スペイン空軍の参謀総長は昨年12月「F-5BMの後継機としてHürjetが有力候補だ」と言及、トルコ航空宇宙産業も14日「Airbusとスペイン企業15社で構成されたコンソーシアムと協力協定を締結した」と発表し、Hürjetベースの次期練習機構想が実現に向けて動き出した。
参考:TUSAŞ and Airbus team up on jet trainer pitch for Spanish Air Force
参考:Airbus y 15 empresas españolas se alían con la turca TAI para desarrollar el entrenador avanzado del Ejército del Aire
ここまで来るとF-5BMの後継機はHürjetで決まりだろう
NATOはシリア国内からトルコ領に向けて打ち込まれるミサイルを迎撃するため両国の国境沿いに加盟国(米国、ドイツ、オランダ、スペイン)のパトリオット部隊を2013年に派遣、しかしトルコから分離独立を求め武力蜂起したクルド人勢力=クルド人民会議→クルド労働者党→クルディスタン自由民主会議→クルディスタン労働者党との停戦合意が2015年7月に破られため、米国、ドイツ、オランダは派遣したパトリオット部隊の撤収を発表、トルコはNATOに代わりのミサイル防衛を提供するよう強く要請したが結局聞き入れられなかった。

出典:Turkish Presidency
スペインだけは派遣したパトリオット部隊を2015年8月以降も維持し、シリアとの国境に近いアダナ国際空港やトルコ空軍と米空軍が共同利用しているインジルリク空軍基地などを保護してくれたため、トルコはスペインに感謝しており、エルドアン大統領は2021年にサンチェス首相と会談した際も感謝の言葉を述べ「両国関係を更に深化させるためトルコ海軍向けの空母と潜水艦建造で協力を行い、無人航空機分野で共同プロジェクトを立ち上げる」と発表して注目を集めたことがある。
トルコ海軍向けの空母と潜水艦建造、無人航空機分野の共同プロジェクトがどうなったかは不明だが、昨年6月にエルドアン大統領がマドリードを訪問した際「Hürjet購入」が浮上し、両国間では「A400M購入とHürjet購入の交換」について噂が飛び交い、スペイン空軍の参謀総長も12月「F-5BMの後継機としてHürjetが有力候補だ」と言及、スペイン国防省も昨年12月「バルカルセ国防長官と駐スペイン・トルコ大使が戦闘機パイロットの高度な訓練システムを共同開発する覚書に署名した」と発表。
Janesはスペイン国防省の発表について「本協定はHürjetに関するものだ」と、スペインのディフェンスメディア=Infodefensaも「HürjetがF-5BMの後継機としてラベラ・ラ・レアル空軍基地にやって来る可能性に少し近づいた」「セリビアの企業はトルコ航空宇宙産業との契約を通じてトルコ産航空機の製造に参加している」と報じていたが、トルコ航空宇宙産業とTeam Spain=Airbusとスペイン企業15社で構成されたスペイン空軍向け次期ジェット練習機に関するコンソーシアムとの間で協力協定が結ばれ、Hürjetベースの次期練習機構想が実現に向けて動き出した。
今回の提携はAirbusの航空機設計、製造、訓練に関するノウハウをHürjetに統合することが目的で、まだ「スペイン空軍がHürjetを導入する」とは言及されていないものの、ここまで来るとF-5BMの後継機はHürjetで決まりだろう。
AVRUPA YOLUNDA ÖNEMLİ ADIM ✈️
Türk Havacılığı’nın Altın Çağı ilerleyişini hızla sürdürüyor. Havacılık tarihimizde yeni bir sayfayı araladık.@Airbus koordinasyonunda İspanyol firmaları ile Süpersonik Jet Eğitim Uçağımız #HÜRJET’e yönelik Mutabakat Zaptı imzaladık.
HÜRJET’in… pic.twitter.com/9OENOOFG8v
— Türk Havacılık Uzay Sanayii (@TUSAS_TR) May 14, 2025
因みにInfodefensaは今回の提携について「関係者に確認したところ本計画=Integrated Training Systemは2段構成で、第1段階にはトルコで製造された25機のHürjet取得が含まれている」「第2段階は技術移転を受けてHürjetの国内生産が予定されている」「スペイン国防省もトルコ航空宇宙産業とTeam Spainの提携を支持している」と報じている。
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※アイキャッチ画像の出典:Türk Havacılık Uzay Sanayii
クルド労働者党(PKK)の解散、武装解除について最近発表されてたのを思い出しました。
欧米が、クルド人問題について批判してきた、根本の一部が取り除かれたということでしょうかね?
スペイン=トルコ=Airbusが組むというニュースを拝見していると、ナゴルノカラバフ戦争・シリア内戦(新政権)・ウクライナ戦争・ガザ戦争など、トルコを含めた関係性は本当に複雑だなと感じてしまいます。
(2025.5.12 クルド武装組織が解散表明 対トルコで40年以上闘争 共同通信)
以前のT-7の記事で、ジェット練習機は過剰性能であり、シュミレーターとターボプロップ機の組合せにより対応出来るとありましたが、この辺りの方針は国によって分岐しそうですね。