米空軍の次にウイングマンを導入する可能性が高いのはドイツ空軍で、現行のタイフーンで迅速かつ安価にウイングマン制御を可能にするため目標照準ポッド=イスラエル製のLitening5を活用する方式が浮上、これなら機体の改修なしでウイングマン制御が出来るようになるらしい。
参考:Collaborative Combat Aircraft: Eurofighter könnte mit Litening-Pod-Lösung zum Kommando-Flugzeug werden
参考:The modular EW payload for CCAs
暫定的な制御方式は有人戦闘機と無人戦闘機を協調させるファーストステップとしてなら妥当か
現代の戦闘機は多用途性やステルス性の追求で高価になり、パイロットの訓練や戦闘機の運用に不可欠な地上要員やインフラも肥大化した結果、各国の戦闘機戦力は信じられないほど規模が縮小し、米空軍の戦闘機戦力も冷戦終結後の予算削減で4,468機(空軍配備分3,082機+空軍予備役軍団と州兵配備分1,386機=4,468機)から2,176機まで落ち込み、毎年のF-35A購入数よりもレガシープラットフォーム(F-15C/D、F-15E、F-16C/D)の退役数が上回っているため「2026年度には戦闘機のサイズが2,000機を下回る」と予想されている。

出典:U.S. Air Force
米空軍は失ってしまった戦闘機戦力のサイズを「手頃な価格」で再取得するため、有人戦闘機に随伴可能なウイングマン=Collaborative Combat Aircraft(CCAもしくは協調戦闘機)の開発を進めており、第1弾調達としてYFQ-42AとYFQ-44Aを選定し、F-22AでCCAを制御するための改修資金も2026会計年度予算案に計上済で、テストと評価が順調に進めば2027年~2028年頃までにCCAの実戦配備が始まる予定だ。
米国以外でウイングマン導入に最も近づいているのはドイツで、これまでに登場した情報を繋ぎ合わせると「ドイツ空軍は約400機のウイングマン導入を検討している」「この巨大なビジネスチャンスにGeneral AtomicがYFQ-42A、AndurilがYFQ-44A、KratosがXQ-58A、BoeingがMQ-28を売り込む予定」「各米企業は欧州企業や現地法人との提携を通じて欧州バージョンの現地生産を提案する」「特にKratosとAirbusのXQ-58A欧州バージョンは2029年までに準備が整う」だが、これを制御するプラットフォームについても徐々に情報が出てきた。

出典:Bundeswehr/Patrik Bransmoeller
タイフーンT2/T3/T4が搭載するコンピュータやシステムアーキテクチャの拡張能力は限界に達しており、第6世代機で実装する機能の一部を取り入れたタイフーンの能力強化=Long Term Evolutionでコンピュータやシステムアーキテクチャの刷新が予定されているものの「LTE実装」は早くても2030年代半ばになるため、現行のタイフーンでCCAを制御するためにはコンピュータ、電源、通信、アンテナ、アビオニクスいった部分に手を入れなければならず、この改修にはドイツ以外の開発国=英国、イタリア、スペインとの調整も必要なため時間がかかる。
この問題を迅速かつ安価に解決する方法が「外部ポッドの通信インターフェイスを経由してウイングマンを制御する」というもので、しかもドイツ空軍がタイフーン向けに調達した目標照準ポッド=イスラエル製のLitening5は通信中継機として使用することもでき、Litening5の演算能力もウイングマンを制御するのに十分な余力があり、ウイングマンの制御インターフェイスもF-22がCCAを制御するとの同じタブレット方式を採用すれば、タイフーンに大規模な改修を行うことなくウイングマンの制御が可能になるという寸法だ。
但し、この方式は事前に用意されたミッションセットを選択する形でのウイングマン制御になるため、ウイングマンのペイロードを直接制御したり、ウイングマンとタイフーン間でセンサーデータを共有するのは難しく、暫定的な制御方式もしくはフル制御実現までの橋渡し的な解決策だが、米空軍もドイツ空軍も「ウイングマンを一刻も早く手に入れて経験とノウハウを獲得するが重要」と考えているため、有人戦闘機と無人戦闘機を協調させるファーストステップとしてなら妥当なのかもしれない。
因みに無人機の制御と書くと「人間が無人機の飛行全般を遠隔操作するもの」と思うかもしれないが、MQ-9やTB2は離着陸を含めた飛行制御の大半は自動化済みで、MQ-9に至って1人オペーレーターが複数の機体を制御しており、CCAやウイングマンは完全な自律飛行型になるため「制御操作は飛行操作ではなく機能操作や攻撃許可のこと」を指し、ウイングマン制御における複座型の優位性がどこまで強力なのか未知数だ。

出典:Collins Aerospace
因みに米国の非営利研究機関=SRCはCCAが効果を発揮する分野の1つとして「敵のセンサーを混乱させ、状況認識力を低下させ、攻撃を実行するための脆弱性を作り出せる」「これを実現するGhost Mantis無線周波数テクノロジーはCCAに搭載できるよう設計されている」と主張し、その効果を分かりやすく解説した映像を公開している。
レッドチーム=中国のKJ-500は接近するブルーチーム=米軍機を検出、迎撃を指示を受けたJ-10やMiG-29が前方空域に展開するものの、米軍機編隊はGhost Mantisを搭載したCCAを先行させ、J-10Cのレーダー特性を評価して最適の周波数で欺瞞技術を実行、J-10CのレーダーにCCAをF-35と誤認させることで注意を引き付け、Ghost Mantisの電子攻撃能力でJ-10のレーダーシステムも妨害し、有人戦闘機=F-15EXやF-35による攻撃を有利な状況で実行できるようにすると言う内容だが、こればっかりは映像を見た方が早いだろう。
Ghost MantisとCCAによる囮戦術は、LeonardoがAUSA2024で発表したBriteStormと同じコンセプトだが、こちらは有人戦闘機よりも先に「BriteStormを搭載したCCA」を敵防空システムが作動する空域に侵入させレーダーパルスの反射を模倣した偽信号をばら撒き、敵の認識を混乱させ「迎撃能力を著しく低下させられる」と主張している。
どちらにしてもF-22やF-35のステルス能力は「レーダーから見えなくなる」というものではないし、機首に搭載したレーダーを作動させれば位置が露見するため、CCAのようなリスクを一手に引き受けてくれるプラットフォームとの協調は有人戦闘機の生存性を大きく向上させてくれるはずだ。
関連記事:米空軍の有人戦闘機に随伴可能なウイングマン、まもなく初飛行に挑戦
関連記事:ドイツ空軍、現行の有人戦闘機と協調可能な無人戦闘機を400機要求
関連記事:AUSA2024が開幕、ゴースト編隊を作り出せるBriteStormが登場
※アイキャッチ画像の出典:Bundeswehr/Patrik Bransmoeller





















ドイツは少しづつだけど軍事強化してるな。
これがどこまで続くかは分からんけど強いドイツ軍が戻ってくるのは嬉しいですね。
あと、ドイツのジンクスである最悪の状況で最悪の判断をするという事をしなければ良いのですが…。
記事と無関係ですがウクライナ戦況の記事でコメント欄を
無くしたんですね。正直に言えば寂しいのですが前々から荒しや管理人への誹謗中傷が目立っていたので仕方ないと思います。管理人様の判断を尊重します。
しかしどうしてウクライナ関連の動画や記事になるとウクライナ優勢の話しか認めないみたいな0か100しか考えられない人が出て来てしまうのか…。
ウクライナ優勢の話しか認めない人もロシア優勢の話しか認めない人もいて酷い状態でしたね…
心境的には同じですが、また揉めてしまうのでコメント欄閉鎖の話は控えた方がいいと思います。
『稼働率が低い』F-35のファクトなため、これは本当に頭の痛い問題だなと。
機数減少に加えて・母機の稼働率が低いという、ダブルパンチがあるわけですから、(価格が安価であれば)ウイングマンの数を揃えるというアプローチもあるかもしれませんね。
>「2026年度には戦闘機のサイズが2,000機を下回る」と予想されている。
Ghost Mantisといえば枯葉のような形態で獲物を狩るので有名なカマキリですけど、この手の無人機関係でGhostとか付ける人はマクロスは絶対見てないって言えるんだろうかw
電子戦機で機外に機材を追加するのは前からやってましたけど機内のミッションコンピュータからパイロンまでに広帯域の回線を用意するのも簡単ではないのでしょうね。
PCでもAI目的で最高級の性能のGPUを載せようとするとバスからの給電はおろか電源から直接補助電力を引っ張ってこないといけない上に大電流過ぎて発火事故が多発する始末。
タイフーンT3に外付け機材が付けられるとしても電力供給は足りるんでしょうか。
Rafaleのエンジン出力20%引き上げの話が唐突に出てきたのも、おそらく高機動化したいのではなくて電力の供給能力が足りないのだろうし、電力供給の問題が深刻化している可能性はありそうですね。
エンジンの寿命を削ったり、推量を犠牲に発電に回したりといったことを考えているかもですね。
パソコンのUSBポートにケーブルを挿したら多種多様なデバイスがプラグアンドプレイで使えるように
「西側の全ての戦闘機で、西側の全てのウイングマンと任務が行える」ことを目指して取り組むのが理想だが
もちろんそんな動きは(未だ)見えない
良いんじゃないですか?お手軽さを求めると言う事はセキュリティレベルを下げるの同義だと思います。搭載する消耗品の兵器ならどんな機体にでもで良いかもしれませんが、ウィングマンですからね。西側の機体同士が戦闘する場合にいきなりウィングマンが敵になるとか勘弁してほしいですね。
安全を保障するのは仕様の複雑さやわかりにくさではなく、偽証の困難さです
素人が自作したOSのカーネルよりも、オープンソースのLinuxカーネルの方が脆弱性は少ない
OSを自作する素人とは…。
学会発表への質問者の「この分野には詳しくないのですが…」なみに嘘くさいw。
ストレージや光学ドライブは機能が大して変わらないから成立するだけで、プリンタなんかだと使えるのは汎用な印刷機能だけで、
その機器独特の機能(綴じ機能とか手差しとか)はドライバ入れないと使えないんだから無理かな
LLMみたいなものを搭載できるくらいなら、コミュニケーション信号送るシステムさえあれば勝手に考えて結果返してくれるからなんとかなるかもね
そのウィングマンの離陸方法にも色々出てくるのでしょうね。
> ウイングマン制御における複座型の優位性
運転中や歩行中のスマホ操作みたいな物でシングルシートのパイロットが離陸してしまえば着陸するまでは余裕があるのかが問題。操作が必要なタイミングで何かが起きていれば対応は難しいと思うし指示は攻撃だけじゃ無く中止とかもあるのでなるべく余裕があった方が良いでしょう。
むしろ飛行を原則自動化して攻撃とウィングマン指揮が人間の仕事になるようにも思います。
ドッグファイトは避けるしもしすることになっても戦術パターンをコンピュータに覚えさせておいてウィングマンの行動含めて相手に対応させた方が最適解導けそう。ドッグファイト時にパイロットが注力することはコンピュータにより自由に戦術実行させるためにひたすら高Gに備えて身体固めながら戦況監視すること。
そしてしれっとまた登場してくるイスラエル製品…
イスラエルは欧米の軍需産業に完全に食い込んでる以上、欧米がイスラエルを外すのはもはや無理なんだろうな。
ドイツが堂々と米企業との無人機の共同開発を進める事を公言しているが、無人機開発に関するイギリスとの協力は何処へ行ったんですか…
恐らくは情報収集に定評のある中国もロシアも同じ事をしてくるでしょうから、この分野では先に優位性を確保してほしい。
次いでに日本やアメリカも頼みます。
複座型と言うかAWACSから直接管制してはいけない理由が今ひとつ分からない。逆に多数の端末(無人機)が得たパッシブ情報を共有できれば、長距離AAMで脆弱化してるAEWを代替できるのでは無いかとも思う。
日本が導入してJADGEに組み込んだら場合、間に有人機なんて要るのかな?飛行場から発射される再使用可能SAM扱いになるような。
恐らく無人機制御の確実性=通信問題と人間の意思の確実な介入だと思います。
有人・無人チーミング編隊の有人戦闘機は見通し通信によるローカルネットワークを形成し、そこから戦闘空域の後方に展開する空中、地上、海上プラットフォームを通じて戦術通信を中継し、統合司令部とデータや状況を共有するため、競争が激しくリスクの高い空域でローカルネットワークのコアとなるプラットフォームは生存性の高い機体である必要があるのでしょう。
もし競争の激しい空域で通信の安定性と低遅延が確保できるなら、AWACSどころか地球の反対からの制御でも問題ないと思います。