トルコメディアは6日「フィリピンは納入されたT129B/ATAKを気に入り、契約に含まれるオプションを行使して追加発注(推定6機)を行った」と報じており、海外市場では依然して攻撃ヘリに対する需要は高い。
参考:Filipinler T129 ATAK’ı beğendi ilave sipariş geldi
追加発注したフィリピンはT129Bを計12機導入、ナイジェリアも同機を発注済み
フィリピンはヨルダンからAH-1Sを2機取得(無償譲渡)したもののイスラム系反政府勢力との戦いには完全に戦力不足で、2018年にトルコから本格的な攻撃ヘリ「T129B/ATAK」の調達を開始したのだが、米国は搭載エンジン(LHTEC T800)の輸出手続きを保留、トランプ政権はAH-1Z(4.5億ドル)とAH-64E(15億ドル)を販売をねじ込んでフィリピン側を怒らせることになる。
フィリピンが攻撃ヘリの調達に確保した予算は約2.6億ドルに過ぎず、当時のロレンザーナ国防相は「(トランプ政権提案のAH-1ZとAH-64Eは)政府の調達プログラムに割ける予算からかけ離れすぎている」と拒絶、最終的に米国はLHTEC T800の輸出を承認したためフィリピンはT129B/ATAK(6機/2024年までに残り2機を納品)を手に入れることができたのだが、トルコメディアは6日「フィリピンは納入されたT129B/ATAKを気に入り、契約に含まれるオプションを行使して追加発注(推定6機)を行った」と報じており、海外市場では依然して攻撃ヘリに対する人気が高い。
攻撃ヘリを含む回転翼機はロシア軍とウクライナ軍の戦いで100機近く失われており、携帯式防空ミサイルが行き渡った戦場では「生き残れない」という指摘もあるが、現在もバフムート上空には両軍のヘリが飛んでいる。
Town of Chasov Yar, Russian helicopters working on AFU positions. pic.twitter.com/WzMlSHmXvA
— Trollstoy (@Trollstoy88) March 6, 2023
Wagner’s helicopters are working in pairs on targets in the Bakhmut areas occupied by Ukrainian troops.
Ukrainian aviation in the Bakhmut direction is becoming less and less common#Bakhmut #Wagner #Russia #Ukraine #Russian #UkraineRussianWar #StandWithRussia #RussianUkrainianWar pic.twitter.com/bWyDwnR0tS— skadefron (@skadefron) March 29, 2023
The crew of a Ukrainian helicopter performs dangerous tasks near Bakhmut
In the early morning, three attack helicopters take off from a secret base in Ukraine, flying low over the eastern city of #Bakhmut. As they approach their target, they suddenly ascend, firing a barrage of… pic.twitter.com/ts8xt9RWzv
— TOGA (@Jano14Toga) March 16, 2023
回転翼機が戦場に出撃すれば「高い確率で撃墜される」というわけではなく、攻撃ヘリに対するネガティブなイメージは侵攻初期の「戦車不要論」に似ており、結局のところ攻撃ヘリを生かすも殺すのも戦術次第で多くの国は攻撃ヘリの将来性に絶望しておらず、オーストラリアはウクライナ侵攻前に発表したAH-64Eの調達を継続、エジプトはAH-64Dのアップグレードを発注、スロバキアはAH-1Zを12機取得する計画で、ポーランドも新たにAH-64Eを96機取得すると発表したばかりだ。
AH-64Eを製造するボーイングも先月末「184機(米陸軍分130機+対外有償軍事援助分54機)を製造するため19億ドルの契約を国防総省から受注した」と発表しており、携帯式防空ミサイルの脅威から回転翼機を保護するATIRCMシステムには発注が相次いでいる。
特にAH-64EのV6バージョンはMUM-T=有人・無人チーミングに対応したモデルで、SPIKE NLOSやALTIUS-600Mを駆使する視界外戦闘の採用を予定しており、今後も新しい技術や戦術を採用しながら「攻撃ヘリ」というジャンルは生き残って行く可能性が高い。
少々話が脱線したがナイジェリアもT129B/ATAKを発注しており、パキスタンはエンジンの輸出承認の問題でT129Bの発注をキャンセルした可能性が高い。
関連記事:急転直下で正式発注、フィリピンがトルコ製攻撃ヘリ「T129B」導入を発表
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※アイキャッチ画像の出典:Matt Morgan / CC BY-SA 2.0
他国は必要だと思っているから攻撃ヘリに熱心なんだろうけど、自分は北海道以外で攻撃ヘリを使う場面が思い浮かばないなあ。歩兵部隊の支援に有用なのは分かるんだが。
LZ保護にAH以上の兵器は無いよ
あと日本の様な崖の多い海岸線は攻撃ヘリが匍匐飛行して対着上陸戦するには最適
もともと攻撃ヘリ誕生(フランスが発祥)の経緯はLZ保護ですからね。そこに目を付けた米国が対戦車兵器やら対テロ戦やらと用途を付け加えて専用機として確立した感じです。けれどLZ保護だけなら汎用ヘリに武装をつければ済むことです。
思うに各国の攻撃ヘリの導入・更新はその国で育成された人材やノウハウを温存し、尚且つ治安維持に活用したい側面が強いのではないでしょうか。フィリピンに至ってはまさに対テロ戦争ですから導入しない手はありません。他方、結成以来一度も治安出動をしたことがなく、先の攻撃ヘリ選定失敗で訓練をままならずにノウハウを殆ど失った自衛隊が、スタンドオフ攻撃という新分野を前に「攻撃ヘリ再興」にリソースを割く余裕はないのではないでしょうか。
日本の場合、上陸してきた怪獣への威力偵察に有効かな >北海道以外で攻撃ヘリを使う場面
携帯式防空ミサイルの影響下で攻撃ヘリはどんな風に運用してるんだろう?
偵察機や歩兵の情報をもとに、防空ミサイルの範囲外から突出した車輛とかを遠距離で攻撃出来るのかな?
それと実際にやってるからには役に立つんだろうけど、ヘリが無誘導の対地ロケットを斜め上向きに発射するのって効率悪い気がするけど、どの程度の効果があるんだろうか?情報ある方見えますか?
直接目標を破壊するのではなく、敵の近くで爆発を起こすことで自軍の射程圏内に入っていることを知らせ敵の進軍を躊躇させる妨害する効果があると聞いたことがあります。
中国軍はISR活動とミサイル誘導用のUAVを攻撃ヘリより前進させて、後方の攻撃ヘリはUAVとデータリンクしてBVR攻撃を行う訓練をしていますね。
攻撃ヘリがUAVとデータリンクしてBVR攻撃をするのは有効な運用方法だと思います。
無誘導の対地ロケットを斜め上向きに発射しても命中率は全く期待できませんね。
効率は非常に悪いですがウクライナ・ロシアには他に選択肢がありません。
>攻撃ヘリがUAVとデータリンクしてBVR攻撃
それ攻撃ヘリでなくてもいいような気がします。
現状ですと攻撃ヘリの方がUAVより火力投射能力は高いので、攻撃ヘリの方がより効果的に火力支援はできると思います。
自衛隊は攻撃ヘリの円滑な調達に失敗した結果、なし崩し的に攻撃ヘリの廃止を決定したと思いますね。
連携するなら、戦闘機や自走砲の方が火力が上で、無理に攻撃ヘリに拘る必要は無いと思います。
連携する仕組みが出来たら、汎用ヘリとか輸送ヘリでもその役目は代用出来そうな気もするし。
小回りが利き、尚且つ実現までに比較的短期間で済むから現状だと意味はあるのでしょうが、
展開可能な火力が中途半端だし、期間限定の役割だとも思います。
フィリピンあたりなら対ゲリラ戦を想定でしょうか
防空能力も限定的でしょうから戦闘ヘリが活躍できるんじゃないでしょうか
前にも書いたかもしれませんが、陸自が戦闘ヘリを無人機に完全代替する理由はどちらかというと戦術的合理性よりは今後先細る一方の人的リソースの問題からという気がします。
有人機は現場での柔軟な対応とEA抗堪性の点で無人機が完全に代替できる状況ではまだないと思ってますが、陸自の中で平時の省人化と有事での人的損失を減らすために一番手を付けやすい科となると、自ずとそうなるのかなと。
防衛力整備計画「組織定員の最適化」に、
>統合運用体制の強化に必要な定数を各自衛隊から振り替えるとともに、海上自衛隊及び航空自衛隊の増員所要に対応するため、必要な定数を陸上自衛隊から振り替える。このため、おおむね 2,000 名の陸上自衛隊の常備自衛官定数を共同の部隊、海上自衛隊及び航空自衛隊にそれぞれ振り替える。
とあります。
陸自定数は当面削減されることになり、戦闘能力・継戦能力を低下させない装備導入と人的リソースの再配置が必須です。その意味で攻撃/偵察ヘリを無人機で任務代替すると判断したのは(苦し紛れかもですが)英断でもあると思います。無人機システムが熟成するまで武装化汎用型ヘリでしのぐ構想なのは予算の関係でしょうけど。
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アパッチは12機のみ配備にとどまるなど陸上自衛隊の戦闘ヘリ部隊は周辺国と比べても小ぶりな編成である。マンパワー不足の観点も相まって、調達数が少ない部隊を削減することでランニングコストを抑えようという狙いもあるだろう。
しかし、哨戒ヘリ部隊やP1を削減して将来的に無人機に置き換えるというのはいささか野心的すぎると愚考する。ナゴルノ・カラバフやウクライナでの戦訓は主に地上戦であり、海上でのドローン部隊の運用はまだまだこれからだろう。
人的リソースの捻出そのものだけじゃなく、戦術的合理性も兼ねて、の判断だと思うよ。
南西シフトの過程において、ヘリの航続距離の短さは問題になったはず。
南西部隊に展開したヘリ部隊も、初撃のダメージを回避するために後方への陣地転換が必要になるだろう。
けれど、例えば石垣島にヘリを展開させて後方に退避させようにも、ヘリの航続距離じゃ逃げるに逃げられない。
損耗した部隊を補充するために予備戦力を展開しようにも、航続距離がネックになって、南西地域への素早い展開も期待できない。
南西地域の防衛戦術のメインとなっている島嶼部の奪還作戦への参加にも、航続距離が短すぎて護衛艦なりがないと、そもそも参加すらできない。
しかもその護衛艦もF-35Bや対潜ヘリが最優先。
人員も限られて部隊増設も簡単じゃない。
だったら思い切って戦闘ヘリをやめて、輸送も容易もしくは航続距離が長い無人機に転換したほうが、
南西地域で役立てる戦力を増やせる、と考えたんじゃないかな?
攻撃ヘリの問題はさておいて。
島嶼防衛に関わるヘリコプターは、
海上に浮いて居られる物であることが必須かもですね。
例えガス欠になっても、機体不調であっても。
後で荷物ごと回収できれば良いのでしょうから。
人員の問題は大きいでしょう。特にヘリパイロットの育成コスト。しかも攻撃ヘリは今の所複座が前提ですが、作戦時のリスクに対して費用対効果が悪いのかもしれない。
イスラム系武装勢力や麻薬組織を相手にするには攻撃ヘリはうってつけでしょ
人民解放軍に通用するかは知らないけど
このままバイラクタルTB2も買いそうな勢い
気に入ったって表現何か可愛いな。
まあ正規軍じゃなくて反政府勢力、ゲリラ相手ならなんでも出来て高価な機体より、安価で小回りのきく機体の方がいいんだろうね。
こういうヘリとかって、自動操縦による無人化じゃなくて、遠隔操縦での無人化って出来ないんだろうか?
相手に攻め込まず、自国内だけ。
既にありますよ、偵察や哨戒用として。
ヘリ万能論が行き詰まっただけで、ヘリが不要になった訳ではないからね。
ただ、爆弾を積んだ高高度も速く飛べる航空機や、より大規模な重ミサイルを搭載出来る低空機が必要になった。
これらは時代遅れとされていたが、ヘリは遅すぎるし、搭載量微妙だし、高度も低すぎるし、頑丈さや脱出能力が厳しい。
そして、最近の攻撃ヘリは高すぎる…安価で大量導入されるのが売りだったのに、航空機を追いやろうとして無茶し過ぎた。
所詮、数キロから十数キロしか射程がない兵器にあんなコストはかけてられない。そこは机上の空論過ぎた。
あと、ヘリは地形による隠蔽効果を前提とした兵器なんで、だだっ広い平原や海では当然厳しい。
日本やウクライナでは厳しいのは当然だ。山岳近くまで進出されたか、進出するのなら別だけど。
どちらかというと遅くて高度が低いからこそ求められたと言えるよ。かつてww2で低空低速のレシプロ固定翼機が大活躍して、戦後は敵戦闘機から逃げるor戦うために高速化しジェット化したけど、速すぎて低空での攻撃が不向きになった。そこにLZ保護目的として武装を付けたヘリコプターが登場したことで脚光を浴びるようになった。制空は味方戦闘機に任せて自機は地上への攻撃に専念する兵器思想。
>ww2で低空低速のレシプロ固定翼機が大活躍して、戦後は敵戦闘機から逃げるor戦うために高速化しジェット化したけど、
ww2の時点でも低空低飛行な襲撃機の類いは戦闘機などに狩られたし、更に味方のより高速な後継機に駆逐されていったかと。
軍用機史上最多の生産数を誇るIl-2でさえ、後継機のIl-10と最高速度を比較すると、411km/h→551km/hといった具合。
そしてIl-10の原型は、戦闘機として開発されてたIl-1だし。
無人機とのチーミングするなら猶更攻撃ヘリである必要ってある?って思うんだけどね。
無人機に攻撃も担当させて安全なところで指示出してればいいじゃんと。
確かに指示を出している有人ヘリは最優先で潰しにかかるはずで、指揮命令系統も分散させておくべきではないかと思いますね。
電波の発信源から離れれば離れるほど電子妨害に脆弱になるしなぁ
実際ウクライナでも、電子妨害によって失われるドローンが大多数じゃなかったっけ
そうだけどそれでも貴重な人員の損失と比べたら100倍マシ。
不謹慎な言い方かもしれないけどドローンなんて金があればいくらでも替えは効く。
武器の搭載量、火力持続時間、搭載してるセンサー類は依然として攻撃ヘリのが圧倒的に上だからな
MAM-Tがやろうとしてる事は将来の戦闘機と随伴無人機の関係性とほぼ同じ
搭載量は単にハードウェアのサイズに過ぎないからな
とりあえずWW2で人材の枯渇はかなり問題になったわけだし無人機で置き換えられるならそれに越したことはない。最低限の任務に耐えるだけの訓練でもパイロットの育成は時間もコストもかかるわけだし。
フィリピンは国土が小島の集合体で、それらが橋で繋がっているわけでもない。
ジャングルもあり、台風で頻繁に道路が寸断される。
そんな環境で武装が貧弱な反政府ゲリラを相手にするなら、いまでも戦闘ヘリは有力な兵器だということでしょう。
兵器が活躍できるかは、結局は環境次第ですからね。