小泉防衛相は3月下旬から4月上旬にオーストラリアを訪問して「もがみ型護衛艦の輸出に向けた契約」を締結する見通しで、豪ディフェンスメディアも9日「豪海軍の第2水上艦隊の中核となるもがみ型の技術移転等を開始するため契約に署名する予定だ」と報じている。
参考:Japanese defence minister expected to finalise Mogami deal by end of March
参考:Japan shrugs off GCAP delays, fast-tracks export rules for future warplane
参考:殺傷能力ある「武器」輸出 賛成32% 反対53% NHK世論調査
防衛装備品の移転を制限してきた5類型撤廃の議論が進む一方で、殺傷能力のある防衛装備品の輸出に対する国民の理解はまだ十分とは言えない
アルバニージー政権は海軍再編に関する分析結果を2024年2月に発表、この報告書は政府に「水上艦戦力を2倍に増やせ」と求めており、具体的にはハンター級フリゲートの取得数を9隻→6隻、アラフラ級哨戒艦の取得数を12隻から6隻に削減し、有人運用も可能な大型無人艦(6隻)と汎用フリゲート(11隻)を取得するよう勧告。アンザック級フリゲートの後継艦を想定した汎用フリゲート取得は「Project Sea 3000」や「GPF Project」と呼ばれており、三菱重工業は2025年8月にフリゲート艦入札の優先交渉者に選ばれた。
豪国営放送のABC NEWSも当時「三菱重工業は100億豪ドルのフリゲート艦建造契約を巡る入札でライバルのTKMSを破って勝利した。ABC NEWSは政府が昨夜、Project Sea 3000の勝者にMEKO A-200ではなくもがみ型を選択したことを確認した。政府はフリゲート艦の能力のみに基づいて決定を下したと主張しているが、日本は両国間の戦略的・防衛的関係の深化を重視し「契約獲得に向けたロビー活動」を行ってきたため、今回の決定は膨大な政治的リソースを投入してきた日本にとって大きな勝利であり、海外での建造経験のない三菱重工業に対する信頼の現れだ」と言及。
リチャード・マールズ副首相兼国防相も本決定について「オーストラリアと日本の関係において非常に重要な出来事だ」「日豪間で締結された防衛産業に関する協定の中で最大のものになる」「日本にとって過去最大の防衛輸出になる」と述べ、ABC NEWSは日本勝利の要因に「日本向けに建造しているフリゲート艦をオーストラリアが先に受け取れること」「この選択を米国が支持したこと」を挙げ、三菱重工業はフリゲート建造契約に関する優先交渉権を獲得し、年内の契約締結に向けてオーストラリア当局との交渉を行うと報じられていた。

出典:Australian Defence Force/Jay Cronan
小泉進次郎防衛相は3月下旬から4月上旬にオーストラリアを訪問し、マールズ副首相兼国防相と会談する予定で、産経新聞は3日「オーストラリアが新型フリゲート艦に選定した海上自衛隊の最新鋭護衛艦=FFM(もがみ型の能力向上型)導入に向けた契約を締結する見通しだ」「契約締結に向けた事務的な作業は3月末までに終了する見込み」と、豪ディフェンスメディア=Defence Connectも9日「日本の報道によれば小泉防衛相はオーストラリア海軍の第2水上艦隊の中核となる「もがみ型」の技術移転等を開始するため、3月下旬にオーストラリアを訪問してマールズ副首相兼国防相と会談し契約に署名する予定だ」と報じている。
Defence Connectは「ただし、この取引に課題がないわけではない。その主な理由は厳格な平和主義憲法の下で殺傷能力のある防衛装備品輸出に厳格な規制を課していることにある。とはいえ、政策の運用指針の改定により、現在ではパートナー国との共同開発や生産が認められるようになっている」と言及。

出典:Australian Defence Force/Jay Cronan
Defense Newsも11日「日本の与党は防衛装備品や兵器の厳格な輸出制限を緩和する取り組みを進めている」「防衛装備移転の主要政策の抜本的な見直しにより、制限が完全に撤廃され、将来的に紛争当事国への輸出も可能になる可能性がある」「この変更によりオーストラリアへのもがみ型護衛艦11隻の輸出への道が開かれることに期待がかかっている」「オーストラリアへの輸出は小泉防衛相が今月後半に最終決定する予定だ」と報じている。
自民党の安全保障調査会は今年2月「防衛装備品の移転を制限してきた5類型撤廃」に向けた提言の骨子案を示し、自民党と日本維新の会は今月6日に「防衛装備移転三原則の運用指針見直しに関する与党提言」を高市早苗首相に提出した。この提言は「殺傷能力のある防衛装備品の輸出先を防衛装備品・技術移転協定締結国のみ」とし、国家安全保障会議(NSC)が輸出の可否を審査することを求めており、紛争当事国への殺傷能力のある防衛装備品輸出は原則認めないものの、特段の事情がある場合のみ輸出できる余地を残す方針らしい。

出典:Australian Defence Force/Jay Cronan
Defense Newsは「現行ルールの枠組みでも共同開発・生産という形を取れば殺傷能力のある防衛装備品の輸出が可能である」という日本の事情を正確に認識していない可能性がある。そのため「今回の防衛装備移転三原則の運用指針見直しこそが、オーストラリアへのもがみ型輸出への道を切り開く」と報じている点は、海外メディアと日本国内の認識のズレを示しており興味深い。
恐らく日本では「もがみ型護衛艦11隻の輸出」という部分にしか関心が集まらないと思うが、日本がオフセットとしてどのような防衛産業協力を提示し、契約額の何十%(一般的には50%~100%)を直接投資もしくは間接投資でオーストラリア産業界に還元するのか、この経験こそが今後の武器輸出において重要な財産になるだろう。

出典:Australian Defence Force/Jay Cronan
因みにNHKは10日「防衛装備品の海外への移転をめぐり、政府・与党が殺傷能力のある「武器」の輸出を原則可能とするのを検討していることについて、NHKの世論調査で賛否を尋ねたところ賛成が32%、反対が53%、わからない・無回答が15%だった」と報じている。
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※アイキャッチ画像の出典:Australian Defence Force/Jay Cronan




















着実に前進して、喜ばしいですね。
法整備~商取引まで、1つずつ着実に前進していく事を願っています。
日本はオーストラリアからの輸入LNG40%(!)石炭輸入60%(!)近い数値なんですよね。
ホルムズ海峡のリスクヘッジに助かっているだけでなく、総合商社などが保有・直接出資することさえも認められてきました。
もがみ型改の最初の大型契約として、日本での議論を深めるだけでなく実績作りにも貢献して貰いましたので、オーストラリア産業界に『100%近い還元しても元がとれている』と考えています。
どんな物も使いようなわけで…オーストラリア等当分どこかに侵攻とも思えないような国に売るのは別に構わないと私は思います。
旧横浜税関の取締艇がイランでミサイル艇として使われていたように信じて預けた相手が変なことをする可能性も無きにしも非ずですが…(なお米軍に攻撃された模様)
まずはおめでとうございます。国内世論については、マスコミが殺傷力のある武器、を強調している事もあり、字面だけで反対している人も多いように感じます。日本と友好国の防衛力強化の為である事、輸入国に対して厳格な管理と運用を求めている事を政府はしっかり説明していって欲しいですね
政財官がタッグを組んで勝ち得た成果ですので喜ばしい限りですね。
民主国家である以上国民の支持と国民への説明責任は大事ですから、防衛装備品の輸出について広く国民に理解してもらえる事が重要だと思います。
特に防衛省はまだまだ情報の発信が足りないですから広報強化して欲しいですね。
国内のメーカーがいまいち防衛装備品の輸出に熱心じゃないのもイメージ悪化を懸念する部分があると思います。
この辺も踏まえて国民の理解を得る為の広報が必要ですよね。
情報発信、仰る通りですね。
小泉大臣の発信力・発信内容が、支持・注目を集めていますから、自衛隊の待遇改善ドンドン進めて頂きたいなあと。
プロテイン・カロリーメイトの支給(増加食)、さすが自衛隊ということですし、自衛官・御家族への感謝も情報発信として巧みなため興味深く拝見しています。
小泉大臣、防衛大臣になってから評価一変しましたよね。
メディア受けも良いですし、わかりやすい言葉で話すので安全保障に一般の注目が集まる中最適な人選だと思います。
個人的には野党に国防族議員が増えてほしいんですけどね。石破みたいな奴ではなく、ここの管理人さんみたいなタイプ。
国防=自民党状態なのは健全ではないと思ってます。
いよいよかぁ
このレベルの巨大事業は初だから、見えてなかった問題とかも出て来るだろうけど、それも経験だからね
とにかく応援してる
あれ、そもそももがみ型は国際共同開発・生産枠だから別に5類撤廃は関係無いんじゃ無かったっけ
まあ別枠って存在自体が揉める原因だから、撤廃自体は重要だと思うけど
日本国内で建造する豪州向け「もがみ型改」3隻については時間も無いこともあってMHIの提案内容を丸呑み承認なんで、実質的には「共同開発」とは言えないんですけどね。本提案はSSMやSAM等を米国開発製品にしたもので既存の知見で対応できるものばかりでしょう。
本件について今後に共同開発があるとすれば豪州建造分についての変更点でしょうか。
後続としてニュージーランドはまだしも、インドネシアの話はあんまり嬉しくないなぁ
オフセットに便乗して豪州の無人機・資源関係にいっちょ噛み出来たら良いんですけどねぇ
ここの前記事にもありますが豪州と米国の共同無人機開発はわりと順調らしいのでしたか
まずは成功しそうで何より
陸は韓国が強いしわーくには海に活路を見出だしましょう
現時点までの実績だと海も韓国の方が強いんだけどね
日本勢も追いつけ追い越せで頑張って欲しい!
どこぞの界隈が言う国民の理解とか、実は全く持って考慮する必要無いと思うんだがなぁ…
ノイジーマイノリティがメディア使って吠えてるだけで日本人誰も気にしないでしょ
ひゅうが型作った時だってクウボガー、攻撃力ガーつって一部大騒ぎしてたけど
その声恐れて計画段階のポンチ絵じゃ空母に見えないように小細工してたのに
いざ全通甲板で作ってみても全くの無風だったじゃん
今じゃほんとに空母から攻撃機が発艦してるでよ
バータ取引は丁度LAVの後継を詮索中だからブッシュマスターのラインを再構築して新車を流したい
元車のホイールベース短縮し4~5名乗り、デザインはトラックっぽくなる。荷室を非装甲なんて激怒しそうだけど軽量安価の為や
最低限、パワーパックとブレーキは日本から輸出したいね
設計試作は小松に頭を下げてタレスAUSと共同開発。価格はL-ATVの1/2未満が目標
武器輸出反対56%はNHKの世論調査だけでなく、時事通信とかも同じような調査結果を喧伝しているので、単に新しい『反戦キャンペーン』な気がする。実態を現しているかどうかはネット世論調査もやって比較しないと。
護衛艦が人を頃すわけじゃない。護衛艦に反対しミサイルにも反対する二毛作を企んでる奴がいるんだろう