欧州関連

NATO演習で実力を示したトルコ製無人機、イタリアがまもなくTB3を発注

イタリア海軍参謀総長は3月25日「TB3をLeonardo経由で取得して空母カヴールに統合する」と述べ、イタリア海軍が公式の場で初めて「TB3導入」に言及していたが、Baykarのハルク・バイラクタル最高経営責任者もBreaking Defenseの取材に「イタリアは数ヶ月以内にTB3を発注する」と明かした。

参考:Italy set to sign off on Turkish TB3 drone order within months, says Baykar CEO
参考:MGI Engineering Successfully Launches TigerShark in Strategic Partnership with Auterion

見た目のイメージだけで安価な無人機システムを否定的に考えていると戦場のトレンドにおいていかれる

イタリア海軍のジュゼッペ・ベルッティ・ベルゴット参謀総長は3月25日に開催された外交・国防委員会で「BaykarがLeonardoと提携したのは周知の事実でTB3取得はLeonardo経由で行われる」「この無人機は空母カヴールへの統合可能で監視と攻撃の両方を行うことができる」「今後も効果的な能力を維持するに伝統的な戦力資産、デュアルユース・プラットフォーム、無人システム、商業オペレーターが提供するサービスを組み合わせて効果のクリティカルマスを生成するのが重要だ」と述べ、イタリア海軍が公式の場で初めて「TB3導入」と「カヴールでの運用」に言及した。

Baykarのハルク・バイラクタル最高経営責任者もBreaking Defenseの取材に「イタリアが2026年第3四半期頃にTB3を正式取得(数は非公開)する見込みで、この機体はイタリア北部のロンキ・デイ・レジオナーリ施設で製造されるだろう」と明かし、これでTB3を導入する国はトルコ、インドネシア、イタリアの3ヶ国、NATO加盟国のTB2/TB3採用もポーランド、ルーマニア、クロアチア、アルバニア、イタリアの5ヶ国に拡大した格好になり、トルコ海軍の強襲揚陸艦アナドルもNATO演習に参加してTB3の能力を披露済みだ。

イタリアは米国が提供する強力な安全保障を期待し、幾つか防衛装備分野で米国製システムの忠実な購入者だったが、既にMQ-9A Block5を取得して運用しているにも関わらず、空母や強襲揚陸艦での運用に対応したGA-ASI製のMojave、Gray Eagle STOL、MQ-9B STOLではなくBaykar製のTB3を選択したことは「米国製兵器依存からの脱却」を反映した動きであり、Defense Newsも「イタリアは米国製無人機の忠実な購入者だったが、高価な米国製兵器の購入が安全保障に結びつかないなら購入の動機は失われる」と指摘している。

ちなみに、BaykarはShahed-136と比較して最大離陸重量も弾頭重量も約4倍となる自爆型無人機=K2 KAMIKAZEを発表して注目を集めていたが、トルコの防衛企業=STMも6日「もう距離は障害ではない」というメッセージと共に独自の長距離カミカゼ無人機(Shahed型の自爆型無人機のこと)を公開。

米中央軍も昨年12月に配備された一方通行型攻撃ドローン(Shahed型無人機の米軍バージョンのこと)=LUCASについて「対イラン作戦=エピック・フューリー作戦に欠かせない兵器だ」と述べていたが、4月8日「昨夜、エピック・フューリー作戦の一環としてイランに一方通行型攻撃ドローンによる攻撃を実施した」「米中央軍は1ヶ月前に低コストの攻撃型無人機を戦闘で初めて実戦投入するという歴史的な先例を打ち立てた」と発表。

米中央軍司令官のブラッド・クーパー海軍大将も「今日、数百機の米軍ドローンがイランに対する攻撃作戦に統合された」「これらの無人プラットフォームは空、海上、水中、地上の各領域で稼働しており、我々が軍事目標を達成する助けになっている」と述べた。

英国でもMGI EngineeringとAuterionが4月1日「無人長距離攻撃プラットフォーム=Tiger Sharkの初飛行に成功した」「Tiger SharkはGNSSが利用できない環境下でも効果的に運用でき、時速750kmの速度で300kgのペイロードを1,000km以上先の目標に運搬できる」と発表し、このクラスの欧州製システムとして1,000km以上の射程を確保したのは10年以上ぶりだと報じられている。

出典:Auterion

従来の巡航ミサイルと自爆型無人機の境界線は曖昧になっており、これをサイズ、ペイロード、航続距離などで定義するのは無意味なので「機密性の高い軍事技術と特注部品で構成された高価な長距離攻撃兵器」か「技術革新を牽引するデュアルユース技術と市場で入手可能な民需向け部品で構成された安価な長距離攻撃兵器」と認識すればよく、この両者は競合関係ではなく補完関係で「前者は長距離攻撃における質」を「後者は長距離攻撃における量」を担保し、この両方を組み合わせて長距離攻撃の作戦効果を最大化するのがトレンドだ。

MQ-9やTB2/TB3といった武装可能な無人機、安価な自爆型無人機はプロペラ推進を採用しているため「おもちゃみたいな兵器で低性能=弱者の兵器」と思われがちだが、これは高度な有人戦闘機や従来の巡航ミサイルの役割を奪うものではなく、従来の高価なシステムのみではカバーできない作戦上のギャップを補完するもので、見た目のイメージだけで安価な無人機システムを否定的に考えていると戦場のトレンドにおいていかれることになる。

関連記事:イタリア海軍参謀総長、TB3取得と空母カヴールへの統合に初言及
関連記事:Leonardo、2026年中にM-346から制御する2機の無人戦闘機を飛行させる
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関連記事:米軍もShahed型無人機を導入、米中央軍が中東に配備したLUCASを公開

 

※アイキャッチ画像の出典:Baykar

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コメント

  • コメント (24)

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    • ブルーピーコック
    • 2026年 4月 08日

    弱者だからこそ色々と考えて兵器開発した結果、今のトレンドになってるのは多いからな。軍事に限った話でもないけど。
    大日本帝国の外洋航行できる駆逐艦とか、陸軍の強襲揚陸艦とか大発みたいな揚陸艇とか。・・・あれ?最近は何も無い感じ?

    8
      • バーナーキング
      • 2026年 4月 08日

      原潜作れないからリチウムイオン電池の潜水艦、人いないからダメコン妥協して省人化した多目的フリゲートとその統合CICや交換の容易なユニコーンアンテナ、金属資源ないから炭素複合材とその適用技術の向上に必死、AMRAAM売ってもらえるか分からなかったから国産AAM開発してGaNのAESAまで積んじゃった。
      あと弱者故とは少し違うけど特異な地政学的事情から異様に発達しつつある地対艦装備群とか。

      22
        • ブルーピーコック
        • 2026年 4月 08日

        いや独自性のある兵器開発とかが凄いのは分かってはいるんです。こんごうのソナーとか10式戦車とか。でもカエサルやシャヘドみたいな他国がマネするようなのは無くないかという事でして。

        8
          • バーナーキング
          • 2026年 4月 08日

          航空機への複合材の多用、戦闘機やAAMへのAESA搭載や潜水艦のリチウムイオン電池も各国後に続いてますが…
          まあこの辺は元々「できれば望ましい」のは分かり切ってたことなんで「日本のマネか」と言われると違うかもしれませんが。

          6
            • 名無し
            • 2026年 4月 09日

            FFMのような割り切った省人化フリゲートも各国あとに続く事になるでしょうしね

            1
          • nachteule
          • 2026年 4月 09日

           こんごうの搭載するソナーの何が良いと思っているのか分からないので議論の余地がないですね。
           日本製のソナーに関しては性能とか消費電力や運用コストとかでハードは優秀だがソフトウェアはクソとか色々言われていたりしますから、あんまりそれに続くような事になるのかと言われたら疑問です。

            • バーナーキング
            • 2026年 4月 10日

            「こんごうのソナーが良いから他国がマネをする」なんて主張は誰一人していませんよ?

            1
    • ハムスター名無し
    • 2026年 4月 08日

    本邦もTB2を買うみたいですけど、
    ひゅうが型やおおすみ型の強化策として3もアリなのでは?

    5
      • YF
      • 2026年 4月 08日

      攻撃機というよりAEWとして使えるなら日本もTB3導入もありだと思うんですけどね。
      海上自衛隊もいずも型で使える自前の早期警戒機欲しいでしょうから。

      12
        • 他人事では無い
        • 2026年 4月 08日

        ひゅうが型護衛艦に載せたい。

        1
      • SB
      • 2026年 4月 08日

      おおすみなら多分ディーゼル燃料のタンク積んでるから行けそうだけど、ひゅうがはジェット燃料だけだと思うからTB3は難しいんじゃないかなぁ

      1
        • YF
        • 2026年 4月 08日

        バイラクタルTB3のエンジンPD170はジェット燃料Jet-A1でも動くみたいですね。
        これは哨戒ヘリのSH-60Kとも共用できるので一応は、ひゅうが型、いずも型でも運用出来ると思います。
        ただ海上自衛隊が艦艇用航空機燃料にJP-4、JP-5、JP-8しか使ってない場合やTB3をディーゼル燃料で運用したい場合は航空機用燃料ダンクの改修しないと、おっしゃる通り運用は難しいですよね。

        3
          • shkk
          • 2026年 4月 08日

          TEI-PD170 ってやつかな?(サイトにもTB-3って書いてる箇所あるし)

          Fuel Options JP-8, JET-A1, JP-5, and EN 590
          って書いてるから他のジェット燃料でもうごくっぽい…?

          艦艇向け燃料だとJP-5が世界的スタンダードっぽいから自衛隊もそうなのかな

      • nachteule
      • 2026年 4月 09日

       強化と言っても具体的に何を目的として導入するんですか攻撃ですか探知ですか?

       艦載するって事はより限られたスペースにそれを置き運用する為の新たなインフラ構築が必要なんですよメンテやコントロール設備や人員だったり。TB3を運用するにしても平時ならかなり有効活用出来るけど有事になったらウクライナのTB2みたいに活躍の機会が限定されるケースだったある訳で。

       メリットは平時においては長時間の攻撃手段が限られる相手への監視・探知・攻撃に大いに活用出来る。新たな探知、対潜戦の手段確保。艦だけでは無く陸上からの操縦も可能。デメリットは限られたスペースに新たな物を追加する必要性。専用人員の追加、有事においては長距離性能を活かす事が出来ない可能性があり既存ヘリより使い勝手が劣る可能性。

       高強度環境での空母的な運用したいなら実用化するか分からないけど自律戦闘機「X-BAT」を艦隊全体に搭載して運用考えても良いと思うが、運用面での問題はあるよな整備は大型艦へ移動させて行いヘリの燃料を転用するとしてどれだけの時間運用出来るかだよな。

       結局何をさせたいかで搭載するかどうか考えた方が良いでしょう日本のイージスがミサイル防衛能力持ったせいで、よりお金が掛かった上にそれにかなりの部分縛られる事になった現状で、ひゅうがやおおすみの空母化が進めば本来の役割とはかけ離れた物になる可能性がある。おおすみのメインは輸送なのにその能力を削ったり攻撃や監視の為にかり出されるとしたら本末転倒でしょう輸送任務だって重要な事ですよ。

    • 無印
    • 2026年 4月 08日

    日本もシャヘド型無人機の導入を決めたけど、問題は値段かな?
    開発できても、1機1000万じゃ意味が無い

    >「もう距離は障害ではない」
    …海はドローンを止める壁にはならないのか…

    6
      • 寒い
      • 2026年 4月 08日

      国内製造だと物価高騰と人件費で1機1000万円以上になると思います。ですが、戦時下でも大量に製造出来ると言う継続能力に直結するメリットがありますよ。

      16
      • 中村
      • 2026年 4月 08日

       さすがにヤマハのエンジンドローンの5倍って事は無いでしょう。カワサキのNinjaのエンジン積んだヘリ型で500万円って話ですから。

       先進国アメリカでシャヘド作るよりは安くなるのでは?

      6
      • nachteule
      • 2026年 4月 09日

       値段も重要だろうがどれだけ保管出来るのか色々あるよね。シャヘド136の値段なんて300万から2000万円とか色々な条件の価格出てた気がするし日本で初期ロット1000万スタートなら安い方でしょう。後は発注数次第で変動するのが常で上流から下流含めて安定した生産出来るならかなり下がる可能性はある。原料価格高騰と小ロット生産で安くとか言うなら製造業をあまりにも馬鹿にした話でしかない。

       それに安かろう悪かろうじゃ意味が無いでしょう、品質は担保されてしかるべき話。

       値段に関しては今のホルムズ海峡封鎖が継続されるなら値段は青天井でしょうよ。本質的に原油だけあれば日本経済が成り立つ訳でもなくヘリウムとか臭素とか日本製品に必要不可欠な物は数多ある。安価に作れるのは継続して安価な素材を輸入出来て市場不足しないで部品が大量に供給出来てやっと出来る話。

       半導体一つとっても製造に必要な建物、装置、素材とか細かく調べれば安価に作るのがどれ位素晴らしい事か分かる。安価な誘導兵器はそれらの集合体。後は可能な限りの自動化、人間の手を加えるにしてもコストと性能との兼ね合いで判断する必要はある。某ミサイルみたいに性能の為に職人が翼の一部を削りますとか絶対にやっちゃいけないこと。

      2
      • のー
      • 2026年 4月 09日

      仮に1000万円なら輸出市場では厳しいかもしれませんが、買うより安いと思いますよ。
      実際に有事になると、価格は高騰してその値段では買えないです。
      ガチな戦争が始まればそれこそ、月産1000機ぐらいは調達が必要になります。
      それこそ工場を何箇所も確保しなくてはなりません。
      海外から買うのでは無理でしょう。
      結果、平時は工場の稼働率を上げるために、補助金つけて輸出するの最適解になりそう。

      1
    • 他人事では無い
    • 2026年 4月 08日

    無人機と高度なミサイルの違いを的確に示して頂いた。
    TB-3にAEW機能を持たせ、日本もひゅうが型護衛艦やおおすみ型輸送艦から運用してもらいたい。

    7
    • たむごん
    • 2026年 4月 08日

    米軍爆撃機の着陸拒否などで、ごたついてたのを思い出しました。

    米国=欧州、『相嫌相憎』の流れで離れていくのか見守りたいと思います。
    日本目線、極東は『西欧のように安全保障環境が楽ではない』わけですから、非常に難しい舵取りだなあと。

    日本外交イラン戦争では、フィリピン=オーストラリアに『大恩を売る狡猾さ』も見せつけてましたから、武器売買の対米外交どういったものを見せるのか注目したいと思います。

    4
    • 白髪鬼
    • 2026年 4月 08日

    F-35のような高価な兵器ではないにも関わらず、少数の高価な兵器と組み合わせることで大国とも渡り合えることがわかってしまった以上、中小国への波及が進むでしょうね。
    もし大規模な紛争が起これば、徘徊型自爆無人機やAI搭載の無人攻撃機が地上目標を蹂躙するターミネーターのプロローグの世界が具現化するかも。
    攻殻機動隊といい、ターミネーターといい、30年前のSFの設定が現実になっていますね。次はスターウォーズのドローン戦争でしょうか。

    6
    • kitty
    • 2026年 4月 08日

    ターボプロップだから安物なんて考える人いるのかな。
    ヘリコプターがローターで動いてるから安物だとは誰も言わんでしょ。
    ターボプロップエンジンだと、最高速度は低くても滞空時間がすごく稼げるという利点が大きすぎる。

    5
    • 暇な人
    • 2026年 4月 08日

    いまいちデザインが好きになれない
    美しくないんだよなあ。
    シャヘドみたいなのはまだ機能美として理解できるけど

    1

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