トルコ航空宇宙産業(TAI)は空軍から第5世代戦闘機=KAAN Block10への正式発注(20機)を獲得し、米議会も通知された「トルコへのF110売却」を阻止せず、TAIのデミログル氏はファーンボロー国際航空ショーで「F110の輸出許可は7月9日に米議会で承認された」と明かした。
参考:Turkish Aerospace CEO: US cleared KAAN fighter engines for export
トルコは独自の第5世代戦闘機を実用化する目標に向けてまた1歩前進した
トルコ航空宇宙産業(TAI)は2025年5月、AviationWeekの取材に「トルコの安全保障に対する脅威評価に基づき、空軍はF-35であろうとタイフーンであろうと一定レベルの能力と即応性を維持しなければならないが、50年~100年後まで独立を維持するには自前の防衛装備品をもつ必要がある」「国産エンジンを開発することで米国の国際武器取引規制=ITARからKAANをできるだけ除外することが重要だ」「同時にトルコはITAR Freeによってプラットフォーム輸出における自由裁量権を獲得できる」と力説。
トルコにとって本格的な戦闘機開発は初めて、しかも第5世代機とエンジンを同時並行で開発するため潜在的な開発リスクは非常に高く、競合するF-35Aと同等もしくは匹敵する能力を実現できるかは現段階では不透明であるが、トルコは地域大国から大国になることを目指しているため「KAANの能力が仮にF-35Aの80%に留まったとしても武器システムの主権確保の方が重要」と主張しており、初期型は米国際武器取引規制(ITAR)の縛りがあるF110搭載バージョン、後期型は国産エンジン=TF35000を含む米国製技術を完全に排除したITAR フリーバージョンになる予定だ。
KAANのプロトタイプはF110を搭載して2024年2月に初飛行したものの、この機体=P0は元々「格納庫でのロールアウト用に製造されたデモンストレーションプラットフォーム」を飛行可能なように改造したもので、飛行テストを行う本物のプロトタイプ=P1、P2、P3を製造中、これよりも高度な能力を備えたプロトタイプ=P4、P5、P6の製造も計画されており、KAANのプロトタイプ=P1は2026年6月まで初飛行を行うとアナウンスしていたが地上試験に時間がかかっているため初飛行に到達していない。

出典:Prof. Dr. Haluk Görgün
トルコは5月に開催したSAHA 2026でF110搭載のKAAN Block10を20機発注し、TAIのメフメト・デミログル氏はファーンボロー国際航空ショーで「KAANのプロトタイプ向けにF110を10基確保済みで、Block10向けに80基購入予定だ。F110の輸出許可は7月9日に米議会で承認された。残りの手続きは標準的なものなのでF110の輸出許可は事実上取得済みだ。GE側の担当者と協力してBlock10の納期までにエンジン納入を間に合わせるつもりだ。Block10の量産開始は最低でも2年半先なのでトルコ空軍向けの量産に必要なエンジンを期日までに入手することに大きな問題はない」と発言。
GEの関係者もBreaking Defenseの取材に「80基のエンジンのうち初期バッチが2027年までに納入される見通しだ」「我々はトルコおよびトルコ空軍との長年にわたるパートナーシップを誇りに思っている」「GE Aerospaceは何十年にもわたり、トルコ空軍のF-16にエンジンを供給してきた」「トルコが進めているHÜRJET計画やKAAN計画を支援できることを光栄に思う」と述べた。
We’re welcoming the new year with new footage of our #HÜRJET. pic.twitter.com/Qst65veACY
— Turkish Aerospace (@TUSAS_EN) December 31, 2025
米議会がトルコ輸出を承認したという話は「国務省が6月24日にF110のトルコ売却に関する可能性を議会に通知し、15日間の審査期間中に売却中止を求める共同決議案が提出されたものの、上下両院議会では共同決議案を審議も採決もしなかったため効力を持つに至らず、議会がトルコ輸出を阻止しなかった=議会がF110輸出を承認した」という意味で、残りの手続きが標準的なものという話は「輸出許可を取得済みなので米政府、関係政府機関、GEとの間でF110輸出に関する実務協議が始まる」という意味になり、トランプ政権がF110輸出を容認しているため「実務協議でつまずく可能性は低い」と言いたいのだろう。
KAAN Block10の量産開始まで技術的につまずく可能性は残されているものの、これに搭載するエンジンが入手できないという問題はほぼ解消された格好で、トルコは独自の第5世代戦闘機を実用化する目標に向けてまた1歩前進した。
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※アイキャッチ画像の出典:Türk Havacılık Uzay Sanayii





















F110互換な感じで、直径115-118cmのITARフリー版100kN級エンジン作ったらかなり需要ありそうだな
戦闘機だけでなく、CCAとか用にも欲しいとこあるだろうし
F110と同じ性能、同じ値段で売り出しても、ITARフリーかどうかで選ばれる気がする
単純にF110サイズ100kNのITARフリー版作れば需要が有るとか流石に言い過ぎで本当にエンジンの事を分かった上で話をしているのか疑問に思えてくる。
そもそも航空機用エンジンは何を目的とするかで求めるパラメーターが違うので余程の事が無い限り何かしらの要素があってエンジンが選ばれる。
日本で言うなら何故F-2にF-15と同じF100を搭載しなかったのか、普通に考えるなら同じエンジンを選択した方が楽ではあるだろう。そこには別エンジンを選択する事での冗長性の確保や別メーカーの新たな知見が得られる事、支援戦闘機と制空戦闘機の差、単発か双発かと様々な要素が複雑に絡んだ上での選択だろうと思う。
それ以外にもランニングコストだったりエンジン自体のサイズ、バイパス比、エンジンの信頼性、燃費(環境による)、エンジン自体の価格と様々な要素がある。
新規開発機なら選択肢は広いが米国機体を導入する国にとってITARフリーエンジンが福音となり得るだろうかは考えるべき。ライセンス生産でも無いITARフリーエンジンなんて規制される可能性が全く排除出来ない。
CCAの需要にしたって現状見えている9割ぐらいはF110のドライ推力の1/4以下ほどのエンジン搭載で終わっている。高性能で高価格なエンジンを積んだCCAにどれだけの需要が有るかは現状では疑問だし、何故CCAにミリオタなら誰もが知っているようなメジャーどころのエンジンを積んでないのか考えるべきじゃないかな。
トータルでのコストであったり機体寿命に対して過剰であったり。低空に強いのか高空に強いのか、燃費とか推力を考えてのエンジン選択で積んでいるエンジンの素性が分かればおぼろげながらに何を重視しているかは見えてくる筈なんだよな。
F-2 → KF-21 → KAAN
どんどんとエンジン輸出条件がユルユルになっていくアメリカ
我が国のF-2の縛りのキツさはいったいなんだったのか
そろそろ解除要請してもいいのでは?
F110は三十年以上前の旧式エンジンなので…
F414も古いし。
F119やF135は無理やろ
そんな話はしてない
意外と順調のようですね。
やはりアメリカの防衛産業が、
西側諸国のアメリカ兵器離れを危惧しているためかもしれませんね。
戦闘機は結局エンジンが全てな印象です。
高性能なエンジンさえあれば、多少機体側の性能が悪くても、なんとかなってしまうということですか。
まさに力こそパワーということです。
エンジンは中国でもだいぶ苦労してるようです。
日本のF-2の自国開発断念の主要因はエンジンを作れないことでした。
一応リスク込みでやろうと思えば作れたとは思いますよ。>当時でも
その場合F-15Jの導入数が増えてFIのF-4EJが更新されてたでしょうけど。
あとはPre-MSIPのF-15のJ改改修しているか
トルコのカーンは空力と軽量化でどれだけF-15E系よりも性能あげられるかでないかなー
スペインはトランプ政権と距離を置くためF-35の導入をやめてKAANに興味あるらしいですけど、このままアメリカとの関係が悪化するとKAANの輸出にストップ掛けられる恐れがあるんですよね。
恐らくウクライナが協力しているんだと思いますが、民生用や小型のUAVや、巡航ミサイルのジェットエンジンと戦闘機用のエンジンでは別次元の難易度で、高度な冶金技術と製造品質管理の能力が問われます。
設計図はできても、各パーツに要求される強度、耐久性、耐熱性、精度は一朝一夕に獲得できるものではないと思います。特にほんの10年ほど前に、戦車のパワーパックひとつ満足に作れなかったトルコ企業が、これほど短期間に技術を獲得したとは到底思えないんですよね。
一品ものの試作エンジンは作れても、それを量産するのは全く異なる次元の話です。
例えばジェットエンジンの心臓部とも言える軸受のベアリングは内製化できているんでしょうか?高温下で10,000rpmで回転するタービンブレードを支える軸受に求められる精度と強度は、高度な冶金技術と精密加工技術が必要です。作れる企業は、世界中で数える程だと記憶しています。まぁEU圏ということで、SKF(スウェーデン)かシェフラー(ドイツ)が供給するんでしょうかね。それって「設計が」国産エンジンというだけにならないでしょうか。
いちいちごもっともなんですが、「TF35000の国産化」がうまくいくかどうかはこの記事とは関係ないのでは…。
日本も試作エンジンはすばらしいのを作れても実運用でちゃんと高稼働率を維持できるエンジンを量産できるかは不安が残りますよね。
エンジンに限らずですが航空機業界は徹底した実績主義なのです。〇〇の設計で累計運用時間がXX時間に達して、問題がなければ一か所だけ改善。それは、設計を変更せずに運用時間を延ばすとか、マージンを削って軽量化するとか、出力上限をUPするとか。そして、また、累計運用時間がXX時間の結果をみる。なので、いっぱい作っていっぱい飛ばしているところが圧倒的に有利。
内部のベアリングまで国産かどうかと言い始めたら、イギリスやフランスも怪しいのでは?
フランスは戦闘機用ジェットエンジンを国産化してから歴史が長いですが、フランスの有名なベアリングメーカーというのは聞かないのでスウェーデンやドイツ製ではないかと思います。
それでもってそれって「設計が」国産エンジンというのは違うんじゃないかと。