Rheinmetallのパッパーガー最高経営責任者はウクライナメディア=TCH.uaに「ウクライナ国内に建設を進める工場や生産見通し」を語ったが、この計画がウクライナの防衛に不可欠なリソースを提供できるかどうかは投資資金を見つけられるかどうかにかかっている。
参考:“Це будуть видатні технології”: у Rheinmetall розповіли про свої заводи в Україні “Це будуть видатні технології”: у Rheinmetall розповіли про свої заводи в Україні
参考:Ukraine’s Armed Forces Total Need Is 3,000 Lynx IFVs, While They Get First Batch Until the Year’s End
参考:Rheinmetall to Establish Four Defense Factories in Ukraine. What’s Known So Far
どこまで行っても「資金を何処から調達するのか」が計画の足を引っ張っているのだろう
Rheinmetallのパッパーガー最高経営責任者は2023年3月「ウクライナと2億ユーロの投資を必要とする戦車工場の建設計画を話し合っている。この工場ではPantherを年間400輌も生産することが可能だ」と、7月「12週間以内に装甲車輌の生産や修理を行う工場をウクライナ西部に開設する予定だ」と述べ、RheinmetallとUkroboronprom(ウクライナ国営の軍産複合体)は10月「提供された西側製装備の整備を行なう合併会社を設立した」と発表していた。
🇺🇦🇩🇪The joint site with @RheinmetallAG for the repair and production of armored vehicles in Ukraine – done.
We build, produce and win.
To be continued. pic.twitter.com/2vDbZcxT8e— Herman Smetanin (@HermanSmetanin) June 10, 2024
ウクライナメディア=TCH.uaはパッパーガー最高経営責任者へのインタビュー記事を24日に掲載、この中で「ウクライナ国内に建設を進める工場や生産見通し」について述べているのだが、この話題を取り上げた動画の内容があまりにも酷く、本当に記事を読んで内容を理解しているのか怪しさ満点だ。
この動画は「Rheinmetallはウクライナに建設中の弾薬・砲弾工場でNATO基準の2倍から3倍を作る」「なぜこんな事が可能なのかというとソ連時代の遺産としてラインが生きている工場跡がある」「これを活用すればNATO基準の2倍から3倍を作れるだろう」「この文脈から新工場を0から作るということではないということも読み取れる」と解説しているのだが、この時点で「おかしい」と感じるのには十分で、TCH.uaの記事内容(にUNITED24の記事内容を加味して)まとめると以下のようになる。
“Rheinmetallはウクライナ国内に4つの工場を建設する。1番目の車輌工場は稼働中、2番目の火薬工場は建設中、3番目の工場は旧ソ連規格に代わるNATO基準の弾薬生産を予定、4番目の工場は防空システムの生産に特化する。今のところ車輌工場では歩兵戦闘車や戦車の整備を行っているが、年末までにLynxを導入(恐らく1番目の車輌工場でLynxを生産するという意味)する予定”
“Rheinmetallが建設する工場の生産能力は非常に高いものになる。この生産ラインはNATO基準に従って稼働するため、ウクライナ(防衛産業界)にとって古い旧ソ連規格の生産体制から脱却することになる。工場が完成すればNATO基準に沿って(現在の)2倍~3倍の弾薬生産能力をサポートし、ウクライナの防衛に不可欠なリソースを提供することが期待されている”
さらにウクライナのディフェンスメディア=Defense Expressは「Lynxの第1バッチ(10輌)が年末までにウクライナ工場で生産されて軍に納品される。ウクライナは約3,000輌のLynxを必要としているものの、そのための資金がない」と報じており、Rheinmetallのウクライナ工場が完成しても発注=投資がなければ生産能力を活かせないと示唆した。
ウクライナに対する西側諸国の支援は自国産業界の利益や雇用と深く結びついており、欧米はウクライナ支援に対する理解を自国民=納税者から得るため「ウクライナに提供する武器、弾薬、物資、サービス等を自国(域内)から調達し、拠出する支援資金が国内産業の利益、産業基盤の発展、雇用創設や維持に役立っている」とアピールしなければならず、欧州がウクライナ向け155mm砲弾の域外調達を嫌ったのも「EUの資金が(155mm砲弾市場で競合する)競争相手に流れる」「EUの資金が納税者や欧州産業界の利益に結びつかない」という理由が強い。

出典:Rheinmetall Panther
西側諸国の経済支援は国防予算への流用を制限しており、軍事支援は上記の理由から自国(域内)調達からの供給=現物支給なので、Rheinmetall工場の生産能力を活用するにはウクライナ自身が独自財源から資金を割り当てるか、西側諸国が自国産業界の利益や雇用に結びつかないRheinmetall工場への投資を容認する必要があり、どこまで行っても「資金を何処から調達するのか」が計画の足を引っ張っているのだろう。
因みにLynxを3,000輌調達するのに必要な投資額は不明だが、イタリアはLynxベースで開発される新型IFVプログラム(2040年までに16種類のIFVを計1,050輌調達)に150億ユーロを投資する予定で、これを単純に3倍すると450億ユーロ=7.4兆円になるが、あくまでも乱暴な計算なので当てにはならない。
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※アイキャッチ画像の出典:Herman Smetanin
西側諸国は腹を括ってロシアの凍結資産の運用益ではなく凍結資産その物をウクライナ支援に当てるべきですね。
西側諸国の税金ではないので自国産業や国民に遠慮なく使える資金はそれくらいしかないでしょう。
やるはずがない。やることのメリットがない。
①自国の銀行がロシアから預かっている金を奪い、②ウクライナに渡す。①はBRICSを始めとした欧米以外からの信用を地に落とす行為(ロシアで開かれたBRICS会議には40か国以上が参加した)。それほどのデメリットを背負ってまで、なぜ汚職大国ウクライナを支援するのか、それこそ国民へ説明義務が生じる。そして、仮に②までやったところで今の劣勢は覆らない。前線で戦う兵士が足りていないのだから。負けが決まった今になって西側がそんなことをするのは、ゼレンスキーのクルスク越境並みの愚挙でしかない。
運用するだけだから。
他の国の口座を凍結して泥棒とか、そんな事をしたら信用棄損して通貨安になって損するのは米国ですよ
そんなに西側の負けを望んでるのですか?
凍結資産をそのまま支援に充てたら、凍結資産が尽きたら支援が出来なくなる。
それよりも凍結資産を原資として運用して、金増やしてから支援に回すってやると減益でない限りは支援が続くって事なのでしょうね。
まぁロシアの金盗んで金稼ぎとか褒められたことでは無いし、コレが原因で停戦に向けてのハードルが上がるのは確実でしょうね。
これ凍結資産及びその利子は停戦交渉なり、ウクライナが敗戦した際に絶対返せと言われるとこですからね。
正当性もろくにないのに揉めるのわかってますやん。
他の方も当然のように指摘されてるように完成した途端にミサイルで破壊されるでしょうね…
どんな理由があれ権利を持つ者の承認無しにそれ出来たら何でもありですね。ただロシア撤退企業の資産を政府が不当レベルで接収していたら同じ理屈でゴリ押せる可能性はあるかもしれない。
百歩譲って賠償の先払いとして資産を兵器購入に充てるよりは破壊された公共インフラ整備に充てるのが精一杯だと思いますね。
であれは基本的にロシアが追い出したわけじゃなく、企業イメージのダウンを嫌った会社の自主撤退だからね。
多少小細工はしてたけど
直接他人の資産に手を付けるとは次元がちゃいますよ
でもおかげ様で、お金が国内で回って還元されるようになったし、結果良かったね
ロシアからみたら保護貿易を西側が勝手にやってくれた感じ・・・
ラインメタルがウクライナに工場を作ってそこで生産の話は聞いていましたが、結構お寒い内容だなと感じました。
もちろん、ただで生産するなどと考えてはないませんが、もう少し西側の支援によって早く進むのかなと考えていましたが、費用不足とは、、、、、、
背景にある、欧州市民の厳しい目線を考えると致し方ないですが、支援体制も崩壊に向かっている気がします、、、、、
いつ、爆撃されるか判らん軍事工場なんて戦時中の国に作るなんてオカシイ
そんな資金を出す奴が居るわけが無い
当然の話しですね
確かに当然なのですが、逆になぜ作らせたのか?
ウクライナで生産させることで、何かのメリットがあるのかと漠然と思っておりまして。
実際は欲に目が眩んだラインメタルにコメディアンが乗せられて、無駄なものを作って、何にも活用できなそうだと。スポンサーが何か考えているわけでもなかった。
発注したウクライナも止めにも行かなかったNATOも腑抜けているとしか、、、
大規模な建設の兆候を掴んだ時点で攻撃を受けそうな物ですけどね。
案外実はウクライナ国内には無いのでは?国境のギリギリポーランド側とか。
ドイツの企業であるラインメタルが、ウクライナの軍需工場をポーランドの土地に建てるとなったら、労働者をどうするかも含めてごちゃついて何の計画も進まないと思う。
それ言ったら今ある工場も破壊されてないとおかしい
ウクライナに元からあるソ連時代の工廠は核戦争を想定して強固に作ってるらしいけど、この工場もそれなりの要塞化(?)はされてるんじゃないかな
ウクライナ側も結構工場や保管庫破壊されてませんでしたっけ?
ロシアの弾薬庫や工場が攻撃されてるのが大々的に報道されて影に隠れてるだけで
ロシアの工場はまだですね
双方の末端ないし中間の保管庫破壊のニュースはたびたび流れてるものの、大規模な主力生産工場破壊のニュースは双方ともあまりないかと(トップシークレットだからひた隠しにしてるだけかもしれないけど)
金はない。電気もない。労働力もない。おまけにポッケナイナイ、モラルもない。さらには絶賛攻撃目標。
ウクライナに夢見させてるだけの話でしょ?
なるほどね。
こういう理由付けでウクライナから西側が資源を剥ぎ取るって計画なのね。
戦争終わったら資源も含めてウクライナにはなにも残らないのかもね。
ウクライナ人が、戦後ふと気付いて見れば、外国資本だらけに優良資産がなってそうですね…。
ロシアと逆なのがまたなんとも
工場建設より要塞建設しろよ。
金の話も良いが、電力何処から持って来る気なんだろ?
しかもロシアからのガスも今年で終わりなのに。
ウクライナの隣国から電気を引っ張ってきてるみたいですね
それに対してロシアは、ウクライナの変電所をドローンで攻撃中
今年のウクライナの冬は寒い
労働力も足りないような気がします、指定工場で採用されれば兵役免除とかを特例として付けられれば応募殺到かもしれませんが
それをやったら、今でも限界の前線が完全に崩壊します。
車両を作る暇があるなら、兵士と弾丸の方が必要なんですよね、、、、
妙案があるとすれば、無給で北欧、バルト三国、ポーランドなどやる気のある方々に来てもらうのがよいのでは?
NATOとは関係ない、兵士ではないから!という理屈で。
日本の資金は、戦争に直接使えないですし、本件も当然ですが関わるべきではないですね。
ウクライナは貧困国なわけで、高価な戦車装甲車・航空機などに力を入れるよりも、国力に見合った武器生産に特化した方がいいと思いますけどね。
ウクライナが夢見すぎて、必要な物を生産できていないことは大問題ですね。
加えて、2022年頃が特にそうですけど、NATOも兵器絶対主義と陸戦が長期になることを見えていなかったことも大きいかと。
NATO最強は幻想でしかなく、武器などを除けば戦争が下手なのでは?と思いますね。
100%国産にならずに、サプライチェーンに輸入部品が、車輛などは入りますからね。
夢見過ぎは、仰る通りと思います。
運転資金・仕入資金(部品輸入)どうするの?というのが現実的な感覚と思います。
さっさとウクライナ有利に終戦してるだろうという感じで色々進めたら終わる気配無かったて感じなんでしょうね。他の方々も言ってますがこの先融資なんて無いでしょう。
西側の軍用車両をウクライナに提供する際にロシア側に渡ったら困る装備や部品を西側で取り外して
装備が外された状態のものをこの工場に運び込んで、
ウクライナ側で装備等を取り付けて完成品としてウクライナに引き渡すための、
名目上は生産だがホントは改造工場か組立工場だと思っていたのですが
軍用車両を1から生産するつもりだったとは驚きです。
そもそもなんで紛争の当事国に兵器工場を建てるんですか?
場所を特定された瞬間キンジャール飛んできて終わりなんじゃ
コンコルド効果かね。今更やめられない結論に至ったとか某島国の政治家メンタルは世界共通なのかもな。数年で戦争終わるなんて馬鹿げた試算だったとしたら腑抜けてると言われても仕方がない。
コンコルドがイギリス・フランスで作ったものですし最初に突っ込んで後に引けなくなるのは全世界共通ですね
特にドイツが自己中で我々の道徳や理念は正しいから結果も正しくなると突っ走って現実と乖離して破滅すると今度は逆の方向に走り出す習性があります
金がない
人がいない
設備がない
保険がない
材料がない
電力がない
時間もない
あるのは紙の上の計画だけか
写真の2人の防弾チョッキ?の大きさがとても気になる
ていうか、ドローンやミサイルは飛んでくるかもしれないけど、銃弾が飛んでくるわけでない後方でなんで装備しているのかとか、腹が隠せていないとかツッコミどころがw
防護面積より動きやすさ重視のプレートキャリアで、腰の動きを妨げないためのこの大きさです。チェストリグの前後に防護プレートが入ってるようなものですね。最近よく見かけます。
銃砲弾/重火器/小火器/IFVは国内生産が必要では?。
現実に、ドローンなどはそうしているのだし。
小銃弾や自走砲もそこそこ生産を始めているようでもあります。
また、装備が不足しているのは明らかですし、供与は不安定だし。
必要なものが資金と労働力であるなら、その調達に努めるのでは?。
先日、ウクライナ国内で、国産兵器の輸出を求める動きが報道されていましたが、
生産するための原資を求める意味で認めても良いのでは。
また、有望な企業には国外から投資をしても良いのでは。
例として、デンマークが2S22 ボーダナ自走砲に投資し、米国がドローンに投資し、
エストニアがパリャニツィアに投資をしたりしていますね。
労働力については、国外避難民の帰国を図ってみては?。
すみません。訂正です。
エストニア→リトアニアです。
ご高説は至極ごもっとも。
結局、ウクライナの未来は今とこれからのウクライナが世界からどれだけの投融資を集められるか次第なのです。
だからこそそのために必要な国力を極不利な消耗戦なんぞで磨り潰してなんていられないはずなのですが…
素人の勝手な意見でしが。
ロシアの一部、あるいはロシアの
衛星国になったウクライナに対し、
投資を行う国は無いのでは?。
おっしゃる通りです。
だからこそ、戦車工場を作るお金があるなら、他に回した方がいいんですよね。
実は問題の根本は、NATOやEUへの加盟といった、戦後の話を初期段階でしていたことにあるかもしれません。
バラ色の話で現実の戦場から目を背けていた。
そのツケが回ってます。F16、ミサイル、長距離攻撃。魔法の杖を求めている間に大切な銃弾や砲弾、ジャベリンのような火器に予算を回すべきだった。
支援を湯水のように使うことに慣れて、武器への憧れだけで突き進んだ結果、戦争ができなくなってしまった。過剰なドローン依存もそれですよね。
ビジネスの現場でもありがちですが、DXなどの言葉に踊らされて、ツール(武器)の目的は何か?自分たちに向いているのはどれか?判断できなくなっている気がします。(そういうプロジェクトは大抵ポシャります)