インド太平洋関連

Hanwha Aerospace、Chunmoo向けの対艦弾道ミサイルを発表

Hanwha Aerospaceはフィリピンで開催されたアジア防衛・安全保障展示会でChunmoo向けのASBM=対艦弾道ミサイルを公開、コンセプト的にはLockheed MartinのPrSM Increment2(開発中)に相当するもので、HIMARSと競合する市場で生き残るのに役立つだろう。

参考:ADAS 2024: Hanwha unveils anti-ship missile for Chunmoo MRL

Hanwha AerospaceのASBMはLockheed MartinのPrSM Increment2に相当

西側諸国は戦場への火力投射を航空戦力に依存してきたが、ウクライナとロシアの戦争は「高度な防空システムによる接近拒否は成立する」と証明し、これが地上ベースの火力投射能力の再評価に繋がって自走砲や多連装ロケットシステムの新規・追加導入が相次いでおり、Hanwha AerospaceのK239 Chunmooにも複数の国から関心が寄せられている。

韓国陸軍向けに開発されたChunmooはMLRSと同等の火力投射(HIMARSの2倍)を発揮でき、顧客が望む車体にランチャーシステムを組み込むこともでき、GMLRS弾に相当する射程80kmのCGR-080、ER GMLRS弾に相当する射程160kmのCTM-MR、ATACMSに相当する射程290kmのCTM-290 BlockIIを使用できるため攻撃手段の多彩さにおいてもMLRSやHIMARSに匹敵する存在だ。

既にアラブ首長国連邦、サウジアラビア、ポーランドが導入済みで、ノルウェー、ルーマニア、フィリピンも関心を示しており、Hanwha Aerospaceはフィリピンで開催されたアジア防衛・安全保障展示会でChunmoo向けのASBM=対艦弾道ミサイルを公開した。

出典:Lockheed Martin PrSM

Hanwha Aerospaceは「Chunmoo向けのASBMは開発の初期段階」「2027年までに実戦配備できる可能性がある」「このASBMはフィリピンの要求要件を満たすよう設計されている」と明かし、Janesも「フィリピン軍の陸上配備型対艦攻撃能力のニーズを満たせる可能性を示唆した」と報じており、これは海上の移動目標攻撃に対応したLockheed MartinのPrSM Increment2(開発中)に相当するもので、HIMARSと競合する市場で生き残るのに役立つだろう。

関連記事:移動目標を弾道ミサイルで攻撃可能、PrSMが海上を移動する目標に命中
関連記事:HIMARSで500km先の目標を攻撃可能、米陸軍へのPrSM納入が始まる
関連記事:欧州の多連装ロケットシステム調達、GMARS、EuroPULS、Chunmooが競合
関連記事:クロアチアはHIMARSを選択、ノルウェーはPULSやChunmooも検討

 

※アイキャッチ画像の出典:Hanwha Aerospace

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コメント

    • 黄海
    • 2024年 9月 28日

    これが韓国軍に配備されたら、北海艦隊は終わりだな。

    6
      • 射程
      • 2024年 9月 28日

      と書いておいてなんだけど、1枚目の写真にCTM-290 (BlockII?)とASBMとCTM-MRが並んでいてサイズ比較ができる。

      CTM-290 射程290km
      CTM-MR 射程160km
      で、ASBMはCTM-MRと似たサイズ。CTM-290より小さい。

      PrSM相当で射程500km以上と思ったが、射程160kmだと山東半島側を航行すれば射程外になる。
      88式地対艦誘導弾ぐらいの射程。

      1
    • 黒丸
    • 2024年 9月 28日

    中国は対艦弾道弾の研究で先行している印象がありますが
    中華イージスは弾道弾を迎撃できるのでしょうか?

    4
      • paxai
      • 2024年 9月 28日

      そもそも対艦弾道弾って十分な精度で迎撃出来るのかなあって。
      大国同士の戦いなら軍艦相手なら10発ワンセットの勢いで撃ち込まれるだろうし最低90%の迎撃率が出せないと結局撃沈されそう。

      7
        • 田舎者
        • 2024年 9月 28日

        技術的に迎撃率を高めてもその分高額となり数が限られ、現場では格安鈍足の長距離ドローンなどの迎撃で枯渇してしまいそうです。

        その後、対艦弾道ミサイルが襲来するパターンになると思われ、数百億〜数千億が次々とパァに…

        6
          • 戦闘機
          • 2024年 9月 28日

          イスラエルがイランに対して行った迎撃を見る限り、長距離ドローンの迎撃は戦闘機にさせて弾道ミサイルの迎撃は弾道弾迎撃ミサイルを使うんじゃ無いでしょうか?
          イスラエルの迎撃してるのを見る限り、長距離ドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルは速度が違いすぎて迎撃できる時間が違うから、バラバラに迎撃されてましたし。

          7
            • 田舎者
            • 2024年 9月 28日

            イランはエスカレーションとならないようにバラバラ攻撃していたのではないでしょうか?

            本気であったなら、発射時間を調整して対応困難なタイミングで着弾時間を合わせ飽和攻撃にすると思われます。また、狙い所が多彩な地上と高価値目標の海上の違いもあるでしょう。

            水上艦艇を狙う長距離航空ドローンの迎撃は、戦闘機でも採算性が乏しいケースも数あるでしょうから、敢えて引き寄せてファランクス等の近接防空で対応せざるを得ないと考えられます。なので、弾道弾の予兆として警戒を強いる使い方をするのではないかと予想しています。そう考えると、更に鈍足の長距離水上ドローンも長期警戒態勢を強いる目的で有効だと考えられます。

            特に、長距離海上無人艇は、黒潮を始めとした海流の関係で、日本や韓国に対して中国が圧倒的に有利になる位置関係だと危惧しています。500km以下の航続距離でも、公海上にバラまけば日本本土を狙えてしまいます。

            5
            • 田舎者
            • 2024年 9月 28日

            イランはエスカレーションを危惧して敢えて手加減したのではないでしょうか?本気で大規模な被害を与えるつもりなら、迎撃困難なタイミングに発射時間を合わせると思います。

            また、飽和攻撃に限らず、何らかの電子戦技術で同士討ちを誘発したり、長時間の警戒態勢を強いて疲弊を誘ったり…長距離ドローンには色々な使い道の可能性があります。

            あと、長距離ドローンに対する戦闘機の迎撃が採算性としてどうなのか気になっています。

              • 田舎者
              • 2024年 9月 28日

              投稿が反映されるまでの時間が待ち切れず、内容が微妙にズレた2重投稿になってしまいました。

            • ido
            • 2024年 9月 28日

            イランのイスラエル攻撃の時は着弾時間を揃えれるように時間差で無人機、巡航ミサイル、弾道ミサイルの順番で撃っていました。イスラエルは他国の上空で無人機、巡航ミサイルを時間が揃っていないうちに迎撃したのでああいう結果になったんだと思います。イラン側からしてもこれはどうしようもないので着弾時間を揃えて撃っても意味はないでしょうね。特に台湾有事になると迎撃地点は公海、もしくは日本のEEZ内でしょうから迎撃物の落下に対する被害を考慮する必要もないので弾道ミサイルの迎撃さえできれば艦隊が簡単に沈む事はないと思います。

            5
      • fcxe467
      • 2024年 9月 28日

      SM-3で迎撃は可能ですね(極超音速滑空体は除く)。
      ただし中国軍は敵艦隊の防空能力を飽和させるために、対艦弾道弾と一緒に各種対艦ミサイルも使用します。

      3
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 9月 28日

    >既にアラブ首長国連邦、サウジアラビア、ポーランドが導入済みで、ノルウェー、ルーマニア、フィリピンも関心を示しており
    調達先の多様化は必要だけど、仮想敵である中国の兵器をNATO諸国(ポーランドp・ノルウェー・ルーマニア)が導入するのはどうなのよ

      • 幽霊
      • 2024年 9月 28日

      韓国企業の兵器が何故中国の兵器になるんですか?

      21
        • あまるてあ
        • 2024年 9月 28日

        漢字圏の日本人ですらこの有様なんで、韓国、中国、日本の企業名は文化圏が違うと語感では絶対わからないっすよね。Samsungが日本企業だと思ってる人って欧米ではかなり多くて、韓国人は苦々しく思っているとか。

        こういう「東アジア圏一緒くた風潮」で一番損してるのって、20年くらい前は日本でしたが、今は明らかに韓国になってて、隔世の感があります・・・

        12
          • ヒュー
          • 2024年 9月 28日

          ハンファはここ数年このブログでもよく見る名前だしミリタリーに疎い一般人はともかく
          興味ある人が来るこのブログで間違えられるのはちょっと以外ですね。

          17
          • 名無し
          • 2024年 9月 28日

          Samsungはわざと日本企業と誤認させて売ってきたからしょうがない
          それに今も損しているのは相変わらず日本でしょう

          17
        • 理想はこの翼では届かない
        • 2024年 9月 28日

        めっちゃ勘違いしてました。すいません

        6
      • 匿名
      • 2024年 9月 28日

      >仮想敵である中国の兵器を

      Chunmooとは、韓国語のハングルで「천무」、漢字では「天橆」と記述し、日本語では「天使」です。

      まぁ、中国語と勘違いしたんでしょうけど、正真正銘の韓国語ですよ。w

      21
    • kasugi
    • 2024年 9月 28日

    この手の兵器はいくらか速度が速くとも飛行高度が高すぎて遠くから丸見えになってしまうので、シースキミングミサイルより対処猶予時間が長くなり、迎撃難度は高くありません
    よほど運が悪くない限り、防空艦がこれにより被害を受けることはなく、戦術的な価値に変化を生じさせるものではないです

    ただし「よほど運が悪い」状況も無視できない高価値のユニット、例えば空母や強襲揚陸艦となると話が別で、こうした兵器が存在する…或いは「存在する可能性がある」だけでも海域に立ち入ることが困難になります

    空母による砲艦外交でプレゼンスを強化しようと目論む中国にとって、これは非常に厄介な障害となるでしょう
    また中国の脅威に怯えるインド•太平洋地域にとってはこうした兵器はとても魅力的であり、西側との結びつきをより強固にします

    韓国はインド•太平洋地域のかすがいとなるかもしれません

    2
      • 名無し
      • 2024年 9月 28日

      迎撃難度は高くない言ってもSM-3の年間生産数はたったの12発だからなあ
      下手すりゃASBM発射側の1次攻勢で防空艦側のSM-3はカラッポになるで

      3
        • kasugi
        • 2024年 9月 29日

        なんで韓国のミサイルをスタンダードミサイルで迎え撃たなければならないのかわかりませんが、この手の兵器はマッハ3ぐらいまでしか出ないのでSM-2やESSMでも落ちますよ

        2
          •  
          • 2024年 9月 29日

          将来、韓国軍が海自の護衛艦を攻撃しないと思うのは、ナイーブに過ぎる。

          14
    • Easy
    • 2024年 9月 28日

    対艦弾道弾に対艦ドローンに、と。
    水上戦力そのものが脆弱な高価値目標になってしまう時代が来てしまいました。
    どちらも今後の発展の余地はすさまじく広く。
    将来は、「高価な水上艦に投資すること自体が敗北」と言われてしまう日が来るかもしれませんね。

    2
      • 田舎者
      • 2024年 9月 28日

      その危惧、全く同感です。

      加えて、動画にはタンカーで輸送する部分があり、超高額な軍用艦艇を少数建造するよりも、徴用した民間タンカー上で発射するシステムの方が費用対効果で有効ではないか?とも思えてしまいます。

      それはそれとして、艦隊の完全無人化はまだまだ相当先になるでしょうから、中核となる有人艦は高価値目標となって重武装重装甲化は免れないと思います。地上戦では亀戦車が登場していますので、亀戦艦が登場するかも…などと妄想しています。

      韓国製なら現代の亀甲船と呼ばれそうな。

        • 伊怜
        • 2024年 9月 28日

        キーロフ級再評価の流れ来る?
        一応バイタルパートは理論上ハープーンに耐えられるかもしれない程度の装甲だけど

        • kasugi
        • 2024年 9月 28日

        偵察に大きな課題が存在する海戦においてはドローン無双はまだ早いでしょう
        ウクライナのドローン運用はウクライナ領から目と鼻の先の港湾に対し、綿密な調査と計画に基づいて実行されており、フーシ派の攻撃は幅がたった30kmの海峡で行われています

        兵器の総合的な戦術価値を図る上では条件が限定的に過ぎます

        2
          • 田舎者
          • 2024年 9月 29日

          “洋上海戦””無双“”総合的価値“という高過ぎる要求水準でなければ、ウクライナやフーシ派のような勢力でさえ現状で成果を得ることが出来ると解釈も可能でしょう。

          一方、広い太平洋上の艦隊に有効な攻撃が出来なくても、「補給修繕の為の港湾接岸」「狭い海峡の通過」を制限出来て、本命の対艦弾道弾を補佐可能であれば、格安兵器として充分な活躍と言えます。

          また、ドローンは意味する範囲が広く、兵器としての技術開発や運用方法の開拓も、まだ成長段階であると考えられます。なので、数年後に完成するような高額兵器との比較では、有効性を高めに想定しても悪くないと思います。

          1
            •  
            • 2024年 9月 29日

            スマン、つまらない突っ込みをするが、気になってしょうがないので。許してほしい。

            「洋上海戦」って何だ?「海戦」は「洋上」で行うものではないのか?

            他に「空中海戦」とか「陸上海戦」があって、それらと区別しているのか?

            「危険が危ない」と同じ匂いがするのは、私だけ? w

            14
              • kasugi
              • 2024年 9月 30日

              お前の句読点の使い方にもつまらないツッコミをしてもいいのかな。

              1
              • kitty
              • 2024年 9月 30日

              海戦という用語は艦船同士の戦闘行為の事だけを含む狭義の意味と、現代では艦船対航空機、ミサイルの広義の意味を示します。
              この場合、狭義の意味を強調したかったのでしょう。

                • バーナーキング
                • 2024年 9月 30日

                端的に言って「空中海戦」は普通にある、と。

    • bbb
    • 2024年 9月 28日

    陸軍の輸入火砲の部隊にこれだけ対艦BMが加わった所で内陸部発射の沿岸防御以外では運用NCWや地対艦レーダーやUAVも無しでは標的の捕捉が不可能では。
    そもそも地対艦専門の部署以外でこれをやるには最小でも射撃中隊が領域横断戦に適合してないと無理です。MDTFの最小火力を活用するにもそのバックボーンは膨大です。
    対艦で売るにも最小限度のISR機材のセット売りが必要だろうと思いますが、発射車付属で300km先を捕捉するUAVとなると難しいですね。

    2
      • kasugi
      • 2024年 9月 28日

      指摘が初歩的に過ぎると思いますが
      そんなことは買う時点で考えてるでしょう

      あと陸空協調程度のものを領域横断戦とは呼びません

      3
      • kitty
      • 2024年 9月 29日

      フィリピンがなんでASBMなんて装備を欲しがっているのかがキーでしょうか。
      装備の貧弱なフィリピン軍が艦船や空軍戦力で中国に伍する事はまず不可能ですから、有事には偵察衛星情報を米国から貰えることを前提に話を進めているのかも。

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