Lockheed Martinはオーストラリア軍から軍事向け通信衛星の契約(70億豪ドル相当)を2023年に受注していたが、アルバニージー政権は4日「同計画を中止する」と発表し、メディア、安全保障関係者、産業界から非難の声が上がっている。
参考:Defence to prioritise resilient satellite communications capability
参考:Satellite down: nation’s biggest ever space program dumped over multibillion-dollar cost
参考:Australia kills $5.3B military space program with Lockheed
政府が宇宙部門に対する投資見通しを示さなければ企業はオーストラリアから去ってしまう
オーストラリア軍は米軍のWideband Global SATCOM=WGS(米国、カナダ、豪州、ニュージランド、デンマーク、ルクセンブルク、オランダの7ヶ国が利用)だけでは無人戦力が普及した将来通信のニーズを満たせないと考え、大容量高速通信に対応した独自の軍事向け通信衛星の調達=JP9102/SATCOMプログラムを開始し、Lockheed MartinはBoeing、Airbus、豪Optus主導のTeams AUSSAT(RTX、Thales、三菱電機が参加)との戦いを制して契約を手にしたが、アルバニージー政権は4日「JP9102を中止する」と発表して注目を集めている。
豪国防省はJP9102中止について「宇宙技術の進歩や宇宙空間における脅威の進化に単一軌道の静止衛星では要求要件が満たせないと判断した」「衛星通信の回復力を高めるため多軌道能力を優先しなければならない」「当面の衛星通信ニーズは現体制でカバーできる」と説明したが、Australianは「アルバニージー政権は資金不足を理由に軍事向け通信衛星の調達(70億豪ドル相当の価値)を中止する構えだ」と報じ、豪宇宙産業協会も「OECD諸国は宇宙開発能力が価値の高い雇用を生み出し『軍事的優位性の確保にも欠かせない』と考えているが、我が国は正反対のことをしている」と政府の決定を非難した。
Australian Strategic Policy Instituteのマルコム・デイビス氏はBreaking Defenseの取材に「JP9102を中止するなら代替計画が必要で、それさえも提示しないなら『我が国は重要な宇宙分野の技術を海外に依存する状態』に逆戻りするだけだ」「政府が宇宙部門に対する投資見通しを示さなければ企業はオーストラリアから去ってしまい、雇用が失われ、収益が悪化し、事態は雪だるま式に悪化するだろう」「政府は防衛プログラムを次々と中止することでAUKUSと水上戦力拡張に必要な資金を捻出しようとしている」と指摘しており、豪国防省も新たに追求する多軌道能力が何なのか説明していない。
因みにLockheed Martinのオーストラリア軍向け通信衛星の製造にはInovor Technologies、EM Solutions、AV-Comm、Linfox、Shoal Group、Ronson Gears、Calytrix Technologies、Conscia、Clearbox Systems、DXC、Blacktree Technologyといった豪企業が参加する予定だったので、JP9102中止は現地産業界にも大きな波紋をもたらすだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Australian Department of Defence/LSIS David Cox
内容が対中向けに変更されつつあるという感じでしょうか?
中国の生産力は凄まじいものがあるので、この東アジア、東南アジアからこのオセアニア地域での海上戦力で対応するというのはそうでしょうね。
あれよあれよという間に日本は中国に技術面で抜かされた経緯をこの十数年で見てきましたので、軍事関係でも、生産数のみならず質でも超えてくるというのは、もはや普通にあり得るという感じです。優先順位を考えれば仕方のないところ。
テスト中の兵器の不具合を見て馬鹿にする人たちもいますが、テスト中に不具合が出るのは、いたって普通の事ですからね。既に配備されているF-35やオスプレイとか、不具合つづきである事を考えれば、馬鹿している場合ではないという感じですね。
キャンベラ級にF-35Bを載せて欲しいね。
技術面で抜かされたは流石に無いですね。
将来的に抜かされるのは普通にあり得ると思いますが。
そういえば中国でしたっけ? 衛星に搭載したアームで他の衛星を掴んで軌道を外す実験に成功したのって。
南シナ海もきな臭いし、これ以上の戦争はゴメンですよ本当に······
日本もデブリで成功していたな。
まあ豪の「国防」が対中戦争にいっちょ噛みしたいのか(現在の対中シフト)、全面核戦争が起こっても南半球で独自に生き残るのか(独自インフラの確保)で軍備の方向性も変わりますわな。
実際中露のICBMのいくつくらいがオーストラリアに割り当てられているんだろう。
表立っては言えないが、西側の対中戦略において豪州にもある程度の役割を割り振られてるんじゃないかなと
そしてそれは、中国が太平洋に出るためのウィークポイント3海峡の内の南方の一つか二つだと思う
そのための海軍シフト、くらいに思ってる
Starlinkや類似のサービスが軍事向けもカバーしだしてるからそっちで良いんじゃねとか入れ知恵されてそう。原潜の凄まじい維持費捻出しないとだから財政火の車感が
米軍の衛星通信インフラがぶっ壊されている時になんで自国のは大丈夫だと思えるんでしょうね。
Amazonが潰れたら、Kindleでたくさん買った電子書籍が全部読めなくなる!と心配するようなもの。
ウクライナ戦争を見る限り海外のサービスに依存したら、いざという時に何かしらの制限掛かっても問題無いって話になるか。もちろん自国で運用していたとしても無力化されたらどうするんだと言う問題あるけどリスクどこまで許容するかだよね。
少なくとも衛星利用する頻度を落とさない限りは限界が来そうだし、何かしらの技術で通信効率上がりますじゃ無い限り問題が出てきそうだけど。
スターリンクに依存?するのもどうかな?と思います。
同列に機能する複数の衛星通信施設が必要では?。
実際、マスク氏はロシアの恫喝を受けているようだし。
以前あった(今もありますが)イリジウムと同等の物を
日本の周囲で使える形で運用してみては?。
”みちびき”のような軌道で。
イリジウムは、今や米軍専用みたいですし。
コンテキスト的に、例えるなら「きらめき」の方でしょう。
無事、三機打ち上げ成功しました。
ご教授ありがとうございます。
知りませんでした。
成功してよかったです。
中国がアジア・オセアニアに仕掛ける国防費吊り上げチキンレースに豪州もまた呑み込まれたのでしょうね…
私はオーストリアの判断は英断だと思います。
今回のウクライナ戦争で、アメリカは味方陣営の紛争当事国に対して情報関係の支援は全力で行ってくれる事が分かりました。兵士派遣はもちろん、武器弾薬のの軍事援助に比べて、情報支援は国内外の反発が少なく目立ちにくいのでやりやすいのでしょう。
軍事衛星などの通信情報関係の装備調達はアメリカの支援に期待して一旦凍結して、限りある予算を海軍の近代化にまわすのは悪い判断ではないのではないでしょうか。
先日、日本はきらめき3号という静止通信衛星3号機を打ち上げたばかりですが
一方でデータ中継衛星2号機をキャンセルしていて、衛星コンステレーションへの切り替えを静かに発表しています
これは軍用衛星が破壊されることを前提に数を用意するという必要性が生じているためです
つまり衛星コンステレーションとは数の勝負の世界なので
日本はオーストラリアなどに共同事業を提案し、数を共有する相互利用体制を目指すべきでしょう
ファイブアイズだから目はアメリカ任せで拳を固めたという事、理にかなっている。
正面装備の軍備競争で破綻に追い込むのはソ連を叩いた手法、古典的だが効果は抜群だ。
不良債権処理無しで中共の経済崩壊は止まらず、共産党滅亡と同義の不良債権処理は不可能。
トランプ対中関税強化で中共の首はさらに絞まって逝く、生暖かく見守りたい。