トルコ国防産業庁は26日「インドネシアとイスタンブール級フリゲート2隻の輸出契約、KAAN輸出に関する商業契約を締結した」と発表、さらにボラト貿易相も「2025年の武器輸出額は80億ドル=1.2兆円を優に超える」と述べ、2022年の輸出額が22億ドルだったことを考えると破竹の勢いだ。
参考:Savunma Sanayii Başkanlığı
参考:Türkiye says defense exports to ‘easily’ exceed $8 billion in 2025
国産艦艇の輸出が好調
トルコは海軍向け主要艦艇の開発、建造、輸出、搭載品の国産化にも積極的で、最初に建造したアダ級コルベットの国産搭載品は戦闘管理システムやソナーなどに限定されていたが、現在調達中のイスタンブール級フリゲートでは国産の各種センサー、電子機器、CIWS、対艦ミサイル、短魚雷が採用され、開発が進められているTF2000駆逐艦ではMk.41VLSよりも全長が拡張され国産VLS=MDASが搭載される見込みで、ここには国産化した対空ミサイル、対艦ミサイル、巡航ミサイルなどが搭載されるため「TF2000駆逐艦の実用化は武器システムの主権確保を概ね達成するマイルストーンだ」と言われてきた。

出典:Savunma Sanayii Başkanlığı
トルコ国防産業庁はイスタンブールで開幕した国際防衛産業見本市で「TF2000駆逐艦の建造契約」「アダ級ベースの哨戒艦建造契約」を締結し、TF2000の1番艦は2030年までに、哨戒艦4隻は2029年までに引き渡される予定で、この契約を受注した国営企業=ASFATは「TF2000の1番艦建造は2025年11月に開始され、アセルサンが開発したフェーズドアレイレーダーが搭載される。TF2000は海上だけでなくトルコ本土の防衛においても防空体制のゲームチェンジャーとなるだろう」と述べている。
さらに開発した国産艦艇の輸出も好調で、アダ級コルベットはパキスタン海軍向けに4隻、ウクライナ軍海軍向けに2隻、マレーシア海軍向けに3隻、中東の国向けに4隻、イスタンブール級フリゲートも中東の国向けに2隻の輸出に成功していたが、トルコ国防産業庁は国際防衛産業見本市で「インドネシア国防省とイスタンブール級フリゲート2隻に関する輸出契約を締結した」と発表、輸出先を公にできるイスタンブール級の契約を初めて確保した格好だ。
📍İstanbul | IDEF 2025
IDEF 2025 kapsamında, Başkanımız Prof. Dr. Haluk Görgün’ün katılımıyla TAIS Shipyards ile Endonezya Savunma Bakanlığı arasında 2 adet MİLGEM İstif sınıfı fırkateyn sözleşmesi imzalandı. 🇹🇷🤝🇮🇩
Bu anlaşma, Endonezya’ya yapılacak ilk MİLGEM sınıfı ihracat… pic.twitter.com/5w4nHlqdNt
— SSB (@SavunmaSanayii) July 26, 2025
📍İstanbul | IDEF 2025
Tarihin içinde tarihi bir an daha…
11 Haziran 2025 tarihinde Endonezya Savunma Bakanlığı ile imzaladığımız ve toplamda 48 adet KAAN uçağına yönelik iş birliğini kapsayan “Devletten Devlete (G2G) Tedarik Anlaşması” doğrultusunda; bu anlaşmanın tüm… pic.twitter.com/EtIbtttI6k
— SSB (@SavunmaSanayii) July 26, 2025
因みにトルコとインドネシアは6月のINDO防衛展示会で「KAAN購入の枠組みに関する合意」を発表したが、トルコ国防産業庁は国際防衛産業見本市で「6月に署名した政府間調達協定に基づき、インドネシア国防省とKAAN輸出に関する商業契約に署名した」「今回の署名は単なる輸出契約に留まらず、KAANに関するエンジニアリング、生産、技術共有における新時代の幕開けだ」「インドネシアに設立される現地産業基盤は友好関係に根ざした戦略的深化を反映したもになるだろう」と発表。
この他にもインドネシアはTB3×60機を発注済みで、国内では軽空母導入構想も浮上しており、Fincantieriの関係者も6月「インドネシアは2024年に退役したジュゼッペ・ガリバルディの取得に関心を示し、この件についてイタリア政府と国家レベルの協議が行われている。ジュゼッペ・ガリバルディの状態は良好で運用寿命も15年~20年残っており、インドネシア海軍の要求要件に合わせて改修することも可能だ」と明かしたが、まだ正式な調達協議は始まっていないと付け加えている。

出典:Prof. Dr. Ömer Bolat
追記:トルコの防衛装備品輸出額は昨年72億ドル=約1兆円に達して過去最高を記録したが、ボラト貿易相は見本市で「我々の防衛産業はますます勢いを増しており、今年の海外輸出額は上半期だけで35億ドルを突破し、神のご加護があれば今年の輸出額は80億ドル=1.2兆円を優に超えるだろう」「トルコ防衛産業の年間生産額は200億ドル規模で、この分野で活動している国内企業の数は3,500社を越え、約10万人の労働者を雇用し、100ヶ国以上に防衛装備品を輸出している」と述べ、2022年の輸出額が22億ドルだったことを考えると破竹の勢いだ。
関連記事:トルコ海軍が空母打撃群向けの駆逐艦を発注、搭載品の国産化で主権も確保
関連記事:インドネシアがトルコから第5世代戦闘機を購入、KAAN輸出契約を締結
関連記事:トルコの第5世代機開発、KAANは100年後まで独立を維持するに不可欠
※アイキャッチ画像の出典:Savunma Sanayii Başkanlığı





















2025.04.21 日本とインドネシアがフリゲート艦交渉を継続、潜水艦提供の可能性も議論
Japan Timesの取材に応じた駐日インドネシア大使は「日本とフリゲート艦の共同開発・建造に関する協議が続いている」
インドネシアへのFFM輸出の話はこれでなくなったのでしょうか?
新型FFMの大きさはイスタンブール級より二十メートル程大きい船ですが、排水量はほぼ倍の船なので、また調達は違うので無いでしょうか?
トルコは、リラの通貨安が悪い面ばかり言われてきましたが、(円安のように)輸出における価格競争力が上がるということになります。
通貨が、5年で4分の1に切り下がってますから、武器輸出を拡大しやすい金融環境ですね。
市井の経済を破壊しての輸出強化はどうなんでしょうね
2018年頃にトルコリラが信頼されなさすぎて、給料日に即外貨両替が一般化しているという話を目にしましたが今はどうなってるんでしょう?
通貨の切り下がる速度が、あまりにも早すぎますよね…
逆に言えば、ロシアが通貨価値それなりに維持できている事は、資源国の強み・ロシア中銀総裁=ロシア官僚の優秀さを感じるなと。
イスタンブール4人家族の生活費35万円くらいですから、今でもインフレヘッジをしていないと大都市部は、暮らしていくのが大変だろうなと感じます(やはり賃貸価格の伸び率がインフレ率よりも高いですね)
>12月のCPI上昇率を項目別にみると、サービス部門の価格上昇率が前年同月比で90.66%から65.73%に抑制されたが、不動産賃貸価格は105.82%と最大の伸びになった。
>これによると、前年同月比56.21%増の8万2,880リラ(約35万6,400円、1月31日付換算レートで1リラ=約4.3円)、前月比でも5,495リラ(7.10%)増加した。
(2025年01月14日 2024年12月のCPIは前年同月比44.4%の上昇に鈍化 JETRO)
(2025年02月10日 イスタンブールの生活費が高騰 JETRO)
最近はロシア製兵器って全然売れてないのよね
シェア落としまくってるし、トルコとは対照的だわね
武器輸出を伸ばすとは言ってた気はするけど
兵器マーケットは、競争がとても激しいなと。
ロシア製兵器も、(戦前のような)ロシアの外交力が見込めなければ、いろいろな国の1つとして扱われているのかもしれませんね。
この勢いだと本当にKAANが無事に開発成功しそうだな。
テジャスみたいになると思ってたのに。
インドを馬鹿にするな!
テジャスの場合、自分たちに足りない部分は素直に外国製の要素技術を使おうとしたら、核実験の煽りで制裁されて、妥協したのが完成したら、エンジンが納入されずに工場で未完成品が並ぶと言った事情なんで、インド自体を馬鹿にできる要素はあまりないと思いますけどね。
マイケルペティスによれば通貨安は家庭から輸出業者への強制補助金なので
トルコは国民一人一人のレベルでは購買力の低下、平たく言えば貧乏になる
と思われるが、代わりに輸出は好調を維持し続けるだろうな。
どこかで限界が来るのかどうかは分からない。
輸出が上手く行き過ぎれば通貨高になる段階を迎えバランスが取れるはずだが
自分で切り下げてる面が大きいし兵器輸出以外はそこまででもないんだよね。
TAIが民間機開発にも手を伸ばして、エンブラエルみたいになる可能性もあるからね
分かってはいたけど、メッチャクチャポテンシャルあるなぁトルコ……
ヨーロッパともイスラム世界とも渡りを付けられるし、人口規模もあるし、技術力が育って来たし、何より実戦経験積んでるし……
危ない立地という点以外はその勢いは羨ましくある
トルコはインフレがすごいのですが、そんな環境下でも実質GDPは順調に成長していたりします。
それどころか名目GDPのUSドルベースで2020年から2025年で2倍になる見通しです。
通貨価値が暴落する度合いよりもインフレの度合いの方が激しいということなのでしょうが、
はたしてそれは持続可能なのか否か。
実質で成長してるって事ならインフレ率よりも名目成長成長率の方が大きい、さらにドルベースの話であれば通貨下落率もカバーしてるって事になりますが信じがたい成長ですね
そうなんですよ。
2020→2025で、通貨価値は対ドルで約1/5になりましたが、トルコリラベースでの名目GDPは約10倍になっているので、ドルベースでは名目GDP約2倍なんです。
トルコリラベースの実質GDPでも2020→2025で30%ほど成長しています。
仰る通りです。
日本=トルコの購買力平価GDPベースで見れば、1980年~2025年(推計)にかけて、7倍あったのが2倍以下に縮小しています。
トルコの人口は、日本の7割程度のことも考えれば、驚くほどに差が縮まってきてるんですよね。
(最終更新日 2025年4月24日 トルコのGDPの推移 世界経済のネタ帳)
スレチで申し訳ありませんが速報です。
日本時間28日19時ごろNHKが速報を出しました。
タイとカンボジアが無条件の停戦で合意したと仲介したマレーシア首相が発表したとの事です。
PS5で面白かったゲームを教えてください
一番のお目当てだったゲームが少々アレだったもので…
景気の良い話で実に羨ましい
それにしても、順調に行けば、というところを
神のご加護があれば、と表現するのがちょっと面白い
景気が良いなと思いながらも翻って我が国を見てみるとアダ級より若干小さいOPVを4隻同時に建造しながら、イスタンブール級の倍近いもがみ型を毎年せっせと2隻建造してる……
瀕死の病人なんて言われた時代から100年余り、うだつの上がらないバランス外交をしてきたイメージがあったけどここに来て中小国向け市場での成功と先進国向けのアピールにも余念がなく、手堅い積み重ねが成功したイメージが付いてきたかな