オランダとNaval Groupはバラクーダ級4隻の建造契約を締結、トゥインマン国防長官は「フランスから約10億ユーロの直接投資を確保した」「オランダ産業界は建造に関与する」と明かし、米ディフェンスメディアは「バラクーダ級の契約には約11億ドルのオフセットが伴う」と注目している。
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投資家は水中発射式の巡航ミサイルを供給できるRTXやMBDAに注目しているだろう
約10年前に発表されたワルラス級更新は何も進展がないまま時が過ぎ「新型潜水艦を2025年までに4隻調達する」という計画が破綻、修正された計画も「実現不可能」と判明され、オランダ国防省は2022年4月「最初の2隻は2034年~2037年までに就役させる」と発表し、このタイムラインに基づいてNaval Groupがバラクーダ級、HDWが212CD、SAAB/DamenがC-71を提案。
オランダ海軍のニーズを満たすためSAABとDamenはC-71(旧C718)を共同開発、この提案には独自のメンテナンスとアップグレードを行うための技術移転が含まれ、Damenの直接関与も「評価結果に影響を及ぼす=競合よりも有利」と考えられていたが、オランダ国防省は今年3月「慎重な入札プロセスを経てNaval Groupによる新型潜水艦の建造が決まった」「彼らは最も現実的でバランスの取れた提案を行った」「この提案にはオランダ産業界にとって重要な役割が含まれている」と明かしていた。
オランダとNaval Groupはオルカ級と命名されたバラクーダ級4隻の建造契約を30日に締結、トゥインマン国防長官は「潜水艦建造に関連してフランスからオランダ産業界に対する約10億ユーロの直接投資を確保した」「オランダ産業界はオルカ級向けに油圧システム、空調システム、防音材、探知装置、ソナー、複合構造物、飲料水製造などの開発・製造に携わる予定」「オルカ級は特殊部隊の運用と情報収集において非常に重要な役割を果たす」「搭載された巡航ミサイルを使用すれば海岸線から数百km離れた後方地域を攻撃できる」と述べ、米ディフェンスメディアは「バラクーダ級の契約には約11億ドルのオフセットが伴う」と注目している。
トゥインマン国防長官はオルカ級に搭載される巡航ミサイルの種類について言及していないが、2023年発表の防衛白書の中で「フリゲート艦と潜水艦向けにトマホークを取得する」と述べているため、DefenseNewsもDreakingDefenseも「オルカ級はトマホークを搭載する予定」と報じており、オランダの潜水艦に対する投資は米産業界(主にRTX)にも流れ込む=恩恵を受けられると投資家に暗示しているのだろう。
因みにオルカ級4隻のプログラムコストは56億5,000万ユーロと推定されているが、これはプログラム全体のライフサイクルコストなので「1隻の建造費用が14億ユーロ」という意味ではない。
余談だが「通常動力型潜水艦に対する海外市場の需要」は非常に旺盛で、Naval Groupはオランダからバラクーダ級4隻、インドネシアからスコルペヌ型(リチウムイオン電池搭載のScorpene Evolved-Full LiB)2隻を受注、ポーランド、ルーマニア、エジプト、インド、フィリピン、カナダ、アルゼンチンでも入札の準備が進められており、この需要を巡ってフランス、ドイツ、スペイン、スウェーデン、韓国などが積極的な売り込みを行っている。
上記の入札が計画通り実施されると「2040年代までに輸出向けの通常動力型潜水艦が30隻以上(現地建造分も含む)も必要になる」という意味で、潜水艦を建造する企業、潜水艦分野のサプライヤー、今後何十年も保守に携わる企業などにとっては「空前のビジネスチャンス」、自国の潜水艦開発や建造能力の基盤を維持・拡大したい国家にとっても「自前のエコシステムを強化する絶好の機会」と言え、特に多くの入札で「巡航ミサイルによる長距離攻撃能力」が求められているため、投資家は水中発射式の巡航ミサイルを供給できるRTXやMBDAに注目しているだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Koninklijke Marine
このエントリも蚊帳の外のわーくにがどうとかいつものが始まるんだろうなあ。
実は最初の1コメがそんなのだったんだけと、管理人さんが秒で削除してたよ。さすがの速さ
そもそも最初から参加する気ないのに出遅れた日本とか衰退国家とか罵詈雑言が目に見えてるわ
そもそも最初から参加する気ないのに出遅れた日本とか衰退国家とか罵詈雑言が目に見えてるわ。
それでも後10年ぐらいワルラス級を使わないといけないのね…
トマホークも珍しい物じゃなくなったのが時代を感じる
次は極超音速ミサイルが撃てるのが当たり前の時代が来るのだろうか
トマホークなんだな。
MdCNじゃないんだ。
現時点で実戦配備されてる極超音速SLCMはツィルコンだけでしたっけ?
陸上発射型は使用されたけど、結局ウクライナはアレ本当に撃墜できたのかな。
水上艦はもはや攻撃に対してあまりにも脆弱な存在になってしまったのかもしれませんね
装甲化で耐えられるものでもありませんし、将来的には海軍というものは海面ではなく海中で戦うものになっていくのかも
シンファクシみたいなものとか出てくると思うと夢がありますね
トゥアハー・デ・ダナン(Tuatha de Danaan)でしょう。
これからは、強襲揚陸潜水艦ですよ。w
えー、そこはブルーノアでしょう。
じゃあ艦隊を可潜艦にしよう(空想SF的発想)。
潜水艦といえども大型艦であればある程、発見され撃沈された時のリスクが大きいので、小型原子力潜水艦がワラワラと大量に製造される時代に向かうだろうと推測しています。
本格的な戦時下に突入すれば、無傷は困難になるでしょうから、指令部や補給艦も分散化を余儀なくされると思います。
救済だ!
潜水艦による長距離攻撃って、そんなに大事かな。
発射後見付かって、盛大に攻撃されるのだが。
SLBMの様な発想なのかな。
平時では微妙でも、消耗前提の総力戦ならまあ有りということなのでは?
そうはいっても、水上艦よりはだいぶマシなのではないでしょうか?
水上艦は発射前に偵察衛星で簡単に見つかってしまいます。
潜水艦の場合、発射するまではまず見つからないですし、盛大に攻撃とはいっても正確な位置は分からない訳で。
遠方だった場合には、艦隊を向かわせて掃討しなくてはなりませんが、なかなか大変なのでは?
バラクーダ級ってオーストラリアに手のひら返しをされたので、就役した現物が皆無という理解で良いのだろうか。
正直言って大丈夫だろうか?
>多くの入札で「巡航ミサイルによる長距離攻撃能力」が求められている
潜水艦による長距離攻撃能力って、維持運用費含めたら1発の費用がバカ高い訳で、
安価なドローンによる量で圧倒するトレンドとは、真逆だよな。
需要が高いことが、正直あまり腑に落ちない。
私ごときには、オランダ海軍がどこでこれを運用する気なのかすら見当もつかないのですが。WIKIでオランダ海軍のワルラス級を見ると、アフガン戦争の不屈の自由作戦参加、地中海、アラビア海、ペルシャ湾で活動したみたいなので。
自国を守るためじゃなくて、現状のNATOらしく外に出て攻撃をするための兵器なのかな? ミサイルによるお手軽、軍事活動ですね。
オランダ海軍は潜水艦をロシアのバルチック艦隊対策に使うつもりなんではないですかね?
オランダとバルト海の位置関係から考えると、それが一番可能性が高いと思います。
今のバルチック艦隊の陣容を見ると「えっ!これだけ…?!」ってなるんですけど。
対潜部隊だけは揃えているので潜水艦を主敵とみているのは伝わるんですけどねえ。
トマホークを装備するなら。
どこの発射管制装置を使うのだろう。
フランス製で出来るのかな。
以前のオーストラリア潜水艦騒動(笑)では、
米国製のそれを使うとしていましたが。
米国は供給してくれるのかな?。
SAABとDamenが取るものと思ってたんだがなぁ…
国内産業はそこまで重視してなかったのかな