欧州関連

まるでジェットコスター、戦闘機ラファールの素晴らしさを示す究極の着陸

3年に1度開催される開催されるスイスのZigermeet航空ショーに参加した仏戦闘機「ラファール」の素晴らしい動画がSNS上にアップされた。

ラファールを操縦するパイロットの技量と度胸の素晴らしさを示した究極の着陸

この動画はスイスの航空ショーに参加した仏空軍の戦闘機「ラファール」がモリス空軍基地に着陸するシーンを撮影したもので、山間部にある滑走路への着陸を行うためラファールはジェットコースターのような降下率で滑走路へアプローチしてくるのだ。

これはラファールを操縦するパイロットの技量と度胸の素晴らしさを示したものだが、この着陸に限っては後者の才能がより際立っていると言えるだろう。

そもそもモリス空軍基地は1936年にスイス軍が建設した秘密基地の一つで、2000年代初頭に軍事用途としての運用が休止(事実上の廃止)され現在は民間航空機が利用している。しかし滑走路の直ぐそばにある山の地下に建設された頑丈な格納庫や司令部施設は今でも健在だ。

出典:Glarnerwolf / CC BY-SA 4.0 モリス空軍基地の航空機格納庫

スイス軍は今でもこのような航空基地を幾つか運用しており、基地の名称や正確な場所は機密情報として扱われている。

折角スイスの話が出たので、この話題にも触れておくことにする。

スイス政府は2014年、冷戦時代に導入した戦闘機F-5と1990年代に導入したF/A-18C/Dの後継機としてサーブのグリペンEを導入する決定を下したのだが、国民投票(スイスではレファレンダムと呼ばれている)がお家柄なスイスだけあってグリペンE導入の是非を国民投票にかけた結果、見事に否決され白紙に戻った経緯がある。

出典:public domain 2013年の演習中のスウェーデンのグリペン

基本的に国民投票が義務付けられているのは憲法の改正や国際機関(集団安全保障機構も含む)への加盟などに限られているのだが、有権者5万人分の署名を集めれば議会が承認した法律も国民投票にかけることが出来るため、実質的に議会が決めることを国民が国民投票で否決することが可能だ。

ただ戦闘機の導入機種の決定は法律ではないので政府が国民投票を実施すると言わなければ終了していた話なのに、当時の戦闘機導入機種の選定は国民を賛成派と反対派に二分する大論争の末に導かれた決定だったため国民投票を実施せざるを得ない状況だった。

結局、グリペンE導入の決定は覆されることになったのだが・・・

このような経緯もあってスイスでは再び後継機選定事業が行われているのだが、今回は戦闘機(約60億ドル)と地上配備型の防空システム(約20億ドル)がパッケージとなっているため前回よりも契約総額が大きいため再び国民投票にかける決定を下しており、再び2014年の悪夢が繰り返される可能性も否定できない。

果たして、スイスはラファール、タイフーン、F/A-18E/F、F-35Aの中からどれを選ぶのだろうか?そして国民は政府の決定を再び台無しにするのか非常に注目される。

 

※アイキャッチ画像の出典:franz massard / stock.adobe.com

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 4月 26日

    >果たして、スイスはラファール、タイフーン、F/A-18E/F、F-35A、グリペンEの中からどれを選ぶのだろうか?そして国民は政府の決定を再び台無しにするのか非常に注目される。

    タイフーン選んだらオーストリアの二の舞、殆ど防空用途ならF-35Aはオーバースペック、スイス位の国ならグリペンEは悪い選択じゃ無いと思うのだけど。

    ただ、価格次第ではF-35Aはアリかも。

    3
      • 匿名
      • 2020年 4月 26日

      スイス的秘密基地運用を考えると、圧倒的な離着陸距離の短さからF-35Bも適しているような
      もっとも、今後も気合の入った秘密基地運用を続けるのが前提ですが
      今のスイス空軍は、平日日中しかスクランブル出来ない有様ですけどね・・・・・・

      2
      • 匿名
      • 2020年 4月 26日

      スイスってAEW持ってましたっけ?
      山がちな地形なんで地上レーダー覆域の穴をF-35のセンサーが埋めるってなら使い道あるかも

      まあ維持費考えるとオーバースペックかな

      • 匿名
      • 2020年 4月 26日

      二の舞って…制空戦闘機と防空戦闘機の用途違いもあるし、国力や国民皆兵制度の違いもあるからさ〜ミスチョイスしたオーストリアとスイスを一緒にするのは違うんじゃない?

      スイスがF/A-18を使用中って事くらいは知っててコメントしてるんだよね?
      そして今回のコンペはF-5の更新用という事も勿論ご存知ですよね?笑

      • 匿名
      • 2020年 4月 27日

      スイスはお金持ちだからタイフーンでも大丈夫じゃないかな?
      いっそ、オーストリアから中古タイフーンを買って上げたら安くつくかも。

      1
    • 名無し
    • 2020年 4月 26日

    コンペに開発が間に合わず撤退したSaabはもう候補ですらない。去年6月の話。

      • 匿名
      • 2020年 4月 26日

      それね〜ここは頻繁に最新情報を提供してくれるから、よく拝見させて頂いてるんですけどね…そこをアップデートしてなかったから驚いた…まあ、失念する誰でも可能性はあるから〜体調管理と睡眠はちゃんととってくださいね^_^

    • 匿名
    • 2020年 4月 26日

    最近の地対空、空体空ミサイルの高性能化、長射程化を見るに、国土が狭い国が戦闘機を必要とするのか、というのは大いに疑問ですね。
     領空侵犯に対する警戒を他国に依頼できるのでしたら、すっぱり自国の戦闘機部隊を廃止しても問題ないかもです。
     もっともそれで「永世中立」を名乗っていいのか、は引っかかるところですが。

     
     

      • 匿名
      • 2020年 4月 26日

      自国で防空を他国に委ねる…
      あなたは自身の生殺与奪権を他人に委ねるのですか?
      ※ルクセンブルクやリヒテンシュタイン等、更に小国は資金が有っても人員が居ない為、委ねる国はありますが、国家規模や国民皆兵制度のスイスは明らかに違う。

      アラート機を排して、地対空ミサイルのみ…
      あなたは疑いだけで発砲されても構わないのですか?

      もう少し知恵を絞ってコメントしたほうが良いですよ…会議ではなんでも発言して良いと勘違いして、ズレた発言する同僚のようでゾッとします。

        • 匿名
        • 2020年 4月 26日

        「定時外」については生殺与奪権を「他人に任せる」どころか「放棄してる」訳ですがそれについてはどうお考えですか?
        我が国だって兵器を含め米国に相当なレベルで依存してますし。

        防衛事情なんて国それぞれですよ。
        あんまり凝り固まって他人の言説を全否定するのはどうかと思いますよ。

          • 匿名
          • 2020年 4月 26日

          スイス空軍の替わりにフランス空軍が代わりを務めて貰った事で、国内問題になって既にアラート体制は見直しされてるんですけどね〜あなたも先導されずにアップデートされては?笑

          1
          • 匿名
          • 2020年 4月 26日

          因みに〜他国(永世中立国)を否定した人を否定しちゃいけないのもおかしくないですか?だって言論の自由でしょう?笑

    • 匿名
    • 2020年 4月 26日

    夜間はスクランブルしないくらいの空軍なのでF-35は劣勢
    あと永世中立国なのでF-35メンテ網に入りづらいのもある
    なので大本命がスパホ
    ただロシアの脅威を考えるとF-35もワンチャンあるかもと
    タイフーンとラファールはないです

    • 匿名
    • 2020年 4月 26日

    性能評価や産業へのプラス影響などの評価でラファールが一番良かったが、リーマン関連の問題から予算が減り値段面でグリペンにしたんだったか。
    国民投票で計画そのものが否決されたが。

    • 匿名
    • 2020年 4月 26日

    ご近所付き合いでタイフーンを買いそう。
    で、スクランブルが月水金の昼間だけになる。

    国情考えると、グリペンが正解だと思う。
    なんで止めたのか。

    1
      • 匿名
      • 2020年 4月 26日

      国民投票だと、日本の様に国防意識が余り高くなさそうな国では、金額の額面だけで拒否反応示す層が結構いると思います。
      それも、戦闘機の相場とか国防費との対比での判断ではなく、庶民感覚で。
      スイスはどうだったのですかね?
      「国民を賛成派と反対派に二分する大論争」の中身にちょっと興味があります。
      特に反対派。
      他の戦闘機推しなのか、ミサイル推しなのか、それとも予算規模が生理的に合わなかったのか。

      1
    • 匿名
    • 2020年 4月 26日

    ジェットコ スター

    1
    • 名無し
    • 2020年 4月 26日

    フィンランドが1月2月に同候補5機種を7日づつテストしたHXチャレンジの結論が出るのは来年。

    • 匿名
    • 2020年 4月 26日

    匿名ラファールかっこいい~。

    • 匿名
    • 2020年 4月 27日

    オーストラリアのF/A-18C/Dの購入でよくね?

    • wyuki
    • 2020年 4月 27日

    こんなデモフライト。
    日本では在り得ない。

    • 匿名
    • 2020年 4月 29日

    フランスにホルホルとはね。フランスが安価に輸出すれば、世界の戦闘機市場も活性化するが・・なんせ、SEKOI舛添氏が、学んだフランスだからな・・

    • やれやれ
    • 2020年 5月 03日

    なんか不思議な所あったか?
    ラファールの展示飛行では普通の事。
    最後は滑走路上でループをしてループしながら
    脚を出してそのまま滑走路に着陸する。
    もう飽きるほど生で見た。
    Youtube探せば録画が一杯出てくるだろう。

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