ウクライナ戦況

駐英ウクライナ大使、英国から2隻の軍艦を受け取る予定で訓練も行われている

ウクライナのプリスタイコ駐英大使は1日、国営放送とのインタビューの中で「我々は英国から2隻の軍艦を受け取る予定だ。ウクライナの兵士達は既に英国で訓練を受けている」と明かして注目を集めている。

参考:Велика Британія передасть Україні два протимінні кораблі з власного флоту 

英国やポーランドがロシアと戦うウクライナへの支援に積極的なのは2月17日に締結された安全保障協定に起因する

国営放送Suspilneとのインタビューに応じたプリスタイコ駐英大使は「英国からのウクライナ支援には数隻の軍艦が含まれており、私は引き渡しが予定されている艦艇を最近視察した。我々が現在必要としているのは対機雷戦に適した艦艇で2隻手に入れたいと考えている」と明かしたが、何を手に入れるのかについて言及せず「ウクライナに引き渡されるのは英海軍で使用されている戦闘艦だ」とだけ付け加えている。

出典:Lt Nicholas Stevenson RN/OGL v1.0 サンダウン級機雷掃討艇

恐らく英国は海軍のハント型掃海艇かサンダウン級機雷掃討艇をウクライナに提供する準備を進めている可能性が高いが、これ以外の艦艇を英国がウクライナに提供する可能性もあるという意味だ。

さらに興味深いのは今年2月17日に締結された英国、ポーランド、ウクライナによる新たな安全保障協定についてへの言及で、プリスタイコ駐英大使は「3ヶ国による新たな同盟の正式名称が決まっておらず協議も停止した状態だが、我々を助けるためポーランドが果たしている『信じられないほどの役割』を考えると頭の下がる思いだ。つまり美しい調印式などは行われなかったが同盟自体は機能している」と述べており、英国やポーランドがロシアと戦うウクライナへの支援に積極的なのは安全保障協定に起因すると言いたいのだろう。

出典:Liz Truss

因みにウクライナ外務省の説明によれば本協定はロシアに併合されたクリミア半島返還を求める国際的な外交イニシアチブ「クリミア・プラットフォーム」に対する支援や調整、サイバーセキュリティ、エネルギーセキュリティ、偽情報への対処を目的にしたもので相互防衛義務や集団的自衛権行使といった要素は含まれておらず、3ヶ国は協定の枠組みについて合意したところで「2月24日」を迎えたため同盟としての詳細は詰められてない。

関連記事:緊張が高まる中、ウクライナ、英国、ポーランドが安全保障協定を締結

 

※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy/MoD OGL v1.0

ドイツ、ウクライナに引き渡した35mm弾薬がゲパルトで使用できない前のページ

台湾が12機導入したP-3C、整備問題で3年後に1機しか飛べなくなる次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ、首都周辺のロシア軍戦術大隊4個相当が撤退したと発表

    ウクライナ軍は「キーウ周辺のロシア軍が700以上の装備(戦術大隊3個~…

  2. ウクライナ戦況

    ウクライナ空軍がロシア軍地上部隊を攻撃、敵機を計10機も撃墜?

    ウクライナ空軍は10日、航空作戦を実施してロシア軍の地上部隊に打撃を与…

  3. ウクライナ戦況

    ウクライナがロシア軍司令官の殺害を発表、これで少将の戦死は3人目

    ウクライナ陸軍は11日、ロシア軍東部軍管区の第29軍陸軍司令官を務める…

  4. ウクライナ戦況

    ウクライナが207億フリヴニャ相当の戦時公債を発行、外国人も購入可能

    ウクライナ財務省はロシア軍と戦いに必要な資金を調達するため「207億フ…

  5. ウクライナ戦況

    ロシア軍が2日連続でキーウを攻撃、電力設備などのインフラ破壊が狙い

    ロシア軍が再び首都攻撃を開始、キーウ市内で爆発が確認され電力供給施設に…

  6. ウクライナ戦況

    ウクライナ侵攻失敗で低下したロシア軍のプレゼンス、きな臭いコーカサス

    ウクライナ侵攻作戦の失敗はロシア軍のプレゼンス低下を招き、ナゴルノ・カ…

コメント

    • ハナー
    • 2022年 8月 02日

    トルコが海峡通過の許可を出すのか?

    7
      • ミョウガとか
      • 2022年 8月 02日

      ライン川→マイン川→ドナウ川経由で国際河川使って黒海に出るんじゃないでしかね?
      掃海艇程度なら運河も渡れるでしょうし

      10
        • 成層圏
        • 2022年 8月 02日

        確かロシアも陸路で黒海に船(警備艇?)を搬送していたと思う。
        ソースが見つからん、すまん。

        1
          • 成層圏
          • 2022年 8月 02日

          バルチック艦隊のラプター(ラプトル)級哨戒艇だった。

          1
    • ぽろ
    • 2022年 8月 02日

    オデッサ沖の機雷掃除なら許可出すんじゃない
    英米と西側が隠れて余計な小細工しないといいな
    頼むからトルコの面子を潰してくれるなよ

    3
    • G
    • 2022年 8月 02日

    >英国から2隻の軍艦を受け取る予定で訓練も行われている

    ウクライナ軍は水上戦ではどうしようもないとして早々に配備していたフリゲート艦を自沈させていましたが、あらたに戦闘艦を受け取るための準備をしているということは何かしら大きな方向転換する事柄があったのか、それとも黒海の外に流れ出た可能性のある機雷(ロシアによるウクライナを貶める偽旗作戦と思われるもの)を処理するだけのものか、気になるところですね

    >3ヶ国は協定の枠組みについて合意したところで「2月24日」を迎えたため同盟としての詳細は詰められてない。

    つまり見方によれば、各国の合意さえあればいくらでも拡大解釈することができるということでもあるのでしょうか
    もしそうなら今後イギリスやポーランドを通じてさらなる西側支援を行うこともできるという重要な事柄になると考えられますが

    3
    • 速すぎィッ!
    • 2022年 8月 02日

    これって小型船をドニエプル川沿いでの供与となるんだろけど、オデッサからの穀物出荷への協力名目とかなるんかなあ。

    ところで艦と艇と船の使い分けみたいなのって排水量何t〜とか区切りとかあるですかね?
    なんとなく海軍は艦、民間は船のイメージするけれども。

      • 台灣大好き
      • 2022年 8月 02日

      艦は軍艦の艦。船はそれ以外、民間や海保などの公船ですね。
      艦と艇は大小で、1000トン以上か未満かか境だと教わりました。船と舟も国語的には同じく大小ですが境界ははっきりしないようですね。

      5
      • 戦略眼
      • 2022年 8月 02日

      旧海軍では、艦艇類別表に依るけどなあ。

    • ブルーピーコック
    • 2022年 8月 02日

    この次は対潜哨戒機だな

    2
    • 鳥刺
    • 2022年 8月 02日

    そう言えば、オデーサから穀物運搬船一隻目が出港したようですね。

    1
    • 無無
    • 2022年 8月 02日

    機雷の掃海は戦後処理の定番だろ、勝敗に関わらずウクライナの背負う傷がいかに深いか、掃海艇の供与は未来のためにどうしても必要だよ
    陸でも地雷除去や行方不明者の捜索など、直接は利益に繋がらない地道な活動が何年間も続くんだよ

    これが終わらない戦争の現実だ、戦勝パレード騒ぎなんて欺瞞もいいとこ

    8
    • 匿名希望
    • 2022年 8月 02日

    さすがに、台湾関係の記事がないのは、軍事情報サイトとしてはどうなのかと。
    日本の安全保障の大問題なのに

    さらに、コソボ、セルビアもきな臭い・・・頼むよ

    5
      • 2022年 8月 02日

      個人サイトに専門ミリタリー紙レベルのものを求められましても…
      というか逆にここがそのレベルで見られるぐらいには国内にちゃんとしたミリタリー報道を行う場所がないのが問題か…

      30
    • ぽろ
    • 2022年 8月 02日

    ここ個人ブログだしなー、まあ適材適所ということで

    最近は無人機関連とウクライナ絡みばっかりよ
    ゲームチェンジャーに一喜一憂して反抗作戦を待ち侘びるってのを楽しめないと

    ちなみに俺は開戦当初から押し返すの無理だろこれって側

    11
      • shkk
      • 2022年 8月 02日

      まあだいぶ前にも管理人の興味がウクライナ関連に引かれてるからみたいなこと言ってたし
      一人で編集するとなると時間的にも偏るのは仕方ない

      それに、ウクライナ外のことも話題になった話は取り上げてるし

      4
    • 58式素人
    • 2022年 8月 02日

    今回、対機雷戦艦艇に英国製を選んだと言うことは、
    将来的に、ウクライナ海軍の復興は、
    英海軍の助力を得ると言うことになるのかな。
    悪い選択ではないとは思いますが。
    ドナウ運河を通るなら、沿岸は、ドイツ・オーストリア・
    ハンガリー・セルビア・ブルガリア・ルーマニアと
    今回の戦争についてどっちつかず、或いはセルビアのように
    明確に親露派なので大変だなと思います。

    2
    • kitty
    • 2022年 8月 02日

    「掃海部隊と言えば俺らの出番だな!」

    「お前じゃねえ座ってろ」

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP