ウクライナ戦況

ウクライナ軍がT-90Mを鹵獲、米国かNATOに引き渡される可能性が高い

ロシア軍のT-90Mをウクライナ軍が鹵獲したと示唆する写真が出回っており、破損している箇所も見当たらないため無傷のT-90Mを手に入れた可能性が高く米国やNATOに引き渡されるかもしれない。

参考:Диванно-штурмовая бригада

流石に無傷のT-90Mを敵にプレゼントするのは間違っており、ロシア軍上層部も渋い顔になっているはずだ

T-90M(Proryv-3)はT-14向けに開発された主砲、自動装填装置、アクティブ防護システム(APS)などをT-90に統合したモデルで、まだ生産量が限られているため西部軍管区の精鋭部隊「第1親衛戦車旅団」にしか配備されていないが、ロシア軍はウクライナ侵攻にT-90Mを投入しているのが確認されおり、今年5月にはハルキウ州北部のどこかで破壊されたT-90Mの画像が登場していた。

出典:Illia Ponomarenko

しかしロシア軍のT-90Mをウクライナ軍が鹵獲したと示唆する写真が出回っており、破損している箇所も見当たらないため無傷のT-90Mを手に入れた可能性が高い。

過去にアルカイダ系反政府組織「シリア解放機構」がT-90MのベースとなったT-90Aを政府軍から鹵獲、この組織をクルド人勢力掃討に利用しているトルコを通じて米国やNATOがT-90Aを手に入れようとして注目を集めたことがあり、無傷のT-90Mがウクライナ軍の手に落ちたのであれば米国やNATOが引き渡しを要求するだろう。

敵の手に落ちることを恐れて最新の兵器を後生大事にしまっておいても意味はなく「何らかの形」で敵の手に渡るのが常だが、流石に無傷のT-90Mを敵にプレゼントするのは間違っており、ロシア軍上層部も渋い顔になっているはずだ。

関連記事:ロシア軍、ウクライナとの戦いに投入した新型戦車T-90Mを失う
関連記事:NATO未入手のロシア製戦車? 反政府組織が捕獲した「T-90A」を巡って争奪戦勃発

 

※アイキャッチ画像の出典:Telegram

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コメント

    • XYZ
    • 2022年 9月 19日

    これはロシアからすると痛いですね。
    しかし、最新型の割には内部が古めかしい気がしますが・・・。

    あまりコンピュータ化されていないように見え、西側戦車と戦闘をすると一方的に撃破されそうです。

    47
      • バーナーキング
      • 2022年 9月 19日

      最新型、と言ってもつまるところT-72改の再改修型ですからね。
      改修内容も砲や自動装填装置や防御システムで、
      中身を大幅に入れ替えたとは聞いてないのでこんなもんじゃないかと。

      7
      • ナイトアウル
      • 2022年 9月 19日

       むしろどんな状態だとコンピュータ化されているって話になるんだ?照準用モニターと状況表示用モニターは有るように思うし、ドローン運用能力を有した戦車なら違う状態になると思うが10式やエイブラムスの内部とそれ程の差があるとは思えないけどな。
       ジョイスティックが無いとか最新航空機のような大型のマルチタッチディスプレイが無いとかなのか。

       狭い戦車内にゴテゴテ何でも付ければ良い訳でもないし、細かいスイッチ類が沢山付いていれば良い訳でも無い。戦場で求められるのは壊れにくくシンプルで誰にでもどんな状況であれ錯誤が起きずに使いやすい環境だぞ。馬鹿にでもある程度使いやすい環境構築するのがメーカーとしての勤めだし、用兵側もそれを要求するのが当然。

      10
    • bbcorn22
    • 2022年 9月 19日

    Oryxでも1台鹵獲となってますな。
    虎の子の最新兵器を無傷のまま置いて逃げるとかひどい敗走ぶり。
    ロシア軍の間抜けさ炸裂ですね。

    74
    • 無無
    • 2022年 9月 19日

    精鋭部隊の戦車兵がどういう状況で最新鋭を放棄して逃げ出したのかのほうが
    心持ち、ロシア兵への同情が芽生える俺

    37
    • 折口
    • 2022年 9月 19日

    蓋を開けてみたら主要なシステム部品は殆ど輸入品だったなんて事ありそうですよね。90MはT-14と完全に同一ではないにせよ、T-14が未だに実戦配備できない理由は開発満了前に(14年クリミア侵攻への制裁で)部品の輸入ができなくなりその後も内製化できなかったためと言われていますからね。
    ロシアが唯一誇っていたものが壊され奪われ秘密を暴かれていくこの流れを考えると、この先の戦況に関わらずもうロシアが核以外の戦力で西側にせよNATOにせよ周辺諸国にせよ対抗していくのは厳しそうですね。毎シーズンごとに核実験やるようになるのかなあ…

    81
      • あお
      • 2022年 9月 19日

      とはいえ、核実験も、核兵器の保管・管理もタダではできませんからね
       
      やがてそれすらできなくなったところで内戦、とかいうのが世界にとって最悪のシナリオでしょうね

      20
    •  
    • 2022年 9月 19日

    定期的に鹵獲される電子戦システムといい、この最新ロット戦車といい、アメリカ等がしっかり買い取ってるんですかね?もう既にロシア軍の全容解明に値する装備を十分鹵獲できてると思うんですが…

    41
      • A
      • 2022年 9月 19日

      こんな動画がありました。
      リンク

      8
        • ブルーピーコック
        • 2022年 9月 19日

        ちゃんと購入したT-80Uとかが無いあたり細かいなw

        1
        • KAMA
        • 2022年 9月 19日

        大部分がエジプトとイスラエル物でしょうね
        MiG-29はモルドバもの

    • 通りすがりの動物号
    • 2022年 9月 19日

    極厚の手袋をしていても確実にボタン操作できる仕様ですね。

    20
      • 匿名
      • 2022年 9月 19日

      これ見ると、例え10式戦車であろうとそのままウクライナへ渡しても冬季運用では支障が出そうですね…

      90式の時点でもヤキマの米軍兵士から「ボタン類や表示が細かすぎて戦闘中の操作に支障がある」とか意見された様ですし

      46
        • バクー油田
        • 2022年 9月 19日

        最初にこれを見た時は、最新の戦車って、コンピュータは最新でも戦車の必要操作をきちんと整理して絞りまくって
        渾身の整理で必要なボタンだけを並べてるだけなんかなと、タッチパネルも無いアナログな車内から逆に作業分析の芸術作品のような感じを受けました
        複雑な作業手順があるでしょうに、それをこなすのにこれだけのボタン数に絞ってみせた洗練の賜物みたいな。
        本当はロシアもタッチパネルをドーンと設置してポチポチやるようなものを作りたかったのに作れなかった事情でこうなってるのかもしれませんが。
        ただ米軍も10式に対してそんな事言ってるという事は、実戦経験から戦車の場合、戦闘機のようにデカいディスプレイを置くみたいなのは実用的ではないんでしょうね。
        戦車は悪路で揺れますもんね。あと、被弾した時に貫通しなくてもディスプレイは衝撃で壊れるでしょうし

        10
          • 名無し
          • 2022年 9月 19日

          避ける事が前提の戦闘機と
          ある程度被弾することを許容している戦車
          両者の相違な印象でした。

          2
          • あらら
          • 2022年 9月 19日

          10でなく90式戦車ですね

          2
    • 伸縮性のあるボクサー型のスパッツに近い装甲車
    • 2022年 9月 19日

    今回の戦争ではロシア軍の戦車の損耗の殆どが自走砲ないし対戦車ミサイルによる破壊・逃走又は故障による放棄で殆ど戦車対戦車の戦闘かないそうで… 
    物資不足のロシア軍にあって戦車砲弾が腐るほど倉庫に保管されてたのが何よりの証拠で…

    虎の子T-90にしても今回の戦争では出番はなさそうですしアルマータ君に至っては永遠に欠番でしょうね(というか鹵獲が怖くて出せないでしょうね)

    今回のアメリカにT-90が送られるとしたら「ウクライナのみなさんさようなら、大変ご迷惑をかけしました」の垂れ幕つけて運ばれるのかな?(Mig-25事件並の感想)

    38
      • 匿名
      • 2022年 9月 19日

      現在進行系で「迷惑」以上の敵対行動を仕掛けられてるんだよなぁ…

      28
    • 伸縮性のあるボクサー型のスパッツに近い装甲車
    • 2022年 9月 19日

    ファッ!?火器管制装置に”真空管”!? さすがにないか…

    6
      • STIH
      • 2022年 9月 19日

      電子線やEMP対策を考えたら、意図的に弱電系の駆動電圧を上げて対ノイズ性能を上げるため、真空管を使ってても全く不思議じゃないぞ。ロシアは半導体が弱いというから、信頼性を考えたら尚更。
      ソ連製は、どんな時でも必ず動くことを第一にしているイメージがありますね。軍用品にしろ民生品にしろ。

      12
        • 名無し
        • 2022年 9月 19日

        真空管で置換出来るのは、ロジック素子としてはtrやfetが1個分だろうし
        FPGA1個置き換えだけで高層ビル相当になるかも?
        モジュール全体だと、ちょっとした街規模になったりして。

        6
        • 名無し
        • 2022年 9月 19日

        ちなみに黎明期のコンピュータであるENIACは設置面積167㎡だったけど、
        1995年時点(0.5μmと今より桁違いに大きなプロセス)で約40mm2と、420万分の一程度のサイズで回路再現された様です。
        今だともう2~3桁小さくてもいけるかも?
        あとENIACの信頼性は改善後でも二日に一本真空管が壊れるレベル、116時間連続稼働で記録扱いでした。

        7
    • 月虹
    • 2022年 9月 19日

    電子戦システムである「クラスハ4」に続きT-90Mも鹵獲ですか…ロシア軍の慌てぶりが分かる記事ですね。
    これでアメリカやNATOが実態を知りたいと思われている主要なロシア製兵器は鹵獲されたことになり、ウクライナにとっても西側諸国への大きな手土産になるでしょう。

    52
    • Aaa
    • 2022年 9月 19日

    親露派「今回の撤退はウクライナを半包囲するための疑似的撤退! まもなくウクライナ軍はボコボコにされる!」

    半包囲するための罠として露軍はウ軍に最新鋭戦車を餌として与えたのですね。

    で、いつになったら「半包囲からのロシア軍にボコボコ」が始まるのでしょう?

    39
    • らっしー
    • 2022年 9月 19日

    詳しい知識が無い者として意外だったのが、
    戦車って普通の車みたいに牽引出来るんですね…。
    あんなクソ重たそうなヤツが不整地で普通に引っ張られていて驚き。
    なにか更に引きずってるな〜と思ったら、スペアの履帯なんですかね。

    案外車重の割に沢山の車軸と接地面に分散荷重してて、
    牽引車両に十分なトルクがあったらスルスル動くのかな?
    んでも、自走してなくて引き立てられてるだけだと、
    履帯が外れやすかったりするんかな…?

    何にせよ脳内でドナドナのメロディが…。

    23
      • バーナーキング
      • 2022年 9月 19日

      そらまあ本来60km/hオーバーで不整地走り回る様に作られた機構ですからね。
      軽トラで引っ張れる…、とは言いませんが、ある程度重量とパワーのある履帯車両なら問題なく引っ張れるかと。

      7
      • ブルーピーコック
      • 2022年 9月 19日

      動画だと戦車が戦車を牽引してますが、回収戦車(TRV)、または装甲回収車(ARV)という、戦車や装甲車両を運ぶための兵器カテゴリーもあります。ウクライナもT-84ベースの回収戦車を保有してはいます。
      区別やら種類を深堀りすると沼るので、西側の軍はMBTの砲塔を外して改造した、装甲車両を回収するための兵器を持ってるくらいの認識でいいかと。デブを運ぶためにはデブを(検閲)

      9
    • AAA
    • 2022年 9月 19日

    クラスハ-4は米国輸送されたという報道があったのでT-90Mも同じようになると思われます
    アメリカさん!T-90Mの完動品送るのでATACMS送ってくださいオナシャス!

    41
      • NHG
      • 2022年 9月 19日

      だよね
      ウクライナ目線では最前線で使える最先端兵器渡すんだから、もっと長射程の兵器寄こせって思ってそう(米に提供した場合は)

      17
      • K(大文字)
      • 2022年 9月 19日

      アメリカも大層興味は持っているだろうけど、ATACMSはたぶんロシアへの政治カードになっているので、“お値段”付けるとしたらHIMARSのおかわりくらいじゃないかと思います。

      22
    • makumaku
    • 2022年 9月 19日

    プーチン氏は軍にハルキウ州失陥の責任を押し付けたようですね。
    リンク
    もはや、ロシアは何も失っていないとか、まだ何も始めていないと強弁しても、国民の失笑を買うだけなので、誰かに詰め腹を切らせる必要が出て来るでしょう。ショイグ国防相、そろそろ更迭でしょうか。

    19
    • 匿名希望
    • 2022年 9月 19日

    まずイギリスに渡しているって話は合ったな>ロシア兵器
    その前に前線で使いつぶされている可能性もあるちゃあるけど

    • ブルーピーコック
    • 2022年 9月 19日

    渋い顔してるのはロシア上層部だけならいいがね・・・具体的には2020年にT-90MSを国内製造する契約を結んじゃったっぽいエジプト。同様の契約交渉していたクウェートは契約してなかったのか、今は韓国と何らかの話を進めているらしいが。

    5
    • zerotester
    • 2022年 9月 19日

    西側が戦車やIFVなど正面装備を送りたがらないのも、鹵獲されたくないからというのはあると思えます。
    後方にいるHIMARSや自走砲ならば鹵獲の危険は少ないだろうということで。ただロシア側は自走砲やロケット砲もめっちゃ鹵獲されていますが。

    3
    • 2022年 9月 19日

     いっちゃああれだが・・、この戦車って東側製では現在最高品質で、中国の現有戦車とかも結局はこれ未満の性能っていうくらいに考えた方が良いんですよね・・?
     そうなると、この今回の戦争と言う名の武器見本市で、この戦車やロシア製購入しようとしてたロシアのお得意さんも、ロシア製戦車や兵器の購入しぶるようになりそうですし・・、そうなりますと、皮肉な話しですけど、韓国製兵器の売れ行きがこの先良くなったり・・・・!?

      • arr26
      • 2022年 9月 20日

      戦車は知らんけど、韓国製の自走砲とかなら既にバカ売れしていて、商業的には成功を収めているようですね。

    • ミリ猫
    • 2022年 9月 20日

    WarZoneの分析によれば、
    この戦車は履帯が外れたために放棄されたらしいとのことです。
    リンク

    下の方にスクリールするとM1 Abrams の履帯がデモンストレーション中に外れたビデオがあります。
    履帯の外れ方によっては修復までにかなりの手間がかかるから、放棄したのも理解できるとのこと。
    ただ理解できないのは放棄前に、機密部分の破壊などを試みた後がまったくないこと。

    このあたりにもロシア軍のモラル低下が現れているようです。

    5
    • 黒足袋
    • 2022年 9月 20日

    T-90Mなど最新兵器は、最近戦線に出してきた第3軍団に配備されたものではないのでしょうか?
    新兵主体の第3軍団に最新装備をさせることについては懸念が示されていたようですが、その心配が的中したってことだと思います。本物の精鋭「第一戦車軍」を、ウクライナ軍の主たる反攻が来ると言われていた南部戦線に移動させ、その穴埋めにイジューム周辺などを第3軍団に守らせていたんじゃないですかね?

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