ウクライナ戦況

ウクライナ軍の反攻、ヘルソン州北部の集落3つをロシア軍から奪還

ウクライナ軍はロシア軍に占拠されていたヘルソン州北部の集落(Orlovo、Zagradovka、Kochubeivka)を奪還することに成功、ドニプロペトローウシク州に伸びていたロシア軍の突出部を押し戻した。

参考:Украинские защитники освободили от российских оккупантов три села на Херсонщине

これでヘルソン州西岸の3つの突出部は全てウクライナ軍に押し返され始めたことになる

ヘルソン州のロシア軍はオデッサ攻略のためムィコラーイウ州に向かう部隊とクリヴィー・リフやニーコポリを攻略するためドニプロペトローウシク州に向かう部隊に分かれており、ムィコラーイウ方面のロシア軍はほぼ排除されたが、ドニプロペトローウシク州に向かったロシア軍は州境で進軍が停滞してした。

出典:GoogleMap 大まかなロシア軍支配地域とウクライナ軍の反攻方向/管理人加工

この突出部を押し返すためウクライナ軍はドニエプル川沿いにニーコポリを目指し進軍してきたロシア軍をノボボロンツォフカで叩き同地を奪還、クリヴィー・リフを目指し進軍してきたロシア軍にも反撃を加え「占拠されていた3つの集落(Orlovo、Zagradovka、Kochubeivka)を奪還した」とドニプロペトローウシク州議会が発表、これでヘルソン州西岸の3つの突出部は全てウクライナ軍に押し返され始めたことになる。

ただウクライナ軍の反攻はジリジリと奪われた集落を1つづ削りとっていくスタイルなので、ヘルソンやノーバ・カホフカに迫るまで時間がかかる予感が、、、因みにウクライナ軍参謀本部はロシア軍の戦死者数を1万7,500人と発表しているが、米国防総省もロシア軍の戦死者数を約1万5,000人(推定)だと発表しており、両者の数字の差はかなり縮まってきた。

追記:アブハジア共和国(ジョージアからの分立独立を主張してロシアが独立を承認した自称国家)に駐留していたロシア軍部隊が戦いに投入され、早速ウクライナ軍に殲滅されている。

追記:チェルニーヒウ方面でも幾つかの地域をロシア軍から奪還したと報じられているが、まだ正確な情報はない。

追記:ザポリージャ州でウクライナ軍の空挺部隊と地上部隊が反撃を実施して5つ以上の拠点を解放、メリトポリ近くの拠点も確保したようなので中々の規模。まだ確保した全ての地点を管理人が確認出来ていないので後ほど、、、

関連記事:ウクライナ軍の反攻、ヘルソン州のノボボロンツォフカ奪回に成功

 

※アイキャッチ画像の出典:Операція об’єднаних сил

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

トルコ、主翼とカナード翼を取り付けたバイラクタルKızılelmaを公開前のページ

本物のナチズムからウクライナ人を守る、元ロシア軍部隊による義勇軍が訓練を開始次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ドイツ、ウクライナに引き渡した35mm弾薬がゲパルトで使用できない

    レズニコフ国防相が先月25日「ドイツから到着した」と明かしたゲパルトに…

  2. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍は後退の連続、ロシア軍はクピャンスク、リマン、シヴェルシク、バフムートで前進

    ウクライナ軍のシルシキー大将は27日「東部戦線は依然として厳しい。敵は…

  3. ウクライナ戦況

    真偽は不明、マリウポリでウクライナ軍の兵士267名がロシア軍に降伏?

    露国営メディアのRIAノーボスチは5日、マリウポリでウクライナ軍(第5…

  4. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍のシルシキー大将、戦局を打開するチャンスは常にある

    ウクライナ軍のシルシキー大将はロイターの取材に「戦力的に優位なロシア軍…

  5. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領、降伏を考えるロシア人へ3つの約束を発表

    ゼレンスキー大統領は24日、降伏を考えているロシア軍兵士に対して人道的…

  6. ウクライナ戦況

    シヴェルシク方面の戦い、ロシア軍がヴェセレを占領しウクライナ軍は後退

    シヴェルシク方面についてロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは18…

コメント

    • ダヴー
    • 2022年 3月 31日

    示して頂いた地図を見て疑問に思ったんだけど、
    突出部を分断して包囲するのではなく、正面から押し返しているだけのように見えるのは、ウクライナ側に(装甲部隊による)機動力が不足している、あるいは包囲するだけの兵力的余裕がない、ということなのだろうか?

    6
      • samo
      • 2022年 3月 31日

      機甲兵力の不足かと思います
      特に南東部は森林地帯が少なく、見通しが良すぎて身を潜めることもできません
      ジャベリンの射程はおよそ4キロありますが、戦車に有効打を与えるトップアタックモードだとこれより短く、戦車の射程に劣ってしまうため、ロシア軍部隊への接近は困難でしょう
      なので、消耗戦によって、ジリジリと圧力をかけて少しじつ押し返すという戦術しか南部ではとれないのではないかと。

      歩兵は機動力がないですからねぇ…。

      16
        • ダヴー
        • 2022年 3月 31日

        まぁ、やはり装甲戦力不足ですよね。
        ただ、ウクライナ側の戦い方については、私は消耗戦しているというより、少数編成の歩兵で偵察・接敵し、ロシア側の位置を特定したら後方の砲兵に砲撃要請して、その砲撃で後退させているのかなと想像してます。
        ウクライナ側も兵力の余裕は無いでしょうが、代わりに砲兵火力はもともと充実してますから、それをメインに押し上げてるイメージです。
        (ヘルソン空港を長射程の多連装ロケットで攻撃したということは、恐らく9K58で編成された第107ロケット砲兵旅団もこの方面に投入されているはずですので、かなりの砲兵が展開していると思います。)
        まぁ砲兵の映像はほとんど出てこないので、あくまでイメージですが。

        1
      • G
      • 2022年 3月 31日

      ウクライナの地質的にロシア軍同様、ウクライナ軍も機甲部隊は整備された道路を使わないと運用できないのではないでしょうか

      13
      • zerotester
      • 2022年 3月 31日

      ムィコラーイウを迂回しようとしたロシア軍部隊は、待ち伏せしていたウクライナ軍によって大被害を受けたと聞きました。他の突出部もそんな感じでやられているのではないでしょうか。
      ヘルソンを正面から攻略するのはウクライナ側にも犠牲が伴うので、当面はロシア軍がニョロニョロと触手を伸ばすのを刈り取るようにして、ある程度弱らせたしたところでドニエプル川を渡るという算段かもしれません。いずれにしてもマリウポリ救援は間に合いそうにないですし。

      6
      • トト
      • 2022年 3月 31日

      この方面は第28独立機械化旅団しか不整地を走破できそうな部隊はないし、
      何より農耕地だらけで舗装されていない泥んこの道を徒歩行軍する動画もあがっている。
      反攻が始まって2週間くらい経つし、ロシア側の戦力の誘引を狙っていると思う。

      10
      • 774
      • 2022年 3月 31日

      丁寧にやってるから損害も少ない代わりに一気に奪回とはいかなそうですね

    • tofu
    • 2022年 3月 31日

    > ウクライナ軍の反攻はジリジリと奪われた集落を1つづ削りとっていくスタイル
    これはウクライナ(東陣営)のスタイルなのか、それとも機甲戦力が足りなくて敵の戦線を寸断するような機動戦?が出来ないからなのか……

    2
    • や、やめろー
    • 2022年 3月 31日

    これはマリウポリ奪還も見えてきましたかね?

    2
      • samo
      • 2022年 3月 31日

      ルーマニア領内からのNATO機の索敵支援がぎりぎり届くメリトポリの奪還を優先するかも?
      メリトポリかマウリポリどちらかを奪還できれば、ロシア側に大打撃を与えられるので、ウクライナ側としてはなんとしても奪還したい所

      13
    • samo
    • 2022年 3月 31日

    >両者の数字の差はかなり縮まってきた
    ウクライナ側が大本営発表する必要がなくなる事態になるだなんて、誰が予想できたのだろうか

    18
      • 鳥羽
      • 2022年 3月 31日

      開戦前までは、ロシアがここまでボロボロだったなんて誰も想像してなかったからなぁ
      もし二か月前の人間に戦闘経過が伝えられたら、ウクライナの肩持ち過ぎ嘘つくなっていわれるぞコレ

      31
        • pa
        • 2022年 3月 31日

        — 「amazonに出ているMRE、あれ、全部横流し品で、倉庫には何一つ残ってないねん」って言われていたら、「確かに、帳簿上は立派でも、中スカスカのところもあるかも」って思ったかも知れません。後知恵バイアス入っていますが。

        12
        • くらうん
        • 2022年 3月 31日

        15000人を信じたとして負傷者は通例だと約3倍の45000人、合わせて約60000人でこの数字だけでも驚異的だけど、ロシア軍は更に自傷行為をしたり逃亡・降伏も多いからそれを考慮すると壊滅的ですね。
        ワグネルにも頼りたくなるわけだ。

        5
      • 2022年 4月 01日

      数日前twitterで見たんですが、ロシア軍の戦争一週間で授与された戦死者用の勲章が4800弱なんだそうです(シリアルナンバーで分かる)。ウクライナ軍の見積もりは5000台でしたから、意外と正確だったようです

      7
      • 匿名
      • 2022年 4月 01日

      序盤からSNS向けの画像を編集して公開してたところから
      ウクライナ側の情報はかなり正しいのではと感じてた

      日本の情報発信元の多くがロシア軍好きのミリクラだったから
      とにかくウクライナ側の情報は信じるに値しないって論調ばかりだったが

      4
    • Vahagn
    • 2022年 3月 31日

    傍受されたロシア兵の無線でも「増援も補給も届かない……帰れないかもしれない……」と絶望感を吐露していますね。民家に押し入っては冷蔵庫や地下室を漁って缶詰やインスタント食品を浚っていくそうです。もはや、ロシア軍は国家的な野盗・山賊集団と成り果てました。

    本当は一旦退却してでも戦力の集結・再編すべきなのに、せっかく掻き集めた増援も逐次投入し使い潰してしまっては何の為の増援か判りませんね。

    南オセチアをロシア連邦加入の形で併合するという話が出ていて、今度はジョージアがどうなることやら。オセット人の意見としては南北民族の統一が目標でしょうから、待望の時なのかもしれませんが…。一度でも武力による現状変更を許せばあとは正義も悪もなくドミノ倒しになっていく。国境を越えて戦争が拡大するリスクが日々高まっているように感じます。

    行方不明のショイグの居場所、フライトレーダー24追跡班の航空マニアや、調査報道期間のべリングキャットによれば、ウファの核シェルターじゃないか説が流れてますね。最悪の事態も考えるべきでしょうか。

    15
      • samo
      • 2022年 3月 31日

      米国ですら苦しめられ続けてきた地獄の消耗戦ですね…

      10
    • 通りすがり
    • 2022年 3月 31日

    ドニエプル川の西はある程度大丈夫そうかな
    やはりネックはマリウポリが守りきれるかだな
    落ちる前に援軍送り込めるようになればウクライナの勝ち
    落ちてしまえば、外交でロシアに引き分けくらいまで持って行かれそう

    5
    • 黒丸
    • 2022年 3月 31日

    ウクライナ軍にドニエプル河の渡河資材とか船舶は十分にあるのかな。
    あれだけの大河で橋が限られると、対岸への補給や支援、橋の防空なんかは大変だと思うし
    いずれはその苦労話も知りたいものだ。

    2
    • G
    • 2022年 3月 31日

    >追記:アブハジア共和国(ジョージアからの分立独立を主張してロシアが独立を承認した自称国家)に駐留していたロシア軍部隊が戦いに投入され、早速ウクライナ軍に殲滅されている。

    まさか各国がロシアに対して反抗意識を大っぴらにしているこの時期に、まさにジョージアともめている地域からロシア軍が戦力を引き抜くとは予想外ですね
    もともとロシアがジョージアを侵攻し、国境を書き換え、しかもその国境すら守らずさらに領土を切り取っている最中ですので、この動きによりジョージアが領土奪還に動く可能性は否定しきれない気がしますが、両国はどう考えているのでしょうか

    11
    • 名無し
    • 2022年 3月 31日

    ロシア軍の戦死者いくらなんでも多い。多すぎない?
    この短期間で対テロ戦争の米軍戦死者の倍くらい死んでるんだけど……。

    16
      • 猫鉈
      • 2022年 3月 31日

      未来永劫帰ってこない夫や息子が大量発生している事実をロシア国内で伝えなければならない日がいずれくるわけですがプーチンが国民にどう説明するのか見ものですね。
      もし悪いのはウクライナのネオナチと欧米だと主張しロシア人たちがそれを信じるならもう西側との和解はムリでしょうね。

      17
    • 伝説のハムスター☆☆☆
    • 2022年 3月 31日

    アメリカやNATOは自走砲や装甲車とかの重装備や中長SAM等を渡してやれ
    特に東欧が持ってる旧ソ連兵器をアメリカ経由で渡してやればNATOの戦闘力を痛感してるロシアなら東欧組に報復できないっしょ
    ロシアは核を使用したら自分に味方をしてくれる国まで反対に回ることを冷徹に計算してるから核なんて使えないし、武器をウクライナに供与すれば、ロシアは敗北する前にウクライナ案で手打ちにするんだから今すぐ供与した方がいい

    2
      • pa
      • 2022年 3月 31日

      — 何となく、現在のロシアの情報レベルからみて、ウクライナがいま持っている武器であれば(戦闘機でも何でも)ウクライナに送っても、ロシアは気が付かないんじゃないか、なんて思えてきました。
      — もっとも、ロシアがそれを待ち構えていて、エスカレーションの口実に使う(ウチの部隊が負けたのはNATOが参戦したからです、これが証拠です、みたいな)という可能性も考えておかないといけないと思いますが。

      9
        • てつ
        • 2022年 3月 31日

        大統領が度々戦闘機と長距離SAMの供与を求めていますが、ウクライナ国内にモスボール状態のSu-27やMiG-29、S-300があるんですよね。
        短期間での停戦が難しいなら、国内外の技術者と部品をかき集めて、これらをウクライナ国内で再生する体制を組めるといいんですけど。

      • pa
      • 2022年 3月 31日

      — あと、「ロシアは核を使用したら自分に味方をしてくれる国まで反対に回ることを冷徹に計算してるから核なんて使えない」という部分については、いま経済制裁を受けていて、しかも経済制裁から解放される可能性をつぶし続けているのも冷徹な計算なのだろうか、と思ってしまいます。
      — あくまで私の視点ですが、「『国家的合理的判断により核を撃たない』とは確約できない」と感じています。

      11
    • メルク
    • 2022年 3月 31日

    南部は現状の戦力だけで押し返して、機動力のある部隊で北部のロシア軍の追撃と東部のロシア軍への即応戦力にするつもりかな?
    南部戦線は揚陸艦がつぶされて補給の立て直しが終わらないと動けそうにないしヘルソン空港で将官が立て続けに殺されたのもあってしばらく混乱していそう。

    4
    • AAA
    • 2022年 3月 31日

    南オセチアとアブハジアから兵を引っこ抜いたことで話題のコーカサスですが
    この度南オセチアがロシアの領土として編入する手続きに入ったそうです
    やったねプーちゃん、これで戦線が増えて二正面作戦ができるよ

    6
      • zerotester
      • 2022年 3月 31日

      ロシアは南オセチアから部隊を引き抜いているのに、そんな危ないことしていいんですかね。
      ジョージアに開戦の口実を与えるし、事情が事情なので今度はNATOが味方するかも。

      6
      • tarota
      • 2022年 3月 31日

      21世紀にリアルHoIで遊んでる感がすごいぞプーちゃん

      4
    • GR
    • 2022年 4月 01日

    装甲兵力では主な道路を外れれば泥濘に囚われる季節で後方へ迂回や奇襲は難しいのでは?
    ヘリを潤沢に使えれば違うんだろうけど、それだと点制圧で終わってしまうし
    結局、市街地や村落は歩兵で潰していかないと残敵の掃討が困難なんだから取りこぼして集結されるのもね
    露軍の配置も薄く分散されてるように推察できるから、ウクライナ側の前線は反撃に出れるだけ凄いタスクだと思う。
    迂回包囲なんて極まれば大戦果だろうけど、失敗したら二度と攻勢に出れない状況では現実的じゃないよ

    1
    • 2-4-3
    • 2022年 4月 01日

    これまでの言い草を見ていると帰ってこなくなった露軍の兵士はウクライナのネオナチに拉致監禁されたとか言い出しそうなんだよな…

    1
    • 58式素人
    • 2022年 4月 01日

    やっぱり、悪路のために迂回ができないのでしょう。
    両者ともに街道上とその付近に展開して、正面から衝突してるのでしょう。
    歩兵直協の装甲車両を潰し合った後は、
    歩兵の携帯できるATMやロケット・無反動砲・迫砲で撃ち合っているのでしょう。
    その場合、歩兵と携行弾数の多い方が有利でしょう。
    ウクライナ側が、歩兵の数と携行弾数で局所優勢の状態を作っているのだと思います。
    NLAWとパンツァーファウスト・RPG7の消費が多いのも、そう考えれば頷けます。
    当面は、補給戦でしょうか。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP