インド太平洋関連

北朝鮮の「瀬取り」監視のため、オーストラリアが4度目となる航空機「P-8ポセイドン」派遣

防衛省が4月26日、北朝鮮の「瀬取り」に対して、関係国による警戒監視活動について発表を行った。

参考:「瀬取り」に対する関係国による警戒監視活動について

北朝鮮の瀬取り監視のため、オーストラリアが4度目となる航空機派遣

防衛省の発表によれば、国連安保理決議により禁止されている北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対して、オーストラリア空軍が、5月上旬以降、国連軍地位協定に基づき、在日米軍嘉手納飛行場を拠点として、昨年以降4度目となる航空機による警戒監視活動を行う。

補足:国連安保理決議とは、平成29年9月に採択された国連安保理決議第2375号のこと。この決議は、国連加盟国は北朝鮮籍船舶に対する又は北朝鮮籍船舶からの洋上での船舶間の物資の積替え(いわゆる「瀬取り」)を容易にし、又は関与することを禁止した。

また、オーストラリア海軍が、フリゲート「メルボルン」を日本へ派遣し、5月上旬以降、東シナ海を含む日本の周辺海域において、昨年以降2度目となる警戒監視活動を行う予定だ。

因みに、オースラリア空軍が派遣する航空機は、最新鋭の対潜哨戒機「P-8A ポセイドン」だ。

オーストラリア海軍が派遣するフリゲート「メルボルン」は、アデレード級と呼ばれるフリゲートで、これは米海軍が建造していたペリー級ミサイルフリゲートを導入したもの。

設計や装備についてはペリー級フライトIIと完全に同型。

出典: public domain アデレード級フリゲート「ダーウィン」

後に、シーホーク導入のため、艦尾延長やフィンスタビライザーの装備などの改良が行われ、ペリー級フライトIIIに準じた構成になっている。

ただ、アデレード級フリゲートは、1970年代後半に建造された旧式艦で、6隻建造された同型艦の内、4隻はすでに退役済み。

今回派遣される「メルボルン」と、もう1隻「ニューカッスル」のみが、現役として運用されており、恐らく、現在建造中のホバート級イージス駆逐艦と交代する形で、数年後には退役するもの見られている。

 

これまでに、北朝鮮籍船舶による「瀬取り」行為と疑われる事例12件を確認

防衛省の資料によれば、北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動を取り締まるため、これまでに米国を始め、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、フランス、英国が、航空機や艦艇を派遣した。

航空機派遣国(米国以外)
2018年4月下旬から約1か月間オーストラリア空軍、カナダ空軍
2018年9月中旬から約1か月半オーストラリア空軍、カナダ空軍、ニュージーランド空軍
2018年12月上旬から約1週間オーストラリア空軍
2019年3月中旬から約3週間フランス空軍
2019年5月上旬以降オーストラリア空軍

※派遣された航空機は、在日米軍嘉手納飛行場を拠点として、警戒監視活動を実施。

艦艇派遣国(米国以外)
英国海軍フリゲート「サザーランド」2018年5月上旬
揚陸艦「アルビオン」2018年5月下旬~6月中旬
フリゲート「アーガイル」2018年12月中旬~2019年1月上旬
フリゲート「モントローズ」2019年2月中旬~3月上旬
カナダ海軍フリゲート「カルガリー」2018年10月上旬~下旬
補給艦「アステリックス」2018年10月上旬~下旬
豪州海軍フリゲート「メルボルン」2018年10月上旬
フランス海軍フリゲート「ヴァンデミエール」今春より警戒監視活動を実施中
豪州海軍フリゲート「メルボルン」2019年5月上旬以降

※派遣された艦艇は、東シナ海を含む、日本周辺海域において、警戒監視活動を実施。

現在(2019年4月時点)までに、日本は12件の北朝鮮籍船舶による「瀬取り」行為と疑われる事例を確認し、関係国や国連安保理等へ報告している。

※アイキャッチ画像の出典: public domain

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 4月 28日

    監視といえばOBSや 海底ケーブルセンサー網についても
    お話してほしい!┏○ペコッ

    • 匿名
    • 2019年 4月 28日

    何故、このタイプのフリゲートを派遣したのか?
    派遣されてるアメリカの沿岸警備隊のフリゲートもそうだけど、船尾には傾斜デッキがあり、高速ゴムボートを瞬時に海面に降ろせます。 つまり臨検をやる気満々。
     もっと大きい艦艇の場合にはクレーンでやるので時間が掛かります。
    「瀬取り」の監視は第2フェーズに入ったって事でしょうね。
    船舶のトレースから、実際の船舶の拿捕(北朝鮮では無く、相手国の船舶の拿捕)をやるのでは?
     どっちがターゲットなんだろう? 韓国、中国?

    石炭(粉炭)の偽装輸出はロシアのウラジオストクでの積み替えだから「瀬取り」の監視の対象外。

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