ウクライナ戦況

ウ軍参謀本部、ロシア軍によるウクライナ西部侵攻の可能性が高まっている

ウクライナ軍参謀本部は20日「ロシア軍がベラルーシ領からの攻勢を再開する可能性が高まっており、侵略方向はキーウ方面ではなくウクライナ西部に変更されるだろう」と述べている。

参考:Угроза наступления из Беларуси растет – Генштаб

ベラルーシは極秘に動員を行っているとの報告もあるのでウクライナ軍参謀本部の予想が外れてくれることを祈る

ルカシェンコ大統領は今月10日「国境沿いに増強されるNATO部隊に対抗するためロシアと共同で合同部隊を創設する。ロシアから大規模な派遣は期待できないが、それでも1,000人以上になるだろう」と発表していたが、ベラルーシ国防省の補佐官は16日「合同部隊に参加するためロシア軍部隊がベラルーシに到着し始めた。この移動には数日掛かる見込みで派遣戦力の規模は9,000人弱になる見込みだ」と発表。

出典:Mil.ru/CC BY 4.0

鉄道輸送でベラルーシに向け装備を運び込んでいる様子も目撃されており、この装備には新たなシンボルが描かれているため「特別軍事作戦に合同部隊が投入されるのではないか?」という指摘も増えていたが、ウクライナ軍参謀本部は20日「ロシア軍がベラルーシ領からの攻勢を再開する可能性が高まっており、攻勢の方向もキーウ方面ではなくウクライナ西部に変更されるだろう」と述べている。

つまりロシア軍はベラルーシ領がウクライナ西部に侵攻「ポーランド領を経由してウクライナに向かう補給路の遮断を狙っている」という意味だ。

今のところベラルーシ軍が合同部隊の指揮下に程度の戦力を提供するのかは不明だが、ベラルーシは極秘に動員を行っているとの報告もあるのでウクライナ軍参謀本部の予想が外れてくれることを祈る。

関連記事:ロシア軍、ベラルーシ軍との合同部隊に兵士9,000人と相当量の装備を派遣
関連記事:ルカシェンコ大統領、ベラルーシ軍とロシア軍による合同部隊を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru/CC BY 4.0

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コメント

    • zerotester
    • 2022年 10月 21日

    ロシア軍が西部から攻めようとする動きは戦争初期にもあって、そのたびにウクライナ軍は「西部から侵攻される可能性がある」と警告していました。(そしてISWはそのたびに「可能性は低い」とレポートしていました)

    今回も「油断してないぞ」と示す意味はあるとは思います。ベラルーシ軍が侵攻に参加する可能性は低いと思うんですよね。

    39
    • 2022年 10月 21日

    散々補給を潰されたロシアがウクライナの補給路を狙う可能性は有ると思う。
    けど今のロシアに戦線を拡げて維持する力があるかな?
    ベラルーシも派兵するか微妙ではあるけど、警戒するに越したことはないか。

    27
    • makumaku
    • 2022年 10月 21日

    戦力の逐次投入に加えて、戦線拡大なら、ロシア軍の混乱と消耗しか見えて来ない。
    この情報が正しいならば、ルカ大ピンチ。

    21
    • 霞ヶ浦
    • 2022年 10月 21日

    あまり西過ぎるとポーランドを刺激する事になるが大丈夫か?

    18
      • 月虹
      • 2022年 10月 21日

      リビウ州などウクライナ西部へのミサイル攻撃、誤ってポーランド領内に着弾しない様にロシア軍は虎の子の誘導式ミサイルをわざわざ選んで攻撃に用いているとの報道もありましたね。

      2
    • りんりん
    • 2022年 10月 21日

    ウクライナへの支援の大部分が、ポーランドから西部の中心都市リヴィウを通じて入っているわけで、ロシアがこのルートを叩きたいであろうことは容易に想像できる。
    リヴィウを叩けなくとも、リヴィウとキーウの間に混乱をもたらすだけでも、ウクライナ軍の攻勢を止める要素にはなりうるので。
    ただベラルーシ軍が動いたらポーランドがどう出るかは、ロシアも読みきれないと思う。
    さすがにポーランドが即時参戦することは無いだろうが、国境を接するペラルーシへの圧力はかなり高まるはず。
    矢面に立ちたくないルカシェンコとしては、そんなリスクは犯したくないのでは無いかなとは思うが・・・侵攻開始時にロシア軍の通過を認めたこと、そしてロシア軍によるShahed-136の射出を認めたことで、もはや逃げられない立場でもある。
    プーチンに押し切られる形でのベラルーシ参戦の可能性には、注視せざるを得ない。

    21
      • HY
      • 2022年 10月 21日

       陸戦でリヴィウを狙うにはヴォルイーニ州かリウネ州を征圧しないといけない。現実的か?四国くらいの大きさあるぞ?

      5
        • りんりん
        • 2022年 10月 21日

        でも配置されているウクライナ軍守備隊も少ないぞ。
        まあ全体を読んで書きこんでくださいな。「リヴィウを叩けなくとも」と書いてるでしょ。
        最初に書いたように、リヴィウとキーウの輸送にダメージを与えるだけでも十分なので、直接リヴィウで無くそっちを狙うでしょう。
        それならウクライナ領に深く侵攻しなくても、ちょっと侵入して野砲やロケットで鉄路を破壊するだけで済みますから。

        2
    • 無能
    • 2022年 10月 21日

    インパールかな?

    19
      • 匿名
      • 2022年 10月 21日

      ロシアに牛を売りつけるなら今!

      9
      • A
      • 2022年 10月 21日

      頻繁な更迭と組織変更そして定まらない方針。
      まるで倒産直前の会社だね。

      5
    • タイヤキ
    • 2022年 10月 21日

    ロシアとベラルーシ自体がウクライナ西部に侵略するは何度もいってますね。
    ベラルーシ大統領はウクライナ戦争初期にロシア軍と合同軍でウクライナ西部侵略してウクライナ隣国のモルドバまで侵略する計画戦争計画をテレビで図式いりでメディアに公開していますからね。
    本当であれ嘘であれウクライナが世界にロシアとベラルーシのいっている侵略計画の警告はしていたほうがよい。

    9
    • 名無し
    • 2022年 10月 21日

    ロシア軍はそもそも装備も弾薬も不足してる上
    ベラルーシ軍も旧式装備ばかり
    仮に侵攻しても早々に殲滅されるんじゃ?

    16
      • 名無し
      • 2022年 10月 21日

      それが出来る部隊を、首都や南東から引き抜いて西側に集めさせることが目的でしょ。
      保護しないままの輸送トラック部隊は、素人が動かすT-55でもBTRでも殲滅できるから。

      9
    • hamil
    • 2022年 10月 21日

    ロシアよりの動画サイトで、今まで見たことのない戦術マークをつけた多くのロシアの軍用車両がベラルーシ領を鉄道で移動している動画が出回ってる。
    ブレストに移動しているロシア軍の車両も動画に上がってるので、攻勢が行われるのならブレストあたりを起点にしてリヴィウに向けての攻勢の可能性が高い。ロシア軍としては、本格的な攻勢を行ないウクライナ西部を分断して、ウクライナの補給を断つ戦略をとっても良いし、牽制攻撃としてウクライナ西部を攻撃して、東部に集結しているウクライナ軍を西部戦線に移動させる圧力にもなる。ロシア軍としてはウクライナ西部への攻撃はメリットしかないので行なってくる可能性が極めて高い。ロシア軍の動員完結と同時に、ウクライナ西部でNATO 諸国との分断を目論んだ攻勢が行われ、東部でも反攻作戦が同時に行われるだろう。この反攻作戦で戦術核兵器が使われないことを切に願ってる。

    11
      • パンシロン
      • 2022年 10月 21日

      いつまでも懲りない連中。
      時間の問題だろうヘルソンやザポリージャを失えば、”自国領”が攻撃された〜ナチの侵略に対する反撃だ、大祖国防衛戦争だと逆ギレ的な言い訳は立つから、いつまで「特別作戦」とやらをやってるのか知らないし国民動員の理由付けも曖昧なままだから、いっそ正式に「戦争状態」に格上げして改めて攻め込んだって別におかしくはないわけですね。ロシア的な観念では。

      2
      • no war in UA
      • 2022年 10月 21日

      ただ攻勢を行うとしてもウクライナ空軍への対策は大丈夫なんですかね?
      東部南部と比べ遥かに上空からの監視と攻撃が容易だと思われますが

      2
    • むむ
    • 2022年 10月 21日

    貴重な防空装備をわざわざ西側に回すだろうか?

    2
    • nanananana
    • 2022年 10月 21日

    動員したばかりの低練度の兵士を最前線に送るくらいならベラルーシに送って牽制に使うほうがよほどマシだし
    ついでベラルーシ軍に訓練してもらえばロシア軍の訓練リソース不足も問題にならず練度をあげられる。
    このくらいならルカシェンコも協力を拒めないでしょう。
    今すぐ侵攻しなくても9000人という規模のロシア兵がそこにいるだけでウクライナとしては目の上のたんこぶだし
    練度が上がるに連れて脅威度も上がり実際に侵攻に使うことも可能になる。
    なかなかうまいやり方なのではないかと思いました。

    19
      • kitty
      • 2022年 10月 21日

      私もとりま訓練だけ外注したんちゃうかいなと思ってました。
      ウクライナだって国外で訓練していますし。

      11
    • ダヴ
    • 2022年 10月 21日

    ロシア軍9000人じゃ1桁足りんわ。
    ベラルーシ軍が突如死力を尽くしてウクライナを攻撃してくれないと成立しない。
    ウクライナ側も備えを割かないといけないから歯痒いだろうが。

    5
    • xyz
    • 2022年 10月 21日

    宇軍の作戦に関係してるのか分からないけど、ISWの報告の更新が遅くなってるね。
    裏で何か起きてそうだけど週末に動きがあるかもしれんな。

    • NHG
    • 2022年 10月 21日

    ベラルーシ(ルカシェンコ大統領)はロシア軍によるクーデーターを恐れてるのではなかろうか
    2月にウクライナに対してやったような首都強襲・傀儡政権樹立をやられるのを恐れての極秘動員

    2
    • ウラー
    • 2022年 10月 21日

    ベラルーシにチョロっと訓練させてもらった部隊が?
    早々に全滅的打撃を受けそう
    陽動作戦で、クリミアへの後退の時間稼ぎか?
    ポーランドにも被害が及んで参戦になったらエラい事に

    1
    • show the flag
    • 2022年 10月 21日

    この記事で気になったのはgeneralsvrの18日の投稿、ハリコフ・キエフの二方向への追加攻撃をプーチン大統領が主張との符号です。
    SVRジェネラルは正体不明の上にゴシップも多いのですが稀に後から現実と合致するケースも見られるだけにいい加減な憶測と切り捨てられません。
    ウクライナ軍参謀本部の発表がドニエプル川のダムと並んで予防・牽制的なものである可能性があっても公的機関の発表で裏付けられた事実は重いように感じます。
    その作戦が現実的な脅威となり得るかは別として、先日からプーチン大統領が直接指揮系統に影響を及ぼしているとの観測と関連して一発逆転的な志向は彼個人の思考と現実との乖離が生じていることを懸念するところです。

    2
    • 名無しさん
    • 2022年 10月 21日

    危険な独裁侵略者からベラルーシを解放する為に、NATOがベラルーシに侵攻すると言う口実作られるんじゃ?
    まかり間違ってポーランドとの国境で”事件”が起きたらスゴイことになりそう。

      • 1.44スキー
      • 2022年 10月 21日

      それこそ第三次大戦の口火を切ることになるかも?
      あっという間に終わるのか、それとも…

      1
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