インド太平洋関連

計画から40年後に結実!インド、国産戦闘機「テジャスMK.1」を実戦配備

インド空軍は完全作戦能力に対応した国産戦闘機「テジャスMK.1(FOC仕様)」の初号機を実戦部隊「第18飛行隊」に配備したと印メディアが報じている。

参考:Indian Air Force inducts first LAC Tejas Mk-1 FOC aircraft

計画立ち上げから40年後に結実したインドの国産戦闘機プログラム

これまでインド空軍は初期作戦能力を獲得した国産戦闘機「テジャスMK.1(IOC仕様)」を16機配備していたが、同機の戦闘能力はかなり限定されており完全作戦能力に対応したFOC仕様機の完成が待ち望まれていた。

今回配備されたテジャスMK.1(FOC仕様)はイスラエス製の中距離空対空ミサイル「ダービー(パイソン4の派生型)」や国産の中距離空対空ミサイル「アストラ」などの視界外射程ミサイル(BVRAAM)が統合されており、飛行制御を行うソフトウェアが更新され飛行範囲が拡大、耐G制限を+8Gまで引き上げ、空中給油プローブの追加、エンジンを停止させることなく給油を可能にする高温燃料供給能力(迅速な再出撃が可能になる)に対応している。

出典:インド政府 報道局(pib) テジャスMK.1(FOC仕様)を引き渡されるインド空軍第18飛行隊

補足:先に引き渡されたテジャスMK.1(IOC仕様)は最終的にFOC仕様へとアップグレードされる予定でMK.1の総生産は32機となる。

インド空軍はテジャスMK.1(FOC仕様)を16機を導入後、今度はテジャスMK.1Aを83機発注することが確定している。

テジャスMK.1Aは真打ちである「テジャスMK.2」が完成するまでの「つなぎ」として開発された機体で、MK.2に搭載予定の国産のAESAレーダー「Uttam」、デジタルレーダー警告受信機、電子妨害ポッドなど統合がされておりMK.1とMK.2の中間にあたる機体だ。

同機の機体価格は当初6,500万ドルと言われていたが「高価過ぎる」とインド空軍が難色を示し、再交渉の末に1機あたり3,900万ドル(約42億円)で調達することが決定、2023年からインド空軍に引き渡される予定だが政府の承認がまだ降りていないので、もしかすると決定がひっくり返るかもしれない。

どちらにしても1980年代に立ち上げられたインドの国産戦闘機開発プログラムは政治的問題や技術的問題で紆余曲折を経験した影響で大幅にスケージュールが遅延してしまい、普通なら中止されてもおかしくはない状況を忍耐強く乗り切り、晴れて実戦に対応したFOC仕様機が空軍に引き渡されたのだから開発に携わった関係者にとっては記念すべきマイルストーンになったのは間違いない。

インドは現在、海外製戦闘機調達プログラムを中止して現在開発中のテジャスMK.2に切り替えるべきだと言い出しており注目を集めている。

関連記事:インドの戦闘機「テジャスMK.2」は海外製戦闘機の代わりが務まるのか?

 

※アイキャッチ画像の出典:Venkat Mangudi / CC BY-SA 2.0 国産戦闘機「テジャス」

第6世代戦闘機開発が進行中の中国、Su-57用新型エンジンを入手か前のページ

空母に搭載するF-35Bは? イタリアが再びF-35調達削減に乗り出す次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    インドに放置される韓国製複合防空システムの行方、政治的後ろ盾のなさが原因?

    2018年にインドが調達を決定した韓国製複合防空システム「K-30 S…

  2. インド太平洋関連

    台湾空軍が胴体着陸したE-2Kの修理を断念、予備部品として活用

    台湾空軍は11月の胴体着陸で損傷したE-2Kの修理に20億台湾ドル(約…

  3. インド太平洋関連

    韓国が発表した次期戦闘機「KF-21ポラメ」に対する海外メディアの評価は?

    挑戦的なスケジュールで開発が進められていた韓国初の本格的な戦闘機開発プ…

  4. インド太平洋関連

    米国、韓国の文大統領が要請した「ロサンゼルス級原潜」売却を拒否

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は米国に対し、ロザンゼルス級原子力…

  5. インド太平洋関連

    韓国最大野党の代表、公の場で韓国独自の核武装に言及して波紋

    韓国の野党「国民の力」で代表を務める金鍾仁(キム・ジョンイン)氏が核武…

  6. インド太平洋関連

    インド、52口径155mm榴弾砲を搭載するトラック搭載型自走砲を発表

    印カリャニグループの防衛部門は52口径155mm榴弾砲を搭載する「MG…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 5月 29日

    中距離AAMが「アトラス」になってますぜ

    • 匿名
    • 2020年 5月 29日

    急ぐのは分かりますが、多少は推敲はした方がいいかと。
    さておき、インドが自国の研究や産業を守りたい気持ちは痛いほどよくわかります。
    中国に対抗できるとよいのですが。

      • 匿名
      • 2020年 5月 29日

      細かいけどイスラエスとかかな

    • 匿名
    • 2020年 5月 29日

    日本もインドを見習い必ずやF3の国内主導開発を完遂しなければならない。予算の上振れや期日の延長はより良いものを作るための投資と捉えるべき。いつでもどこでも我慢と辛抱した者が成果を得られる。

    2
    • 匿名
    • 2020年 5月 30日

    コロナ渦で経済が死滅した日本には縁のないお話ですね…
    F-3もあえなく水子と相成りましたので

      • 匿名
      • 2020年 5月 30日

      お前が縁がないのでは?!(笑)日本経済が死滅?経済再開されてますが?お前が死滅してんだよ(笑)

      3
      • 匿名
      • 2020年 5月 30日

      半島人お得意の嘘捏造妄想コメントですねw
      それとも大陸人ですかね、最近はそちらも嘘捏造でご活躍ですよねw
      F3は現在も着々と開発進行中ですのでご心配なく。
      それよりもKF-Xでしたっけ、あの珍妙な戦闘機モドキはどうなったんですかねwww
      第6世代機の開発に各国が着手する中、今更4.5世代でモタモタしてる母国を心配されては?
      www

      3
      • 匿名
      • 2020年 5月 30日

      LMに設計を丸投げしたT-50さえ墜落事故続発でもはや輸入する国さえないのに、韓国で設計されたKF-Xではまともに飛ぶとは思えない、というか完成しないのはほぼ確実な状況。

      J-20はあの巨大サイズの機体にあの程度の噴射口だから現状は遊覧飛行しかできない、一般的な戦闘機と比べるとサイズと噴射口のバランスがおかしい、たぶんマッハは越せないのが自慢の第五世代のステルス機。
      T-72にもっともらしい張りぼてを付けたのが99式だが、同様にSu-27にステルスの着ぐるみを付けたのがJ-20。
      Su-27と模擬線をしたらステルス性はほんの少し上かもしれないが、鈍足で真っすぐにしか飛べないからドッグファイトに持ち込む前に撃墜されるのがJ-20クォリティ。

      1
    • 匿名
    • 2020年 6月 01日

    テジャスMK.1とて初期型のF-16C/D並みの性能はあるから数をそろえられるんならありといえばありではある。
    国産機の自由度には差が出るし。国内に落ちる金が段違いではある。

    1
    • 匿名
    • 2020年 6月 28日

    J-20て第5世代のステレス機では無く、スクラップ機だったのか。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
  3. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  4. 日本関連

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
  5. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
PAGE TOP