ウクライナ戦況

ウクライナ軍がヘルソン州で反撃、航空戦力も投入してロシア軍と交戦中

ウクライナ軍はヘルソン州のDavydivBrid付近からBruskyns’keに向けて攻め込んでいると推測されており、ウクライナ軍参謀本部もヘルソン州で攻勢に出たことを認めた。

参考:На Херсонщине ВСУ пошли в наступление, враг обороняется на невыгодных рубежах – Генштаб

もしウクライナ軍がドニエプル川まで貫通できればクリヴィー・リフ方面のロシア軍を、、、と考えてしまう

南部戦線で4月下旬に行われたウクライナ軍の反撃はロシア軍のヘルソン州完全支配を一時的に崩したが、結局元の位置まで押し戻され膠着状態が続いており、ロシア軍はヘルソン州の防御ラインを構築しつつクリヴィー・リフ攻略を目指して州北部に戦力を集結させている。

出典:GoogleMap 大まかな南部戦線の状況/管理人加工

この状況に変化が観測されたのは28日で、ウクライナ軍はヘルソン州のDavydivBrid付近からBruskyns’keに向けて攻め込んでおり、突破口近くのBilohirka、Lozove、Andriivkaでも激しい戦闘(ウクライナ軍は航空戦力も投入)が行われているらしい。

まだ反攻作戦の意図、投入された戦力の規模、ロシア軍との交戦状況など分からない事だらけなので何とも言えないが、もし本気で攻勢を仕掛けているなら「Bruskyns’keを確保して州北部に集結した敵部隊の補給線を遮断」→「そのままドニエプル川まで進みクリヴィー・リフ方面をヘンソン方面の分断」を狙っている可能性もある。

出典:Сухопутні війська ЗС України

ロシア軍が確保しているノーバカホフカより北の占領地にドニエプル川を渡る橋はなく、もしウクライナ軍がドニエプル川まで貫通できればクリヴィー・リフ方面のロシア軍を、、、と考えてしまうが、ロシア軍も対応してくるはずなので「ヘルソン州北部と南部の補給線遮断」が現実的なラインか。

関連記事:ウクライナ軍が南部戦線で反撃、渡河作戦でロシア軍の背後をつく動き

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

リトアニアメディア、ウクライナにTB2を送るため購入資金を寄付で調達前のページ

韓国がレッドバックのデモンストレーションを公開、K9 USER CLUBも初開催次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    北マケドニア、T-72に続き保有するSu-25をウクライナに提供か

    北マケドニアはT-72に続きSu-25をウクライナに提供したと報じられ…

  2. ウクライナ戦況

    英国、ウクライナに自走砲AS90×20輌と砲弾×4.5万発を提供か

    英Express紙は24日、政府はウクライナに4万5,000発の砲弾と…

  3. ウクライナ戦況

    マリウポリの製鉄所に残る民間人避難が完了、但しウクライナ軍は残留

    ウクライナのベレシュチュク副首相は7日午後、マリウポリのアゾフスタル製…

  4. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領がヘルソン市を訪問した理由、スイカのために来た

    解放されたヘルソン市を訪問したゼレンスキー大統領は報道陣に「スイカのた…

  5. ウクライナ戦況

    ウクライナ、Shahed-136を233機撃墜するも電力事情は悪化の一途

    ゼレンスキー大統領は19日夜の演説で「ウクライナ軍が1ヶ月間にShah…

  6. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍、1400輌以上のロシア軍車輌と5710人の兵士を無力化

    ウクライナ国防省は1日午前6時時点までロシア軍に与えた損害について車輌…

コメント

    • や、やめろー
    • 2022年 5月 29日

    バイラクタルTB2は、リトアニアの支援が決まったから思う存分使えるのか。しかしドネツク川まで貫通できたすごいな。ヘルソン上下を分離できるとウクライナ軍としては大チャンスだな。ヘルソン国際空港さえ占領できればヘリなり飛ばせると思うが。

    10
      • 名無し
      • 2022年 5月 29日

      支援と言っても民間から1機贈呈だけでしょう
      そのこと自体は素晴らしいと思うけど

      20
    • タイヤキ
    • 2022年 5月 29日

    民族的にも、ロシア系多くロシア側の人間も多そうな東部より南部を攻めるほうがウクライナ軍には有利かな。クリミアを除いてはロシア領土から東部よりは遠いですからね。

    13
    • ミリオタの猫(ロシア軍、架空戦記張りの大逆転をやるのか?)
    • 2022年 5月 29日

    昨日このブログで反撃の報(5/28付けの「ウクライナ軍が南部戦線で反撃、渡河作戦でロシア軍の背後をつく動き」参照)を知った時は「ウクライナ軍は威力偵察のつもりで攻撃しただけなのに、話が誇張されて広まっているのか?」と思っていましたが、航空機も投入して攻撃中となると真面目な攻勢と見て良さそうですね。
    実は、最近私は「ロシア軍は近い内に東部・南部戦線で同時に大攻勢に出て、平原部での縦深攻撃によってウクライナ軍を撃滅するつもりかも知れない」と思っていましたが、南部戦線でウクライナ軍が反撃に出た事によってこの予測は外れるかも知れません(外れたら私一人が恥をかけば良い訳ですし)。

    12
      • ダヴー
      • 2022年 5月 29日

      予想が外れたからと言って恥だと思わないですよ。
      戦場の霧に覆われている状況では色々なシナリオが考えられると思いますから。

      37
      • てつ
      • 2022年 5月 29日

      まあ戦況予想は専門家でさえ難しいですし、我々は所詮部外者かつ素人ですからね。
      ロシア軍がセベロドネツク包囲を目指し始めてから、どこかに逆転できるポイントはないかと私も色々考えましたが、ヘルソン方面からとは思いつきませんでした。
      考えてみれば、数日前にヘルソン方面にはT-62が、ドンバス方面にはT-80が補充されているという情報がありましたし、ハープーンの供与や世界で食料輸出が問題になっている事を考えたら、ヘルソン方面で攻勢をかけることで間接的にドンバス方面を掩護できますし。

      19
      • ブルーピーコック
      • 2022年 5月 29日

      ウクライナ側の発表だとしてもブラフだったりしますからね。答え合わせというか詳細な流れはしばらく後か、戦後待ちでしょう

      7
    • 折口
    • 2022年 5月 29日

    作戦的に見れば膠着した戦線の正面には戦線維持に必要なだけの兵力を残して単一攻勢正面に兵力を整理するべきなんでしょうけど、やはり政治的な必要性が働いているんですかね。(ドニエプル川という強固な自然の要害がある訳で、ストラテジーゲームなら西岸に後退して有利な単一正面で相手の消耗を誘うくらいの選択肢すら出てくる状況)

    ウクライナは今は団結していますが、大統領や閣僚があれだけ言っても欧米から頭越しに早期講和論(降伏論)が降ってきており、かつ既に占領された複数地域ではロシアの実効支配確立のための業務が始まっています。然るに少しでも「失地が存在していることを肯定」してしまうと中からも外からも総崩れ敵に挙国一致の国防体制が崩れてて現状の占領地域で新しい国境が出来てしまうという、そんな危うさを大統領以下指導者層が感じているんでしょうね(恐らくウクライナ側が闘志を失った時点で欧米の支援も止まるし)。

    日本を舞台にした架空戦記でも自衛隊の作戦計画に政治家があーだこーだと介入して結局余計な犠牲が出たり作戦目標が後退したりという描写が定番としてありますが、民主国家である以上は純軍事的に好ましい選択だけど常に積み重ねていくということは許されない訳で、この空気感は将来起こる日本周辺の戦争を想定するうえでも非常に参考になるんじゃないかと思ったり。

    39
    • 2022年 5月 29日

    ヘルソン州だと黒海上空を飛んでるNATO電子戦機の直接支援を受けられるだろうから、状況を把握しやすいというのもあるはず
    それにしても開戦からまだ3か月なのに1年以上過ぎてる感覚。展開が早すぎてくらくらする

    32
    • ダヴー
    • 2022年 5月 29日

    管理人さん同様にどういった意図の攻勢か気になりますね。
    特に大規模な反攻を本気で行うのであればそのようなことをわざわざ発表するというのが疑問です。
    ここはやはりロシア軍の意識をヘルソン方面に向けさせて、東部への圧力を緩和することが狙いのような気がします。

    6
      • ダヴー
      • 2022年 5月 30日

      正確なところは解らないですが、この攻勢にはポーランドから送られたT-72Mを受領した第5戦車旅団が参加しているという話が有ります。
      この情報が正しいのなら、ウクライナ軍はかなり本気の攻勢を仕掛けていますね。

      2
    • 鳥刺
    • 2022年 5月 29日

    三月末にも、各地でウクライナ軍の小規模な反攻が頻発した時期がありましたね。
    あれと似た印象を受けます。現場の戦力比が改善されたら即逆襲、ウクライナ軍の戦意恐るべし…

    ヘルソン市への正面攻撃は、ロシア側も兵力入れて防御を固めている以上攻撃側の損害も大きくなりますし、やられてみれば今回の攻撃地点は戦線の脆弱点にみえます。攻撃規模は旅団一個は確実に参加していそうなものになりましたね。
    さて充分な前進に成功して北方のロシア軍の後方連絡線を脅かし得るか?
    彼我の参加兵力の報道も待たれます。

    3
    • ブルーピーコック
    • 2022年 5月 29日

    ドニエプル川を越えればクリミア半島とロシア本土にかかる橋、もといセヴァストポリへの攻撃も視野に入ってくるから、ロシアも簡単には抜かせてくれないだろうな。だからこその航空戦力を伴った攻撃なんだろうけど。
    まあ陽動の可能性もあるから、今はまだ続報待ちかな。

    4
    •  
    • 2022年 5月 29日

    ウクライナ軍が発表しているようなヘルソン解放は現実的に無理だろうし、そこまでは狙ってないのでは
    おそらく本命は南からクリボイログを狙い集結中のロシア軍の背後を脅かして攻勢を頓挫させ、戦線を整理して戦力をザポロージェ方面に転身させる狙いがあるのでしょう
    ハリコフの二の舞にならなければいいのですが…

    2
    • 思い付きだけど
    • 2022年 5月 29日

    いまヨーロッパ各国から兵器がある程度送ってきたからには、それが役になっていますよというのをPRする必要があるのかも。
    それが今後も継続してくれないと、「戦争」を続けられない。

    4
    • 浅見真規
    • 2022年 5月 29日

    ウクライナ軍が本気でヘルソン等のドニエプル川西岸(右岸)のロシア軍占領地を奪回するつもりなら、ヘルソン州でドニエプル川にかかる3本の橋を破壊するはずで、(本気なら)今回はそのうち一番北のノーバカホフカのKakhovka水力発電所の堰に並走する道路橋の破壊を目指すと思われます。水力発電所の堰と並走しているためピンポイントで破壊しないと水力発電所の堰まで壊れてしまって電力不足や水道や農業・工業用水不足になるので破壊は若干面倒でしょう。(壊れたら最悪の場合は洪水で人的被害が出るかもしれません。)ただし、Google-mapの写真を見れば、正確に砲撃し155mm榴弾砲弾でも数発命中すれば破壊は可能と思われます。堰の附属の道路橋なので構造的に比較的脆弱だからです。
    そのため、水力発電所の堰と並走する道路橋を破壊するとすれば精密砲撃のエクスカリバー砲弾射撃が有力ですがカエサル自走砲での射程は46kmで、ウクライナ軍がInhulets riverを渡ったとされるDavydiv Brid付近は60km近く離れており15km近く南下しないと射程内に収まりません。Davydiv Bridで部隊を二分し橋頭保を造る部隊と南下して砲撃する部隊に分けるのが良いと思われます。まあ、砲撃より特殊部隊を堰に並走する道路橋まで送り込み爆破する方が確実ですが、そこまでの余裕は無いかもしれません。
    堰に並走する道路橋さえエクスカリバー砲弾による砲撃で破壊できれば、突入したウクライナ軍部隊に十分な戦力があれば管理人さんの御期待のようにクリヴィー・リフ部隊とで挟み撃ちできるでしょうし、戦力不足でも相当の損害を与えうるでしょう。

    1
    • makumaku
    • 2022年 5月 29日

    情報不足ですが、ウクライナ軍は5/28までにT2207線に沿ってBruskyns’ke付近まで9km余り前進したようです。この部隊が退くようなら陽動、他のウクライナ軍部隊も呼応して前進するなら反抗と観ていいのではないかと。
    リンク

    4
    • qwertyu
    • 2022年 5月 29日

    ウクライナ側に予備選力がまだいて逆にロシアは即座に投入できる予備選力が尽きていると仮定して、ロシアがヘルソンを守ろうとしたら東部から部隊をヘルソンに送り込まなければ困難だと思う
    もし送り込めば、ヘルソンの攻勢は適当なところで止めて東部に予備選力を送り増援を送り手薄になったところを攻める
    送り込まなければ予備選力を投入してそのままドニエプルに到達、防衛線を引き直す。今までよりも少ない部隊で防衛線を維持できるから浮いた戦力を東部に回し反攻に出る、というのがウクライナ軍の考えではないか?

      •  
      • 2022年 5月 30日

      まず前提がおかしいです
      ヘルソン方面のロシア軍は予備戦力が枯渇しているどころか北部で攻勢準備のため集結中と言われています
      あと両軍の部隊がそんなほいほい東に西に再配置を繰り返すなんて話は全く現実的ではありません
      ロシア軍が東から送り込んできたら攻勢を適当にやめて東に増援を送ってそっちで攻勢ですか、子供でももう少し現実的なことを言いますよ

      1
        • qwertyu
        • 2022年 5月 30日

        >ヘルソン方面のロシア軍は予備戦力が枯渇しているどころか北部で攻勢準備のため集結中と言われています

        具体的にどのくらいの規模の攻勢か知りませんが、5/27のUAWarDataによるとヘルソン周辺の部隊はウクライナ軍が5,6旅団(約30BTG相当?)なのに対してロシア軍は11BTG程度しか見られません
        あなたの言う通りホイホイ簡単に部隊を動かせないのでウクライナ軍反撃時点でも大差ない戦力だと考えられます
        他の人のツイートによるとウクライナの反撃は32BTG相当なのでポパスナ・セヴェロドネツクに対して追加の戦力投入が必要なことも考慮すると予備選力が枯渇してる可能性が高いと思うのが当然です

        >ロシア軍が東から送り込んできたら攻勢を適当にやめて東に増援を送ってそっちで攻勢ですか、子供でももう少し現実的なことを言いますよ

        攻勢を行って前進が困難なら別の地点から攻勢を行うのは当然の考えで、実際にロシア軍がイジューム方面で失敗したらポパスナで攻勢を行っています
        現実を見てから言ってください

        4
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  2. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  3. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP