Turkish Aerospace IndustriesはAviationWeekの取材に「トルコ空軍はF-35であろうとタイフーンであろうと一定レベルの能力と即応性を維持しなければならない」「それでも100年後まで独立を維持するには自前の防衛装備品をもつ必要がある」と述べてKAANの必要性を力説した。
参考:Indonesia eyes joining Turkish 5th-generation fighter jet program KAAN
参考:Turkey’s Kaan Fighter Development Gains Momentum
国産エンジンを開発することで米国の国際武器取引規制=ITARからKAANを出来るだけ除外することが重要
サウジアラビアとトルコは防衛分野の協力関係を段階的に強化しつつあり、2021年にLentatek(旧Vestel Karayel)が開発したUCAV=Karayel-SUのライセンス生産を開始、2023年にはMQ-9に匹敵する大型UCAV=Akinciを60機調達するため31億ドル=4,800億円の契約を締結、複数のトルコメディアは2024年12月に「サウジアラビア軍のルウィーリ参謀総長が今月26日にアンカラを訪問した」「国は大規模な防衛産業協力(戦闘機、艦艇、レーダー、ミサイルなど)について協議した」「サウジアラビアは2030年代に向けた戦略の一環としてKAAN×100機の取得を検討している」と報じた。
但し、トルコメディアでもサウジアラビアの態度について「KAANの100機購入を検討している」「KAANを検討している」「KAANに関心を示した」「KAANの説明を受けた」「防衛産業協力について協議した」などと一貫性がなく、あるアナリストは「戦闘機購入への関心を示すことは影響力と友情を買う最も簡単な方法で、潜在的な売り手にも『我々には他の選択肢がある』とアピールすることができ、交渉過程の立場を強化することに繋がる」と指摘している。
インドネシアのプラボウォ大統領は前政権時代の国防相だった時「トルコとインドネシアン・エアロスペースとの交渉(恐らくKAAN=TF-Xのこと)も模索している」と、今年4月にトルコを訪問した際も「インドネシアはトルコ産業界と協力して第5世代機のKAANと潜水艦の開発に参加したい」と述べたが、何処まで本気なのかは不明で「戦闘機購入への関心」を示すことで影響力と友情を買おうとしているだけかもしれない。

出典:Savunma Sanayii Dergilik
肝心のKAANは2024年2月に初飛行したものの、この機体=P0は元々「格納庫でのロールアウト用に製造されたデモンストレーションプラットホーム」で、飛行可能なように改造され初飛行に成功したあと1度しか飛行(2024年5月)しておらず、Turkish Aerospace IndustriesはAviationWeekの取材に「現在は3機の試作機=P1、P2、P3を製造中」「P0と新しい試作機の外見上における相違点はエアインテークが超音速飛行に最適化されていること」「重量の最適化やミッションシステムの搭載など最も多くの変更は機体内部で行われる」「次の試作機=P4、P5、P6では前の3機よりも能力が先進的になる」と述べている。
さらに興味深いのは「全ての試作機と最初の量産機20機にはF110が搭載される」「国産エンジンの予備設計レビューは年末までに予定されている」「2029年までに試作機への国産エンジン搭載を目指している」「国産のステルス塗料とコーティング剤の開発も進められている」「まもなく運用が始まるRCS計測施設でテストされる予定」「KAANの国産比率は80%~90%になる予定」「2023年に署名したKAANに関するアゼルバイジャンとの協力協定は正式なものではない」「それでも両国間の緊密な関係を考えればアゼルバイジャンは何れKAAN製造から利益を得るだろう」と述べている点だ。
まだKAANの構成要素は何一つ完成していないものの開発作業は前進しており、特に国産エンジンの具体的な開発スケジュールにも言及しているため「見通しが立っていない」という状況も脱していると思われ、仮に開発が難航して実用化が遅れたとしても計画を放棄する可能性は低い。
TAIはAviationWeekに対して「トルコの安全保障に対する脅威評価に基づき、空軍はF-35であろうとタイフーンであろうと一定レベルの能力と即応性を維持しなければならないが、50年~100年後まで独立を維持するには自前の防衛装備品をもつ必要があるのは誰もが知っている」「国産エンジンを開発することで米国の国際武器取引規制=ITARからKAANを出来るだけ除外することが重要だ」「同時にトルコはITAR Freeによってプラットホーム輸出における自由裁量権を獲得できる」と力説している。

出典:Turkish Aerospace Industries
トルコにとって本格的な戦闘機開発は初めて、しかも第5世代機とエンジンを同時並行で開発するため潜在的な開発リスクは非常に高く、競合するF-35Aと同等もしくは匹敵する能力を実現できるかも現段階では怪しいが、地域大国から大国になることを目指しているトルコにとって「仮にKAANの能力がF-35Aの80%に留まったとしても武器システムの主権確保の方が重要」と言いたいのだろう。
因みにHandelsblattは先月17日「英国はトルコにタイフーンを売りたがっているが、ドイツ政府内部の協議に詳しい複数の人物から『連立政権がトルコへのタイフーン輸出を阻止している』という確証を得た。エルドアン大統領陣営による政敵への弾圧は民主主義への攻撃であり、連立政権は『トルコへの武器輸出を止めることが正しい選択だ』と言っている」と報じたが、ドイツ政府は「何の決定も下されていない」と、トルコ政府も「タイフーン導入交渉においてドイツは障害ではない」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:Turkish Aerospace Industries
KAANの国産エンジン、F110と同じサイズでドライ出力が25000lb/ABが35000lbってホンマかいな
いやまあ2030年代前半に国産エンジンを搭載、後半から量産開始だから年代を考えると妥当ではあるか?
トルコの防衛系のニュースサイト見たのですが、具体的な数字なかったですね。
ただ、英語版wikiには最低36.000lbという記載があって二度見しました(笑)
まだ開発中で影も形もないっぽいですし、それくらいのスペックでないとF110を置換できないという
数字ありきの目標値かもしれないですね。
中国のWS-15がF110(をベースにしたWS-10)の代替で、推力の目標はA/B 40000lbf超。それで実際に飛行しているんだから、トルコも妥当な水準のエンジンを欲している感じ。
F35搭載のF135は、凄い性能ですけど。2000年あたりの設計・製造。
2030年のトルコがF135に近い性能を生産できても、変ではないかな。
中国もF135並みは作っていないけど。作れないのか。作る気がないのか、ハッキリしないな。素材や精密加工が20年遅れているは信じられないし。
トルコどころか中国でもF135は無理
燃費犠牲にバイパス比を低くすれば推力は高くできるけど、F135はバイパス比0.57とかいう比較的高いにも関わらずミリタリー推力で28,000lbf、AB43,000lbfとかいう化け物みたいなエンジン
タービン入口温度1980度とかもはや意味不明
現時点で施策含めれば20年以上経っているF119-PW-100ってF110より一回りぐらい大きくて重いけどトルコが目指す性能的には似たような物。それをダウンサイジングして今から10年後に量産開始しますなら、実用化の意志が高く(どんなハードルだろうが超える)真っ当な技術を持った工業国なら実用化なんて不可能じゃないでしょ。
雑に考えてF110初期から最新までの推力向上が10%以上、F400からF414に変って27%向上してF414-EPEがそれから20%上がるのが真実なら初期から47%の向上。F110初期からKAANが目指す推力になるには50%の向上が必要で荒唐無稽なのかは何とも言えないね。
トルコの純国産に、こだわるのであれば、民間企業・特に製造業がどれくらい揃っているのかでしょうか。
なかなか難しいと思いますが、トルコの歴史・立地を考えれば、安全保障問題に敏感になるのは仕方ないですね。
イスラエル(シリア問題・ガザ)・イラン(アルメニアのザンゲズール回廊問題など)・ロシア(長年の歴史)・ギリシャ(キプロス問題など)、簡単に書き出しただけでも大変だなと…
記事にも書いてあるけど、サウジとインドネシアがお客さんになる可能性がある。
その後、イスラム圏に売れるかもしれないな。
妄想だけど。裏で中国あたりが技術を流す可能性もある。トルコが独自開発できれば、西側との関係が変化するため。
インドはイスラエルから兵器や技術を輸入しているし、この辺の駆け引きが面白いな。
一方、似たような動気で開発されているKF21は既に夜間空中給油テストをクリアしていた
韓国のKF-21については、今ではネガティブな投稿や記事も無くなり順調なようで素晴らしい。K2や K9のように世界で売れる可能性が高まり期待させる。
KF-21のネガティブな話は、あくまでもここで取り上げられていないだけで、韓国メディア自体は話題に出してる
その辺りの事は、う氏や 氏も把握してるとは思うけど
ペルーの次期戦闘機の入札に、条件(性能要求)を満たしていない(ので考慮対象リスにすら入らなかった)のにねじ込もうとして拒否された
そして、それに対して怒りと抗議を表明して、提案を考慮し直させようとしてる、という話がでてる
韓国側の強い焦りを感じさせるがおそらく韓国としては、ペースが遅い、順調とは感じていないのだろうな
そもそも、早く早く文化の国だから今のKF-21の開発速度に満足してるはずがないのだけれど
そもそもエンジンどうするのだろう?
アメリカはF-16と競合する際は、グリペンにすらエンジン売らないぞと言ってるという話すらあるのに
普通に国産エンジン搭載の話はあるから・・・。それに上でも書かれている通りKAANの国産化率は高いとは言えゼロではないし、それがどれに該当するかが分からない事には致命的なのかも判断出来ない。KF-21の国産化率は60%台でエンジンが問題無くても他の部品で引っ掛る可能性が高い。
国産化率上げないのは怠慢だと思う人が居るかも知れないが西側の国で航空宇宙・防衛産業向けに製造するなら、航空宇宙に対応した品質マネジメントシステム規格を満たす必要があると思う。JIS Q 9100しか知らないが製造に使うちょっとした道具すら管理の対象になっているすごく面倒な奴なんだよね。参入メーカーを増やせば良いだろうって簡単に出来る物じゃないと思う。
色々言われてたけど、なんだかんだで新しい機体が増えるのは見る分には楽しいね。
ただその牙がこちらに向けられるって可能性はあるかもと思うと悠長ではいられないけどね…。
インドのディジャスが当初のオール国産で終わらない開発期間だったけれど、トルコのKF-21も自国での新規開発のエンジンがスケジュール通り完成すればよいのですが。
輸出をあきらめての保険でF110で行く手も有りますし、どこまで予定通りに開発プログラムが進むのかが楽しみですね。
ちょっと何言ってるかわかりません…
KFは「KAAN FIGHTER」の略ですか?
中国の新幹線、とかフランスの新幹線、みたいな感じで言ってるのかも?
どれだけお金が掛かろうがエンジンなど核心部分は自前で造れないと、買った方が安いと思ってもいざという時手に入らないのですよね。他国に依存してると政治的な理由はもちろん採算の面でライン閉じられたりして終わってしまう。真の意味での独立を望むなら避けて通れないですね。
韓国もトルコも国産兵器にかける意気込みはやはり凄いですね。
短期的なコストや性能だけ考えたら輸入で賄うのが最適解なんでしょうが、真の独立と主権のためには短期的なコスト増や性能のビハインドは受け入れてでも達成するという強い意志がありますね。
正直この心意気は羨ましい。
我が国も80年代に同じ心意気を持ってたら特に航空分野ではだいぶ違う世界が見えていたのかもしれません。
今となってはもう手遅れですが、こういう出来る力があると思ったときに短期的な損得よりも長期的視野で強く決断できるのは素晴らしいと思います。
韓国もトルコも国産兵器にかける意気込みはやはり凄いですね。
短期的なコストや性能だけ考えたら輸入で賄うのが最適解なんでしょうが、真の独立と主権のためには短期的なコスト増や性能のビハインドは受け入れてでも達成するという強い意志がありますね。
正直この心意気は羨ましい。
我が国も80年代に同じ心意気を持ってたら特に航空分野ではだいぶ違う世界が見えていたのかもしれません。
今となってはもう手遅れですが、こういう出来る力があると思ったときに短期的な損得よりも長期的視野で強く決断できるのは素晴らしいと思います。
トルコのKAANはどちらかと言うと、イスラエルの顔を窺って、イスラム諸外国にF-35等のステルス機を売り控えたアメリカにも原因があると思われますね。
イスラエルやアメリカがエンジンやレーダー等の中数技術に関わって来ると、どうしても中東地域だと厳しくなりますし。
トルコがエンジンの独自開発を目指すのは、最終的に輸出の自由裁量権を確保したいからでしょう。
所要の性能を持ち自由裁量権付きで技術移転されるのであれば、当面はライセンス生産でもかまわないのだと思います。
兵器はエンジンが命って、アルタイで思い知ったでしょうから…
トルコが出てきて韓国が出てきた、その通りだがエルドアンとユンソクヒョルでは天と地ほどの差がある。
トルコ人はアメリカ・イギリスをどう考えているのか分からんが韓国人の考えていることは分かる。
頭が空っぽのように感じる。
トルコと韓国の間に大陸間の高速鉄道を中国抜きで作り上げればロシアが世界経済を動かすだろうが
中国が関係すれば世界大乱の始まりかも。
トルコ人はトルコだけではなくてユーラシア大陸全体で生活しているというのは強いね。
昔、突厥という言葉を聞いたことがある、あれは中国東北に存在したトルコ系民族集団らしいが不思議だね。
アメリカのドル支配はそろそろきな臭くなってきたが,石破には無理な話だよ。
中曽根は格好よかったね。
サウジがGCAPのパートナー国に容認されたと数日前に報道されていましたが、GCAPとKAANのハイローミックスで行く気なのかな。
サウジは本当にお金があるから、宝くじ買う感覚で手当たり次第に手を出して「どれか一つでもモノになるのがあれば良いや」くらいの気持ちで考えてそう
記事にも記述がありますが、サウジアラビアにとってGCAPとKAANは共に選択肢の一つでしょう。
サウジアラビアはそれぞれ又は他の選択肢も含め性能・機能やコスト及び参画見返り等を総合的に判断して決定することになると思います。