欧州関連

英国、クイーン・エリザベス級空母の艦上にハリアーGR.3が姿を現した理由

英空母クイーン・エリザベスが日本に到着して話題になっているが、本国の英国ではクイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」の飛行甲板上にハリアーが駐機している写真が登場して話題を呼んでいる。

参考:Harrier spotted on deck of carrier HMS Prince of Wales

退役したはずのハリアーGR3が空母プリンス・オブ・ウェールズの艦上で発見される

ネット上に登場した写真はポーツマス海軍基地に停泊するクイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」の写真だが、前部艦橋付近に英軍から退役したはずのハリアーが映り込んでおり注目を集めているのだが、良く見ると写真に映り込んでいるハリアーの機体は前部のみで後部部分は切り離されていることが確認できる。


※4枚ある写真の右下の写真を拡大するとハリアーが写り込んでいるのを確認できる

どうやらプリンス・オブ・ウェールズに駐機しているハリアーは空軍が使用していたGR.3(登録番号XV786)で、同機は退役後に機体後部を切断して墜落した機体からパイロットを救助するための教材(リンク先に改造されたGR.3の写真があります)に生まれ変わったらしい。

つまりプリンス・オブ・ウェールズの飛行甲板に駐機しているのはハリアーGR.3の前部のみで、とても飛行できるような状態のハリアーではないという意味だ。

出典:Tony Hisgett / CC BY 2.0 ハリアーGR.3

因みに2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」は機関室に大量の海水が水浸しになる事故の影響で2021年初頭に予定されていたF-35B運用適合テストがキャンセルになってしまったが、今年後半に再度テストが設定されたためプリンス・オブ・ウェールズは米東海岸行き(パタクセント・リバー海軍航空基地に所属する試験評価飛行部隊が米東海岸で実施する約4週間テスト)の準備に追われている。

関連記事:英空母が水漏れの影響で戦力化に遅れ、1番艦クイーン・エリザベスも工事が必要
関連記事:英空母クイーン・エリザベスが日本に初寄港、駐日英国大使が出迎える

 

※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0 クイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ(R09)」

ナゴルノ・カラバフ紛争の教訓を取り入れるインド陸軍、イスラエル製徘徊型UAVを100機発注前のページ

米海軍が戦力分散化の概念「ゴースト・フリート」を実演、無人艦から艦対空ミサイルSM-6を試射次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    UAV開発が盛んなポーランド、1,000セットも導入した国産カミカゼドーロンの実力

    ポーランド軍は最近、カミカゼドーロンと呼ばれる国産の徘徊型無人航空機「…

  2. 欧州関連

    アゼルバイジャン、停戦協定の履行と武装解除を目的に対テロ作戦開始を発表

    アゼルバイジャン国防省は19日「三ヶ国間声明の条項履行を確実にし、カラ…

  3. 欧州関連

    英国防省はロシア軍の戦死者数を4万人~6万人と推定、ウクライナ軍発表の半分以下

    ウクライナ軍参謀本部は16日「ロシア軍の戦死者が14万人(140,46…

  4. 欧州関連

    転売目的か? ウクライナ空軍のMiG-29が持ち込んだ工場で盗まれる

    ウクライナ空軍が戦闘機MiG-29をアップグレードするため工場に持ち込…

  5. 欧州関連

    ウクライナ外相、外交努力によってロシアの侵略を回避することができた

    ロシアが「軍の一部を後方にさげる」と発表したことを受け、ウクライナのク…

  6. 欧州関連

    ポーランドが韓国とK2PLの開発製造で合意、K2も数百輌導入するため交渉中

    ブラスザック国防相は13日に「ポーランドと韓国は戦車と装甲兵員輸送車の…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 9月 05日

    ペプシ ハリアー裁判を思い出して調べたところ、ペプシ社が勝訴(と言って良いのか)でした。

    2
      • 匿名
      • 2021年 9月 05日

      その勝訴報道の記事に「これ仮に原告が勝訴して、退役機を着払いで送りつけられたら置き場もなくて困るだけやろ、敗訴してよかったんじゃね」みたいなコメントあるんだけど、庶民感覚に凝り固まってて笑い飛び越して悲しくなるな。
      8千万円近くポンと出してハリアーよこせ、とかいう奴が送料や置き場くらいで困る訳無いやろ…。

      4
        • 匿名
        • 2021年 9月 05日

        いいや、その裁判の報道を読んだ所、ペプシにハリアー寄越せって言った奴は、必要な資金を登山ガイドの仕事をやっていた時に知り合った投資家から借りていたそうだ

        リンク

        1
          • 匿名
          • 2021年 9月 05日

          借りた、つーても別に家財一切を質に入れて高利貸しからギリギリ8000万借りた訳じゃなくて事業計画立てて事業資金として調達したんだろ?
          なら送料と保管場所が必要になった、それがあれば入手して転売出来ますよ、となればその程度の追加資金は調達できるんじゃないの?

          3
      • 匿名
      • 2021年 9月 05日

      その裁判をググって見たけどあのCM、日本だったらちゃんと「ハリアーは景品の中に入っていません」と字幕を入れて置かないとダメだろうね
      米国の裁判所だから「常識では有り得ない事は認められない」として棄却出来たんだろうけど、日本の裁判所だったらそんな説明をしないから、もしかするとペプシ側が敗訴したかも知れん

      3
        • 匿名
        • 2021年 9月 05日

        マックコーヒー裁判とかペットレンチン事件、凍った地面で脚立事故とか見てると、急に真顔な判決で笑えました。

        3
    • 匿名
    • 2021年 9月 05日

    貴様死んだ筈では!?と思ったら本当に死体だった
    ハリアーⅡの方は全機アメリカに売却されてイギリスには残ってないんだっけ?

    9
      • 匿名
      • 2021年 9月 05日

      米海兵隊は、いつまでハリアーⅡを使うのだろう?

      4
        • 匿名
        • 2021年 9月 05日

        陸軍の放置?した戦車をかっぱらって番号書き換えてウチのですと言い張る海兵隊ですので、部品がある限りですかね。

        4
      • 匿名
      • 2021年 9月 05日

      「その声は〇〇か?こんな姿ですまないな……もう碌に目も見えないんだ…」
      とか言いながら上半身だけでチューブに繋がれて培養液に浮かんでるような絵面が浮かんだ

      6
    • 匿名
    • 2021年 9月 05日

    そもそも論で言えばGR.3って相当前に退役してなかったけ?
    それでハリアーIIに当たるGR.5以降はGR.7、GR.9にアップデートしたりしてたが最終的にアメリカ海兵隊に売却して、それ以前のタイプになるGR.3ぐらいしか手持ちがなかったんじゃないの?
    単座のF-35Bの救出訓練で複座機では訓練がしにくいだろうし、単座機と言えばユーロファーターを使いにはもったいないし、シーハリアーも空軍に渡したら、空軍の使うハリアーとはエンジンも含めて使い勝手が悪いからさっさと破棄してそうだし。

    3
      • 匿名
      • 2021年 9月 05日

      米海軍でもこの手の訓練に使う退役機は、結構古い機材を使っていたからねえ…今でこそF/A-18Aの古い出物が多いから間に合っているけど、英海軍の場合は一時期ハリアーも使っていなかった時期があるので、ハリアーGR.3であっても機材が有ったのが不思議な位

      2
    • 匿名
    • 2021年 9月 05日

    ひゅうがに積んである(あった?)181号機みたいなもんか

    1
    • 匿名
    • 2021年 9月 05日

    クロスデッキで、米海兵隊のハリアーⅡが載っているのかと思った。

    2
    • 匿名
    • 2021年 9月 05日

    ハリアー!?退役したはずじゃ・・・!?

    1
    • 匿名
    • 2021年 9月 05日

    エスコン7だとあまりスコア稼ぎにならない機体(酷

    残っているところはちゃんと残っているんですねえ

    • 匿名
    • 2021年 9月 05日

    英空母っつったらハリアーだろ?って事で英国紳士が日本人のミリオタに気を使ってくれたんだよきっと。

    1
      • 匿名
      • 2021年 9月 06日

      QEに積んできてくれた、ってならその言い分も分からんではないんだがなぁ。、

      1
    • 匿名
    • 2021年 9月 06日

    資材の有効活用だね。艦は標的に。航空機は教材に。戦車は東京タワーに(例えが古い)

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
PAGE TOP