ウクライナはグリペンEを100機~150機調達するための意向書に署名し「調達に向けた作業」が本格化したが、クリステション首相もジョンソン国防相も「最初の課題は購入資金の調達方法だ」と指摘しており、グリペンEを150機調達するためには300億ドル近い資金が必要になるだろう。
参考:Zelenskyy heads north for possible Swedish arms deal
意向書への署名は「グリペンEの購入を正式に要請する」という意味合いで商業契約が締結されたわけではない
スウェーデンはグリペンA/Bを計204機調達し、内30機前後はA/B構成のまま保管中、内4機は試験機に転用、内4機が事故で消耗、内2機が博物館に寄贈され、残りはグリペンC/Dにアップグレードされてチェコに14機リース、ハンガリーに14機、タイに12機売却されたため、スウェーデン空軍が運用しているグリペンC/Dの数は約90機で、単座のグリペンCを更新するため2016年にグリペンEを60機発注した。
På plats vid F7 Såtenäs där Försvarsmakten idag tar emot den första av 60 JAS Gripen E. Det är en viktig dag för flygvapnet och det svenska försvaret. Gripen E är ett exempel på svensk teknologisk framkant och är ett modernt stridsflyg som i allt väsentligt är helt nytt. (1/3) pic.twitter.com/Bse70Hb5DX
— Pål Jonson (@PlJonson) October 20, 2025
このグリペンEは退役するグリペンCの一部部品を再利用して製造される予定だったものの、安全保障環境の悪化を受けて2020年にグリペンC/Dの運用延長を決定したため、グリペンCはMS20 Block4へのアップグレードが進行中で、60機発注したグリペンEについてもジョンソン国防相は20日「本機を最初に受領したサテネス基地で運用が始まった」と明かしていたが、ウクライナはグリペンEを100機~150機調達するための意向書に署名し、ウクライナとスウェーデンの間でグリペンE調達に向けた作業が本格化したらしい。
最初に指摘しておくと「意向書への署名」は「グリペンEの購入を正式に要請する」という意味合いで、クリステション首相もジョンソン国防相も「両国は購入に向けた最初のステップとしてグリペンE購入資金の調達方法を検討している」「(仮に商業契約が締結されても)150機全てを1度に納入するのは不可能だ」「スウェーデンでのグリペンE生産は始まったばかりで発注から納品まで3年はかかる」「(今回の意向書署名は)グリペンE購入に向けて準備と意欲を示しただけで実際のプロセスはこれから始まる」と強調し、グリペンEを100機~150機製造して納品するには10年~15年はかかるだろうと付け加えている。
Tacksam för att under Ulf Kristerssons engagerade ledarskap få fortsätta stödja Ukraina i kampen för frihet och mot rysk aggression. Det är Stockholm, inte Budapest, som visar vägen för en hållbar fred framåt. https://t.co/LLgamYrjUA pic.twitter.com/39cOM2PfKd
— Pål Jonson (@PlJonson) October 22, 2025
スウェーデン国内ではグリペンE/Fの機体単価について「推定5億~6億スウェーデン・クローナ」と言われているが、タイはグリペンE/Fを4機取得するため5.5億ドルの契約を締結しているため、関連費用込みの取得コストは限りなく1億ドルに近く、恐らくグリペンEを150機調達するためには300億ドル=4.5兆円近い資金が必要で、これをどうやって調達するか確定させないと商業契約に向けた協議は始まらない。
逆に言えば「資金さえ確保されれば短期間で商業契約締結が可能」という意味で、管理人は「150機分の調達資金を一度に確保するのは難しいため、調達規模を小分け(10機や15機)して資金調達の困難さを引き下げてくる」と予想している。
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※アイキャッチ画像の出典:President of Ukraine





















そりゃ150機もの戦闘機をポンと買うなんて芸当米中にも難しいでしょうしね
仮に変えても人の問題もあるでしょうし。
米国の来年度予算は例外的に10数%増えたけど140兆円越えです。中国だってJー20の量産とか順調な通り米国以上の予算規模です。
予算面だけ見るなら無理やりねじ込んで買おうとするなら全然無理な話ではないですよ。
ウクライナは凍結したロシアの資産で買うつもりなのではないでしょうか
EUでさえ元本には手をつけてないので無理かな、本気なら戦争終結条件交渉の場で揉める元になり停戦すら遠のくのでは
ロシアの対外資産の強奪にはアメリカも反対してるという報道が先日あったね
面白いのはこれがIMFの会合で示された意見ということ
要するにIMFはこれ以上ウクライナに融資しないという意向も併せて読み取れるんだな
(なお、現行のIMFの融資プログラムは2026年いっぱい
しかも本当なら今年中に終戦して来年の融資分は復興に使われる計画だったらしい)
もう今後はEUが年間10兆円規模で支出し続けるしかないな
勝手にやってろ、日本に絡んでくるな
2026年ではなく2027年では?というツッコミはさておき、元本に手を付けないのは国家が国家の資産を勝手に押収できない主権免除という慣習法があるからだし、追加の融資については今年の11月にIMFとウクライナが協議を行う予定では?
むしろ将来的にGCAPの顧客になってもらうように日本から今の内に便宜を図った方が良いのでは?
数十年後にグリペンEの寿命が来るあたりに売るか、もしくはMiG-29に対するSu-27の後継機枠で2機種目として売り込むか
その頃にウクライナという国が存在しているかどうかが問題ですね。
何故無くなってると思うんだ?
無くなるとは言ってませんよ?
ただ数十年後にあの国がどうなっているかなんて正確に予測出来る人は誰もいないと思いますがね。
この大量購入こそウクライナにとって未来のための投資なんじゃないかな
宇露戦後の常備軍のための装備に思える
ウクライナが第5世代機や第6世代機を考えるのはあまりにも時期尚早だろう
ウクライナ産の小麦をどこかに売り飛ばしてかな・・・
EU外に売ればそれなりだろうし
資金調達の手法や付随する法的問題など全て無視し「欧州防衛産業に対する政治的力学」という観点のみで言えば、グリペンを構成する部品供給で他国も潤うものの、これだけの自国財源でない巨額の資金がスウェーデンに流れ込むことを他の欧州諸国がよく思わないかもしれません。
そうは言ってもじゃあラファールやタイフーンを一度でも売り込んだのか?というとね
それならサーブよりも先に売り込みすりゃよかったじゃんとしか
普通にEUのウクライナ支援金で買うんじゃないかなと思う。
現状、ウクライナの軍事費は戦争で一杯一杯だし、停戦しても軍縮なんて出来ないから戦闘機を多数購入する余力が生まれるとは考えにくい。
またウクライナ国債も評価がかなり怪しいので、国債追加発行ってのも厳しい。
そうなるとロシアから分捕る賠償金か凍結資産の接収か支援金で買うしかない。
その選択肢で一番簡単なのが支援金だと思う。
>グリペンEを100機~150機製造して納品するには10年~15年はかかるだろうと付け加えている
それまでにウクライナという国があるのかどうか……
あっても財政は格付け最低ランクだし、復興にも金使わないといけないだろうし……
もう名実共に傭兵国家だなぁ
ウクライナの歴史は傭兵国家でなかった方が短いまである。
経済力に見合わないといえばそれまでですが、ウクライナの領土や人口規模、対峙する相手(ロシア)から考えると、妥当な規模とは思いますね。
ソ連崩壊後にMiG-29だけで200機近く引き継いでいた位なので。
軽戦闘機枠のMiG-29の後継機にグリペンE、重戦闘機枠のSu-27の後継にF-16Vかラファールあたりを入れれば収まりがいいか
グリペンEは8500万ドルらしいから8300万ドルのSu-35と同程度の価格だと思っていたが
うちのpreを買わないかしら
機体部品取りとエンジンの価格でよろしくてよ
今なら旧式AAMも山盛り差し上げちゃうわ
ドイツさん、フランスさん請求書きましたよ。
世界はぐったりしながら、ウクライナからの請求書を、独仏EUに回しました…
スウェーデン=ウクライナの為に、破綻国家へ(税金から)4兆円以上の与信を回す、そんなお人好しな国があるんでしょうかね?
対露戦を見据える上で今後の安全保障への投資としては悪くないと思うが
中国が、ロシアと比較にならないくらいの戦力なのに、日本財政・自衛隊に本当に余裕がないんですよね。
EUは余力ありますから、EUがドンドンお金を出せばいいのかなと思っています。
確かにグリペンはウクライナ向きですが実際にどれだけ調達出来ますかね。
もし自分の周りに他人の金を当てにして高額な買い物をしようとする人物がいたとすれば、間違いなく「あなたの境遇はお察ししますが私も余裕はないんですよ」と言いますね。
金は欧州にでも出させておけば良く、日本はこんな国に決して関わるべきではないと思います。
仰る通りですね。
欧州が払えばいいだけで、金を払いたい人が自腹を切ればいいだけでしょう。
英独仏は、『石破政権末期より支持率が低い』外国人に喜捨を続けて民意がでてるわけで、いつまで政権が持つのか見守りたいと思います。
ロシアが苦しむことは何でもすればいい
日本もロシア製品を買うのを辞めるべき
ロシアの主要輸出品目は、海産物・金・石油・ガス・レアースなので、禁輸したら日本が苦しむだけですね
あなたが暖房もなんて必要ない、電気代が倍になっても大丈夫、お寿司なんて食べなくても平気、車にも乗る必要がないという気合の入った人間なら話は別ですが
ロシアからしか輸入できない物があるわけではないのでそうはなりませんね
まさに仰る通りで、大きなインフレ要因ですね。
一般庶民の生活が苦しくなるのが本質で、インフレに国民の納得を得られず、政権支持率が下がり政治がめちゃくちゃになるでしょう。
『石破政権より低支持率』英独仏のように、低支持率でも政権維持できる民主主義が麻痺している国であれば別ですが、日本は政権交代になりますからね…
課題は
(1) 調達の原資が国家に裏付けられたものではない (=「300億ドルPON!とくれたぜ」はあり得ないですし)
(2) 生産ラインを維持できるだけの生産契約を結んでも10年以上かかる
(3) 最終生産機が納入された時にグリペンE/Fで将来のミッションをこなせるかはわからない
あたりですかね。
グリペンの航続距離はE型から内蔵燃料が増えたので今の航空戦力と比較して短すぎる、ということはなさそうです。
2015年時点の戦闘機が116機、攻撃機が63機、2021年時点で71+45機とのことから、マルチロール機の150機配備自体は確かにウクライナの防衛装備として今後必要になりそうな規模ではあるのですが、対価も含めて解決するべき問題はさまざまにありそうです。
F-16Aやミラージュ2000Cはいずれ補修部品の供給やら機体老朽化からくる運用コスト上昇を考えると、
NATOの資金で新品のグリペンE/Fが買えるのならば今のうちに買っておいた方が良いのだろうね.
2機供与されたサーブ340AEWも追加でさらにゲットしよう。
スウェーデン軍のグリペン全部あげなよ
ロシア以外に使う相手いないでしょ
「気持ちはお察しするがこっちも大変なんで自分で頑張ってね」って言葉が将来の台湾有事で日本に投げかけられるかと思うと中々暗い気持ちになるな
まさに仰る通りです。
(ウクライナ戦争後でさえも)フランス大統領様から、投げかけられたんですよね…
中仏首脳会談後に、御丁寧に発信してるんですよね。
欧州から極東は遠いですから、お互いそんなもんかなあと見ています。
確かに、我々も欧州は遠いですから、理解は浅いかもしれませんが、魔境在住の身としては、中国の危険性は理解してくれと思います。
日米が早い段階から口酸っぱく注意してるのにも関わらず、一帯一路に参加する国があるほどですから。
地続きで脅威に感じるのはわかりますが、一回魔境に住んでみて欲しい。
一帯一路ほんと仰る通りで、『ウクライナも親中の国』で要でしたよね。
ロシア戦争遂行を、中国が支えているのを見ると、ウクライナは何のために親中やってたのかなと…。
>2017年から2021年にかけての5年間では、輸出は1.9倍、輸入は4.2倍と大きく増加している。ウクライナ側の統計では、2020年において、輸出入とも中国が最大の相手国となっている。
(2022年01月31日 中国、ウクライナとの経済関係が緊密化、貿易は大きく増加 JETRO)
資金問題で買えないと云う事ですか。やはりハイテク兵器は戦前の戦力蓄積が全てなんですねとしか
しかし毎度ウクライナ関連のニュースを読んでいると、支援と供与と融資の使い分けが細かくて頭がゲシュタルト崩壊してきます