ウクライナ戦況

ヘルソン州でもウクライナ軍が複数の拠点を解放、ドニエプル川沿いに南下か?

南部戦線のウクライナ軍がドニエプル川沿いの敵防衛ラインを突破、Zolota Balka、Khreshchenivka、Shevchenkivkaの解放に成功したが、イゴール・ガーキン氏は「ロシア軍がDudchanyまで撤退した。ウクライナ軍の目標はベリスラフだ」と述べている。

参考:RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, OCTOBER 1

ロシア軍がDudchanyまで退却したという視覚的な証拠は見つかっていないが、、、

南部戦線のウクライナ軍がドニエプル川沿いの敵防衛ラインを突破、Zolota Balka、Khreshchenivka、Shevchenkivkaを解放、ロシア軍を約7kmほど押し戻したことが視覚的に確認されているが、ロシア軍がDudchanyまで撤退したという報告がある。

出典:Google Map 南部戦線の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ドネツク人民共和国の親ロ派で当局の軍事分析を担当するイゴール・ガーキン氏は「ヘルソンの我が軍はDudchanyまで退却した。我々の防御陣地を北から迂回して包囲することを狙っており、さらなる退却を強いるつもりだ。ウクライナ軍の戦力は機械化大隊が3個~4個、戦車大隊が少なくとも1個と推定(装甲戦闘車両100輌以上)される」と明かしている。

ガーキン氏は「ドニエプル川沿いのベリスラフをウクライナ軍は目指している」と予想しており、ここまでウクライナ軍が前進すればヘルソンの戦況は大きく動くことになるが、ロシア軍がDudchanyまで退却したという視覚的な証拠は見つかっていない。

因みに戦争研究所は「ロシアにとってザポリージャやヘルソンの占領地維持はドンバス解放よりも優先順位が高い」と指摘している。

もし南部戦線が東部戦線のように崩れるとヘルソン州とクリミアの接続部分がHIMARSの射程範囲に入り、アゾフ海沿岸にウクライナ軍が到達すればクリミア大橋も危なくなるため「ルハンシク州やドネツク州の占領地を失っても、ザポリージャやヘルソンの占領地だけは失えない」という意味だろう。

関連記事:リマンを巡る戦いはウクライナ軍勝利で決着、ロシア軍は撤退を発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Telegram

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コメント

    • 2022年 10月 03日

    日本だと市のモニュメントって駅前にあることが多いけど、この辺りじゃ市の入り口にあるのね

    14
      • 無無
      • 2022年 10月 03日

      戦後にはさらに戦死者、無名兵士のモニュメントが増えると思えば、この戦争で失うものの大きさにどんよりする
      そんな、勝者の無い戦争でも戦わないわけにはいかん

      18
        • らっしー
        • 2022年 10月 03日

        のどかなスイカのモニュメントの台座がグザグザに弾痕だらけに見えますが、あれを残すとすれば、
        戦後も侵略者とはいえ、その影で必死に撃ち合ってたヤツの死が想起されるんですよね…。

        8
          • ミンスミート
          • 2022年 10月 03日

          確かに弾痕すごいですな
          言われるまで気がつかんかった・・・

          ウクライナのスイカって丸いんだななどと間抜けなこと考えてましたよ

          5
          • Natto
          • 2022年 10月 03日

          射撃の目標物、基準物に使ってたのかな?

    • ミリ猫
    • 2022年 10月 03日

    深刻な戦争の話なのに、巨大なスイカに和みました。
    そう言えばフランスでもご当地モニュメント(がある場合)は、市町村の入り口にあります。
    クリスマスの飾り付けもここに出します。
    巨大なスイカにクリスマスのライトアップってちょっと見てみたい気もする。

    23
      • 匿名
      • 2022年 10月 03日

      最近になってよく見るようになったへルソンスイカ関係の話題はこの戦争での数少ない癒し
      平和になったら復興支援の一環としてたくさん輸入してはどうだろうか

      21
      • 匿名
      • 2022年 10月 03日

      えっと、台座が分かりやすいですが弾痕だらけに見えますよ?あと左下の丸いのも地雷じゃないです?

      4
        • 2022年 10月 03日

        あえて悲壮的になる部分を主張しなくてもいいでしょう。
        モニュメントの弾痕なんか見なくても、ウクライナ関連のニュースは大抵悲しいことばかり何だし、和めるとこは和めばいいじゃない。

        3
    • 無無
    • 2022年 10月 03日

    ベリスラフまで到達するならば、すでにドニエプル川左岸全域の解放を企てている?
    息が続くかな

    • AAA
    • 2022年 10月 03日

    ロシアのアンドレイ・グルリョフ議員によると150万着の軍服が消えたとのこと。
    ロシアの動員兵は軍服以外の装備は自費で用意するように言われたと話題になっていましたが
    もはや軍服の支給すらなさそうですね
    訓練はしないし装備は自前だし軍服はない兵士とは・・・もはやただの民衆では?

    23
      • k.ziro
      • 2022年 10月 03日

      軍服、アマゾンに流れちゃったんですかねえ

      3
      • けい2020
      • 2022年 10月 03日

      もうどこをどう見ても野盗・盗賊なので、人権なんて認めず全部処分でもしないと
      戦後に味をしめてやりかねない、、(ロシアには略奪品市場すらある)

      1
      • Natto
      • 2022年 10月 03日

      例の携帯食料がまだamazonに出品、ロシアから発送だとか。
      もう分かんねえなこれ。

      2
    • 匿名
    • 2022年 10月 03日

    ベリスラフに到達「した」という情報すら出回ってるな
    信憑性については怪しいが、クピャンスクの時にも思ったのはポジティブな結果についても正常性バイアスに似たものは働くものだということで
    普段理性的な人ほど劇的な戦果に対して懐疑的だった
    到達までは行ってないとしても、煙が立つ程度の火は熾ってるんじゃないかって気がする

    ともかく、ベリスラフへの到達に成功すれば
    1.カホフカ橋を通常の榴弾砲の射程内に収める
    2.Davydiv Brid以東のロシア軍の包囲
    この両方がほぼ現実になるわけで、へルソン方面の露軍のみならずロシア軍全体にとっても致命傷になるだろうな
    もう死に体と言われればそうかもしれないが

    17
    • h4
    • 2022年 10月 03日

    >ドネツク人民共和国の親ロ派で当局の軍事分析を担当するイゴール・ガーキン氏
    イーゴリ・ギルキン(ロシア語発音)は元FSBの工作員で、2014のクリミア併合作戦の現地指揮をとった後ドネツク人民共和国の組織化を行い、現在はモスクワで大ロシア主義的な極右団体を主宰している在野の人間、という方が正確でしょう。ドンバスに独自のつながりを持つことは確かですが。

    個人的な見立てですが、この地域のロシア軍は補給の制限から積極的な機動防御は控えて、事前に構築した複数段の防御線で縦深防御することを目指しているのではないかと思います。

    4
      • h4
      • 2022年 10月 03日

      セルフ補足ですが、Rybarではちょっとしたパニックが見られますね。「市街戦に備える必要がある」みたいな書き込みがあって、Davydiv Brid~ベリスラフの線までの切り取りを確実視してヘルソン市までの包囲を当然視するようなものが見られますが、あそこは勝ち負けどちらにせよ誇張が多いように見受けられるので、ちょっと複数ソースの裏付けがないと分からないですね。

      ウクライナ側は補給を断って弱体化させる作戦を取っており、十分に体力を奪ったところで強力な機甲軍団を突入させると一気に崩れるのもあり得る情勢ではありますが。

      4
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