欧州関連

英国、ウクライナ人パイロットに対する西側製戦闘機の訓練を夏に開始

英国のスナク首相は2月「ウクライナにNATO標準戦闘機を操縦するための訓練機会を提供する」と言及していたが、15日「ウクライナ人パイロットに対する西側製戦闘機の訓練を夏に開始する予定だ」と正式に発表した。

参考:PM welcomes President Zelenskyy to the UK ahead of anticipated Ukrainian military surge

英国の訓練開始が直ぐに西側製戦闘機の提供に繋がる訳ではないが、ひとまず実現に向けて1歩前進したと言える

英国のスナク首相は2月「ウクライナ軍への長期的な投資の一貫として提供する訓練内容の拡大(NATO標準戦闘機を操縦するための訓練や海兵隊に対する訓練など)」を言及していたが、15日「ウクライナ人パイロットに対する西側製戦闘機の訓練を夏に開始する予定で、これはF-16をウクライナに提供する国際的な取り組みにリンクしている」と正式に発表した。

出典:Tim Felce/CC BY-SA 2.0

英国はウクライナ人パイロットに「西側製戦闘機を操縦するための基本的な初級飛行訓練(英空軍のプログラムを流用)」を提供する予定だが、これは恐らく「戦闘機を使用した訓練」ではなく「ホークを使用した訓練」になる可能性が高い。

英国は過去「戦闘機パイロットの訓練には最短でも35ヶ月かかる」と主張、F-16の元教官や米空軍も「最短69日でウクライナ人はF-16を飛ばせるようになるかもしれないが、文字通り飛ばせるだけで、実戦に通用するスキルや戦術を身につけるためには何年も訓練を積む必要がある」と述べており、誰がF-16を手放してウクライナに提供するのか、提供に応じた国への代替戦闘機を誰が供給するのか、提供や運用維持にかかる費用を誰が負担するのかなど未解決の問題は山積みだ。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Valerie Halbert

英国の訓練開始が直ぐに西側製戦闘機の提供に繋がる訳ではないが、ひとまず実現に向けて1歩前進したと言える。

関連記事:英国がNATO標準戦闘機を操縦するための訓練をウクライナに提供、但し戦闘機提供は未定
関連記事:ウクライナ人パイロットは数ヶ月でF-16を飛ばせる、但し飛ばせるだけ実戦は別

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Master Sgt. Tristan McIntire

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コメント

    • kami
    • 2023年 5月 15日

    写真の後席のパイロットさん、毛量が怪しい。
    やはりヘルメットによるダメージは大きいのか。。。

    15
      • 鼻毛
      • 2023年 5月 15日

      教官なので単に年齢でしょう

      6
      • 全裸ギター
      • 2023年 5月 15日

      また髪の話してる……

      54
        • チェンバレン
        • 2023年 5月 15日

        髪なら留守だよ
        休暇とってベガスにいる

        17
          • 2023年 5月 15日

          じゃあ、また戻ってくるんだね

          12
            • mumei
            • 2023年 5月 16日

            むしろむしり取られちゃうんじゃないですかねぇ

            18
    • 横田
    • 2023年 5月 15日

    F-16がウクライナで運用できない理由は何度も何度も聞いたけど
    いずれ枯渇するウクライナ空軍の戦力どうするのって話に誰も明確に答えられなかったわけで
    結局導入する流れなんですかね

    11
      • ズマ
      • 2023年 5月 15日

      新造F16は1億ドルくらいで取引されてるんで、単純に買うとウクライナ支援に必要な他の兵器にしわ寄せが行くんでは

      6
        • 匿名希望係
        • 2023年 5月 15日

        一応F-16A/BとかあるからF-16 MLUまで改修してあるか新造してある機体なら比較的安価にできるぽいけど
        米国ですらどんだけ在庫があるのやら

        3
          • 戦略眼
          • 2023年 5月 16日

          砂漠から呼び戻すか。

      • 2023年 5月 15日

      ロシアによる即時のウクライナ全土の併合は阻止出来たと判断して良い、と言う前提で考えれば中期的にはウクライナ国は存続する。
      その場合ウクライナ軍が新規導入する兵器は西側の兵器しか有り得ない。
      それを見据えた戦後戦略の一環がこのニュースだと思いますがどうでしょうか。

      20
      • nachteule
      • 2023年 5月 16日

       唯一航空機だけは自国運用している同種の機体を除きF-16一択なのがね。それならMig-29以外なら何を提供して貰えるのかって話し方すべきなんじゃないかな。
       マルチロール機があれば一番良いのは当然だけど最低限アムラームをフルスペックで運用出来る性能が欲しいとかJDAMが使える機体があれば良いとか、速度や電子戦能力も欲しいとか有る筈だけどそんな話は無いように思うし。

       リークされた内容が全てじゃないと思うけどアメリカは越境攻撃に関しては慎重だし、イギリスが提供したストームシャドウだってロシア本土への攻撃は禁止(クリミアはウクライナ領土の認識)で制限掛けている。ロシアに残された空の優勢ですら大きく覆すような航空機を提供するかは現時点では低いと思う。
       最終的にウクライナ航空戦力の枯渇が目に見えたら、性能が低い練習機ベースなり新しい陸上運用の兵器を提供するだけのような気もする。 

    • 58式素人
    • 2023年 5月 15日

    憶測でものを言いますが。
    今現在、ウクライナ空軍の新人パイロットの訓練は、停止状態なのではないでしょうか。
    お金、場所、時間、機材の問題で。その結果、パイロットが枯渇しつつあるのでは。
    多分、英国は、そうした状態の改善のために協力をするのではないでしょうか。
    戦後、どのような戦闘機を配備するにせよ、です。もちろん、西側製戦闘機の選択もあると思います。
    当面は、今日明日ならば、西側の兵器も積める旧東側機、ということに変わりはないのでは。
    あと、今現在は、ロシア領内の目標を狙うならばウクライナ製の兵器を使わねばならないので、
    旧東側兵器の改装に手を貸すのは、大有りと思います。

    10
      • Natto
      • 2023年 5月 16日

      チェコがL39をウクライナに渡してるみたいです。
      パイロット教育の為かSU25の代用かは分かりませんが。

      2
    • おわふ
    • 2023年 5月 15日

    タイフーンが共同開発でなかったら、もう送っていたでしょうね。
    戦闘機は英国が最初とはいかないでしょう。

    最終的には、アメリカが、なんとかしないとね。

    5
      • hiroさん
      • 2023年 5月 15日

      どうでしょう?
      共同開発じゃなくても供与していないと思います。
      機体を供与すれば運用できるわけでは無いので、パイロットの訓練、整備体制の整備、管制·戦闘システムの統合、流出させたくない技術的問題のクリア等々課題は山積でしょう。

      9
    • 名無し
    • 2023年 5月 15日

    やっぱ最後に頼りになるのはイギリスだわ

    22
      • チェンバレン
      • 2023年 5月 15日

      敵に回すとめちゃくちゃめんどくさい国イギリス

      27
      • パセリ
      • 2023年 5月 16日

      むかしから欧州大陸での活動はガチの国やし、欧州大陸絶対関与するマンはやっぱり違うな

      4
    • 匿名
    • 2023年 5月 15日

    実は水面下ではもうある程度提供の日程決まってるんじゃないの
    選挙後見据えたやつだろ

    4
    • チェンバレン
    • 2023年 5月 15日

    今後もウクライナにコミットすることを宣言した形ですね
    ウクライナが屈服することはなく、何年かけてでも蛮族と対決していくという姿勢

    あと10年はF-16は前線で通用するだろうし、なんなら韓国の軽戦闘機とかもいいかもしれない

    12
    • 58式素人
    • 2023年 5月 15日

    英国で訓練のできる戦闘機。
    タイフーン、F35B、(ひょっとすると)トルネード、ハリアー、(なぜか)グリペン。
    WIKIによるとグリペンは、 
    ”機体の輸出ではないが、王立テストパイロット学校(ETPS)が、高速ジェット練習機課程にて
    スウェーデン空軍とともにシミュレータを用いた訓練を行い、さらにサーブにおいて複座型に
    搭乗しての教育を行っている[45]。2009年までに90名以上の生徒がグリペンに搭乗した。”
    とあります。英国は何を企んで(笑)いるのだろう。
    素人は、”グリペン”に一票。
    理由はAIM-120とミーティアAAMが使えること。
    今回の戦争で苦労をしているのは、ロシア機が自国領空内から長射程ミサイルを撃ってくることです。
    あと、前線の臨時基地から使用できること。F-16はこれが難しいらしいですね。

    4
      • あああ
      • 2023年 5月 16日

      空軍再建で西側機を導入するならグリペンが最適でしょうが機体も運用経験者も少なすぎてボランティアも供与も無理ですかね。
      宙に浮きつつある旧型タイフーンを既存インフラごとまとめて引き渡すのはありかも。なので英国供与は装備も教育もタイフーン向けだろうに思います。

      6
        • 戦略眼
        • 2023年 5月 16日

        トランシェ1なら、結構出物があるかも。

        1
      • 匿名希望係
      • 2023年 5月 16日

      そりゃ一時期は、外販担当していたしね>BAE
      製造にもだいぶ絡んでいるしね。

      2
      • 58式素人
      • 2023年 5月 18日

      あと、大穴でAV8-II。
      これもAIM-120を使えるはず。
      インフラ的にも、極小のそれを組織できる気がします。
      狭い強襲揚陸艦で使っているのですから。
      離着陸地点は、整地の上で、ブラスト対策に薄い鋼板を敷いてみては。
      STOLモードなら、滑走距離も短いでしょうから。

        • チェンバレン
        • 2023年 5月 18日

        STOVL性能は魅力的ですが、習得が難しく事故率も高い、行動半径や搭載量が貧弱と、それなりに失ってるものが多いのがなんとも

    • かませdog
    • 2023年 5月 15日

    私の私見ですがコストパフォーマンスとして戦闘機はやはりかなり悪いのでは無いでしょうか?
    仮にF16Vが数機単位で送られるとしても費用としては数百億円かかるでしょう。
    それに対して完全に空軍力で上回るロシア軍に与えれる損害はたかが知れているでしょう。
    よって可能な戦術はmig29で現在行われているようなゲリラ的戦法しか出来ないのではと思います。
    それならば超高価とはいえ1発数億円のパトリオット弾薬を同額分供与する方が防空力の向上に繋がるのではと考えますが…

    7
      • 匿名
      • 2023年 5月 16日

      戦闘機は対レーダーミサイルで防空網に被害を与えたり
      ステルス巡航ミサイルでルガンスクの地上施設を叩けたり、対空ミサイルで敵の航空機と交戦できるわけです。
      ウクライナが事あるごとに西側戦闘機が必要と強調しているのは、まさに戦闘機はコスパが悪くても
      搭載する兵器によって多くの作戦に従事でき、攻勢作戦には必須という認識が共有されているからだと考えます。

      またSAMの導入など防空能力の向上はたしかに課題ですが、前述のように、
      西側戦闘機の導入と天秤にかけられるような性格のものではないと思います。
      双方の充実を図っていくことが重要であると思います

      14
      • 2023年 5月 16日

      避難される筋合いは無いけど、ただ渋ちんなだけだと思う。
      要するに戦車と防空ミサイルだけの方が良いと言うのは西側の言い訳ではないのか。

      本当に戦闘機がコスパが悪いなら、西側諸国がエアランドバトルなんて志向しない。
      当事者意識が無いからウクライナが仮に負けてもウクライナ兵が大量に死んでも西側指導部は意に介さないだけ。

      ロシア軍機と同数でなければ意味がないとするのは極論で、今でもウクライナ軍はMiGでゲリラ戦法で実績を上げている。
      乗り物ニュースの受け売りだけどF16と最新鋭でないソ連製戦闘機では0対70-80とのこと。
      何処だったか忘れたがF16が40機あればロシア装甲車群を壊滅させられるらしい。
      対するロシア機は電子化が旧式で想定の戦果が上がらなかった。
      侵攻直後はフリーハンドで攻撃できたのに。

      1
        • nachteule
        • 2023年 5月 16日

         当たり前の話じゃんよ。現状レベルの支援にF-16飛行隊まで面倒見ろって言ってるに等しいんだから。
         どうしてもF-16欲しいなら他の装備はいりません、それだけで十分ですから支援して下さいなんて口が裂けても言わないでしょうよ。

         それに提供するにしてもロシア軍を鎧袖一触出来るような性能と兵器を与えてくれるのかが問題。あなたが言うFー16の戦果はどのブロックにどんな兵器使えば達成出来る話なのか、その基準に満たないならキルレシオもなにも分からないでしょう。

         コスパが悪いんじゃなくてウクライナ支援に回す予算をFー16がかなり食いますよって話でコスパの話なんかしてないと思うけど。
         

        1
      • panda
      • 2023年 5月 16日

      同意です
      支援に掛けられるリソースが無限でない以上、優先順位があるのは当然と考えられます
      理想論を言えば他の方が言うようにSAM増強と同時に航空戦力を供与すべきだと思いますけども

      2
    • 航空太郎
    • 2023年 5月 16日

    Mig29+ストーム・シャドウの組み合わせで250km先の重要拠点を叩ければ、敵前線をそれだけ後退させられます。ストーム・シャドウがステルス性能を持つ巡航ミサイルってところが利点で、例え数が少なくとも迎撃が困難で威力は1000ポンド級タンデムHEAT弾頭なので、地下施設とかでなければ大概の目標は撃破可能でしょう。

    なので、ゲリラ的で数は少なくとも、250km奥までの敵重要拠点を叩けるなら、F16V数機でもその効果は絶大かと。
    現在の状況なら、数機であろうとストーム・シャドウを放ってクリミア大橋を落とせれば、クリミアへの物流の多くを止められます。戦略的な価値は計り知れません。

    8
    • panda
    • 2023年 5月 16日

    まだ数年戦争が続くようなら供与されると言う事もあり得るでしょう
    そうでないとしても西側戦闘機の新たなる顧客となる事は間違いない

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