欧州関連

ウクライナ軍部隊が蛇島に上陸、但し恒久的な駐留は当面難しい

ウクライナ軍の特殊作戦部隊(SSO)は7日、ロシア軍が放棄した蛇島に上陸してウクライナの国旗と第73海軍特殊作戦センターの軍旗を掲げた。

参考:Спецоперация “Змеиный”: ССО рассказали эксклюзивные подробности высадки на остров

ロシア軍は蛇島にウクライナ軍が上陸すると直ぐにミサイルで攻撃、当面は無人状態で放置される可能性が高い

黒海に浮かぶウクライナ領の蛇島を侵攻直後に占領したロシア軍は直ぐに防空システムを持ち込み、巡洋艦モスクワと共同でウクライナ機のオデーサ沿岸上空の飛行を制限していたが、4月下旬に巡洋艦モスクワが対艦ミサイルによって撃沈され、5月上旬には蛇島に持ち込んだ防空システムがSu-27とTB2によって破壊されてしまう。

出典:GoogleMap 蛇島

しかしロシア軍は蛇島へ新たな防空システムを送り込み、対空能力が劣る22160型哨戒艦にはTB2牽制用に後部甲板へTor-M2を据え付けるなど対策を講じてきたが、ウクライナ軍は6月下旬に榴弾砲やMLRSによる大規模な攻撃を開始、島に持ちこまれた防空システムは無意味に破壊されてしまい「ウクライナの穀物輸出をロシアが妨害していないことを示す行為」と称して撤退を発表。

ウクライナ軍の特殊作戦部隊(SSO)は7日「水中ビークルを使用して密かに蛇島へ上陸、ロシア軍が残していた装備や資料を回収後にウクライナの国旗と第73海軍特殊作戦センターの軍旗を掲げた」と発表、これに気づいたロシア海軍の艦艇が蛇島に接近してミサイルを発射したが「上陸部隊は敵艦艇の接近を察知すると直ぐに島から退去したため全員無事に帰ってきた」と明かしている。

ロシア軍は撤退後に残された装備類を空爆で破壊しているため「回収すべきがもの」が存在したのかは謎だが、ウクライナ軍が蛇島に装備や人員を持ち込めばロシア軍が直ぐに攻撃を仕掛ける可能性が高く、同島は無人状態で放置されるだろう。

追記:ロシア軍は蛇島への攻撃で上陸したウクライナ軍兵士の一部が死傷したと主張している。

関連記事:ロシア軍の蛇島駐留部隊、ウクライナ軍の攻撃に耐えきれなくなり逃げ出す

 

※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

    • 匿名
    • 2022年 7月 08日

    まさしく政治的意味合いしか理由のない上陸ですね…
    両軍とも自陣の有利さを誇示するのに必死というか、何というのか

    12
      • 無無
      • 2022年 7月 08日

      有名な、硫黄島の米軍旗だってそういうもんだし、実際には山頂を制覇した後も凄惨な戦闘は続いていた
      政治的パフォーマンスに駆り出される兵隊さんに同情は禁じ得ない

      14
      •  
      • 2022年 7月 08日

      鮮やかに撤退したから損害はないって感じの発表だけどまあたぶん普通に何人かやられたんだろうね

      1
      • 名無し
      • 2022年 7月 08日

      政治的目的を達成するために軍が存在します。
      自国の士気高揚のために若干のリスクを犯すのは古今東西あることで、否定されることとは思えません。
      士気がなければ戦えないですし、国際的な支援がなければ戦えない状況でアピールの為に人員を割かないわけにもいきません。
      本格的な部隊を配置するならともかく、旗を立てるのは合理的で許容範囲と思います。

      26
    • Formula750
    • 2022年 7月 08日

    上陸してから、どれくらいの時間でロシア側が気づいたかに興味がありますね。

    9
    • ナイトアウル
    • 2022年 7月 08日

     これアピール目的の為に旗を掲げなければ気付かれなかったと言うオチなのか。

     それとも流石に30キロ以上水中バイクで進む事は考えれれないから小型艦艇で近づいて警戒された結果か船から水中バイク降ろすのをUAVで見られていたのではないか。

     それともスパイ情報としてウクライナ側の行動がリークされた可能性もあるか。

     何にしても双方メンツのためには何でもするね。

    1
      • ななし
      • 2022年 7月 08日

      艦艇に搭載するタイプのミサイルは使う機会がなかったので在庫があるんですよ
      (ウクライナ海軍は初期から壊滅状態ですし)
      ショッピングセンター攻撃は対艦ミサイルを使用した結果、誤爆したって推測されてますし

    • すえすえ
    • 2022年 7月 08日

    まぁとりあえず
    無人でも旗立てておけばいいんじゃないか?

    7
      • 名無し
      • 2022年 7月 08日

      たぶん、ロシアの旗はどこかに立ってるよ。

      2
    • 月虹
    • 2022年 7月 08日

    >ロシア海軍の艦艇が蛇島に接近してミサイルを発射した

    ロシアは経済制裁によりミサイルなど精密誘導兵器の新規生産が出来ないので在庫が枯渇しつつあるとメディアからは報じられていますが、その割にミサイルを潤沢に使っていますね。攻撃を行ったのはロシア黒海艦隊のブーヤンM型など小型ミサイル艦だと思われ、ウクライナ軍が歩兵中心で蛇島の遮るものがほぼ無いという地形条件を考慮すれば同艦の100mm単装砲(A-190・射程は20,000m)による艦砲射撃でも十分な様な気がしますがウクライナ軍による反撃を警戒したのでしょうか?

    2
      • EijiK
      • 2022年 7月 08日

      軍隊ですから、戦時に自国で生産できない部品が途絶えても継戦能力を失わないように、輸入部品は相当量のストックを保持しています。
      特にロシアは西側との経済交流断絶や禁輸はしょっちゅう起きているわけですから、ミサイル一つでも数千単位で部品のストックを確保してあると考えるのが自然です。
      細かい部品さえあれば、後の大きな部分のミサイルのガワとか推進部や弾頭は自国でいくらでも生産出来る国ですから。
      在庫を撃ち尽くしたらそれで終わり、な訳はないですよ。まだしばらくは次から次に組み立て終わった新品が供給されることでしょう。

      13
      •  
      • 2022年 7月 08日

      黒海艦隊の防空能力はモスクワ撃沈で低下していますし、それを補助して黒海西部で防空能力を提供していたのが蛇島だったわけですから、現在潜水艦以外はあの水域で展開していないのだと思います
      攻撃位置に行くまでに時間がかかれば撤退されてしまいますし、防空力に欠いた状態でウクライナ勢力圏に近接すれば探知されて攻撃を受ける危険もありますから、直接砲撃ではなくミサイルなのでしょう

      8
    • もへもへ
    • 2022年 7月 08日

    昨今の関心の低下に対するアピールのつもりでしょうが、もうこれくらいしか戦果をアピール出来るこネタがナイんでしょうか。。。

    支援国の西側の政情不安著しく英は首相辞任、米は中間選挙敗色濃厚、仏は与党選挙敗北、独はもとから人気なし。
    こういう状況ではこういった小さな戦果は正直各国国内ニュースよりインパクトが無いので、近々ウクライナは大規模攻勢に出るかもしれませんね。
    たとえ無茶でも存在感をアピールしないと、本当に忘れられてしまう。ともかく大きなニュース(支援国が喜ぶ勇ましいニュース)が必要ですから。

    8
      • もへもへ
      • 2022年 7月 08日

      満員電車の中からスマホで書いてるので、誤字多くて申し訳ない

      2
      • TKT
      • 2022年 7月 08日

      結局この話で明らかになっていることは、ズメイヌイ島は今もロシア海軍、黒海艦隊に常に監視されていて、ウクライナ軍が上陸できるのは、一瞬だけであり、発見されればすぐに攻撃されるということです。

      ウクライナ軍に本当に損害があったかは確認はとれませんが、すぐに退却したということは要するに非常に危険だからということでしょう。

      ジョンソン首相の辞任はもちろんウクライナにとって予想外でしょうが、強硬派のウォレス国防相も留任できるかよくわかりません。

      次のイギリス首相が誰になるのかよくわかりませんが、イギリス国防省内でも大規模な人事異動が行われるかもしれません。情報分析の失敗の責任を追及、批判されて罷免される高官がでるかもしれません。

      政治目的で攻勢にでないといけないというのはまさにチタデレ作戦と同じですが、今やパックフロントのような陣地を構成し、カトゥコフのようにT-62を地面の中に埋めて、国家親衛隊の戦車を待ち構えているのは、まさにロシア軍の方かも知れないのです。

      7
        • 鳥刺
        • 2022年 7月 08日

        結局、ロシア軍にとってもウクライナ軍にとっても蛇島は俎板なわけです。その辺は、ロシア軍の蛇島敗走時の記事のコメントでも言われていた事でした。プロパガンダもまた戦争の一側面、次はロシアが潜水艦からコマンド揚げて旗立ててみるかも知れませんね。

        南部の陣取り合戦は幸い(?)現状で動員できる戦力相応な規模に留まっているので、まあ暫くは両軍にとって大過無く推移するでしょうね。
        個人的には、ドローンが対戦車手榴弾落してくる、戦場認識力が拡張された新しい戦場環境と、古典的なダックイン防御との相性なども興味津々です。

      •    
      • 2022年 7月 08日

      >昨今の関心の低下

      G7、NATO会議、復興支援会議でもウクライナ支援で結束したばかりなのに総じて関心が低下してると喧伝したいのはなんなんだろうな
      関心の低下が危惧されるって話に尾鰭つけるのはな
      これから暫くは各国の重要な政治課題であり、西側諸国は足並み乱さないように動いていくであろう

      5
        •  
        • 2022年 7月 08日

        現在の各国政権はそれでいいとして、民主主義陣営ですから、民心の離れた支援などは続けられませんよ
        支援を続けても結局ジリジリと負けるのなら無駄に食料・エネルギー危機を長引かせるだけで意味がありません

        9
      •  
      • 2022年 7月 08日

      ヘルソン攻勢がそういう意図で行われた、いわゆる喧伝されていた6月大攻勢であったように思います
      それがどうにも上手くいきそうにない、ということで優位であるうちにプランBとして目標とされたのが蛇島だったのでしょう
      最近の戦況を見ていると、ウクライナとしてはヘルソン空港の一時的奪還くらいは達成したいと考えて火力を集中しているように思います
      こうなってくると反攻が怖いところですが

      7
    • 森の鶴
    • 2022年 7月 08日

    これ、起きて欲しくないけど、尖閣巡って中国と紛争になった時も同じような感じになるよね。
    弾道ミサイル持ってる中国は言わずもがな、日本だって対艦に使用出来るSM-6を工夫すれば対地にも使えるはずなので。互いに長射程の飛び道具持ってると「軍人」を送り込むのは難しそう。
    沖縄県警の国境離島警備隊や海保、中国なら海警やお得意の海上民兵が戦うことになると思う。

    1
      • EijiK
      • 2022年 7月 08日

      というか、それはさんざん論じられた「尖閣諸島に上陸する意味なんてあるのか?」の話になってしまい。日本がせっかく用意している「敵が来たら取り返しに行くぜ部隊」とか「敵の目の前で勇ましく着上陸侵攻するぜ装備」が完全に無駄だという結論を導いてしまいかねないので、日本国内では自粛すべき議論の一つとされています。

      9
        •  
        • 2022年 7月 08日

        尖閣上陸はまあ何の意味もなさそう(上陸してくるなら竹島形式で警察のお仕事になりそう)ですが、石垣島やらに軍事侵攻があった場合を考えれば奪還用戦力はあった方がいいと思います

        16
    • ネコ歩き
    • 2022年 7月 08日

    自国領土と主張する上で、一時的であれ主権を代表する立場の組織や人物(軍隊、警察や政治家等)の現地上陸は大きな意味があります。
    政府が韓国が実効支配中の竹島への大統領や議員等の上陸行動にその都度強く抗議するのはそのためであり、尖閣諸島への上陸を通常的には許可しない(主権の行使)のはその裏返しです。
    政治的アピールであるのは確かですが、ウクライナ軍の上陸・国旗掲揚をもっての奪還宣言は形式上普通のことと思います。

    8
    • タイヤキ
    • 2022年 7月 08日

    どのタイミングでロシア軍が気づいたかによりますよね。
    旗たてたら攻撃されるのはわかりますから旗たてたら直ぐにウクライナ軍逃げ出すでしょうから、旗にロシア軍のミサイル使わせていたら、ロシア軍もミサイル一発で旗一本破壊ならロシア軍も間抜けになるからウクライナ軍損害出たになるでしょうが真実はわからないでしょうね!

    1
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