ウクライナが無人航空機「バイラクタルTB2」を48機追加調達すると報じられており注目を集めている。
参考:ЗСУ хочуть придбати до 48 ударно-розвідувальних БПЛА Bayraktar TB2
ウクライナに破格の条件で接近するトルコの目論見は?
ウクライナはトルコから無人航空機バイラクタルTB2のウクライナ軍仕様「バイラクタルTB2 SİHA」を12機導入中で、現在は初回発注分の6機を使用して軍が現地の厳しい気候に対する耐性をテストしている最中だが、トルコとウクライナはバイラクタルTB2の共同生産に向けて話し合いを加速させており、これが実現すればウクライナはバイラクタルTB2 SİHAを追加で48機導入すると言っている。
勿論、これは現在進められている軍のテスト結果によって白紙化する可能性もあるが、ウクライナ国内でバイラクタルTB2 SİHAの組み立てが始まれば調達コストを35%削減することができ、トルコは国内で製造したバイラクタルTB2 SİHAの輸出に関しても自由に行って良いと容認しているため、同機の共同生産は国内産業や雇用に新しいチャンスを運んできてくれるとウクライナ側は乗り気だ。
因みに初回発注分の推定契約金額は6,900万ドル(約73億円)と言われており、これは6機のバイラクタルTB2 SİHAと関連機器(地上管制装置2基・地上データ端末3基・遠隔映像端末2基等のコンソール一式と搭載弾薬)がセットになったものなので、1機あたりの導入コストは1,150万ドル(約12.2億円)となる。さらにバイラクタルTB2の輸出向け機体単価は推定約500万ドル(約5.3億円)なので、これをウクライナ国内で調達すると35%調達コストを削減できるらしいので約325万ドル(約3.4億円)ということになるのだろう。
問題はなぜトルコがウクライナに破格の条件でバイラクタルTB2の共同生産を持ちかけたのかだが、恐らくトルコの狙いはウクライナに残された旧ソ連時代の遺産だ。
トルコは主力戦車「アルタイ」のパワーパック(エンジンと変速機が一体化されたもの)をドイツから入手出来なくなったため、パワーパックの国産化を進めているがトルコ国防省は性能的に国産のパワーパック搭載には否定的な態度を見せているため量産プログラムが24ヶ月以上停止している。さらに米国の意向を無視してロシア製防空システム「S-400」を導入したため、国産攻撃ヘリ「T129 ATAK」に搭載していた米国製エンジンの輸出承認が得られない=事実上の禁輸措置に直面しており、これを解決する手段としてウクライナに接近した可能性が高い。
ウクライナの V・O・マールィシェウ記念工場(旧ハリコフ戦車工場)はソ連時代にT-64やT-80などの戦車を製造してきた実績とソ連崩壊にT-84(T-80UDベースの改良型)を開発した経験と技術力を備えており、さらに航空用エンジンを製造しているモトール・シーチは大型輸送機An-124やAn-225、攻撃ヘリMi-24やMi-28に搭載されているエンジンを製造してきた実績を持っている。
要するにトルコは不足しているエンジン技術を補うためウクライナの戦車用ディーゼルエンジン「6TD-2」やヘリ用ターボシャフトエンジン「TV3-117」の技術を狙っており、これが手に入るならバイラクタルTB2の共同生産や輸出許可などはトルコにとってお釣りがくるレベルなのかもしれない。
補足:既に両国防衛産業の協力は開始されており、トルコは開発中の新型巡航ミサイルに使用するエンジンをウクライナから調達(イーウチェンコ・プロフレース製のAI-35)することで合意している。
ただバイラクタルTB2の共同生産や追加導入話はウクライナ側が言及している通り「軍のテスト結果次第」なので、トルコの目論見通り話がまとまるのかはまだ未知数だ。
因みにトルコはバイラクタルTB2の発展・強化型(MQ-9リーパー相当)とも言える「バイラクタルAkinci」の開発を進めているため、バイラクタルTB2をウクライナに与えても海外市場で競合することは無いと考えているのなら本当にしたたかだ。
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※アイキャッチ画像の出典:baykarsavunma
武器商人にとって戦争は最大の販促イベントか
自国が戦場でなければ、ね
ロシアが嫌がりそう。
ウクライナに売らないように、何らかの取引をトルコに持ちかけるなどするんじゃないかな。
黙って見ているとは思えない。
過去に中国に技術移転しまくりのウクライナにとってはトルコは新しいお得意様では?このまま仲良くしてS-300ミサイル(HQ-8&052駆逐艦)やら空母(遼寧作ってた)やら戦車(VT-4は中国と共同開発)やらあるので恐ろしい事になるのでは?またロシアがウクライナにちょっかい出すかもしれませんけど。
ウクライナからの技術移転には、ロシアよりアメリカからの警戒が厳しいようで。今の国際情勢では、アメリカは中国と敵対し、ウクライナは万が一にアメリカからの支援が欲しいから利害一致で中国は深く入れない
ドローン△ 戦車▼ 防空システム▼
アゼルバイジャンがトルコ製ドローン大量購入→ナゴルノ・カラバフ戦争
ウクライナがトルコ製ドローン大量購入→?????
あっふーん(察し
クリミア&ドネツクの国土も取り返さなきゃ(使命感
(これ以上戦争が起きるのは)いやーきついっす
ウクライナとトルコが親密になるとロシアは不愉快丸出しだろ、
外野としては面白い展開と言うしかない
そして、地域大国トルコの野望の先が気になるね
トルコはロシアとの対立路線を取るつもりかな?
だったら同じNATO内で問題を起こすのはやめるべきだと思うけど。
太平洋側で中国と対峙しなきゃならん日米としちゃ
ロシアを裏から突っついてくれるトルコは有り難いといえばありがたい
でも対中終わってみたらトルコがでかくなりすぎててさぁ大変てな事にならなきゃいいなぁ…
カナダ、ナゴルノ・カラバフ紛争関与を理由にトルコ向けの武器輸出を停止
リンク
(以下本文抜粋)
カナダ政府は無人航空機に使用されるEO/IRセンサーやレーザー目標指示装置のトルコ輸出を一時的に停止すると発表、トルコはカナダの決定について「二重基準」だと反発している。(以下略)
トルコの開発スピードはすごいですね。
戦闘機、戦車、巡航ミサイル、無人機、ヘリコプター。
(トルコには空母と原潜はなさそうだけれど)
お隣の国もそうだけれどうまくいくのかなって心配になってくるほどの計画ラッシュ。
他人が心配してもしょうがないんだけれどね。
独裁国家の末路やね
民主主義をどれだけ否定しても結局欧米民主主義に頼らないと兵器もろくに作れない悲しさ
NATOにもロシアにも喧嘩を売る謎スタイル
旧日本軍を参考にしてんのかな
個人的にバイラクタルTB2の機体設計は合理的でセンスが良いと感心。
揚効比の高い高アスペクト比翼は要求スペック上当然だが旋回の機敏さは低下する。
プッシャー式プロペラ推進の防危性を考慮してツインブームで逆V字尾翼を支持しているが
逆V字尾翼は旋回性を向上させる効果がある。プロペラ後流に入るから低速での効きも良い。
先日公開された日本のある企業のドローンも同じような形してたな。最もこっちは災害時に使う事を想定してるみたいだけど。
無人機が絶賛活躍中で評価はうなぎのぼりなのだが、例えば米軍のEA18Gグラウラーなんかが本気を出したらどういう結果になるか気になる。
もしかしたら周囲100Kmの全てのリモコン型無人機がまとめて墜落する可能性もありそう。
仲が良いようで利害関係が対立していて一触即発なロシアとトルコ
日本が今日の地位と繁栄を得るまでにがひと通りやらかしてきた失敗の数々を、後追いの国々はやっぱりトレースしてる、あえて国名はあげないよ(笑)
トルコも先進国扱いされて立場と発言権、称賛が欲しいんだろけど、そのために他国の黒歴史をトレースする必要はないんだけどさ。
エドリアンよ、小さなヒトラーって呼ばれてうれしいのか?
ウクライナは昔から多方面に尻軽すぎる。資金不足で藁にも縋りたいのは分かるけどさぁ…
2027年頃にF16Vの導入を目指してたりNATO加入を目指すと思いきや中国にアントノフや空母の技術売り渡す。
ウクライナは並の中小国より基礎技術や能力あるんだからそれを売りにNATOサイドで頑張れんもんじゃろかのぅ…
ウクライナの微妙な立ち位置が、今後の欧州に与える影響は大きいよ、
人口も多く豊かだが、文化と人種にロシアとの関わりも深い、つまりロシア的な悪い面も多い国
西側になるよりも、緩衝国として機能するほうが世界的な利益だと思うがな。