豪国防省は6月「汎用フリゲート調達のためドイツ、スペイン、日本、韓国の造船企業に情報提供の要望書を送った」と明かし、豪メディアは7日「スペイン企業と韓国企業が入札から排除され、TKMSと三菱の間で最終入札が行われる」と報じたが、欧州ではFincantieriがTKMS買収に名乗りを挙げた。
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安全保障委員会が政府にNavantia、現代重工業、Hanwha Oceaの入札除外を勧告
アルバニージー政権は海軍再編に関する分析結果を今年2月に発表、この報告書は政府に「水上艦戦力を2倍に増やせ」と求めており、具体的にはハンター級フリゲートの取得数を9隻→6隻、アラフラ級哨戒艦の取得数を12隻から6隻に削減し、有人運用も可能な大型無人艦(6隻)と汎用フリゲート(11隻)を取得するよう勧告。
汎用フリゲートの取得はアンザック級フリゲートの後継艦を想定しており、報告書は検討候補にドイツのMEKO A-200、スペインのAlfa3000、日本のもがみ型、韓国の大邱級BatchIIもしくはBatchIIIを挙げ、豪国防省はDefense Newsの取材に「政府はProject Sea 3000(汎用フリゲート調達のためのプロジェクト)のため、ドイツ、スペイン、日本、韓国の造船企業に情報提供の要望書を5月24日に送った」「公正な調達手続きに基づく評価が進められているため、これ以上の詳細は明かすことができない」と回答。
Defense Newsは「要望書に対する回答期限として各造船所は4週間の猶予が与えられた」「オーストラリアでフリゲートを建造する方法を説明するのに3週間の追加猶予も与えられた」「Project Sea 3000の選定は2025年中に行われ、海外で建造される1番艦の就役は2030年を予定している」「オーストラリアで建造される4番艦から6番艦までは同一仕様になるが、7番艦以降の仕様をどうするかは決まって無い」と報じ、一部では日本と韓国が有力候補と言わているものの、韓国経済新聞は6月「このままでは10兆ウォン=約1.1兆円の商機を日本に奪われかねない」と指摘。
“このプログラムの受注企業は自国で建造した3隻を2030年までに引き渡さなければならず、日本はオールジャパンを組織する可能性が高い。政府も現代重工業とHanwha Oceaがワンチームで受注戦に参加することを望んでいるが、両社はKDDX事業に関連する機密流出裁判(現代重工業が軍事機密を不正に入手してKDDX入札で有利な立場を得ようとした事件)で激しく対立しているため協力関係を構築できる雰囲気ではない。
“両社の激しい競争関係について防衛産業界の関係者は「オーストラリア政府が『韓国を代表する企業は一体どこなのか』と尋ねるほどだ」「両社の競争が必要以上に加熱すれば海外市場を失うかもしれない」「フリゲートを建造する特殊船用ドックは現代重工業に2つ、Hanwha Oceaに1つしかなく、仮に受注できても韓国海軍向けの需要を考えれば両社が分けて建造しないと納期に間に合わない」「1社で国内建造3隻と海外建造8隻の全責任を負うのはリスクが高い」と話している”
日本はオーストラリアの入札に「政府の後押しを受けた三菱重工業」が挑戦しているものの、韓国では現代重工業(FFX Batch-III)とHanwha Ocea(FFX Batch-II)が別々に挑戦しているため「政府の後押しや建造能力の問題で商機を日本に奪われかねない」と危惧していたのだが、Australian Financial Reviewは7日「安全保障委員会が政府にNavantia、現代重工業、Hanwha Oceaの入札除外を勧告した」「TKMSと三菱重工業の提案は最終決定までに追加の分析が行われる」「100億豪ドル(プログラム総コストの見通しが70億豪ドル~100億豪ドル)の受注競争はドイツと日本の間で争われる」と報じて注目を集めている。
AFRはドイツ提案について「MEKOの設計はアンザック級フリゲートを大型化・近代化したもので親しみがあり、TKMSの輸出経験も加味すると低リスクの選択肢とみなされた」と、日本提案について「中国の軍拡脅威が高まる中、三菱重工業が提案する『もがみ型』はオーストラリア海軍と海上自衛隊を結びつけるという戦略的理由から一部で支持されているものの、日本には軍艦を他国の海軍に供給する輸出文化が欠けている」と指摘しており、どちらかというと「ドイツ=MEKO A-200押し」という雰囲気だ。
因みに入札の最終候補者発表は11月下旬に、入札の勝者決定は来年に行われる予定だが、欧州ではFincantieriがThyssenKruppの艦艇部門=TKMS買収に名乗りを挙げているため、最終的な勝者がイタリアになるという可能性もある。
米国の投資会社=Carlyleはティッセンクルップの艦艇部門=TKMS買収を検討していたものの10月までに撤退、これ受けてFincantieriはEURONAVAL2024で「我々の力を独政府に提供できる。(TKMS買収に)具体的な数字も事業計画も持ってないが、これは非常に戦略的で直感的な判断で数字は後からついてくるだろう」と述べ 、もし買収が成立すればTKMSの親会社がThyssenKruppからFincantieriに変更され、欧州における艦艇供給グループとして大きな存在感をもつことになるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:ThyssenKrupp
てっきり本命はスペインで日本は当て馬かと思っていたが、こんなこともあるんだなあ
どうもホバート級建造時ごたごたで豪海軍内でのナヴァンティア社の評判が相当悪い&ペーパープランで現物がなくすぐにでも船が欲しい今回の調達計画には合わない等で早々にスペインは候補から落ちていたらしい。
潜水艦は船体素材の技術移転などさすがに受け入れ難い部分がありましたが、もがみくらいなら先方での建造を許したとして大したリスクも伴わないので有事における後方拠点となりうることも考えて実現してほしいものですね
209級のように好き勝手売り捌かれるようになるのは避けたいですが、まあオーストラリアの工業力なら大丈夫でしょう
TKMSで決まりでしょうね
日本の防衛関係造船は国内需要で充分回っているのですから三菱も不利な条件で受注しようとは考えないでしょうし
MEKO A-200って煙突廃止するという一番の変た、もといエラ呼吸ケツ呼吸の変わり種なんですよ
正直、アンザック繋がりでMEKOにするメリットが本当でござるかぁ・・・という
太平洋は台風などや冬季に悪天候になりやすい海域も少なくなく
A200は波浪や風で吸排気口から浸水するんじゃないのと心配になる、太平洋運用に適さないんじゃないかという設計なんですよね
ちょっと見たら南アフリカのMEKO A-200が排気口から海水が入って機関故障起こしてますね。
煙突が無いと甲板面積を広く使える反面、後方排気は艦内容積を喰われて中が狭くなるし海水侵入の危険性もあるしでデメリットの方が大きそう。
いや普通に日本も海外輸出実績は欲しいでしょう。日本が最終選考まで残ったのになぜTKMSで決まりと言えるんですか?
三菱はんには輸出実績を挙げて欲しいけど
肝心のヤーパン政府が何処まで護衛艦輸出を後押ししてくれるのかが謎なので。。。
ゲルがオージー相手に真面目に外交して日豪間の結び付きを強める事のメリットを示せれば普通に勝てるだろうけど
国内のどうでも良い事(紙の保険証とか)に注力して三菱を見殺しにしそう
ものすごい希望(笑)ですが。
フィンカンティエリ社に倣って、TCMSを
買収しようとする企業は日本にいないでしょうか(笑)?。
欧州の軍艦建造(潜水艦含み)の中核部分が入手できるような(笑)。
豪州の方の話は、建造所の増設を含むでしょうから、それができれば、でしょうか。
今まで民間船専業でやってきた造船所の方針転換?も含めて。
間違えました。
”TCMS→TKMS”ですね。
調達を12隻にして もがみ型×6、もがみ型改改×6はどうだろ
改改は150mくらいまでストレッチして48セルで
まあお隣りの乳児と揃えるだろうからMEKOだろな
海外輸出でうだつが上がらない状況に潮目の変化がある事を期待したいけど、まぁ輸出経験のなさは常にフィードバックループとして足を引っ張り続けるからね…あまり期待し過ぎずに見守るよ
意外なことに、twitterやRedditのコメントもMEKOにある程度好意的
オーストラリアの要件満たそうとしてらA210とかいう全く違う船になりそうなもんだが、大丈夫なんか、、?
もがみも改型の可能性考えると立場は同じということかもしれないけど、どうかんなろうな、、
ドイツの新規船造る能力は思ってる以上に評価が高いということか
オフセットでU-209も格安でつけそうだな
改コリンズよりマシだろうから
MEKO A-200型って煙突どこあるの?
と思ったら、艦尾から排気してるんですね
もがみ型だとUSV格納庫に使ってる所ですが
オーストラリア的に、もがみ型の掃海能力はどう評価されているんでしょうね
「あのスペースは掃海に使わなくても、無人機から特殊部隊の運搬とか「多目的(魔法の言葉)」に使えますよ」
って売り込みに言ってて欲しい
対機雷戦用とはいえUSVとUUVの運用能力が有る艦艇というのは
結構なセールスポイントですよね。
FFMの後部ハッチは海自自体が多目的に使ってるんで、わざわざそんな事は言わないと思う。LCSみたいに手間かけてギミック展開してみたいなのは流石に不味いと思ったのか無難な所に落ち着いた。
後部ハッチを売りにするなら、現状でどんな装備が使えるか。使いたい装備があるならその運用能力を付与するとかスペースのサイズに関しては相談に乗るとかが交渉でしょう?
改もがみ型は船の性能としては十分勝負できると思いますけど
政治的な輸出障壁がまだまだ足を引っ張りそうですね
凄いですね
日本の提案は最初に脱落すると思っていました
後はドイツとの一騎打ちに勝てるかどうかですね
後の懸念はオーストラリア海軍の予算削減で導入自体が流れないかどうかですね。
TKMS単体なら2000トン級の小型艦しか作れないかもしれないが、フィンカティリエは普通に5000トン級をラインナップ出来る…勝てねぇ
MEKO A-200型フリゲート(ヴァラー級フリゲート)
満載排水量 乗員
3,590トン 115名
MEKO A-200型フリゲート(エル・エルラディ級フリゲート)
満載排水量 乗員
3,648トン 110名
もがみ型
満載排水量 乗員
5,500トン 90~100名
欧州系はどうしても艦載機のユーロコプター問題が出てくるからどんな結果になっても驚かない
メッチャ健闘してるじゃん、日本
寧ろ相当な進歩を感じる
三菱が1番売り込みたいのは省人性だと考えます。もがみ型は90名(新型FFMやファミリーは不明だがおそらく同程度)、MEKO A-200は110名以上です。しかももがみ型は個室なのでもし台湾有事になった際の長期間航海に関しては乗組員からの評判がいいと思います。11隻建造した場合、もがみ型の場合MEKO A-200よりも200名以上の人員を他に回すことができ、オーストラリア海軍の拡張に使えるでしょう。しかしMEKO A-200はオーストラリア海軍で前級を使用しているので信頼性という面ではFFMより優位だと思います。
他の案(韓国案とスペイン案)が落とされた理由は分かりませんが予測では韓国は訴訟騒ぎもある上沿岸向け、スペインは実艦がない上Navantiaの評判が悪い(補給艦などは整備が面倒で設計がニッチすぎる)事が原因だと思います。
オーストラリア政府は今月末にドイツ案、日本案の詳細(予想図とか)を公開すると言ってるのでその時が楽しみですね。
MEKOだと自分の所で弄りやすいから、国産に割とこだわってる豪州としては都合がよいのだろうな
実際に活用できるかどうかはともかくとして
とはいえ、最適化されていないことの裏返しでもあるから、
(即戦力を求める要素から考えた場合、)活用できなければ無駄になる部分を受け入れる余裕があるかどうか
日本と同じく西太平洋を舞台に使うから相性がいいのかも
今のアンザックでさえ不法建築なのに、まだMEKOを弄る余裕がありますかね…弄るにしても日本やイタリアクラスの5000tのが余裕があるかと。
韓国とスペインの自滅感強いけどまずは残ったようで何より
しかしMEKOと改もがみかぁ…豪州海軍からすれば実績と経験のあるMEKO望む声が強そうだわ
とはいえ目が無ければそもそも声なんかかからない訳で、日本も全力で取りに行って欲しいですね
水を差すようで悪いけど明らかにドイツ寄りっぽいよね向こうのムード。まあ一次審査通るようになったのは良いけど
これが本当なら頑張っては欲しいですね。ダメでも次に繋がるように
ドイツヤードの裏にイタリアヤードを控えてのコンペだと、日本はかなり厳しいでしょうね。悪くないから当て馬として残れるのは分かるんですが、これ以上は運が絡まないと難しそう。
まぁドイツやろな。
三菱に決まったとして、2030年までに3隻とか無理だろうし。知らんけど。
三菱重工マリタイムシステムズがFFM-8ゆうべつを就役させたあと空くからいけるんじゃね
それにジャパンマリンユナイテッドもあるし
しらんけど
オールジャパン体制なら普通にできるでしょ。
そこが韓国が落ちて日本が残った違いだし。
起工から進水して就役まで1年+1年で、1隻作るのに約2年として、
2030年まで残り6年で3隻。
海自の分を後回しにすれば何とかね。本末転倒だろうけど。
フィンカンティエリのコメント見て笑ったw
さすがイタリア
ドイツも日本もいざという時売ってくれるか不安
兵器輸出に実績がある韓国の方が良かったのでは
どんな良い兵器も手元に届かなきゃ意味がない
韓国はそもそも建造する2社が喧嘩中、今選定するとどっちが建造するか不明で納入されるかどうかすら怪しい。加えて提案されている艦艇は沿岸向けで外洋向けではない、そして韓国独自の装備品が詰め込まれており米軍装備やオーストラリア軍装備との互換性がもがみ型などよりも低い。っていうのがあって採用されるかは最初からちょっと怪しかったですね。
記事読んでからコメントした方がいいよ
二大企業が喧嘩していてこの案件にまともに対応できるかどうかすら、豪州政府に疑われたレベルの状態なのに。
手元に製品が云々どころの話じゃないでしょ
・地理的に日本に近く、共同作戦が取りやすい
・オーストラリア軍は日本との連携強化を進めている
・対中路線で一致
環境だけで見れば圧倒的日本有利なんだけどな
2+2で共同開発を視野に入れた話もしていたみたいだし、政治的にはチャンスではあるが果たして…?
防衛装備移転三原則現行運用指針の都合上、所謂5類型外である護衛艦は、GCAPのように政府主導の共同開発の体をとらないと原則的に海外移転できないですよ。
つまり、もがみ型ベース艦が選択されるなら日豪共同開発事業にならざるを得ません。我が国の場合、防衛装備移転が政治主導になるのは現状必須なんです。
ナチュラル外患誘致の石破かぁー(アジア版NATOに中国を入れたい発言)
フィンカティエリがTKMSを買収するのか、ドイツがフィンカティエリにクルップとTKMSを救済させるのか…
何かの間違いで受注してしまったら作るのはドンガラと機関部だけで後の武装やセンサー類、戦闘システムは他の優秀な物か相手国が作る物を統合する形にしてもらいたいですね。
そっちの方が導入する国にとっても日本にとってもベストだと思いますし、異なる物を上手く統合して相手のニーズに沿った物を作れるなら先の見通しはまだ明るいと思いますね。
センサー類こそ、(豪州)国産を採用しろと言ってきそうではある
アイザック級のCEAFARのように
戦闘システムは、アメリカ製にすると省力化の利点がシステム面で消し飛ぶべ
何でアメリカも巻きこんで現行システムの省力化アップデがいる。
最終候補に残るとは思ってなかったでしょうね
あとは交渉で政府と三菱にやる気があるかですかね
オフセットとか苦手そう(やったことないので)
2024年3月に長崎軍艦島ツアーに行ったのですが、航海の途中で3隻の艤装中FFMを見かけました。
時期的にはFFM-5からFFM-7だと思われますが、起工から就役まで2.5年かかるんですね。
2030年までに就役となると、予算確保済みのFFM-12の就役が予定通りなら間に合いそうですが、改設計や承認にかけられる時間はわずかなので、ドックが予定通り空いてもなかなかシビアなスケジュールだと思います。
日本が出来そうなのはFFM改(ドンガラ)にSH-60L(ドンガラ)の供与、陸自がハウケイ採用で2割位は豪生産品にするとか…
ドイツにまともな造船技術残ってるの?
作り始めてから進水させるまで遅いし技術者も減ってるのかもね