ウクライナ戦況

ウクライナ、首都周辺のロシア軍戦術大隊4個相当が撤退したと発表

ウクライナ軍は「キーウ周辺のロシア軍が700以上の装備(戦術大隊3個~4個相当)をベラルーシ国境に向けて撤退させた」と発表、近い将来サプライズがあるかもしれないと明かした。

参考:В четверг ночью почти 700 единиц российской техники отошли в сторону белорусской границы – ВСУ
参考:ВСУ зафиксировали отвод 700 единиц вражеской техники от Киева за ночь, но возможны “сюрпризы”

編した部隊が再び戻ってくるよりもドンバスに送られる可能性の方が高い

ウクライナ軍のアレクサンダー・グルゼビッチ准将は「キーウ周辺のロシア軍が700以上の装備をベラルーシ国境に向けて撤退(Ivankiv)させた。これは戦術大隊(BTG)3個~4個相当で我々は2つの可能性を考えている。1つは部隊の再編成及び再配置だが、ウクライナ全体の戦況を考えると撤退している戦術大隊はドンバス地域に送られる可能性が高い。なぜならロシアは全戦線で攻勢限界を迎えているため敵は一度戦力を回復させる必要があるからだ」と述べた。

准将は首都周辺に残ったロシア軍について「(敵の数は)少なくはないがキーウに侵入してくることは絶対に不可能だ。数日も経てば素晴らしい状況が見てくると思うので成功を積み重ねて行きたい」と見解を示し「近い将来、良い知らせが待っているだろう」と付け加えている。

つまりキーウを西側から取り囲もうとしていたロシア軍の一部もしくは大半を「ベラルーシに向けて撤退させた」という意味で、ウクライナ軍は再編した部隊が再び戻ってくるよりも「ドンバスに送られる可能性の方が高い=首都を巡る戦いは決着した可能性が高い」と予想しているのだ。

出典:GoogleMap この突出部にいたロシア軍の戦術大隊3個~4個相当が北に撤退したという意味(残存戦力の量は不明)

勿論、ロシアはキーウに対する嫌がらせのような間接攻撃を継続してくる可能性が高いので、首都方面のウクライナ軍は戦線を北に向けて押し上げる必要があるもののキーウにを直接侵攻するには「ロシア軍の規模が小さすぎる」と確信しているのかもしれない。

因みにドニエプル川西岸のロシア軍撤退がIvankiv止まりなのか、Ivankiv経由でベラルーシに向かっているのかなどは不明だ。

追記:ロシア軍の撤退によって「キーウ~ジトーミル間の高速道路が再開される可能性がある」と報じられている。

関連記事:ウクライナ軍の反攻、ヘルソン州北部の集落3つをロシア軍から奪還

 

※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

本物のナチズムからウクライナ人を守る、元ロシア軍部隊による義勇軍が訓練を開始前のページ

プーチンは自身の権威が傷つかないよう戦争を止める方法が見つからない次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍はバフムート周辺で反撃を継続、ロシア軍は市内で前進を再開

    ウクライナ軍はイワニフスキー方面の森林地帯から敵を追い出し、チャシブ・…

  2. ウクライナ戦況

    新たな局面に突入したウクライナ侵攻、ドンバスを巡る戦いの現状

    キーウ方面の戦線を縮小したロシア軍が今後戦力を集中させてくるのはドンバ…

  3. ウクライナ戦況

    ザポリージャ州の戦い、ウクライナ軍がベルベーヴの防衛ラインを一部占拠

    9月1日~4日までに登場した視覚的証拠は「ウクライナ軍がロボーティネ方…

  4. ウクライナ戦況

    バフムートの戦い、ウクライナ軍は南部で前進しクリシェイフカに迫る

    ロシア側情報源はヘルソン方面について「ウクライナ軍によるドニエプル川渡…

  5. ウクライナ戦況

    懲りないロシア軍に11回目の罰、ウクライナ軍が再びヘルソン空港を攻撃

    ウクライナ大統領府顧問のオレクシー・アレストビッチ氏は27日に「ヘルソ…

  6. ウクライナ戦況

    ロシア軍の容赦ない砲撃、ウクライナ軍も兵士の士気を保つのに苦労

    東部戦線のバルビンコヴ防衛を担当する第93旅団を取材したAFPは「ロシ…

コメント

    • kankan
    • 2022年 4月 01日

    首都攻防戦はひとまずの決着という事か
    まだ安心はできないけれど
    あとはロシア軍が戻って来れないように一定の部隊を置いて
    残りの部隊で南東部での集中、奪還の段階まで行けるか

    18
      • STIH
      • 2022年 4月 01日

      まあこの撤退が偽装ならアメリカから警告が行くでしょう。ウクライナは衛星写真なりTB2なりで偵察をしつつキーウから東部戦線や黒海沿岸部へ戦力を振り分ければ良いわけで。あるいはこれが偽装だとしてもロシアの補給が炎上している現状は大きく変わらんでしょうから。
      懸念があるとしたらゼレンスキー大統領の首のみをターゲットして、ウクライナの戦力が抜けた瞬間に決死隊を送り込んでくることくらいかなあ。

      11
      • 匿名
      • 2022年 4月 01日

      戦力が集中するのはロシアも同じ、まして今度はウクライナが攻撃する側ですから、おっしゃる通りまだ安心はできませんね
      なんとか奪還に成功してほしいです

      11
    • けい
    • 2022年 4月 01日

    追撃する体力はウクライナ側には無いよね?
    ロシア側も戦闘機を出して撤退を支援するモチベーションはなさそう。

    4
    • うし
    • 2022年 4月 16日

    ロシア軍戦術大隊4個が一個小隊になっちゃったので帰ります。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP