インド太平洋関連

インドが対米関係の悪化を受けて防衛力の自立を強化、国産無人機導入を優先

インドはF414現地生産と引き換えにMQ-9Bの完成品輸入を認め「約38億米ドルでMQ-9Bを計31機購入する」と昨年発表したばかりだが、トランプ関税、ロシア産石油購入への制裁、納入まで時間がかかること考慮し、再び国産無人機の導入を優先する方針だ。

参考:India fast-tracks indigenous MALE drones as US trade rift stalls big-ticket deals

今のところインドはMQ-9Bの購入を凍結や中止を決断していないものの、米国の関係次第で何が起きても不思議ではない状況

インドはMALE UAV(中高度・長時間滞空型無人航空機)分野でTB2、Akinci、Wing Loong、CH-4Bを擁する潜在的な敵対国=パキスタンに遅れを取っており、インド海軍は2020年からMQ-9B SeaGuardianをリース方式で2機導入し、陸海空向けに計30機の導入を検討していたものの競合機種と比較して導入コストが高価で、検討を重ねている内に防衛機器の調達方針が「モディ首相が推し進めるMake in India政策=国内調達優先」に変更され、国内で開発しているMALE UAVの完成を待つ雰囲気だった。

出典:The White House

しかし、国境沿いの山岳地帯やインド洋での監視任務に対するニーズが高まり、F414現地生産と引き換えにMQ-9Bの完成品輸入を認め、インド政府2024年10月「約38億米ドルで海軍向けにSeaGuardianを15機、陸軍と空軍向けにSkyGuardianを計16機購入する」と発表、インド海軍の副司令官も記者団に対して「現行のTAPAS BH-201は我々の要求要件を完全に満たしていない」「改良された次期バージョンに期待している」と述べていたが、インドはトランプ関税やロシア産石油購入への制裁を巡ってストライカー、ジャベリン、P-8Iの購入を凍結。

さらにShephardも15日「MQ-9Bの引き渡しは2029年まで待たなければならず、インド国防省は最近『三軍向けのMALE UAV×87機」に対する承認申請を付与した。生産はインド企業2社が64対36で分担する予定で、来年3月の提案依頼書発行に向けて手続きが迅速に進められている。インドは関税と防衛協議の停滞により防衛力の自立に関する取り組みを強化した」と報じ、この動きはパキスタンとの紛争で得られた運用上の教訓も影響を及ぼしているらしい。

出典:Ronite/CC BY-SA 4.0

インドが三軍向けに調達を予定しているのはDRDO製のTAPAS BH-201ではなく、インドの新興財閥アダニ・グループの防衛部門=Adani Defence&Aerospace製のDrishti-10で、これはイスラエル製のHermes900を国産化(国産部品の使用率は約60%)したものだが、インド軍の要件に合わせた変更が加えられているためオリジナルとは別モノだ。

今のところインドはMQ-9Bの購入を凍結や中止を決断していないものの、テジャスMK.2向けのF414現地生産は遅延と不確実性に直面し、独自のメンテナンス能力が確立されていないGE LM2500搭載のシヴァリク級フリゲート、米カミンズ製エンジンを搭載するゾラワール軽戦車などリスクを抱えたプログラムも存在し、米国の関係次第で何が起きても不思議ではない状況と言える。

関連記事:インド、約38億米ドルで陸海空軍向けにMQ-9Bを計31機購入
関連記事:バイデン大統領、対中政策の一環としてインドにF414の現地生産を提示
関連記事:インド、1機1億ドルもするMQ-9B調達を保留して国産UCAVを優先

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class William Rio Rosado

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コメント

  • コメント (12)

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    • 匿名希望
    • 2025年 8月 16日

    元の機体があるとはいえインドって国産無人機開発してたんだ…

    6
    • Authentic
    • 2025年 8月 16日

    >アダニ・グループの防衛部門
    購入資金がモディ首相のポケットに戻ってきそう

    9
    • SB
    • 2025年 8月 16日

    インドの兵器調達のあれこれに関しては対米関係はあんまり関係ないと思うの

    12
    • xkhtjm8
    • 2025年 8月 16日

    今年5月の印パ衝突で、アメリカはインドではなくパキスタンに協力的な態度を示し、アメリカはパキスタンと石油開発で協力する協定を締結しました。
    更にアメリカはインドへ関税50%を適用予定なので、インドはアメリカに立腹し逆に中国と関係を改善させています。
    日本としては宜しくない状況に向かっています。

    23
      • Authentic
      • 2025年 8月 16日

      BRICSの中で欧米とバランス取ろうとしてた中間派のブラジルとインドにわざわざ他と比べても飛び抜けて高い50%の関税かけようとしてるのがなんか面白い
      中国は内心しめしめと思ってるだろうね

      16
        • elmoelmo
        • 2025年 8月 17日

        「トランプは親露親中」っていう陰謀論?をひていす

        • elmoelmo
        • 2025年 8月 17日

        「トランプは親露、親中」っていう陰謀論?を否定する論拠がどんどんなくなっていく…

        1
    • kitty
    • 2025年 8月 16日

    F414は輸入分は未納に苦しみ、ラ国は遅れると散々ですね。
    韓国のラ国だけが順調だったりしたら皮肉なもんです。
    (米国製の遅れは韓国企業の倒産のせい)

    3
    • 朴秀
    • 2025年 8月 16日

    アメリカが信用ならないのはその通りかもしれませんが
    インドの兵器開発も大概では…?

    14
    • DEEPBLUE
    • 2025年 8月 16日

    戦闘機や哨戒機はともかく無人機は別に米国製が圧倒的って訳でもないですからね。

    8
    • PAC3
    • 2025年 8月 16日

    ウクライナ戦争の停戦が実現して対ロシアへの経済制裁解除の流れになれば、大っぴらにロシアとの貿易を再開できるだろうし武器購入先のロシア購入分がインド側によい条件で増える形へ暫く移行する形になるのかな?
    取り敢えずはウクライナ戦争の停戦次第でしょうが、トランプ政権終了まではアメリカとは距離を置くのでしょうね。

    6
    • 神田明(仮名)
    • 2025年 8月 16日

    インドはF-414のライセンス生産権利を勝ち取って大勝利ではないですかね?

    1

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