インド太平洋関連

ダットン豪国防相、米国が台湾防衛のため行動を起こせばオーストラリアも加わる

オーストラリアのダットン国防相は13日、米国が台湾防衛のための行動を起こせば「これに豪州が加わらないという選択はない」と述べて注目を集めている。

参考:‘Inconceivable’ Australia would not join U.S. to defend Taiwan – Australian defence minister
参考:‘Out of line’: Australia’s Morrison schools former PM for pro-China comments

台湾で戦いが発生すれば「これにオーストラリアが参加しない選択肢はありえない」と語るダットン国防相

中国寄りの発言を繰り返すことで有名なオーストラリアのキーティング前首相(1991年~1996年)は今月10日、ナショナル・プレスクラブで「台湾問題はオーストラリアにとって重要な関心事ではなく台湾との間に同盟関係もない」と語り、中国を標的にした米国との軍事協力強化を押し進める現政権の外交政策を批判したが、彼の発言についてモリソン首相は「我々は自身の国益のため立ち上がる必要があり、私達はインド太平洋地域で非常に強い立場を維持する必要がある」と述べて反論した。

モリソン首相は「我々は1人ではなく米国、日本、インドいった同盟国やパートナーと同問題で緊密に協力を行っており、この重要性について多くのオーストラリア人は理解しているだろう」と付け加えたが、ダットン国防相は更に踏み込んだ発言を行っている。

出典:Royal Australian Navy

ダットン国防相は「台湾で問題が発生すれば全ての事実と状況をよく観察して台湾防衛のための行動を起こさないという選択もあるが、同盟国の米国が台湾防衛のための行動を起こせばコレに豪州が加わらないという選択は考えられない」と現地メディアの取材に答えたため大きな注目を集めている。

さらに彼は「中国は台湾問題に対する意志(武力統一も辞さないという意味)は明確で、これについて我々は高レベルの準備とより大きな抑止力を確保する必要があり、このような取り組みが我々自身の安全をより強固にする最善の方法だ」と語っているのが興味深い。

ダットン国防相が言及した「高レベルの準備とより大きな抑止力」とは原潜導入や長距離攻撃手段の確保を指しており、今後もモリソン首相(もしくは自由党)が政権を維持する限りオーストラリアの安全保障強化は大胆に進んでいくのだろう。

関連記事:台湾有事に備え戦争準備を進めるオーストラリア、在日米軍基地へのF/A-18E/F派遣も視野に

 

※アイキャッチ画像の出典:オーストラリア国防省 © Commonwealth of Australia 2020

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 11月 13日

    豪で政権交代が起これば、巻き戻しも大いにあり得ることを示唆していますよね。
    今の政権のうちに、豪が対中包囲網から足抜けしにくくなる外交的なタガを(FOIPみたいな)より多くかけておくことが、日本の国益ということですな。

    33
    • 匿名
    • 2021年 11月 13日

    豪州は中国の脅威を割と身近に危機を感じている国だしある程度は信用できるんじゃないかな

    5
      • 匿名
      • 2021年 11月 13日

      残念だが敵の敵は必ずしも味方では無いので、その理論で豪州の旗色を期待するのは危険。
      上にもある様に現政権・体制の内に明確なタガをはめたいところ(もちろんそのタガの中には我が国も入る)。

      10
        • 匿名
        • 2021年 11月 13日

        基本的にオーストラリアは日本とは別格のアメリカの同盟国だぞ?
        だから米中有事のさいに日和見を決め込むという可能性は限りなく低い

        ところでAUKUSはそのタガに値するものなのでは?

        18
          • 匿名
          • 2021年 11月 13日

          AUKUSもそうだろうけど、経済軍事、いろんな面から、もっと多層にあるにこしたことはない。
          より足抜けしにくくなるわけで。
          アメリカに対しても同様。心変わりには細心の注意を。

          14
            • 匿名
            • 2021年 11月 13日

            むしろアメリカが今の立場から蹴落とされないよう一番中国を封じ込めたがっている

            だからこそアメリカは従来の国防を目的とした太平洋側の第一~三列島線だけでなく、中国封じ込めを目的としてインド洋側に第四・五列島線の追加を戦略構想したりしている真っ最中

            2
              • 匿名
              • 2021年 11月 13日

              現状がいつまで続くかは、誰にも分らないということよ。

        • 匿名
        • 2021年 11月 13日

        コロナなどで遅れているとはいえ、以前中国は2020年には第二列島線(オーストラリアの北側すぐ近く)までを手中に収めるという戦略構想を公表している
        これを聞いたオーストラリアが自国の危機を感じ、積極的に対中政策しようとすることに何らおかしな点はないと思うけど

        12
          • 匿名
          • 2021年 11月 13日

          「おかしくない」のと「アテにならない」のは矛盾しないよ。

          1
    • 匿名
    • 2021年 11月 13日

    取り敢えず経済封じ込めで
    TTPには中国は入れないということで日本と連携してくれたら信用しよう

    5
    • L
    • 2021年 11月 13日

    肝心の日本の強い声明どこ・・・

    13
      • 匿名
      • 2021年 11月 13日

      下手に相手に言質とられるような事は言えんのよ
      威勢のいいこと言えば「軍国主義の復活」とか何とか揚げ足とられるのミエミエだしね

      5
      • 匿名
      • 2021年 11月 13日

      令和版対華21箇条くらい公表してほしいわな
      対中国朝鮮にはそのくらい上から目線で話しないとダメ
      中華思想、小中華思想に染まってるから現実を見せつける意味で命令口調で話す必要がある
      現に連中が同じ様な態度取ってるのが証拠

      8
        • 匿名
        • 2021年 11月 13日

         オレに刃向かったら米軍の旦那が黙っちゃいないぜ!

         で、上から目線はチンピラ丸出しで恥ずかしすぎる。

        2
      • 匿名
      • 2021年 11月 14日

      今やっている大演習を中国側は強い政治的メッセージとして受け取っているとどこかで読んだな

    • 匿名
    • 2021年 11月 13日

    >中国寄りの発言を繰り返すことで有名なオーストラリアのキーティング前首相(1991年~1996年)は今月10日、ナショナル・プレスクラブで「台湾問題はオーストラリアにとって重要な関心事ではなく台湾との間に同盟関係もない」と語り、中国を標的にした米国との軍事協力強化を押し進める現政権の外交政策を批判したが、

    どこの国でもいるんだなこういうこと言っちゃう政治家。
    あ、そういやうちにもいたな…
    ぽっぽっぽ、鳩ぽっぽ~

    29
    • 匿名
    • 2021年 11月 13日

    台湾が中国に獲られると、中共軍は西太平洋はもちろん、インド洋・南太平洋にも侵出してくる。
    豪州が、自国の安全マージンを広く確保するために、台湾防衛に積極的になるのは自明だろうね。
    個人的には、豪州から日本に軍事同盟を申し入れても良いと思う。

    8
      • 匿名
      • 2021年 11月 13日

      初めっからそれが狙い
      太平洋を半分ぶん獲る了見
      そのための空母量産
      台湾だけなら空母は不要

      4
      • 匿名
      • 2021年 11月 13日

      だからこそ西側は第一列島ラインでの封じ込めに力をいれているわけで

      1
    • 匿名
    • 2021年 11月 13日

    ダットンつよい!
    オージー本気すぎる!
    AUKUSっていうのは、日本滅亡に備えた軍事同盟なのかもしれないな

    6
      • 匿名
      • 2021年 11月 14日

      嫌な話だが完全にその通りだな
      日本や台湾が中国に飲み込まれた場合のカバープランといってもいい
      そうなる前に抑え込めよって話だが

    • 匿名
    • 2021年 11月 14日

    オバマの時だったか、中国がアメリカに対し太平洋を2つに分け
    この2国で統治しようって案を密かに打診した際、アメリカは
    当時この案を蹴ったが、今後も絶対に受け入れないとは
    確約出来ないからなぁ
    オバマをはじめ民主党は基本親中派だったし

    でも意外だったのはトランプの時で、トランプは損得勘定の人だし
    アメリカンファーストの考えから、この中国案を受け入れるかと
    思ったけど実際は真逆で、ここまでガチンコで行くとは思わなかった

    4
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