ウクライナ戦況

ウクライナ軍、ドニエプル川沿いからロシア軍は15km~20km後方に移動

ウクライナ軍南部司令部は15日「我々の砲撃から身を守るためロシア軍はドニエプル川左岸の要塞から15km~20km後方に移動した」と明かしたので、左岸のドニエプル川沿いはグレーゾーン化したのかもしれない。

参考:Херсонщина: на левом берегу Днепра враг продвигается вглубь на 15-20 км – Силы обороны юга
参考:Оккупанты заявили, что их “администрация” покинула Новую Каховку
参考:ВСУ ударили по позициям врага на левом берегу Днепра и в районе Кинбурнской косы – командование

オレシキー、ノーバ・カホフカ、カホフカにウクライナ軍に入ったという噂は威力偵察の類だったのかもしれない

ウクライナ軍南部司令部は15日「我々の砲撃から身を守るためロシア軍はドニエプル川左岸の要塞から15km~20km後方に移動した」と明かし、露国営メディアも「敵の絶え間ない砲撃が続くためノーバ・カホフカの行政職員が街を離れた」と報じている。

出典:Google Map ヘルソン州の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

恐らくロシア軍は固定の戦力をドニエプル川沿いの拠点や防衛陣地からウクライナ軍の砲撃が届かない地域まで後退させ、グレーゾーン化した地帯を後方からの火力支援とパトロール部隊の巡回で維持しようと目論んでおり、オレシキー、ノーバ・カホフカ、カホフカにウクライナ軍に入ったという噂は威力偵察の類だったのかもしれない。

ただ南部司令部は「敵の物流ルートをウクライナ軍が火力で制圧しているため補給に苦労している」「我が軍の砲撃部隊がドニエプル川左岸とキンバーン砂州の敵を攻撃した」とも明かしているので、ロシア軍の砲撃部隊はグレーゾーン化したドニエプル川沿いに出たり入ったりしながらヘルソン市の復興を妨害、逆にウクライナ軍はHIMARSでドニエプル川左岸の兵站を破壊して反撃の機会を伺う展開になると思われる。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

因みにウクライナ軍参謀本部は15日「ヘルソン州のスカドフスクとヘニチェスクに駐留していた部隊をクリミアに移動させた」と発表、さらに「メリトポリ郊外の飛行場からヘリコプターや弾薬を撤去した」という報告もあるのでドネツク州での本格的な攻勢に向けて部隊の再編もしくは戦力の移動が活発に行われているのだろう。

関連記事:米戦争研究所、冬が到来してもウクライナ軍とロシア軍の戦闘は激化する
関連記事:ロシア軍、ドニエプル川右岸から持ち帰った戦力をどこに再配備するのか?
関連記事:ウクライナ軍がオレシキー、ノーバ・カホフカ、カホフカを解放か???

 

※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

    • 2022年 11月 16日

    次のウクライナの本命はドニエブル川渡河作成に思えますね。
    理由はサボリージャ方面は防衛拠点を固めていそうだしロシア軍も待ち構えている。東部はヘルソンの部隊を移動すると宣言されている。ドニエブル川東岸がロシア軍の部隊と防衛拠点が一番脆く、クリミアを刺激できる効果もある。

    今はロシア軍の残戦力の洗い出しと使えるフェリーポイントの選定、フェリーの集結、橋修復材の確保など行なっているはず。
    準備でき次第、電撃的な渡河作戦の実施が行われると期待したい。

    6
      • あばばばば
      • 2022年 11月 16日

      実はもう特殊部隊限定なら、ウクライナ軍の渡河作戦は始まっている
      進行中の作戦だから、あまり情報が出てこないが

      ある種ロシア側の陰謀論と変わりないくらいの情報強度かもだけど……

      5
        • ああああ
        • 2022年 11月 16日

        正に記事中の威力偵察のことでは?

        14
    • 58式素人
    • 2022年 11月 16日

    素人が勝手なことを言いますが。多分ですが。
    グレーゾーン或いはキルゾーンは、航空優勢(UAVを含み)のある側では、
    あまり意味がないのでは。隠れるのは、航空優勢の無い側では。
    ロシアの重砲兵がHIMARSの現在の射程の外ならば、
    ウクライナ側はロシアの居なくなった地域に進めば良いと思います。
    最初はヘリコプターと水上輸送で維持できる戦力でロシアの偵察部隊を排除し、
    引き続き、重火器を入れて、ロシアの兵站と重砲兵と指揮所を潰す作戦で。
    ただし、カホフカ水力発電所ダムは完全に掌握しないとですね。
    原発の兼ね合いもありますが、ダム湖の水位を下げてクリミアを干し上げねばですね。

    • 鳥刺
    • 2022年 11月 16日

    いやはや、誰もがロシア軍はドニエプル東岸近傍に砲兵陣地を維持して、西岸を火制し渡河攻撃を阻止すると考えていたと思うのですが…それと「ロシア軍が砲兵戦で撃ち負けて前線を退避させる」というのも、5~6月の砲撃戦を想うと隔世の感がありますね。

    ロシア側は河岸から20km後退してみた所で、自軍後方が精密誘導兵器で火制されている状態は変わらないわけで、ハラスメント砲撃と言ってもロシア軍の現地での活動は低調なものにしかなりません。どころか、ウクライナ側がドニエプル東岸に次期作戦の為の充分な大きさの橋頭堡を確保する可能性が生じている…ロシア側が留守で展開した部隊が極端に劣勢劣悪なら別の話が浮上してきますが、まぁさすがに。

    クリミア大橋の機能不全とハイマースによる南部ほぼ全域の火制による補給困難で、かってヘルソン橋頭堡がそうであったように、いまや南部戦区全体がロシア軍にとって巨大な負債と化してきています。

    実の所「クリミアは他が全部片付いてから」は、戦線がここまで進出した以上、もはや積極的な理由が無い固定観念に過ぎないのですが、大丈夫なんですかね(笑)

    4
    • けい2020
    • 2022年 11月 17日

    ヘルソン東側に強固な防御陣地とか要塞って表現はあちこちで出てきますが
    軍事的常識をまず捨てて、開戦以降のロシア軍の実績から推定した場合

    あのロシア軍で、強固な防御陣地とか構築できる士気・指揮・資材確保・現代防御陣地の知識
    が揃ってますか?

    油断するのは良くないししても、実績に基づいた論理的な推定をすれば、
    雑な塹壕を手掘りする程度の防御陣地は可能でも、砲爆撃に耐えられる防御陣地・防御線が構築できてない可能性が高いと

    しかも、ヘルソン西側から敗残兵が3万以上もなだれ込んでると、
    武器弾薬の前に衣食住すら維持できなくなるでしょう

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