台湾メディアは22日、アジア・太平洋地域初となるF-16専用メンテナンスセンターが28日に開設されると報じている。
参考:國防MIT》 F16維修中心8月28日成立 蔡總統主持揭牌典禮
今月末、台湾にアジア・太平洋地域初となるF-16専用メンテナンスセンターが開設
台湾は老朽化した142機のF-16A/B(Block20)をF-16V(Block70)にアップグレードするのとは別に新規製造されたF-16Vを66機調達する予定で、同国は極東地域において最大のF-16運用国(計208機)となる。そのためF-16Vへのアップグレードする作業を請け負っている台湾の漢翔航空工業(漢翔航空工業股份有限公司:AIDC)はアジア・太平洋地域初となるF-16専用メンテナンスセンター設立を働きかけていた。
ただメンテナンスセンター設立は中国の反発を招く恐れがあるため実現は難しいのではないかと見られていたが、中国に対して強行路線を貫くトランプ政権の思惑もあり昨年12月に台湾と米国はF-16専用メンテナンスセンターを台湾に開設することで合意、実際のセンター運営は台湾の漢翔航空工業と米国のロッキード・マーティンが共同で行うことになっており台湾メディアは22日、今月28日に蔡英文総統が出席してメンテナンスセンターの開設式を執り行うと報じている。
漢翔航空工業の関係者によればロッキード・マーティンが認定したF-16を扱うメンテナンス業者は極わずかで、その殆どが米国に拠点を置いた企業らしい。そのためメンテナンスコストが比較的高価なので台湾が手頃なコストでメンテナンスを提供できれば周辺国の需要を取り込める可能性があると話しており、蔡英文総統が主席を務める民主進歩党もF-16のメンテナンスを通じて他のアジアの国と交流することが出来ると考えているようだ。
台湾が狙う極東地域のF-16メンテナンス需要は500機(台湾208機、韓国169機、シンガポール60機、タイ53機、インドネシア33機)以上で、同地域に展開する米空軍のF-16まで加えれば潜在的なメンテナンス需要は600機を優に越えるため単純なビジネスとして見ると確かに有望だが、台湾のメンテナンスセンターを利用するということは政治的に中国との摩擦も抱え込むことになるので本当に外需を取り込めるのか非常に怪しい。
台湾側もその点については認識しており、当面は自国空軍208機のメンテナンスに集中して外需取り込みは「第2段階」になるだろうと言っている。
余談だがF-16専用メンテナンスセンターという概念はF-35の国際整備拠点「MRO&U」から派生したものだろうと推定され、これまでオーバーホールを伴うF-16の大規模メンテナンスは導入国の企業に委託される形か米国のロッキード・マーティンが運営する施設で行うケースが多く、最近では米国に進出したBAEシステムズが請け負うケースもあり、極東に配備された米空軍のF-16のメンテナンスを引き受けているのは韓国企業の韓国航空宇宙産業(KAI)だ。
KAIは過去、極東地域に配備されたF-16の寿命延長改修などを請け負った実績を持ち、現在は2022年9月分までメンテナンス(90機にF-16に関する保守・修理・オーバーホール)契約を4,880万ドルで受注しており、台湾にF-16専用メンテナンスセンターが開設されるというのは面白くないだろう。
補足:韓国航空宇宙産業は米空軍のF-16だけでなく米海兵隊のCH-53のメンテンナンスも受注している。さらに大韓航空は釜山に設立したアジア・太平洋地域最大の航空機整備・修理(MRO)工場「釜山テックセンター」を運営中で、この施設は在韓米軍機だけでなく在日米軍のF-15C/D、MH-60、P-3C等の整備やA-10の新規主翼製造や交換作業も受注、米国本土や欧州に配備されている米軍機の整備以来も舞い込んでいるらしい。
もしかしたら在日米軍や在韓米軍のF-16のメンテナンスを政治的な側面(=中国への圧力)から台湾に移動させることも十分考えられるので、今後の動向に注目せざるを得ない。
※アイキャッチ画像の出典:Airwolfhound / CC BY-SA 2.0
在日米軍三沢基地のF-16の整備は大韓航空がやってるらしいが早く台湾に移管してもらいてえもんだな
中華民国台湾は、中共封じ込めと地域の安保に欠かす事のできない国。米国は今後ますます台湾との協力を進めていくだろうね。さて我が国は…?
日本は既にF-35用のFACO&MRO&Uが存在するし、ファイブアイズ(米国を中心とした5カ国による機密情報ネットワーク)に日本が加盟すると言う憶測まで飛んでいる位だから、我が国と米国の協力体制は着実に深化するだろうね
これは政権交代位では動かないだろう(野党ですら、民主党政権時代に米国と手を切れなかったのだから)
言葉足らずですみませんでした。「日台協力」はしないのか、と言いたかったのです。
特に出来ること無いじゃん
まさかF-2のメンテ頼むわけにもいくまい
中国との対立に使えるからと利用する気満々で接近するのは米国だけで十分でしょ
日本はいつも変わらず適度にご近所付き合いしてる方がありがたがられると思うけどね
軍用機の整備の話だけしてるのではない。政治的なものも含めた全般的な協力の話をしている。
他の機種もできるようになってくれないかな?
日本からアメリカ行くより、安上がりだろうし。
韓国の釜山に、アジア・太平洋地域最大の航空機整備・修理工場「釜山テックセンター」があるからそんな心配は不要ですね。
この施設は、在韓米軍機だけでなく在日米軍のF-15C/D、MH-60、P-3C等の整備やA-10の新規主翼製造や交換作業も受注のうえ、米国本土や欧州に配備されている米軍機の整備依頼も舞い込んでいるそうなので技術力と信用は確かなんだろう。
韓国ではアメリカ軍に納入する軽油を横流しして、か絵s地に灯油をタンクに流す事件とかもあったからなぁ
P-3Cは日本飛行機がやってなかったけ?
さすが台湾、したたかだな。
韓国から見たら不愉快だろうけど、KAIだけに。
他国の戦闘機はメンテナンスできるのに、自国の戦闘機がボロボロなのは何故?
これは、台湾の話? それとも、韓国の話?
具体的に何がどのようにボロボロなのか知りたいです。
ここで台湾って選択肢はないと思いますが。
何がと言われれば、F-16ネタで言えば、BAEシステムズがKF-16のアップグレードを請け負ったけど、レーダー警戒装置や電子妨害装置が壊れたガラクタを送り付けられて、その修理費用で揉めたりとか。
4機のE-737のうち3機が部品取りで1機しか稼働してないとか。
F-15Kの稼働率詐欺とか。
空軍に限らず、全軍が万事この調子なのですよ。
そういえば在韓米軍に卸してた航空燃料が粗悪品だったとかも有りましたね。
F-15C/Dを小牧で整備とか出来ないのかな?
でもJ/DJとC/Dでは仕様が大分異なるから厳しいか………
韓国ですでに整備しているので、小牧で実施する利点が無いでしょ。
日本でもF/A-18C/Dのメンテを日飛が引き受けていたけど、今どうなってんだろ。
今でも整備を請け負っているみたいですよ。
海軍・海兵隊の機体は日本、空軍の機体は韓国というように分かれていますね。
競合すれば費用も抑えられるし、脱韓国も進められるし一石二鳥じゃないですか
今までアメリカが韓国に行ってきた有形無形の援助・優遇を、台湾に対しても本格的に始めるのでしょうね。それを韓国が客観的に見て、その有り難みを再認識できるなら話は変わるのでしょうが、アメリカに駄々をこねる、台湾に難癖を付ける程度しかできないでしょう。
大統領選でトランプが負けなければね。
ソ連への姿勢が一貫していた冷戦時代と違って、対中国の姿勢は共和党/民主党で大きく違うもの。
単純に台湾がこれから相当期間纏まった数運用するからってだけな気がする
F16は世界的なベストセラーだけど
うちがF15ライセンス生産したのとF2作った兼ね合いでこの辺の地域じゃ案外使われてなかったし
韓国は在韓米軍の駐留経費負担増額をキッパリと拒否してしまいました。だからアメリカは、韓国に厳しい態度を取るでしょう。つまり在韓米軍のF-16も台湾で整備することになるでしょう。
文大統領は外交センスが悪いから、アメリカを怒らせたら恐ろしい結果が待っているということを理解できないのでしょう。哀れな大統領ですね。
推測と期待感ばかりやな
極東のF-16整備拠点が韓国だけだと北朝鮮との関係でリスクが高いから台湾に整備拠点作って二重化でしょうね。
日本に作った方が地理的、政治的にも安全ではありますが、日本がF-16を運用していないことと、F-16はアメリカの現在の非友好国にも渡っているので輸出規制を実現するのが困難でしょうね。
IHIが製造しているF100エンジンのパーツ輸出は実績があるので。F-2用F110エンジンのパーツ輸出はありそうですが。
まぁ韓国排除の流れのひとつなんだろうね
うーん、米軍はまだしもタイだのインドネシアだのシンガポールが対中情勢悪化を覚悟で台湾に頼むのはちと考えにくいような…。トランプ政権が続いて尚且つトランプ氏が対中対決に本腰を入れてくれるならKAIから移りそうだけど、政権変わったりトランプ氏が対中姿勢に飽きてしまったら台湾軍オンリーになってしまう可能性も有るような。そうならずとも米軍以外のアジアカスタマーは台湾選ぶ勇気は無いんじゃないかな。
正直政治的にセンターを同じアジア圏なら日本において欲しいなとは思っている国はありそうですよね。
記事タイトル写真のコンフォーマルタンクが付いたF−16の正面写真は格好悪いなあ。
航続距離云々のスペック抜きにしてコンフォーマルタンク無しの方が見た目が格好良いと思う。