欧州関連

トルコにウクライナ製エンジンが到着、重攻撃ヘリ「ATAK2」が今月中に試験を開始

第5世代戦闘機のプロトタイプやステルスUCAVに続き「トルコ航空宇宙産業が開発を進めている重攻撃ヘリATAK2が間もなく地上試験を開始する」と報じられており、2023年はトルコ防衛産業界にとって飛躍の年になりそうだ。

参考:Ukrayna ATAK-II’nin motorlarını Türkiye’ye teslim etti

モトール・シーチが今年1月末に最初のターボシャフト・エンジン「TV3-117VMA」をTAIに納品

トルコ航空宇宙産業(TAI)は現在、超音速飛行に対応した練習機「ヒュルジェット」の地上試験中を進めている最中で、第5世代戦闘機「TF-X」のプロトタイプも予定通りにロールアウトさせ、オクタイ副大統領が登場を予告していたステルスUCAV「ANKA-3」も公開したが、今度は開発を進めているAH-64Eクラスの重攻撃ヘリ「T929/ATAK2」が間もなく地上試験を開始すると報じられている。

トルコはイタリアのアグスタ(現アグスタウェストランド)が開発した攻撃ヘリ「A129マングスタ」に改良を加えた「T129/ATAK」を生産中で、自国軍だけでなくパキスタン(30機/15億ドル)やフィリピン(6機/2.8億ドル)からも受注も獲得しているが、ATAKは軽攻撃ヘリに分類されサイズや最大離陸重量で言うと米国製のAH-1Sに近く、トルコ航空宇宙産業(TAI)は同機の製造で培った技術と経験を元にAH-64Eクラスの重攻撃ヘリ「T929/ATAK2」の開発を進めていた。

TAIは2021年にウクライナ企業「モトール・シーチ」とATAK2と関する契約を締結して「同社からエンジン供給を受ける」と発表、モトール・シーチは今年1月末に最初のターボシャフト・エンジン「TV3-117VMA」をTAIに納品(戦争の影響で4ヶ月遅れ)、組み立て中のATAK2に統合され今月中に地上試験を開始するらしい。

出典:CeeGee / CC BY-SA 4.0 ATAK2のモックアップ

TB2で有名なBAYKARも昨年、強襲揚陸艦での運用にも対応する無人戦闘機「Kızılelma/クズルエルマ」の初飛行に成功、今年は開発を進めているUCAV「TB3」の初飛行が控えており、2023年はトルコ防衛産業界にとって「飛躍の年」になりそうだ。

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※アイキャッチ画像の出典:Turkish Aerospace Industries, Inc

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コメント

    • はぁ
    • 2023年 3月 19日

    トルコ防衛産業は身軽でいいな。
    次期戦闘機も時間かけすぎて陳腐化しなきゃいいけど。

    8
      • 名無し三等兵
      • 2023年 3月 19日

      外見は今風に先進的でも、中身は手持ちの技術を使って
      背伸びしないでちゃちゃっと作ってる感じですね
      とにかく、そうやってどんどん実機作って飛ばせば
      人もノウハウも育つので羨ましいです

      34
    • クリモフ
    • 2023年 3月 19日

    「TV3-117VMA」エンジンはウクライナ紛争中なだけにライセンス生産になるのでしょうか?
    WIKIを見ると14基購入とありますが。

    5
    • ブルーピーコック
    • 2023年 3月 19日

    ティルトローターじゃないんだな

      • ブルーピーコック
      • 2023年 3月 19日

      間違えた
      ティルトローター✕
      ダクテッドファン○

      ティルトローターじゃオスプレイになってしまう

      2
    • 匿名
    • 2023年 3月 19日

    ウクライナ戦争を迎えて一年経過した今、果たして新規の重攻撃ヘリに需要があるんだろうか…🤔

    9
      •  
      • 2023年 3月 20日

      ギリシャとガチンコ戦闘になったら損害が多すぎて使えないかもね
      シリアでクルド人に使うんでしょう、攻撃ヘリは弱い者いじめに最適

      2
    • 58式素人
    • 2023年 3月 19日

    もうこんな事は考えなくても良いと思いますが。
    もし、ウクライナがどうにかなってしまう場合には(その可能性は緒戦ではあったと思います)、
    ハルキウ機関車工場とモローゾウ設計局とモトールシーチとアントーノウ航空機製造を、
    その従業員及び家族ごと(反ロシアの人に限りますが)日本に引き取れば良いな、と思っていました。
    ウクライナの軍需産業の主要な部分ですね。ロシアが欲しかったものでもあります。
    実際にそんな必要が起きていたら、多分、スコットランドあたりに行ったものと思っています。
    WW2では、エカチェリンブルグに疎開していますしね。
    話が変わって、アゾフスタル製鉄所を占領されたために、ウクライナ国内で良質の鋼や特殊鋼
    が不足しているとか。他所の記事では、アゾフスタル製鉄所のシェアは70%だとか。
    そこで、日本が自国の鉄を買い取って供与をしたら、と思います。武器ではありませんし。

    3
      • なな
      • 2023年 3月 19日

      海外の優秀な人材の獲得競争は日本が非常に苦手とする分野なんで、
      人材に選んで頂けるような魅力ある国に日本がまずは変わらなくてはならないのが難しいところですね

      26
        • やまそう
        • 2023年 3月 20日

        日本が海外から優秀な人材を引っ張ってくる魅力に乏しい国とかいう問題以前に、
        ウクライナの国難に全くこれっぽっちも貢献してない友好国でもなんでもない日本が優秀な人材だけはちゃっかり盗み出そうとするとか普通に戦争犯罪なんじゃないかな?

    • lang
    • 2023年 3月 19日

    あれ ロシアと戦争中にエンジン輸出しようとしたヤバイ企業でしょ・・・

    4
    • 774rr
    • 2023年 3月 20日

    自衛隊が攻撃ヘリを無人機で置き換えて全廃すると言っている中
    無人機の開発で先行しているトルコが攻撃ヘリをわざわざ自国で開発してるの面白いね

    将来どうなるのかがちょっと楽しみ

    5
      • nachteule
      • 2023年 3月 21日

       そんな事言ったら米国だってFARA作っているし、普通に棲み分け出来ているだけの話では?主に障害物に隠れ低高度を主とする垂直離着陸機で機関銃やミサイルやロケットを武装とするのがヘリ。トルコのUAVは滑走が必要で高度が高く主に誘導兵器で攻撃する感じだろうし。

       陸自は予算とか導入のゴタゴタがあって、想定する周辺国の仮想敵に対するキルレシオや島国とかオスプレイ導入した事とか離島対応とかもあって極端な方向に舵切った感じはするから理由がガラパゴスなだけじゃないか。離島を除く本土には攻撃ヘリが必要な敵勢力の上陸は無いって考えていそう。

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