
      • 匿名
      • 2021年 2月 17日

      地政学だの詳しくは知らんけど、今はダメダメなギリシャやイタリアが世界史に載るような大帝国の時代もあったし、我が国も瞬間程度は恐怖の軍事大国な大日本帝国でいたもの。
      上の書き込みにあるようなポーランドやトルコの時代が再現するのか、あるいはナイジェリアみたいなアフリカの大国が立ち上がるか、イランだってどう化けるのかは数十年単位でないと読めないよ

      1
    • 匿名
    • 2021年 2月 17日

    今はまだRCSがでかいし航続距離も物足らないけど専用に造る際は潜水可、ステルス化、兵装多重化と航続距離確保にカタマラン(トリマラン、アウトリガー)とかやりそう。RCSは人が乗らないから傾斜カバーデザインと半潜水とかにより1/20になると35ノットも出るとCIWSで排除しづらく、近づかなくても攻撃可能な対艦ミサイル、対艦魚雷、対空ミサイルも積めてしまうかも。作戦行動半径で1000Kmくらい、航空無人機と違って浮いてられるから長時間の徘徊能力はとても高く、自立移動可能な機雷的な運用も可能にもなるとかの期待値が高めなんでしょう。エーゲ海のバイラクタルに1年くらいで発展する気がします。ミサイルなしならかなり安く造れるし有人艦船はコレに撃たれて沈むとか悪夢みたいなので作戦に影響がかなりありそう。トルコ官学産一致団結させての進化スピードはたしかに羨ましいところはあるのかも。

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP